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台湾の人気三国志ストラテジーシリーズ最新作『三国群英伝8』【中華ゲーム見聞録】

「中華ゲーム見聞録」第81回目は、台湾デベロッパーが開発した人気三国志ストラテジーシリーズ最新作『三国群英伝8』をお届けします。

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台湾の人気三国志ストラテジーシリーズ最新作『三国群英伝8』【中華ゲーム見聞録】
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中華ゲーム見聞録」第81回目は、台湾の老舗デベロッパーが開発した人気三国志ストラテジーシリーズ最新作『三国群英伝8』をお届けします。

本作はUSERJOY Technologyによって、2021年1月12日にSteamで配信されました。日本ではあまり知られていないとは思いますが、台湾や中国では定番の三国志ストラテジーシリーズです。1作目が発売されたのは1998年で、もう20年以上も前ですね。

『三国群英伝』シリーズ1作目のマップ画面。
『三国群英伝』シリーズ1作目の戦闘画面。左右から武将が兵士を率いて登場し、ぶつかり合って戦います。

シリーズ1作目が発売された1998年は、コーエー(現「コーエーテクモゲームス」)の『三國志』シリーズで言うと、『三國志VI』が発売された年です。本シリーズと『三國志』シリーズとの大きな違いは、戦闘システムでしょう。

『三國志』シリーズは見下ろし型の戦場で、基本的にはユニットをコマのように動かす形になっていますが、本シリーズでは横スクロールになっており、兵士率いる武将が左右から登場してぶつかり合うという一騎討ち的なものになっています(武将にコマンドで指示を与えることができます)。

『三国群英伝7』の戦闘画面。カットイン入りで必殺技を繰り出す関羽。

武将ごとの「必殺技」も本シリーズ1作目から導入されており、エンターテインメント性の強い内容になっていました。前作『三国群英伝7』が発売されたのが2007年なので、実に13年ぶりぐらいのシリーズ新作となります(リリース発表があったのは2018年)。ネットでは「本当にリリースされるのか?」と驚きと疑問の声が上がっていました。

本作は、さすがに『三国群英伝7』の頃から10年以上もの時間が経っているので、グラフィックは格段に進化しています。ゲームシステムや戦闘はどう変化したのか、10年以上の時を経ていったいどんなゲームになったのか、さっそくプレイしていきましょう。

国造りの基本を学ぼう!

本作のゲームモードですが、各時代シナリオをプレイする「征戦新史」、チュートリアルの「新手教学」、オリジナル武将を作成する「自創武将」があります。『三國志14』のパワーアップキットにある「戦記制覇」のようなショートシナリオが楽しめるモードは、今の所は実装されていないようですね。とりあえず「新手教学」から行きましょう。

「新手教学」では、内政・軍事・謀略のチュートリアルを行えます。チュートリアルのクリア特典としてゲーム中のアイテムがアンロックされますので、こなしておいた方がいいでしょう。ちなみにゲームの初回起動時にはチュートリアルをするかどうかの選択があり、それを受けるとすぐにチュートリアルが開始します。

まずは内政から。関羽が指導してくれるようですが、前作『三国群英伝7』に比べてだいぶグラフィックが良くなっていますね。前作の武将はイラスト調で描かれていたのですが、本作はリアル系のポリゴンキャラになっています。

内政」コマンドから、拠点のリーダーである「太守」を1人と、その下に配属される「幕僚」を5人配置します。武将たちの総合能力によってその地域の農業・商業の増加率が変わります(武将によって、農業や商業の得意・不得意があります)。とりあえず太守を劉備、幕僚の5人は関羽らを任命していきます。


次に農業を伸ばすため、「建設」コマンドから拠点の空き地を選んで農地を配置します。農地は5段階までアップグレードできるようですが、レベル2以降はロックされていますね。レベル1の農地を選択して建設する武将を選べば、日数経過で完成します(武将によって完成日数が異なります)。

時間を12日進めると農地が完成しました。次に拠点のアップグレードも行いましょう。張飛は建設速度が(劉備陣営の中では)速い方なので、彼に担当させます。建物が出来ていく様子がビジュアル的に見られるのは、内政をしている感じがあって良いですね。

国造りで一番重要なのは「人材」を集めることです。南皮に在野武将がいるようなので「尋索武将」コマンドで関羽に人材捜索をさせた所、文醜を発見。人材登用を行い張飛に交渉させた結果、まさかの文醜ゲットです。

文醜の忠誠度を上げるため、「武将」コマンドからアイテム「車輪斧」を授けます。武力も大幅に上がり、関羽と張飛を抜いて劉備陣営で一番武力が高くなりました。チュートリアルからなかなか攻めた内容になっています。

領土を拡大しよう!

