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知ってる?リメイクもされるグロTPS『Dead Space』は実は日本でも発売されていた!?意欲作のガンシュー『デッドスペース エクストラクション』を振り返る

2009年にWiiで発売されたスピンオフ作『デッドスペース エクストラクション』。CERO:Dなのに欠損描写が……!?

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シューター史に名を刻む名作サバイバルホラーシューター『Dead Space』のリメイク版が2023年1月27日に発売します。本作が持つ根幹的な面白さはそのままに、美しいグラフィックや現代向けの改善が施されています。そしてもっとも注目すべきなのは、ついに公式に日本語版が発売されること。Steamページでは日本語字幕に対応することが判明しています。

本作は、四肢切断によって敵を倒す独特のシステムや主人公の死亡パターンの残酷さなどからか、2008年当時日本国内では発売が叶わず、PC版にも日本語は未収録。しかしながら表現の過激さやゲームが持つ純粋な面白さなどから、日本のユーザーからも注目を集めていました。PC版は気合の入った日本語化Modが配布されているほか、Xbox 360が一部リージョンフリーとなっていることからアジア圏の輸入盤を購入してプレイしていたという方も見られます。

しかしそんな中、国内のゲーム機で唯一発売された『Dead Space』作品が存在することをご存知でしょうか。本稿では、2009年にWii向けに発売された『デッドスペース エクストラクション』の内容をご紹介します。なお、ストーリーの性質上第1作目のストーリーに言及している箇所があるため、未プレイの方はご注意ください。

『デッドスペース エクストラクション』はどんな作品?

▲パッケージとパッケージ裏の画像。公式HPのリンクは現在元のものとは異なるページに飛ばされるためご注意ください。

本作は、『Dead Space』のゲームプレイを継承しつつ、新しい作品として仕上げられたスピンオフ作品。ジャンルがTPSから一人称視点に移り、ゲームプレイ的には『ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド』などに代表される自動でキャラが移動するレール式のガンシューティングゲームとなっています。2人同時プレイも可能です。

ヌンチャクの接続は必須で、Wiiリモコンを使ったアクションも豊富。Wiiザッパーにも対応しています。開発は本編シリーズと同じくVisceral Gamesが担当し、CEROレーティングはD区分(17歳以上対象)となっています。

ストーリーとしては第1作目で起きた惨事がなぜ起こったのかを描く前日譚となっており、同作に登場したロケーションや仕掛けも多く登場します。メインシリーズ第1作目、第2作目の主人公はUSG Ishimuraの修理を任されたエンジニア“アイザック・クラーク”ですが、本作の主人公はそのIshimuraの船員を中心に複数人の視点でストーリーが展開されます。

本作の特筆すべき点は、リメイク版にも存在しない日本語吹き替えがついていること。クレジットに記載がないため担当声優は不明なようですが、しっかりとしたクオリティを感じる吹き替えに仕上がっています。他に日本語が付いた『Dead Space』作品はAndroid版『Dead Space』(現在は配信終了)がありますが、日本語ボイスオーバーがあるのは本作だけなのではないでしょうか。

いきなり“マーカー”が出現!第一作目の流れを逆行するストーリー

チャプター1では、サムと呼ばれるキャラクターを操作します。サムはすべての元凶となった「マーカー」を採掘する作業員のひとり。「リベットガン」と呼ばれる銃を携えながら仲間たちとマーカーの発掘任務を遂行します。リベットガンはリソース管理が重要であった原作とは異なり、弾数が無制限でチャージ撃ちも可能。その代わり最初は3発しか装填できないため継戦能力は低めです。

原作ではすべての武器でメイン射撃とセカンダリ射撃を切り替えることができました。今作でもそのシステムは引き継がれており、Wiiリモコンを左に90度ひねることでセカンダリ射撃ができます。正直、90度曲げるのは想像以上に手首への負担がかかるため、プレイしにくさが少し気になります。

