アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】

3年ぶりに試遊卓が復活したアナログゲームの祭典で気になるブースをレポート!そこにはアナログとデジタルの新たな融合の形が視えた!?

連載・特集 イベントレポート
アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】
  • アナログとデジタルが融合する未来が視えた「ゲームマーケット2022秋」取材レポート【特集】

皆さん、ボードゲームは好きですか?TRPGは好きですか?筆者はとても好きです。特にTRPG書籍に関しては家に100冊以上が本棚に仕舞われている程度にはドハマリしています。そんなアナログゲーム好きにとっては欠かせないお祭りイベントと言えば、「ゲームマーケット」です。

ゲームマーケットでは企業と同人サークルがそれぞれアナログゲームのブースを出し、珠玉の商品を出品しています。また、アナログゲームを出しているブースでは実際に商品を体験して遊ぶことが出来る場所が多いため、ただ色んなブースを回るだけでも楽しい時間を過ごすことが出来ます。

そこで、本記事では筆者が気になる・面白そうなブースを見回りどんなことを体験したか、あるいはそこでスタッフに聞いたコメントをお届け。そこにはアナログとデジタルの両方の良さを活かしていく、少し先の未来が楽しくなるような世界が広がっていました。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』

まずはTRPGの始祖と言われている『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(以下、『D&D』)ブースから。少し前にウィザーズ・オブ・ザ・コースト直々に日本への本格展開を行うことが発表され、多くのTRPGプレイヤーが歓喜したことは記憶に新しいです。

今回、単独ブースとしての出展だった『D&D』は、非常に熱が入っている印象を受けました。フィギュアなどが置かれたスペースに、体験卓が複数用意されており、10分という短い時間で『D&D』のお約束とも言える「困った人から依頼を受け、モンスターにどう対応するのか」というシチュエーションを実際に遊ぶことができました。

筆者も実際に体験。今回は操作するキャラクターは予め用意されていたものを使う形式で、その場で一緒になった見知らぬ人と相談しつつ、ダイスの結果に一喜一憂するTRPGならではの遊びを短い時間ながらしっかりと楽しめました。全体的に本気で『D&D』を日本に広めていこうとしている熱意が伝わってくるブースでした。日本ではRPGをはじめ、コンピューターゲームへの影響がとくに強く知られる『D&D』ですが、今回の展開ではアナログゲームとしても更に強固に定着できるのか注目が集まります。

また、関係者の方にお話を伺うと「11月に改めて発表があります」とのこと。どの様な発表があるのか、今から期待したいところです。

KADOKAWA

KADOKAWAから出展されているものはいくつかありましたが、中でも一番力を入れていたのは間違いなく『クトゥルフ神話TRPG』です。本作は日本国内で現在最も遊ばれているTRPGと言っても過言では無く、その人気は衰えるどころかさらに加速しているようにも思えます。

一方で、ルールブックは非常に分厚くまた値段も決して安く無いという難点を『クトゥルフ神話TRPG』は抱えていました。その問題を解決すべく開発されたのが今回のゲームマーケットで初お披露目となるiOS向けアプリ『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUSです。

このアプリでは現在遊ばれている「6版」と呼ばれるルールブックと「7版」と呼ばれるルールブック、さらにはデータを拡張するサプリメントなど合計6冊が1つのアプリで読めるようになっています。なお今後も読める本は追加予定とのこと。

実際に筆者も体験して来ました。使い方的にはiPhoneにデフォルトで搭載されているSafariブラウザに近いので、直感的に使うことが出来ます。

また、よく使うような単語には予めリンクが付けられており、その箇所をタッチすると、すぐに単語の意味を理解出来るページに飛ぶ作りが非常にありがたいと感じました。良く使うページにはブックマークをつけすぐに参照することもできます。本に付箋を貼ってメモを取る人には段落ごとにメモを追加することも可能。ハウスルールなどをメモに記載しておけばすぐに確認もしやすくなるでしょう。