優秀な武将もいることなので、他国を攻めてみましょう。出兵する拠点をクリックし、「軍事」コマンドから「出征」を選びます。その後攻め込む拠点を選び、戦争に参加する武将を選択。ここは文醜・関羽・張飛・劉備・尹礼の5名で攻め込みます。


設定が終わると劉備軍が出兵し、曹操の拠点である界橋へと進軍していきました。界橋に到着すると軍議モードとなります。ここで布陣や激励(士気上昇効果)、軍師技(計略)などを命じることができます。


戦闘開始。『三国群英伝』シリーズの特徴である、左右から部隊が出てきてぶつかり合うという戦闘は、本作も踏襲していますね。敵軍の大将は曹操軍の名将、一番乗りの楽進です。日本だと横山光輝「三国志」の鉄球を振り回して城壁に登る甘寧のインパクトが強いことから、一番乗りと言えば甘寧ですね。

戦闘はリアルタイムで進行しますが、スペースキーを押すと一時停止になり、上空から見たマップに切り替わります。ここでは武将をどう動かすか(どの武将にぶつけるか)や、その場で待機させるなどを指定できます。ちなみに武将と部隊は別ユニットとして動かせるので、それぞれ別の敵を襲うことも可能です。

わらわらと兵士たちが前進して敵部隊とぶつかりました。エフェクトが結構派手で、必殺技のようなものが飛び交っています。過去作と比べると戦場が広くなりましたね。

文醜・関羽・張飛の活躍により、苦戦することもなく勝利。こちらの将は劉備以外、全員レベルアップしました。レベルが上がるとステータスがアップし、新たな戦技(必殺技)をアンロックできます。

めでたく界橋を占領した劉備軍。これで1つしかなかった拠点が2つに増えました。拠点としては小規模なので、内政に力を入れていくのがいいでしょう。

計略と外交

界橋を手に入れたことで、曹操とは本格的に交戦状態となりました。関羽の報告によれば、曹操は界橋を取り返すため兵を調えているとのこと。敵の兵力が分からなければ対策しようがないので、まずは偵察です。

敵の状況を知るためには「計略」コマンドから対敵拠点項目の「知己知彼」を選択。密偵を12か月送り、敵拠点の情報を入手できます。とりあえず張飛に実行させましょう。他にも敵武将の忠誠度を落とす「離間計」など、様々な計略があります。

「知己知彼」の計は成功。やはり曹操軍は強大であり、劉備勢だけで対抗するのは厳しそうです。ここは南皮の公孫瓚と友好関係を結び、協力して曹操に対抗しましょう。

公孫瓚と仲良くするために、「外交」コマンドから「親善」を選びます。親善では対象勢力との友好度を上げることが可能。友好度が高ければ「同盟」もできるようになります。

「幕臣」は拠点ごとに配置するものですが、「輔臣」は国全体をサポートします。輔臣は内政・人事・謀略の3項目あり、それぞれ1人ずつ配置可能。担当項目内の細かい設定も可能です。

本編に突入!

チュートリアルでだいたいの遊び方が分かったので、本編に突入。選択できるシナリオは6つあります。黄巾の乱シナリオである「184年 黄巾起義」から始まり、「189年 反董卓連合」「195年 群雄割拠」「200年 官渡之戦」「208年 赤壁之戦」と続いて、最後は劉備が蜀取りを成功させて三国鼎立となった「214年 益州平定」です。後期三国志シナリオが無いのが惜しいですね。

「群雄割拠」シナリオの呂布。武将のモデリングがよく出来ていて、見ているだけでも結構楽しいです。呂布の基礎武力は、やはり100に設定されていますね。知力は41と、コーエーテクモゲームスの『三國志』シリーズと比べると高めです。

ちなみに武将のパラメータですが、「体力(HP)、武力、智力、義理(裏切りやすさ)」があります。武力と智力は、レベルが上がると100を突破することもあります。また「管理・農業・商業・技術」に対して適性(「欠・平・良」の3段階)が設定されています。

どの勢力でプレイするか迷いましたが、「赤壁之戦」シナリオの劉備を選びました。劉備が荊州をすでに取ってしまっています。劉度趙範金旋韓玄の荊州四天王(と勝手に呼んでいる)と戦えないのが残念。勢力図は赤壁の戦い後の状態ですが、シナリオは赤壁の戦い前とややこしいことになっています。

DLC武将をゲームに出すかどうかの選択。虞姫は、Steamで配信されている『三国群英伝1~7』のバンドルを購入すると自動でもらえるほか、神関羽は無料DLCとして配信されています。せっかくなので加えておきましょう。

シナリオスタート。曹操の南下が始まり、劉備と孫権は手を組んでこれに対抗します。諸葛亮も最初から劉備の部下になっており、龐統黄忠魏延馬良馬謖といった面子も揃っています。また張飛の2人の娘(後の劉禅の妻)が、張鶯鶯張燕燕という名で登場します。

