今回は個人デベロッパーのhijikuro inomE氏が、2023年7月25日にSteamにてWindows PC向けに無料リリースした高難度ACT『orz』をご紹介したいと思います。
『orz』とは?
本作は、ベルトスクロールタイプの2Dアクションゲーム。モノトーンめいた世界で少女を操作し、0地点から1地点を目指していきます。キャラクターや背景はA4コピー用紙に鉛筆で描かれており、丁寧なアニメーションは、本作が持つ不気味でどこか儚げな空気感をよく表現していると感じます。
そのため最初は「おお……雰囲気を楽しむ系のゲームだね?」と思ってプレイし始めましたが、チュートリアルパートが終わって即死した時すべて理解しました。鬼畜難度ゲームだこれ。
僅かな足場へジャンプすれば足を踏み外して落下、飛距離が足らず落下、棘に刺さって死……その度に地面に手と膝をついて項垂れる姿はまさに“orz”そのもので、なかなか見えてこないチェックポイントの遠さと相まって確実にプレイヤーの心を折りにきています。
そんな様子を知ってか知らずか26日にはチェックポイントが追加されるアップデートが配信されました。それでもなお、なかなかの難しさです。
そのため一人で黙々と遊ぶのも良いですが、配信などで皆とキャアキャア悲鳴を上げながらプレイするとさらに盛り上がるかもしれません。今日日なかなか見かけないアスキーアートがタイトルだからと侮るなかれ……早速やってまいりましょう。
操作・設定・言語
本作の操作はキーボード&マウスとコントローラーに対応。マウスといってもメニュー画面での項目選択程度で、アクション部分はキーボード操作ですね。どちらの操作系でもプレイに支障はありませんが、個人的にはコントローラーの方が直感的に動かしやすかった印象です。たまに緊張でプルついた指先が悪さして落下していく少女を見る時は切ない気持ちになります(澄み渡った瞳をたたえながら)。
その他設定は極めてシンプル。画面サイズ、スクリーンモード、垂直同期……言語選択は日本語にばっちり対応しつつも、かなりのバリエーションがあります。なお言語変更時は、左のリストに並ぶ言語を直接クリックするのではなく、右の「日本語」と書かれたアイコンをクリックしてサイクル変更していくので、その操作だけは少々わかりにくいかもしれません。
本編開始
さあ始まりました『orz』。エフェクトのかかったタイトル画面が個人的には大変好み。ポップな一曲でもかけたいところですが、どこか不安な気持ちにさせます。
精神世界のようなステージに色々と情報量がいっぱいの画面。ここからチュートリアルゾーンがしばらく続くのですが、キーボードとコントローラーどちらの操作で遊ぶ人にもわかりやすいです。また小さいウィンドウで実際のお手本を見せているのもユーザーフレンドリーで高ポイント。
基本的な動作は左右の移動としゃがみ。そこへダッシュとジャンプを組み合わせて狭い足場や障害物を乗り越えていくのが本作の流れになります。
またカメラのズームイン・アウトも操作可能で、ここらへんは細かい操作が必要な場面などで、位置取りの微調整を行う際に便利でした。
画面右上に見えるハートは体力で、いわゆる「3回ダメージ受けたらゲームオーバー」を表し、その下に横たわるゲージはダッシュで消費されるスタミナですね。また画面中央下部には現在のマップ進捗も表示されています。この☓が、マップにおける少女の現在地を示しています。
なおチュートリアルゾーンが終わると、このようにチェックポイントが現れます。お香(?)の煙が立ち昇ればチェックポイント通過の証。隣に立てられた看板の「0.000」は現在地が、ゴールに対して、どのくらいの距離を進んでいるのかを表しています。
ここでなんだ至れり尽くせりな親切のシンプルゲームではないか、このまま左へ走り抜けてさっさとクリアするぞいなんて思った筆者。
続く連続足場でジャンプの飛距離が足らず落下していきました。
落下すると最下部のベルトコンベア(?)に叩きつけられ、数秒後に死が訪れます。
満タンだったハートも一瞬でもってかれてorzのポーズになる少女。
雰囲気ゲー?いえ高難度ゲーです
こうして始まった『orz』真の姿。そうなんです。ちょっと暗めのゆるふわゲームかと思いきや、本作かなりの高難度です。いやわかりません、筆者がただひたすら下手っぴなのかもしれません。先に進みましょう。
何度か再挑戦しながらやっとジャンプ先にたどり着けた時は喜びもひとしお。
ちょっとズームインして、手描きの丁寧なアニメーションを鑑賞しちゃったり気持ちにも余裕が出てきm
………。
びっくりした。ちょくちょく殺意が高いマップ構造があるんですよ。ここは床から飛び出す棘をジャンプで避けて次の足場へ行くとしましょう。転がってるハートは棘に刺さった時の回復用かな?
こういう親切なアイテム配置が本作のいいところなんですよね(辞世の句)
ちょっと動揺しちゃってその後何でも無いところで落下死を繰り返しかけましたが、カメラをぐっと近づけることで間合いを読み、正確なジャンプによる移動方法を確立した筆者。
ちなみに体力満タンの時にこのハートに近づいても、ただのオブジェクト判定になるようで足蹴にされて転がり落ちることしばしばでした。
さあ見えてきました次の立て看板!ここまで結構な冒険でしたからね、そろそろ休憩所が欲しかった所。こういう親切なチェックポイント配置が本作のいいところなんですよね(幻覚)
……嘘でしょ……0.029しか進んでないんですか?しかもチェックポイントのお香が見当たりません。つまりここで死亡すると最初の0.000に逆戻りじゃないですか。いやいやそんなまさか。
いやいやそんな馬鹿な(落下死)
冗談はともあれ、これでも結構頑張ってるんですが、この「0.029」から少しずつ先に進めるようになってきました。努力を続ければ人間どんな困難だって乗り越えられるのです。
こういう親切な人生哲学の啓蒙が本作のいいところなんですよね(辞世の句)
後方で何かが起動する音が聞こえたと思ったら壁いっぱいの棘が迫ってきました。慌ててジャンプすれば目測をあやまり足場の棘に腹・胸・頭を順に刺されて落下。
おわりに
心が折れてお香をクンクン嗅ぎ回る筆者。
ご覧の通り、本作は初見殺しと、たまに発動する理不尽な入力ラグ、そして狭い足場による飛距離不足による死亡もあって、結構な難しさになっています。しかもチェックポイントが微妙に遠いので、苦労して乗り越えた先で死亡すると、もう一回やるハメになりますし、一度ゲームを終了すると最初からのスタートになるというのも心に来ます。
それでも視覚的に楽しめる世界観ですし、何よりお手軽に遊べるので、いつの間にか繰り返しプレイしてじわじわと攻略が進んでいく独特の味わいが本作にはありました。
タイトル:『orz』
対応機種:Windows PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:Windows PC(Steam)
発売日:2023年7月25日
著者プレイ時間:2時間(心が折れる音)
サブスク配信有無:記事執筆時点においては、無し
価格:無料
※製品情報は記事執筆時点のもの
スパくんのひとこと
0を1にすることの難しさに人生の哲学を見出し始めたスパ