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Game*Sparkレビュー:『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』―「難しそう」「ロボあんま興味ない」…偏見を持っていたロボゲー初心者は楽しめたのか?

過去作もやってなければ、「ガンダム」すらもほぼ観てない。そんなロボ初心者から『AC6』はどう見えた?

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注意:本記事は『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』のネタバレを含みます。

筆者は子どもの頃から、ロボットというものに惹かれませんでした。「機動戦士ガンダム」シリーズは昨年「∀ガンダム」を観るまで触れたこともありませんでしたし、漫画雑誌を買ったときもロボット漫画は読み飛ばしていました。「∀」はたしかに良いアニメでしたが、ロボットのかっこよさ・熱さというよりも主人公ロラン・セアックの活躍や信念に惹かれたという部分が実際のところです。

もちろん『アーマード・コア』シリーズについても触れた経験はなく、それどころかロボットアクション(以下、本稿ではロボットアクションをロボゲーと呼称します)ゲームはほとんど未プレイといっていいレベルの経験しかありません。『鉄騎』は物珍しさに入手したけど放置中、『タイタンフォール2』もロボット的な部分には惹かれずと、その魅力は未だ理解できていません。

『アーマード・コア』シリーズはロボゲーの中でも人気のイメージはありましたが、前作『ARMORED CORE VERDICT DAY』から10年もの間新作が出ておらず、筆者のように触れたことがないという方も多いはず。しかしながら、近年のフロム・ソフトウェアの活躍や『アーマード・コア』というタイトルの人気さ、発表時の熱気などに押され、プレイを検討している方も多いのではないでしょうか。

筆者は、本シリーズに対してある種の偏見を持っていました。それは「なんか操作難しそう」「ストーリーが難解そう」「ロボには別に興味ないし、多分好きじゃないな…」といったアバウトなものです。そのため本作も積極的にプレイする意思はありませんでしたが、タイトル発表時から続くゲーマーたちの異常とも言える熱に押され、発売1週間前にしてプレイを決意したのです。

本稿では、ロボゲー(ほぼ)未経験者の視点から見て楽しかったか、AC(ロボ)はかっこよかったか、という切り口を中心に『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(以下、AC6)』のレビューをお届けします。プレイしたのはPC(Steam)版で、記事中のボタン表記はXbox準拠となります。また、1周クリアをした段階でのレビューとなります

Game*Sparkでは本稿以外にも様々な視点から本作を紐解く「VI」本のレビューを掲載していますので、そちらもぜひご覧ください。

ハイスピードで気持ちいい、爽快さを感じやすいアクション

本作のアクションは、ハイスピードな戦いが繰り広げられます。Xで発動できるドッジロール的なクイックブースト(QB)や、Lスティック押し込みによって急速に前進するアサルトブースト(AB)、A長押しでの上昇といったアクションが用意されており、高速かつ立体的に動き回って戦うのが本作のアクションにおける基本と言えます。

プレイヤーが駆る機体「AC」は両手と両肩に武器を積載でき、それぞれ左手右手がLTとRT、左肩右肩がRTとRBというようにアサインされています。武器種はかなり豊富で、アサルトライフルやショットガンといったスタンダードなものから近接で大ダメージを与えられるブレード、相手をロックして一度に8つもミサイルが放てるランチャーやレーザーを放てるEN武器など自分好みのものを選ぶことができます。

『AC』といえば、アセンブルシステム。武器以外にも頭部や腕、胸や脚といったフレームに加え、武器やパーツの駆動などあらゆる動作に必要なEN出力を上げるジェネレーターやQB、ABの性能を左右するブースターなど内部パーツもカスタマイズできます。各パーツはミッションクリアなどで入手できる通貨によって売買できます。

AP(体力)や重力、推進力やジャンプ力などあらゆるステータスはこのアセンブルによって左右されます。そのため、敵の重い攻撃が避けられないときは軽くて早く動ける構成に変えてみたり、逆に敵が強いときは強力なフレームや武器を多数搭載できるようにしてみたりと柔軟に戦い方を変えることができます。

