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「マジック:ザ・ギャザリング」を題材にする難しさとは?──リアルタイム戦略対戦ゲーム『マジック:マナストライク』開発ディレクターに訊いた

「マジック:ザ・ギャザリング」のIPを使ったリアルタイム対戦ゲーム。その開発の難しさやこだわりについて伺いました。

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「マジック:ザ・ギャザリング」を題材にする難しさとは?──リアルタイム戦略対戦ゲーム『マジック:マナストライク』開発ディレクターに訊いた
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2020年1月30日に正式ローンチが開始された、ネットマーブルのリアルタイム戦略対戦ゲーム『マジック:マナストライク』。世界的に人気のトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」のIPを活用し、まったく新しい作品として好評配信中です。

本作について、開発統括ディレクターであるジャン・ヒョニル氏にインタビューを実施。『マジック:マナストライク』が誕生するまでのエピソードやゲームの魅力、今後の展望について伺いました。なお、本作のプレイレポートも掲載しているので、ゲームのプレイ感が気になる方はぜひご覧ください。

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──本日はよろしくお願いいたします。まずは、自身のご経歴についてお伺いできますか?

ジャン・ヒョニル(以下、ヒョニル)こんにちは。『マジック:マナストライク』の開発総括ディレクターのジャン・ヒョニルと申します。最初は『Angling The Giant』を開発したTaff Systemで働き、『DO Online』、『Kick Off』、『Prius Online』など、多様なジャンルのゲームを開発してきました。

「マジック:ザ・ギャザリング」については、96年からTCGグループ/ファンタジーカード同好会のオペレータとして活動しています。海外の大会にも参加した経験があり、GP参加のために頻繁に訪日もしていました。子どもの頃から「マジック:ザ・ギャザリング」をプレイし、憧れていたIPですので、今回の『マジック:マナストライク』のプロジェクトには特別な意味がありました。負担やプレッシャーも大きかったのですが、日本を含む全世界の多くのプレイヤーにゲームを楽しんでいただきたいと思っています。


──なぜ世界的人気TCG「マジック:ザ・ギャザリング」を原作としたゲームを作ろうと考えられたのですか?

ヒョニル歴史のある「マジック:ザ・ギャザリング」のプレインズウォーカーとクリーチャーが、カードの世界を飛び出し、3Dで目の前に召喚されて戦ったならどうなるだろう?原作のファンなら一度は考えたことのあるこの想像を実現してみたかったのです。また、原作IPを所有しているウィザード・オブ・ザ・コースト(以下:WotC)も「マジック:ザ・ギャザリング」の今後の展開についてさまざまな方向性を検討しており、モバイルプラットフォームで新しい表現を考え出すためとしてWotCからアプローチを受けました。

私たちは、モバイル上で3Dモデリングされた「マジック:ザ・ギャザリング」のキャラクターに、呪文を使ったPvPの楽しさと、歴史あるカードゲームの戦略をブレンドすることが素晴らしいと気づいたので、このプロジェクトを動き出させることにしました。

──いろいろなジャンルのなかで、リアルタイム対戦ゲームを選択した理由を教えてください。

ヒョニルTCGという既存のゲーム性を維持したまま、先述の想像を表現することはとても困難だと思いました。しかし、ネットマーブルと開発会社であるネットマーブルモンスターの経験に基づき、上手く作れるジャンルはリアルタイム戦略対戦だと考えました。以前に開発を手掛けた『Star Wars:Force Arena』も似た感じの対戦ゲームでしたので、そこで得たノウハウを活用できると思ったんです。


──開発から見た、本作のキーコンテンツや特徴を教えてください。

ヒョニルランキング戦です。『マジック:マナストライク』はPvPベースのリアルタイム戦略ゲームであるため、相手との実力を競って、その結果に基づいて順位を表示するランキングが一番重要なコンテンツだと思います。

『マジック:マナストライク』は、簡単に始められますが、プレイするほど増えていく戦略の深さと多様性がこのゲームの強みです。5つの色別デッキの構成と、プレインズウォーカーを効率的に維持させ、独自の能力を活用しつつ、戦闘を導いていくところがプレイをさらに楽しく戦略的にさせると考えています。

──本作を開発するうえで、成功したこと・苦労したことはありますか?

