Game*Sparkレビュー:『バイオハザード RE:2』 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『バイオハザード RE:2』

『バイオハザード RE:2』のGame*Sparkレビューをお届けします。今回はXbox One Xで北米版をレオン編→クレア編2ndクリア、ノーマルXbox Oneで北米版をクレア編→レオン編2ndクリア、ノーマルPS4で国内Z VERSIONをクレア編→レオン編2ndクリアまでプレイしました。

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本記事は、国内版『バイオハザード RE:2 Z Version』と海外版『Resident Evil 2』のスクリーンショットを含んでいます。ネタバレやグロテスクな表現が苦手な方、18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。



初代プレイステーション向けに『バイオハザード2』が発売されたのは、今から約20年前。この作品によって「ゾンビものサバイバルホラー」というゲームジャンルは、日本中に広く浸透しました。

『バイオハザード2』は、口コミで人気が広がった一作目『バイオハザード』が築いた基盤をさらに押し上げ、最終的に全世界496万本を販売するモンスタータイトルとなりました(1作目は全世界275万本)。ダブル主人公による2枚組ディスクを活用したザッピングシステムや、ゾンビ映画界の巨匠であるジョージ・A・ロメロ監督による実写CMも当時は大きな話題となりました。このゲームが世界中で大ヒットした影響で、ゾンビ映画を始めとした他の「ゾンビもの」を好きになった人も少なくはないはずです。

そんな『バイオハザード2』が、約20年経過した2019年に『バイオハザード RE:2(Resident Evil 2)』としてリメイクされました。初代『バイオハザード』リメイク版がGCで発売されて以降、ファンの間では長らくリメイクが期待されていた作品なだけに、その期待値は高く、新しい世代のゲーマーにも注目されていました。

1月25日に発売を迎えた本作は、果たしてその期待に応えるものになっていたのでしょうか。

思い出補正すら上回る完成度



当時、オリジナル版『バイオハザード2』で注目されていた要素のひとつが「ザッピングシステム」です。容量の問題でディスクを複数枚にせざるを得ない……というその頃の技術的制限を逆手に取り、2枚組ディスクの1枚ずつに各主人公の物語を収録。メモリーカードに記録されたセーブデータを介すことによって、クロスオーバーやパラレル展開を楽しむことができました。

また、『アローン・イン・ザ・ダーク』からはじまり、初代『バイオハザード』で多くのプレイヤーが初めて体験することとなった独自の操作方法(ラジコン操作とも言われる)は、当時から難しいとされながらも、スクウェア(現スクウェア・エニックス)の『パラサイト・イヴ2』やエンターブレインの『ガレリアンズ』をはじめ、多くのフォロワータイトルを生み出すほどのインパクトを持っていました。

リメイク版となる『バイオハザード RE:2』では、『バイオハザード4』から『バイオハザード リベレーションズ2』まで採用されてきたビハインドビューへの変更をはじめとしたシステムの刷新に加えて、オリジナル版にあったホラーゲームとしての手触りや空気感を忠実に再現しています。警察署のしっとりとして重い空気、タイラントに追われる焦燥感、そして、絶対的な恐怖の対象としてのゾンビの存在……。じっくり狙わないと照準が定まらないという今作から導入されたエイムシステムも、恐怖を煽る要素として非常にうまく機能しています。



オリジナル版同様にアイテムの所持数に制限があるというのは、最近のゲームに慣れたユーザーから見ると不自由なだけに感じてしまいそうではあります。しかし、『バイオハザード7』で敢えてその制限を復活させていたこともあり、最近の『バイオ』シリーズしかプレイしたことのないゲーマーでも自然と受け入れられるのではないでしょうか。「何を持って行き、何を諦めるか」をユーザーに選択させるというこのシステムは、『バイオ RE:2』のサバイバルホラー要素のキモでもあります。

オリジナル版の不自然さを払拭した謎解き要素



オリジナル版は20年前のゲームということもあり、警察署にトイレがなかったり、職員の通路のはずなのに石像を動かさないといけなかったりと、ゲームとしての面白さを優先するためにリアリティに目をつぶっている部分がありました。フォトリアルによる映像的なリアリティを追求した本作では、謎解きのギミックや建物の構造に対しても十分に調整されており、『バイオRE:2』の世界へ違和感なく没入できるようになっています。

例えば「1-Shot Demo」でも体験できる「メダルを集めることで進めるようになる仕掛け」でも、その仕掛けが存在する理由が明確に存在しており、物語を深める要素となっています。

また、オリジナル版や初代『バイオハザード』などでは「この鍵はもう必要ないようだ すてますか?」というメッセージも見られました。こうして必要がなくなったアイテムを捨てるかどうかをプレイヤーに選択させていましたが、現実的に考えると変なシチュエーションでもありました。

『バイオRE:2』では、不要になったアイテムにはインベントリ画面でチェックマークが表示されるようになっており、プレイヤーが自分で捨てるか残すかを選ぶことができます。ほんの些細な変更ではありますが、こういった細かな部分にも配慮が行き届いているのには関心させられます。

難易度別の攻略法の違い



本作では、最初から「ASSISTED」「STANDARD」「HARDCORE」と3つの難易度を選ぶことができます。

「ASSISTED」は、敵の体力が下がるだけでなく、エイムアシストによって敵を狙いやすくなっています。体力も一定値まで自動回復するので、アクションゲームが苦手だけど『バイオRE:2』の物語を体験したいというプレイヤーに最適な難易度となっています。シリーズに慣れたプレイヤーが「ASSISTED」を選ぶとサクサクと進められますし、ある程度なら無双プレイも可能。やり込んでいるプレイヤーでも、カジュアルにプレイしたい時には最適な難易度です。