アセンブルで特に重要になってくるのが、脚部のパーツです。脚部は大きく分けて4種類存在し、あまり重い武器を載せられない代わりに高くジャンプできる機動力が強みの逆関節タイプや、ジャンプ能力は低めながら地上での機動力や積載量の多さを誇るタンクタイプなどがあります。戦い方だけでなく基本の操作性すら変わってくるので、自分好みな性質のものにするか、敵のタイプに合わせたものにするかなど戦略に幅が生まれています。

本作での戦闘の要は、ACSゲージとスタッガーです。ACSゲージはAPとは別に用意されたいわば『SEKIRO』の体幹ゲージのようなもので、攻撃を当て続けて満タンにするとスタッガー状態にできます。平常時ほとんどの武器はダメージが少なかったり距離減衰で跳弾してしまったりと効果が薄くなってしまいますが、スタッガー状態では通るダメージがかなり高くなります。スタッガーは時間が開くと徐々に減少してしまうため、とにかく間髪入れずに攻撃を続けスタッガー状態を狙わなければなりません。

このシステムは極めて強い爽快感を生んでいます。激しい攻撃と継続して攻撃しなければならない仕様によって息の詰まるような戦いを繰り広げた後、スタッガー状態の敵に強力な攻撃を叩き込むという流れは非常に強いカタルシスを感じられ、本作にアクションゲームとしての価値のある体験をもたらしているといえます。

筆者は多弾ミサイルでゲージを溜めてブレードでぶった斬るという戦法をよくとっていたため、この気持ちよさをより味わうことができました。本作がボス戦主体というデザインで、簡単には倒せない敵が数多く立ちはだかっているのもこの気持ちよさに寄与しているでしょう。

アセンブルと強く結びついているのも好印象で、実弾やエネルギー武器よりも爆発のほうがACSゲージの継続時間が長かったり、パンチ力のある衝撃値が高い武器のほうが溜まりやすかったりとACSゲージへの影響は武器によって様々。スタッガー後は距離を詰めたほうが有利なので、ABや脚力によって近づきやすい性能のものにするといった点も考慮する必要があり、プレイヤーは自分なりの戦略を反映したこだわりの機体を作り上げることができるのです。

『AC』はUIが普通のアクションゲームよりも複雑で、展開もハイスピードかつ操作も難しいイメージがありました。結論としては本作でもそのイメージはある程度間違っていませんでしたが、普段アクションゲームを遊ぶゲーマーであればすぐに飲み込めると感じます。

背面のトリガーとボタンを4つフルに使う忙しさはありますが、シューターなどと違い右スティック押し込みでロックオンすることによってエイミングする必要がまったくといっていいほどないため、総合的に見れば「高難度アクション」として遊びづらいほど難しくはないでしょう。

敵の動きはパターンがあるので、難しい敵でも回数を重ねれば避け方がわかってきます。まったく歯が立たない相手はおらず、大抵は「いけそうでいけない」というギリギリの戦いを味わうことになります。

突破できないほど難しいと感じたとしても、アセンブルでトリガー押しっぱなしでも効果の高い武器に持ち替えたり、ホバリングできる4脚タイプに変えて高所有利を取ってみたりと楽に倒すための対策を取れるので、少なくともアクションゲームを普段から遊ぶゲーマーにとっては過度に身構えなくても良いと感じます。

ただ、1周目チャプター2までのアセンブルと難易度のバランスにはやや難があると感じました。このあたりの場面はミッションによって得られる資金が多くなく、限られたパーツや武器のみしか所持できません。その調整自体は悪くないのですが、頭を抱えるほど難しい敵が存在しており、どん詰まりしやすいです。

アセンブルでガラッと戦法を変えるにはパーツを売るか過去ミッションを再クリアしなければならないという状況に陥りがちですが、これらはミッションを一度やめてガレージに戻らなければならず、再度ボスまでの道のりをやり直す羽目になります。1ミッション自体はそれほど長くないとはいえやり直しには抵抗感がありますし、過去ミッションを再プレイするのも正直面倒です。ここは高難度なアクションという魅力とアセンブルで戦法を変えて戦う魅力が噛み合っておらず強いストレスを感じる場面もありました。

