PC関連製品を扱うASUSは、AM5ソケット搭載型マザーボードを対象とするBIOSアップデートを実施しました。テック系サイトのtomshardwareによれば、オーバークロック機能「EXPO」適応時に注意説明が表示されるようになったとのことで、加えて新BIOSの概要説明にもあるように、Ryzen 7000番台CPUにおいてCPUおよびマザーボード本体の保護を目的とし、SoC電圧を最大1.3Vに制限する機能が追加された今回の更新は、最近相次ぐCPU焼損の報告を受けたものと見られます。
PCゲーマー垂涎の最新CPUがまさか!
事の発端となるのは4月末、複数のRyzen 7000番代の焼損報告がインターネット上で寄せられたことが切っ掛けです。

しかも、今年になって発売された最新世代で、「3D V-Cache テクノロジー」を搭載し圧倒的なゲーム性能を誇る「Ryzen 7000X3D」シリーズでの報告が主だったことから、特にPCゲーマーの間で衝撃が走ることとなりました。
26日にはベンダー各社がこの問題に対応したファームウェアアップデートを準備しているとする声明を相次いで発表し、今回の焼損トラブルがSoC電圧(メモリーコントローラー)によるものとする有志による分析がなされるなどの動きが見られました。
また、相前後する25日にはAMDから「現在調査中であるとともに、パートナー会社と問題解決に向けて取り組んでいる」とする1度目の声明が、27日には今回の問題が正式にSoC電圧によるものとする2度目の声明が発表が出され、CPU製造元であるAMDも問題を認識し、かつ解決に向けた動きを見せることとなりました。
便利な技術の影に大きな落とし穴が…
今回のCPU焼損問題ですが、その原因が「EXPO」と呼ばれるメモリーオーバークロックにあることが報告されています。これは、Intelの「XMP」と類似したメモリーオーバークロック技術で、プロファイルを選択することで電力や電圧、また動作周波数などのメモリー関連の設定を自動的に行えるというもので、非常に手軽にメモリーオーバークロックが楽しめる機能となっています。

もちろん、最近のCPUには複数のセンサーによる自動オーバークロック機能や、逆に過熱を防止する安全機能が搭載されており、今回問題となったCPUにも当然ながら搭載されています。ですが、今回の問題ではそういったセンサー類が真っ先に機能不全を起こした結果、CPU本体の変形やピンの焼損といった問題に至ったと報告されています。
現在、マザーボードのベンダー各社から新ファームウェアが順次公開されています。対象となる製品をお使いの方は、一度確認の上説明に従い更新を行われることをおすすめします。