ほかにも、おなじみのアイテムが入ったクレートは、銃で撃つか物体を引っ張ったり引き寄せたりできる“テレキネシス”で引き寄せて発射することで破壊できます。テレキネシスで引き寄せてゲットするのが主なアイテム獲得手段となりますが、キャラクターが自動で移動するため、とにかくAボタンをたくさん押して引き寄せるというプレイになるでしょう。

はじめに向かう場所はマーカーの採掘現場。そう、原作でアイザックが最終盤に訪れた場所です。物体を引っ張って動かすことができるテレキネシスを使用し、本編ではアイザックが戻していたマーカーをリフトに乗せて運ぼうとします。するとマーカーが突然暴走。設備が故障してしまったため、修理のため一度建物内に戻ることになります。

Wiiリモコンを使った操作やガンシューならではの仕掛けが盛り込まれた意欲作!一部欠損表現も……

建物内はマーカーの影響か照明が落ちているため、Wiiリモコンを振ることでライトを充電して使用します。ほかにもヌンチャクを振ってツルハシで近接攻撃するなど、Wiiというプラットフォームを活かした操作が多く登場します。

チャプター1の特徴は、出現する主な敵が人間であることです。原作では人間キャラが数えるほどしか出てきませんでしたが、ストーリー的に“マーカーによる感染の初期段階”ということで、正気を失ってしまった船員が襲いかかってきます。共に行動していた仲間に加えてサム自身さえも錯乱してしまうなど、原作よりもマーカーによる精神汚染や変異の描写に深く切り込んでいるといえるでしょう。残念ながら欠損表現はありませんが、四肢へのダメージ差異はしっかりとあり、足を撃てば這って移動するようになります。

なお、チャプター2より登場するおなじみの敵キャラ「ネクロモーフ」は、なんと欠損描写が表現されています。この表現を実現した上でCERO区分がDというのは相当頑張っているのではないでしょうか。なお、死体への追い打ちなどはできなくなっています。

物体や敵の動きをスローモーションにできる「ステイシス」は、本作でもかなり有用です。ガンシューは敵が襲ってくるタイミングを考慮し、倒す順番を考えることも重要な戦略のひとつですが、ステイシスによって一時的に動きを遅くして他の敵に対処するといった戦略が生まれます。そのおかげもあってか、原作と比べると一度に多くの敵に襲われる場面もあります。

ほかにも、ガンシューティングならではの“プレイヤーが自由移動できない”という仕様を生かした仕掛けも盛り込まれています。例えば、イライラ棒のようにWiiリモコンを使ってインターフェース上で慎重にラインを引くパズルは、ネクロモーフたちに襲われながらこなさなければならない場面があり、襲われるタイミングとライン引きの失敗で焦りが募り、緊張感が高まります。また、「ラインガン」を工具のように使ってフェンスをドアに固定し、大量に襲いかかる敵をせき止める場面など、本編とは少し趣の異なる緊張感を意識して演出しているようです。


『デッドスペース エクストラクション』はガンシューにジャンル変更が行われていますが、それを活かした仕掛けやWiiリモコンを使ったアクションなど、様々な工夫がみられる意欲作です。若干フレームレートの低下は見られますがグラフィックの質も上等ですし、表現においてもCEROレーティングのもとにおいてはかなりギリギリを攻めているように感じます。

また、第1作目をプレイしていることが前提のストーリーが展開されるのも興味深いところ。第1作目が日本で発売していないにもかかわらず、本作が日本語ローカライズを施した上でリリースされていたという事実は、当時日本でも高い人気があったことの証左ともいえるのではないでしょうか。

もしリメイク版が成功したら、ぜひこちらの『エクストラクション』もリメイクしてほしいところ。それこそ、直感的に操作できるVRでプレイできたら楽しそうです。


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《みお》

取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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  • スパくんのお友達 2022-10-24 15:07:06
    当時DeadSpaceにはまりまくってたから当然これも買ったけど
    欠損表現こそ削除されてるけど、血も肉片も普通に飛び散りまくってるし
    この内容でDで出せるなら、Zなら本家も行けるだろって思ってたわ
    流石に断面は黒塗りにしないとNGかもしれんが…
    これみたいに音声吹き替えで本家を遊んでみたかった
    4 Good
    返信

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