しかし、難関としてよく取り沙汰されるチュートリアルボス「惑星封鎖機構大型武装ヘリ」については、初心者という立場の筆者にとっては良い体験となりました。最初こそあたふたとしたぎこちない操作でしたが、このボスが壁として立ちはだかることによって、UIの見方や攻撃の避け方、敵機への近づき方などといった立ち回り方に加え、本作の大きな魅力である爽快感たっぷりの戦闘の魅力に気づくことができました。この段階ではアセンブルは未開放なので、純粋に本作のアクションに慣れるためのフェーズとして優れていると感じます。

ストーリーはかなりわかりやすい!熱くなれる場面も多数

未経験であるが故、ストーリーに対してはあまり想像がつかず「固有名詞ばかりで難解な内容なのではないか?」と身構えていたものの、結論から言えば非常にわかりやすいストーリーに仕上がっていると思います。

「わかりやすい」というのはもちろん「単純でつまらない」という意味ではありません。難解な物語や分かりづらい設定などはほとんどなく、魅力的なキャラクターとロボットアニメのようなアツい場面に燃えることができるのです。

本作のストーリーは、惑星ルビコンで発見された新たな物質「コーラル」を巡って進んでいきます。コーラルは強力なエネルギー源としての力を持ちながらも、この物質を巡る企業間戦争によって起きた爆発によって重篤な汚染を引き起こしました。これによってコーラルは枯れたかと思われたものの、再びルビコンにて発見され、またもや企業同士が争うことになります。ルビコンに住んでいた住民(ルビコニアン)もこれには黙っておらず、ルビコン解放戦線を結成して大企業たちの仕打ちに反抗しようと立ち上がります。

主人公の621は、この3勢力のどこにも属さない独立傭兵です。仕事とあらばどのクライアントの依頼も受けることができ、先のミッションでクライアントだった勢力の部隊を殲滅するミッションさえ受けることができるのです。この構図は本作の冷酷な世界観を象徴したものといえるでしょう。まさに「昨日の友は今日の敵」といったシチュエーションが生まれるのが筆者には斬新に感じられます。

さらに斬新に感じられたポイントとして、キャラクターが一切姿を現さないという点も挙げられます。たとえストーリーの重要なシーンであっても、登場するのは声のみ、もしくは機体のみ。重要な鍵を握る敵やパートナーや主人公でさえも作中で一切姿を見せません。

しかしながら、それでも様々なキャラクターを魅力的に感じます。例えばとある任務で共闘し、「戦友」と呼んでくれるラスティ、とある事件をきっかけに主人公と交信し、オペレーターとして戦闘を補助してくれるエア、強化人間として改造されACを駆って戦うことしかできない主人公を手厚くサポートしてくれるハンドラー・ウォルターなど、思わず心を奪われてしまう人物が登場します。

具体的なビジュアルが出てこないことによって、キャラがどんな見た目をしているのか、どんな関係性なのか……などなど、妄想の余地が残されており、プレイ中深く心に残ります。声や機体だけであるにもかかわらず、ここまで魅力的なキャラを描けることには非常に大きな衝撃を受けました。

終盤で究極とも言えるほどプレイヤーを悩ます選択を迫られます。本作はオートセーブという仕様上、一度選んでクリアしてしまうと選び直してもう一回……ということはできず、強制的に“最初から”になってしまいます。そのため、2周目で別の選択をした先の展開を見るには周回プレイが必須です。

筆者はゲームにおける周回プレイが非常に苦手で、基本的にはスタッフロールが流れたらその場で終えてしまい、再び起動することは稀です。しかしながらわかりやすく面白いストーリー展開や魅力的なキャラクターで引き込まれる本作においては、別のエンディングを観たい!という強い意欲に駆られています。

ロボはかっこいいと思えるのか

本作の肝でもあるロボ(機体)のカッコよさについて、本作には「カッコいい」と思わず思ってしまうような要素や工夫が随所にみられ、あまりロボに魅力を感じたことがない筆者でもグッとくる瞬間が何度かありました。

