【お別れ特集】39日後にサ終する『Apex Legends Mobile』。この戦場の終幕で、「ハイアマチュア活躍の場」は失われてしまうのだろうか? | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【お別れ特集】39日後にサ終する『Apex Legends Mobile』。この戦場の終幕で、「ハイアマチュア活躍の場」は失われてしまうのだろうか?

エペモバは、サービスさえ存続すれば「eスポーツ」たり得るのか?

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【お別れ特集】39日後にサ終する『Apex Legends Mobile』。この戦場の終幕で、「ハイアマチュア活躍の場」は失われてしまうのだろうか?
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『エペモバ』は、サービスさえ存続すれば「eスポーツ」たり得るのでしょうか?

スポーツ競技というのは、当然ながら厳格な公平性が担保されている必要があります。チーター対策もそうですが、「競技の途中で運営側にトラブルが発生して試合が中断される」ということはあってはなりません。ドームではない球場でのナイターが雨で中止されるのは仕方のないことですが、球場の照明が故障してダイヤモンドが真っ暗になって中止という段になったら、それはやはり運営の落ち度。

なぜこのような話から入るかというと、本家『Apex Legends』で「球場の照明が故障した」というようなトラブルが頻発したからです。

『エペモバ』は「eスポーツの伝道師」

Game*Sparkでも既に報じている本家ApexのALGSでのサーバークラッシュ問題。これに関して「『Apex Legends』はeスポーツに遠く及ばない」という声がプロから寄せられていました。

「eスポーツに遠く及ばない」という言葉は、首都圏でも中京圏でもない静岡市に住んでいる筆者にはズシンと響きます。

なぜなら、市民の高齢化著しい「静岡市のITリテラシー」は今でもeスポーツは番外地、あるいは太陽系ファミリーからハブかれた冥王星のような扱いです。我が静岡市は各通信会社が開催する「LINEの使い方講座」の椅子が全部埋まってしまう段階で、eスポーツなどは「働き盛りの若い者が長時間ゲームで遊んでる!」という目で見られてしまうのです(筆者の感想です)。

そのような地域では「eスポーツとは何ぞや?」を丁寧に説明しなければならず、「どのタイトルがeスポーツたり得るのか」ということを考察する段階にはまだまだ達していません。

もしも新しい静岡市長(現在の市長は次の選挙には出馬しません)が「市民間の情報格差を解消する」ということを本気で考えるとしたら、「最先端のIT事情」を把握していなければならず、そしてそれを咀嚼して市民に理解してもらう……という過程が必要不可欠です。

その具体的な方法は、「ガチではないカジュアルなタイトルを普及させる」ということになるのだと筆者は考えています。たとえプロのeスポーツ選手が「これはeスポーツに遠く及ばない」と言ったとしても、ガチ勢ではない人が満腹できるくらいのボリュームと品質があれば「eスポーツとは何ぞや?」を伝導できるわけです。

そういう意味でも『エペモバ』はかなり優秀なエバンジェリストと言えますし、たとえeスポーツとしての基準を満たしていないとしても「eスポーツへの入口」としての役目を堂々担っているのでは……と筆者は解釈しています。

だからこそ、『エペモバ』のサ終は本当に惜しい! という筆者の心情はとりあえず置いておきましょう。

「ジャックポットの終わり」

『エペモバ』は、そもそもが「『Apex Legends』をスマホで手軽に遊べるようにしよう」という意図を持ったタイトルです。

従って、eスポーツのプロたちの表現でもある「カジュアルさ」で言えばピカイチ。FPP(一人称視点)よりも広い視野を持つことができるTPP(三人称視点)であることも、「初めてのオンラインシューターゲーム」に臨む人にとってはありがたい要素です。

EAが望んでいたであろう「モバイル版でApexに出会い、PC/CS版で選手としてのキャリアを重ねる」という理想像を叶える上では、確かに『エペモバ』はよくできています。どのようなスポーツでも、アマチュアが充実していなければプロは大きくなることができません。

しかし「充実したアマチュア機構」である『エペモバ』のサ終は、パンデミックで市場規模を伸ばしていたゲーム・eスポーツにとっての「ジャックポットの終わり」なのかもしれません。

バブルの頃、プロ野球の西武ライオンズは絶頂期を迎えていました。

西武鉄道グループの不動産会社コクドの豊富な資金力を背景に、投手・打者ともに分厚い選手層を構築することに成功しました。さらにルーキーや二軍選手に対する生活面での好待遇もあり、それまでテレビ放送すらなく日陰の存在だったパ・リーグが大注目されるようになります。ただし、若手選手への規律を大幅緩和したことは規律重視の野球指導者(野村克也監督が代表例)から批判されています。

景気のいい時は、スポーツの世界でこのようなことが起こりがちです。そして、その裏返しとして景気が悪化すると様々なところに規模縮小の波が訪れます。

ハイアマチュアが常時控える舞台

今日も『エペモバ』では多くのプレイヤーで賑わっています。

あるとき、こんな場面がありました。仲間が2人倒れ(この中に筆者もいます)、バナーと化してしまったところで最後の1人がそれを拾い、2人を復活させます。試合は既に終盤に入ったところです。ところが復活から間もなく、仲間がまた倒れてしまいます。

しかし、そのようなことがあっても我々のチームは決してめげません。戦闘不能になった仲間を救出し、再び戦闘に参加できるようにしてしまいました。そんな具合に粘りに粘り、とうとうチャンピオンになった……という劇的な展開です。

写真用語に「ハイアマチュア」という言葉がありますが、『エペモバ』はまさにハイアマチュアが常時控えている環境と言い切ってもいいでしょう。そんなタイトルがサ終するというのは、もしかしたら大きく栄えていた一分野の時代の区切り、或いは「業界再編」の到来を知らせる合図かもしれません。


《澤田 真一》

ゲーム×社会情勢研究家です。 澤田 真一

「ゲームから見る現代」をテーマに記事を執筆します。

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