マップを最大限まで縮小した状態。朝鮮半島や日本も含まれていますね。『三國志IX』のように、隠し要素で倭国が出てきたら面白そうです(本作にあるかは知りませんが)。

各拠点の太守や幕臣はゲーム開始時にすでに設定されているので、設定されていない3人の輔臣を決めていきます。内政には諸葛亮、人事には潘濬、謀略には龐統を任命。それぞれの武将には輔臣特性があるので、役割を合わせるのがいいでしょう。

自領土の様子を見て回ります。「赤壁」という拠点では、張則という武将が太守を務めていました。張則は臥竜ならぬ「臥虎」と呼ばれ、霊帝の時代から活躍していた人物で、後に曹操に仕えました。「三国志」ではなく「華陽国志」に名の見える人物なので、知っている人の方が珍しいかと。

コーエーテクモゲームスの『三國志』シリーズでも一度も登場していないので、下手するとこの記事が本邦初紹介というレベルのマイナーさです。カジュアル系かと思いきや、結構マニアックな武将も出てきますね。

とりあえず内政から。商業地と農地を各拠点に設置していきます。建設には他にも技術、兵営、人口、治安に関するものがあります。それと前線の拠点には敵のスパイ対策として、「計略」コマンドから「打草驚蛇」を実行。3ヶ月間スパイを捕らえやすくなります。

探索も各拠点で行っておきましょう。ちなみに一つの命令を出すたびに命令書を1つ消費します。命令書は日数経過によって回復していきます。

月の終わりには収支報告があります。現在のところ金銭の収入に対し、支出はその2倍と完全な赤字経営。商人に兵糧を売って凌いでいくしかなさそうです。

主力になる武将たちに官職を与えていきます。それぞれの官職には特性が付与される効果があります。「移動速度+1、攻撃速度-0.1秒」の特性が付与される「給事中」に関羽を任命しました。

在野にいる陸遜を発見。諸葛亮に登用させた所、まさかのゲット成功。龐統より能力が高いので謀略輔臣に任命します。農業や商業の施設も完成し、金銭の収支もプラスに転じました。

マップ上に鹿の群れを発見。武将を派遣し、アイテムとして入手できます。他にも兵力になる「流民」が現れたりしますので、マップを注意しておくといいでしょう。

曹操を相手するにはかなりの兵力不足。武陵のそばに洞庭塞という山賊の根城があったので、諸葛亮や張飛、趙雲などを送って戦闘を仕掛けます。相手の兵力7,500に対し、こちらは2,000ぐらい。山賊ぐらいなら兵力差があっても勝てそうなので出陣します。さっそく諸葛亮が計略「石兵八陣」を発動させました。軍全体の耐性を強化します。


敵は山賊とはいえ、数が多い。張飛や趙雲らがいくら強くても、多勢に無勢でHPを少しずつ削られてしまいます。そんな中で発生した一騎討ち。趙雲が受けましたが、HPがかなりヤバい状態。勝てるのでしょうか。

……一撃で討ち取られて負けました。この後、他の武将たちも総崩れとなり、劉備軍はあえなく敗退。やはり武将が強くとも、数の差を覆すのは無理だったようです。無双ゲームではありませんしね。果たして劉備は曹操に対抗できるのか、この続きは自身の手でプレイしてみてください。

エンターテインメント重視の三国志ストラテジー

本作はコーエーテクモゲームスの『三國志』シリーズとはプレイ感覚が違い、『三国群英伝』シリーズとして独自の進化を遂げた作品になっています。「時代と勢力図が合ってない」「何でこの時期にこの武将がここにいるんだ」みたいなツッコミどころはいろいろありますが、史実的な細かい事よりもエンターテインメント性を重視した作品に仕上がっています。その割にほとんど知られていないようなマイナー武将も登場したりなど、マニアックな部分もあるのが良いですね。

固有スキル「施展短歌行」を発動する曹操。

それとやはり、『三国群英伝』シリーズの肝は「戦場」です。本作では武将に指示を与えるだけでなく、WASDキーで直接武将をコントロールすることも可能。正直な所、システム的な粗い部分もありゲームの厚みが不足している感は否めませんが、気軽に楽しめる三国志ストラテジーゲームとしては悪くないかと思います。

ちなみに本作は日本語サポートされていませんが、漢字なので何となくでプレイできるかと。日本の漢字に近い「繁体字」の方でプレイするといいでしょう。ちなみに現在Steamでは、本シリーズ1~7までのバンドルも配信されています。動作確認をしてみましたが、Windows10でも普通にプレイできました。興味のある方は過去作もプレイしてみるといいかと思います。

製品情報

『三国群英伝8』
開発・販売:USERJOY Technology
対象OS:Windows
通常価格:3,090円
サポート言語:中国語(簡体字・繁体字)
Steamストアページ:https://store.steampowered.com/app/875210/8_Heroes_of_the_Three_Kingdoms_8/

※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、繁体字を日本の漢字に置き換えています。


■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。著者Twitter「マイナーゲーム.com」Twitter

※ UPDATE(2021/1/18 11:50):本文を一部修正しました。コメント欄でのご指摘、ありがとうございました。
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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