それと、7版のルールブックに関しては挿絵が全て米国仕様になっています。白黒だった日本版と違い、米国版は挿絵が全てカラーなのでそれを眺めるだけでも楽しいです。

一方、スマートフォンアプリの宿命として、文字サイズは少々小さめ。大きくすることも出来ますが、そうなると今度は1画面で確認出来る文字数が減るため、これはこれで読みづらい印象を受けました。iPadにインストールすることもできるそうですが、動作保証の対象ではないとのこと。Android版については「年内には出せないが、来年には出せるよう努力したい」とお聞きしました。

『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUSのサービスインは11月30日の予定です。基本無料のサブスクリプション形式(ライト月額480円、ベーシック月額650円、プレミアム月額1,000円)となっています。

ジャイアントホビー

ジャイアントホビーと言えばやはり『DORASURE』でしょう。すでに8年も継続して展開されているRPG要素の強い、協力型のボードゲームです。ゲーム名である“ドラスレ”、つまりドラゴンスレイヤーの名が示す通り、本作ではプレイヤーは冒険者の1人となり邪悪なドラゴンを倒すために、他の冒険者、つまり他のプレイヤーと協力して冒険していくことになります。

今回のゲームマーケットでは新作拡張版である「帝都決戦オクタヴィア」が発売。今までと違い帝都を防衛し、最終的にドラゴンの首領を倒すという街を守るという視点に趣を置いたものなっています。試遊も展開していましたが、残念ながら筆者の時間の関係上、体験できませんでした。話を聞いたところ、今作の「帝都決戦オクタヴィア」で8年続いた『DORASURE』の展開も一段落。ですが新作を出さないというわけではなく、その前にオンラインで遊ぶための仕組みを色々考えていきたいとのことです。

現状、『DORASURE』シリーズをオンラインで遊ぶためユーザー間で用いられている素材やコンポーネントにグレーゾーンなものが多いため、公式からどこまでなら問題ないか線引きをしつつ、オンラインで遊びたい人向けのサポートに力を入れていくそうです。今のご時世、オフラインで集まって遊ぶには様々な障壁が立ち塞がりやすいので、公式からオンラインでの遊びをサポートしていくと明言して貰えたのは大きな一歩だと感じました。

BitSummit

アナログゲームの祭典で、デジタルゲームの展示会をやっている「BitSummit」の名前が出てくることに疑問を感じる人もいるかもしれませんが、実はゲームマーケットに出展していたのです。ならBitSummitがアナログゲームを出したのか、というとそういうわけではなく。ここのブースではBitSummitらしくデジタルのインディーゲームが体験できるスペースになっていました。

でもそこはゲームマーケットということで、デジタルはデジタルですがアナログゲームの色が強いインディーゲームが紹介ラインナップに用意されていました。筆者も一通り見て、その中でも気になって体験したのが『RP7』というタイトルです。プレイヤーはキーボードにそれぞれ対応したボタンを押すことで、どんなイベントを起こすかを決定。キャラクターはただ一方方向に進んで戻ってを繰り返し続け戦闘や罠にひっかかったり、宝箱を開けたりしていきます。最終的にキャラクターの体力が0になったらゲームオーバーです。

これが非常にシンプルかつ奥が深い。キャラクターは勝手に動き続けるので、どのタイミングで敵と戦い、どのタイミングで回復するかを瞬間的に判断しなければいけません。一方で操作自体はキーボードを押してイベントを変えるだけという、アナログゲームらしい単純さも併せ持っている印象を受けました。

その様なタイトルが他にも8本ほど用意されており、他の入場者がじっくり腰を据えて楽しく遊ぶ光景を見てこれはこれでアナログとデジタルが融合する未来の1つだなと思いました。

YOMIDIVER

ここからは企業ではなく個人ブースを紹介。まずはYOMIDIVERから。ここのブースはSirlin Gamesが手掛ける『YOMI』という、格闘ゲームの駆け引きをカードゲームに落とし込んだゲームが大好き過ぎてwikiなどのファン活動を展開した結果、代理店状態にまでなった驚異のサークルです。ゲームマーケットでは当然『YOMI』や関連作品の物理ボードゲームを展開しています。