ヒョニル「マジック:ザ・ギャザリング」の多くのカードの中から、IPの個性と特徴を維持しながら、『マジック:マナストライク』の世界観にふさわしいカードを選定し、能力を実装する点が最も困難でした。原作で有名なカードを使用する場合、ファンの期待に応えるため、能力や使用コストなどの細かい部分で完璧な考証が必要になりました。




TGCとは異なるジャンルである『マジック:マナストライク』で、こうした微細な設定を完全に維持するのは大変難しく、最終的にカードの中で重要な特徴を最大限強調し、バランスに影響を与える要素は自由に使用することを決めました。例えば、「夜明けのレインジャー」と「血統の守り手」は、原作とは異なる攻撃力と召喚コストを持っています。しかし、それぞれ狼男と系統の王に変身する特徴は維持しており、このような部分はゲームをより興味深くする要素になったと思います。

──2Dのカードイラストが大変美しいと感じたのですが、アートデザインにおいてこだわった点はありますか?

ヒョニルアート的な部分では、26年の歴史を持つカードの世界観を最大限美しく表現することにこだわりました。また、原作が2Dカードゲームなので、3Dで表現するためには難しい点が多くありました。特にファンの中で有名なカードの場合、デザインが複雑すぎて3Dに適していない、または画像だけでは攻撃の形や動きを想像できない場合が非常に多く、IPホルダーのWotCと多くの意見を交わしながら作業を進めてきました。

企画的には、「マジック:ザ・ギャザリング」の5つの色の特徴を、プレインズウォーカーと限定されたカードだけで表現する部分にかなり多くの時間をかけました。例えば赤の速攻火力や、黒の特徴であるアンデッドと呪いなどの能力を視覚的にどのように表現するべきか、どうすれば原作の世界観を維持し表現できるのか、などはとても苦労しました。

──ネットマーブルとWotC、開発においてそれぞれはどのような役割だったのでしょうか?

ヒョニル『マジック:マナストライク』の開発には、WotCが深く関わっていますが、このゲームを開発するにあたり、WotCとのコミュニケーションを積極的に行ってきました。WotCには、毎週のビデオ会議で念入りにゲームに関するすべての問題を共有し説明をしました。開発の細かい方向性までは指示しませんが、IPホルダーとしてアートデザインの監修や実装をするにあたり、『マジック:マナストライク』の新しいコンテンツテーマに合ったプレインズウォーカーを提示してもらったり、開発チームが設定した能力や内容が「マジック:ザ・ギャザリング」の世界観に反しないかを何度も確認してもらいました。

新しいビルドが完成するたびに共有を繰り返し、社内で楽しくプレイをしている姿を写真や映像を提供しました。今まではカードだけの世界にいたプレインズウォーカーが、カードの世界から飛び出し3Dで表現されていく過程は、お互いにとても楽しみ合いながら開発ができました。


──『マジック:マナストライク』の今後の展開について教えてください。

ヒョニル「マジック:ザ・ギャザリング」のカードパックのリリースの流れに合わせたアップデートと、1カ月単位のシーズンの更新が行われる予定です。新規シーズンごとに新しいプレインズウォーカー、スキンのカードなどが発売される予定であり、利用者の意見を積極的に取り入れ、バランスの変更と継続的な新規コンテンツの開発を進める予定です。

4月には、新規セット「イコリア」が登場し、そのコンセプトに合わせて新たな戦闘フィールドとスキンが追加される予定です。また、年末までに「イコリア」、「ゼンディカー」などの正式セットのほか、「タルキール覇王譚」のような過去の情報も更新される予定ですのでご期待ください。

──運営面で注力していきたい点もお伺いできますか?

ヒョニル対戦ゲームとして、より長くプレイし、多くのユーザーの方々に楽しんでいただきたいと思います。短期の成果にとどまらず、毎年着実に大会が開けるくらい十分愛されるゲームになることが希望であり目標です。

──最後に読者の方に向けてメッセージをお願いします。

ヒョニル『マジック:マナストライク』は「マジック:ザ・ギャザリング」の魅力的な世界をTCGとは異なるジャンルで個性的に表現したとても面白いゲームです。原作のファンだけでなく、原作を一度も経験したことのない方にも十分に魅力的なゲームとなっています。「マジック:ザ・ギャザリング」のさまざまな要素とプレインズウォーカーを3Dで実装し、リアルタイム対戦ゲームとしての戦略性も十分に楽しめます。そのため、多くの方に興味を持って楽しくプレイしていただきたいと思っています。ありがとうございました。

──ありがとうございました。
《カミヤマ》
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