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【読プレ】『スナイパー ゴーストウォリアー3』サバゲー大会レポ・後編―元フランス外人部隊の野田力氏に聞く戦場での話

『スナイパー ゴーストウォリアー3(Sniper Ghost Warrior 3)』。本作の発売を記念したメディア合同のサバイバルゲームイベントが実施。この後編では、元フランス外人部隊で衛生兵を勤めていた野田力氏にメディア合同のインタビューの内容をお伝えします。

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――ざっくりでいいので、日本にフランス外人部隊の経験者がどれくらいいるのか教えてください。

野田氏:結構いるのではないかと思います。渋谷で石投げたら当たるくらい?

――えっ、そんなに!?(一同驚愕)

野田氏:ちょっと言い過ぎたかも (笑)。まあまあいます。

――それはおそらく、野田さんの生活している圏内に多いということかもしれません(笑)。

野田氏:行く場所もそのようなところが多いですからね。例えば「危機管理産業展(RISCON TOKYO)」とか。

    ■危機管理産業展とは?

    毎年10月に東京ビッグサイトで行われているイベントで、地震などの防災/減災や、警備/防犯などのセキュリティ、情報漏洩や海外展開などのあらゆるリスク、そしてテロ対策関連企業が出展しているイベント。テロ対策を中心とした「テロ対策特殊装備展(SEECAT)」も同時開催されているが、完全登録制で登録時に審査がある。開催中に野田氏は、訓練用のラバーガンを製作しているキャロットのブースで3日間アルバイトをしていたようだ。除隊して6年半ほどだが、リアルな重さの89式小銃と防弾プレートを持って1日中立っていたと語った。ちなみに、ゲーム関連では軍向けにカスタマイズされた『Arma』のスピンオフである、Bohemia Interactive Simulationsの最新版『VBS3(Virtual Battlespace 3)』も国内代理店のリアルビズを通して出展されている。

――フランス外人部隊には何年いたのでしょうか?

野田氏:6年半でした。最低5年契約で、1年半延長しました。5年で辞めるとなると、アフガニスタンには行けなかったんですよ。

――行きたかったのですか?

野田氏:行きたくて。ねぇ!(「ねぇ!」で一同驚く)。最初から話しますけれど、僕は自衛隊に落ちたから、どこか軍隊に入ろうと思っていました。フランスは外人部隊があるし、アメリカ軍も日本人が入れる例がある。在日米軍の人にも「米軍入れよ!」て言ってもらったこともあったので悩んだのですが、当時のアメリカはイラクやアフガンでバリバリ戦争しているんですよね。


一方、フランス軍はイラクには行ってないんですよ。自分が志願する頃ってイラク戦争がすごく激しい時期でアフガンが下火だったんですよね。「あっ、フランスってイラクへ行っていないから、フランスの方が安全だろうな」というのもあったので、フランス外人部隊を選びました。そこからいろんな訓練を受けているうちに、「技術を使いたい」という意識が芽生えてきました。また、自衛隊に落ちて、被害妄想ですが、国から「あなたはいらないよ」て言われたような気分になって。かっこいいことを言うなら「国家に捨てられた男」なんです。

――ちょっとカッコよくまとめすぎていませんか(笑)。

野田氏:カッコつけました(笑)。そんな中、勝手な思い込みですけれどフランスが拾ってくれたから「本当にありがとうございます!」 という感謝と恩返ししたいなというのもあって。充実感もありましたし、延長してアフガンにも行きました。でも、延長して良かったと思います。幸い怪我はしなかったので。もし、怪我をしてしまったり、死んでしまったりしていたら、後悔はしたと思います。

――フランス国籍か永住権か、どちらかをもらえるという話もありますが。

野田氏: もらいやすいのですが、結局僕はもらえませんでした。頼んだら「2年延長しろ」と言われて「じゃあいらないです」って。

――絶対ではないのですね 。

野田氏:そうなんです。アフリカのコートジボワールで、一時期危ない状況になった時に日本大使館が襲撃にあったんですよ。日本大使館の人はセーフルームに立てこもって難を逃れたのですが、それを助けに行ったのがフランスの特殊部隊です。国籍が違うのに助けに行ってくれるぐらいなので、 国籍があれば必ず助けに来てくれるのではないかなと。もしかしたら会ったことのある人が来てくれるかもしれないですし。そういうとこへ行く予定はないのですが、ちょっとした保険みたいな感じにもなるかなということで、国籍は欲しかったですね。

――アフガン以外ではどこへ行かれましたか。

野田氏:作戦ではコートジボワール。こちらは作戦ではないのですが、フランスが駐屯しているガボン。あとジブチですね。今は自衛隊も駐屯地をもっていますけれど。ガボンとジブチは両極端な国で、ガボンは赤道直下の熱帯雨林、ジブチの方もすごく暑い国なのですが砂漠なんですよね。石と砂でできた火星の大地みたいな。


――我々からしたら馴染みのないところで、日本人に会うようなことはあるのでしょうか?

野田氏:会いましたよ。ジブチでは青年海外協力隊さんとか、ガボンでは有名企業や日本大使館の人ですね。ガボンでは沢山の日本人と会うことができて、楽しかったですね。大使館で新年会とか。

――「ガボンで新年会、それも日本人と」とは想像もつかないですね!