「STANDARD」は、本作の標準となる難易度。オリジナル版をクリア済みのプレイヤーでも、結構な歯ごたえを感じることができます。また、「HARDCORE」では敵の攻撃が強力になるほか、オートセーブ機能がなくなり、手動セーブの度に「インクリボン」が必要となります。シリーズをやり込んでいるプレイヤーにとっては馴染みのある仕様なので、最上の恐怖を求めるのであれば最適な難易度です。

これら3つの難易度はそれぞれ異なったプレイフィールを与えてくれるので、周回プレイでも新鮮な体験を与えてくれます。ただ、最低難易度の「ASSISTED」でも、アクションアドベンチャーゲームとしてはそこそこ難しく、「アクション/謎解きは苦手だけど話題になってるゲームだからやってみよう」というプレイヤーは戸惑うシーンも出てきそうです。「ASSISTED」はゾンビの体力が下がっている上に狙いやすいのでアクション性は下がりますが、謎解き要素は他の難易度と同じままです。『サイレントヒル』シリーズのように、難易度で謎解きの内容も変わるような工夫は欲しいと感じました。

さらに可能性が広がるゲームエンジン「RE ENGINE」



『バイオハザード7』から本格的に導入され始めたゲームエンジン「RE ENGINE」は、『バイオハザード RE:2』でさらに洗練されているよう感じました。PS 4 Pro/Xbox One X/ハイエンドゲーミングPCと通常版PS4/Xbox Oneでのプレイを比較すると、やはりフレームレートの差は見られます。しかしながら、後者のプラットフォームでもキャラクターの髪の表現や肌や服の質感を十分に美しく描画できているのには驚きです。

『7』からますます磨きがかかったカプコンのフォトスキャン技術には脱帽で、ゾンビなどのクリーチャーは生物的かつますますグロテスクに。街並みや警察署内の造形だけでなくライティングなども含め、国内産のゲームとしてグラフィックは最高峰であると言っても過言ではないでしょう。

ただ、前作『バイオハザード7』と同様に、遠方に描画されているキャラクターのフレームレートが大きく下がるという仕様は、ゲームの動作を軽くするための工夫であることは理解しつつも、そのぎこちなさが気になってしまいました。これは前世代エンジン「MT Framework」で開発されたゲームタイトルで顕著でしたが、それを受け継ぐ形になってしまっているのは残念なところ。

音響効果の底力


本作のアトラクション的な音響効果には特筆するものがあります。プレイヤーの環境に合わせたサウンド設定がいくつか用意されているのも親切です。立体的な音響効果によって敵の位置を把握したり、警察署内を歩き回るタイラントの足音に心臓をバクバクさせたりと、ゲーム体験にかなり影響を与える要素となっています。


また、特別コンテンツ「The 豆腐 Survivor」に登場する豆腐のボイスアクターにオリジナル版を担当してきた人物を再び起用していることからも、音に対するこだわりが尋常ではないことがわかります。

国内版・海外版の表現の差は残念


これは各国のレーティング機構の審査基準が違うため仕方のない部分ではありますが、18歳以上が対象となる「Z VERSION」であっても、ゾンビの頭部欠損描写のオミットや、体の欠損箇所が黒く塗りつぶされるなどの規制がかかっているのは残念です。攻撃による頭部欠損は、グロテスクな表現を高める演出であると同時に、クリティカルなダメージを当てたというゲームの記号としての役割もあるため、国内版だとゾンビを倒せているのかわかりづらくなっています。

国内「Z VERSION」

北米版

国内「Z VERSION」

北米版

『バイオハザード7』では極限まで表現を突き詰めていた印象があるだけに、2012年に発売された国内版『バイオハザード6』と同じようにゾンビの表現にまで規制がかかっているのは首を傾げざるを得ません。

総評―サバイバルホラーの新たな夜明け



今世代向けにブラッシュアップしたゲームシステムやストーリーテリングは、開発スタッフがインタビューで語っていた通り、思い出の中にある『バイオハザード2』を凌駕する内容に仕上がっています。オリジナル版を体験済みのプレイヤーだけでなく、新規ユーザーも新時代の古典ホラーとして十分に楽しめるのではないでしょうか。

再びゾンビが恐怖の対象として蘇った『バイオハザード RE:2』。無料のダウンロードコンテンツなども控えており、ゾンビと戦う眠れぬ夜はまだまだ続きそうです。

総合評価: ★★★

良い点
・国内最高峰のグラフィック
・非常に効果的なサウンド
・オリジナル版をプレイ済みでも新鮮に感じるよう工夫されたストーリー
・怖いゾンビ

悪い点
・怖すぎる
・イージーモードでもそこそこ難しい
・海外版と表現の差が激しく、ゲームシステムにまで影響している




「Game*Sparkレビュー」では、読者の皆さまのゲームの感想も募集しています。下記リンクにて質問にお答えください。回答期間は2019年2月2日から2019年2月9日まで。また、集計終了後には「Game*Spark読者レビュー」として記事を公開し、回答やコメントを取り上げる場合があります。

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《Daisuke Sato》
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