サークル主とお話させて頂きましたが、本当に『YOMI』というゲームが好きなんだなという熱意をひしひしと感じさせてもらいました。さらに、開発中の続編『YOMI2』のお話をすると、今回のゲームマーケットに向けて500枚刷ったという、YOMIDIVERで勝手に作った宣伝チラシを頂きました。まさにファンの鑑。その『YOMI2』ですが、既にかなり出来上がっており楽しく遊べるそうなので、続編が気になる方は、今からぜひ公式に支援をしてみてはいかがでしょうか。Sirlin GamesのPatreonのゴールドメンバー以上になればSteamでのベータテスト版をプレイ可能です。

ストロマトソフト

最後に紹介するのは百合×3DダンジョンRPGを掲げ、クラウドファンディングで1,800万円以上の支援を呼び話題になった『ウィッチ・アンド・リリィズ』を開発しているストロマトソフト。代表者がとにかく百合が好きということで、ゲームマーケットでもブレることなく百合をテーマにし、お姉さまを奪い合う『ヤバ百合会の妹たち』と10分で百合ハーレムを作る『百合乱慕』の2作品を展開していました。

特に『百合乱慕』は男性人気だけでは無く、かなり多くの女性客が体験卓で和気藹々と遊ぶ光景も見られました。百合という文字に騙されがちな面もありますが、ボードゲームとしての単純な奥深さもしっかりと作り込まれており、そういった意味でも非常に人気のブースの1つだったなという印象です。

主催のお話によれば、今回のゲームマーケットでは新作を出すことは叶わなかったものの、次回の来年5月に開催予定のゲームマーケット2023年春では新作のアナログゲームを発売予定とのお話も頂きました。そこで1つ質問してみました。

げーまー哲:「次回もテーマは百合ですか?」
主催:「はい、百合です。ストロマトソフトとして出す限り、百合が絡まないものは絶対に出しません

と力強いお言葉を頂いたので、百合が好きな人はこれからもストロマトソフトを注目していきましょう。なお、『ウィッチ・アンド・リリィズ』に関しては、クラウドファンディングのページにも記載がある通り、2024年の2月に発売出来るように開発をしていくとのこと。詳細なゲームの情報については、2023年の東京ゲームショーを過ぎたあたりから随時公開していく予定だそうです。『ウィッチ・アンド・リリィズ』のクラウドファンディングは2022年10月31日23:59分まで実施中です。興味がある方はお忘れないよう。

アナログとデジタルの境目はもう無いのかも

以上、ゲームマーケット2022秋の取材レポートでした。アナログゲームの祭典ということで多種多様なボードゲームが販売され、来場者は色んなボードゲームを体験し楽しんでいました。同時に、今回1日中ブースを回って気づいたのが、商品にオンラインを利用した何らかの方法で楽しむための素材集のダウンロード権などを付属させているブースを一定数見かけたことです。

そういった光景を見て、アナログゲームもまた昨今の状況を考えながら色々創意工夫をして展開していっているのだなと実感しました。今後どういった形でアナログゲームが進化していくのかは全く未知数ですが、アナログゲームを販売している企業は当然のこと、個人サークルでも企業に引けを取らないクオリティの商品が沢山ありました。既にアナログゲームとデジタルゲームの融合を試みた意欲的な作品すら世には現れ始めており、数年後にはもっと驚くような画期的なゲームが登場する、そんな期待をも感じさせるイベントでした。

※UPDATE(2022/11/2 17:30):『クトゥルフ神話TRPG ルールブックPLUS』のライトの価格を修正しました。


ボードゲーム アズール:マスターショコラティエ 日本語版
¥6,401
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《げーまー哲》

焼きうどんが大好きなVtuberライター げーまー哲

2020年7月からVtuber活動開始。 普段はTRPGや音楽ゲームの配信を中心に活動。 それと同時にライター・ゲーム開発・同人活動を並行するマルチプレイヤー。 焼きうどんが大好きで、月の昼食の2/3は焼きうどんしか食べない。 世に出たゲームハードを多数所持しており、いずれ全てのゲームハードを所有するのが夢。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top