野田氏:部隊の許可を得て新年会は行かしてもらいました。ガボンへ一緒に行っていた外人部隊の中には4人の日本人がいたんですれど、1人で行きましたね。自分で言うのもなんですがまあまあ社交的なほうなので(笑)。他にも、JICAの事務所へ遊びに行ったり、日本人がみんな集まってバーベキューとかをしているので、仲良くなって記念撮影とかもしました。

――想像とはだいぶ違いますね。そういう場所の方が、風土病などでメディックが必要になりそうなイメージがあります。

野田氏:マラリアと、やっぱり一番多いのが下痢ですね。アフガンでも下痢が多かったです。手を洗わないと駄目ですね。

――現地の人は、やはり罹らないのですか?

野田氏:蛇に噛まれたとかで、フランス軍の病院に来る人はいました。下痢では来ないでしょうね。


――解毒剤や血清は持って行くのですか?

野田氏:蛇に関しては特にないですね。血清は診療所とかあるでしょうけれども、持ち運んではいないです。マラリアの薬は、向こうに行っている間は常備薬として1日1錠、それを飲まないと懲罰がありますね。血液検査とか尿検査とかで、 飲んでいるかどうかランダムに調べたりします。

――話は変わりますが、今回のサバゲーのような室内戦と『スナイパーゴーストウォリアー3』のような野戦ではどっちが緊張感があって怖いですか?

野田氏: やっぱり室内戦のほうが怖いですね。鉢合わせ、出会い頭の事故があるので。

――こういうシチュエーションでの戦闘経験はありましたか?

野田氏:アフガンの村の中は、土の塀が迷路みたいになっているので、似たような感じかもしれません。僕は先頭を歩いたことがないのですが、後輩のネパール人が先頭を歩いていて、影から出てきたテロリストに遭遇していました。ヒョイッと出て、AKを乱射してまたヒョイッと隠れる。その時は、ちょうど小さい土の塀があって、すぐ伏せて応戦したのですが、すぐ隠れられてしまいました。そうしたら、隠れていた塀に撃ち込まれてて「危なかったなあ」と。記念に弾丸を回収したのですが、後ろにいた先輩に取られてました。


敵スナイパーからの狙撃でヘルメットを撃たれた人もいて、彼はその時の弾丸を首飾りにしていました。グニャって曲がっていましたね。

―ヘルメット大事!無かったら大変なことに……。

野田氏:大事です!大事です!一発だったので、ヘッドショットを狙ったんでしょうね。銃声とかで距離を検知できる装置(銃声検知装置自体は10年以上前から存在している)があるのですが、600m以上離れたところからの狙撃でした。

――遠距離で威力が減衰していたからヘルメットで防げた、という感じでしょうか。

野田氏:それはわかりませんが、ドラグノフなら有効射程の範囲でしょうね。ヘルメットに当たって、ヘルメットがスポーンと飛んでいって、助かったんですよね。顎紐も僕らはマジックテープなので、瞬時に剥がれて飛んで行って、首も問題ありませんでした。戦力からは外されましたが。

――ガッチリ締まっていると首が持っていかれちゃいますよね 。

野田氏:その2日後に、今度は別の人なのですが、ヘルメットの縁の下に弾丸が当たって亡くなってしまいました。

――ちょっとの差なんですね……。

野田氏:そうですね。ヘルメットに当たった事件のすぐ後だったので、村に入って行く時には少し緊張感がありました。でも、その時のヒットは乱射だったんです。偶然、たまたまですね。だから、彼の警戒が下手だったとか隠れるのが下手だったとか、そういうのではなく「運」ですね。

――「運」はとても重要ということですね。

野田氏:「運」だからどうしようもないですね。生存の可能性を上げるために伏せるとかやりますけれど「運」ですから、「死ぬ恐怖とかどうなの?」って言われたら「諦める」。

――諦めが肝心、と。

野田氏:諦めつつ行く。「心配してもしょうがない」って思って行っていましたね。あまり深くは考えない人間なので。日本人は深く考えるので、日本に帰ってきてからもの凄く難しいですね、生きていくのが。世知辛いです。

――よく映画などで、スナイパーに仲間が撃たれて「仲間が倒れているところへ行ったら自分も撃たれてしまう」という状況がありますが、メディックとしてはどのような気持ちになりますか?

野田氏:行きません。戦傷者救出の際にはルールがあって、まず危険を排除することが先です。例えばスナイパーの撃ってきた方向が分かるのであれば、大体の方向に銃弾を撃ち込みます。そうすればスナイパーは撃ちづらくなりますよね。また、風向きとかを考えなければなりませんが、スモークを炊いて狙えないような状況にします。そのような状況を作ることができれば、助けに行って、遮蔽物まで連れていき、止血剤などの治療を施して……ということが考えられます。


――たしかに、メディックがいなくなったら、もっと多くの人が亡くなってしまいますよね。

野田氏:そうです。死ぬし、心理的に「メディックがいない、どうしよう!」みたいな。ただ、戦傷者を「出しちゃ駄目、出しちゃ駄目」と思っていると、一番達成しなくてはならない任務が疎かになってしまいます。「死んでもやるんだ、任務を達成するんだ」ていう気持ちも大事です。

「フランス特殊部隊GIGN」という映画があります。「GIGN(ジェイジェン )」って読むんですけれど(日本ではよく「ジェジェン」とも呼ばれる)、うちらは「ジジェン」って呼んでいました。


あの映画の中で、テロリストがいる飛行機の中へ突入するのですが、出発の直前に上官が「前の仲間が倒れても踏み越えて行け、とにかく進め」というシーンがあります。その気持ちなのだと思います。任務の方が大事なんでしょうね、そういう職に着いちゃったからには。

次ページ: 部隊でのFA-MASの運用や衛生兵としての治療法などを聞く!
《G.Suzuki》

ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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