本作のアセンブルは、自機に愛着をもたせるためにも機能していると感じます。使えるお金に余裕ができてきてからは、任務に適したアセンブルで戦う仕事人プレイもよし、苦戦上等で自分だけのこだわり構成を貫き通すもよしと、それぞれが自分だけの機体を作り上げて楽しめるようになります。

さらに、デザイン機能も充実しています。パーツごとのカラーや模様、デカールだけでなく、光沢やくすみ、サビの度合いまで細かく設定できます。筆者の621には「依頼を確実にこなす冷淡な仕事人」という設定をつけてロールプレイしたため、機体も派手な色やデカール、ツヤなどを抑えなるべく地味な色を意識し、「ヒーロー感」を極力出さないようにしました。結果、機体と621それぞれにかなり強い愛着が湧き、クリアまで常に「仕事人」らしいカッコよさを感じることができました。


戦闘においても、強敵を倒すたびに入るスローモーション演出が入ります。見た目がカッコいいのはもちろん「スクショチャンス」の知らせとしても優れていて、手軽にカッコいいスクショを撮影できるので、ついついスクショボタンに手が伸びます。本作はグラフィックの品質が高く、荒れたルビコンでの激しい戦いや派手な爆発などもかなり映えます。重厚感のある金属音や耳に気持ち良い爆発音などサウンド面もよくできており、特にカッコいい場面はスクショと言わず映像クリップとして残したくなります。

こういった「自分だけのこだわり」をしっかりと受け止めてくれる要素やカッコよさを演出する工夫によって、ロボットにあまり興味のない筆者でも魅力的に感じることができました。いわゆる“スーパーロボット”にはまだ興味を持てていないものの、素朴で任務遂行に特化した「傭兵が使う道具としての機体」のロマンやリアル系のクールさは、ある程度理解できたと感じています。


『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』は、ロボゲー初心者でも充分に楽しめる完成度の高い高難度アクションゲームです。ハイスピードで激しい戦闘ははじめこそ驚いてしまいますが、チュートリアルを経ることによってすぐに馴染めます。手強く心が折れそうなほど難易度の高いボス戦が数多く待ち構えているものの、スタッガー要素によって強い爽快感と達成感を感じられる作りになっており、アクションゲームファンとして心を奪われました。

アクションゲームが不得意なゲーマーがクリアまで楽しめるかは未知数ですが、少なくとも普段アクションをプレイしている方は必要以上に身構える必要はないでしょう。

自分だけのカッコいい機体を作る!という欲望を受け止めてくれるところも素晴らしく、自分だけの装備やフレームを組めるアセンブルやロールプレイを反映させられる機体デザイン、強敵撃破時のスローモー演出など自機に愛着の湧く要素が数多く備わっています。

そこまでロボ系コンテンツが好きじゃない人、自分がロボ好きかわからない人でもロマンを感じたり、かっこいいと思える力を秘めています。もしロボ自体にそこまで興味がなかったとしても、「魅力的なキャラや引き込まれるストーリーが好き」というゲーマーには広くオススメしたい作品です。

総評:9/10
良い点
・爽快感や達成感を強く感じられる戦闘デザイン
・キャラクターを直接出さずとも魅力的に描いている
・ロボットがカッコいい!と素直に思える要素や演出

悪い点
・序盤で使える資金が少なく、アセンブルの魅力と高難度なアクションが噛み合っていない


なおGame*Sparkの『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』レビューでは、普段の星3つではなく10点満点での評価を行っています。他の「VI」本のレビューとあわせて、最終的な点数とレビューまとめ記事を掲載予定なので、そちらもご期待ください。



《みお》

超雑食の若年ゲーマー みお

2021年3月よりフリーでゲームライターをしています。現在はGame*SparkとIGN JAPANで活動し、稀にINSIDEにてニュース記事を執筆しています。お仕事募集中。ゲームの趣味は雑食で、気になったものはクラシックゲームから新しいゲームまで何でも手を出します。主食はシューター、ADV、任天堂作品など。ジャンルやフランチャイズの歴史を辿るのも好きです。ゲーム以外では日本語のロックやアメコミ映画・コメディ映画、髪の長いお兄さんが好きです。

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