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Game*Sparkレビュー:『Starfield』―宇宙版『スカイリム』の巨大さと限界

発売から約一ヶ月、みっちりプレイした上でレビューをお届けします。

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Game*Sparkレビュー:『Starfield』―宇宙版『スカイリム』の巨大さと限界
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注意: 本記事には『Starfield』のネタバレを含みます。
未プレイ/未クリアの方は閲覧の際にご留意ください。


発売から一ヶ月を迎えたベセスダ・ソフトワークスの大作RPG『Starfield』。Steamを見るとプレイ時間が100時間を超えているようなプレイヤーもそれなりに多くなってきており、本作を待ち望んでいたやり込み指向のプレイヤーがどれだけ多かったのか、ということに気付かされます。

かく言う筆者も、事前プレイからゆっくりと遊び続け、現在は3周目の途中。これまではクエスト中心だったプレイスタイルから打って変わって、現在は今まで無視してきた拠点制作などのクラフト要素に少しずつ手を出しています。ネット上には攻略情報が出回り、無限大に見えたゲームの全容も、かなり明らかになってきました。


つくづく思うのは、本作がプレイ時間によって違った表情を見せ、評価が変化しやすいゲームだということです。もちろん人によって印象は様々でしょうが、筆者の主観としては、まず冒頭の10時間ほどはゲームに慣れておらず、また説明も多くないのでワクワクする反面やや露頭に迷いやすいです。プレイ開始から20時間~60時間ぐらいが最も楽しく、このあたりでは本作が他に類がないほど面白く感じられ「え、こんなことも出来るの?」というような発見や「じゃあもっとこうしたい」という希望が多く出てきます。いまは100時間程度のプレイ時間になってきましたが、おおまかにテキストのあるクエストは尽きつつあり、現状のバニラ版『Starfield』の限界が見えてきています。

同じゲームを同じように熱中して遊んできた人のなかでも、本作は最終的な評価が分かれやすく(ある程度は楽しいゲームだとしたうえで)賛否両論になりやすい作品であるように思います。筆者としても、後半のゲームプレイについては様々思うところがあり、本レビューは周回プレイの内容を含むものとなっていますから、まだ『Starfield』を充分に遊びきってない方は注意して読むようにしてください。また、スクリーンショット撮影や記事制作のためにコンソールコマンドを使用したりもしているため、ご留意ください。そういったものを使用していない、先入観のないファーストインプレッションは事前プレイ記事を参照頂いたほうがよいかとおもいます。


都市と星

本作には無数の惑星/衛星/宇宙ステーションが存在し、その中には自動生成ではない「作られた」拠点を持つ場所があります。都市の多様さ、その面白さは本作の最大の魅力でしょう。

拠点の中で「大都市」と呼べるのはニュー・アトランティス、アキラ・シティ、ネオンの三都市です。攻略サイトによっては、ここに紅の艦隊の拠点である宇宙ステーション「キー」が加わることもあります。おそらく規模というよりは都市の持つ機能による区分なのでしょう。それ以外ではシドニアやホープタウン、ニューホームステッド、ガガーリン・ランディング、パラディーゾといった、中小規模の都市……というか拠点があり、それより小さい「クエストで訪れるだけ」のロケーションもいくつかあります。

基本的に一つの星には一つの拠点しか存在せず、あったとしてもクエスト用のダンジョンとか、都市に付随する建造物とか、そういう感じです。おそらく技術的に現在の地球のような「惑星のあちらこちらに都市があり、人が住んでいる場所」を作ることが困難で、だからこそ「地球が崩壊している」というような設定が選ばれたのでしょう。

主要な三都市は外観、バックストーリー含めそれぞれすばらしい出来栄えです。自然と共存した理想郷に見え、美しく開放感もあるが「汚いものにはフタ」的にスラムを巧妙に隠しているニュー・アトランティス。サイバーパンクっぽい雰囲気があり、「オーロラ」というドラッグの流通する歓楽街であるネオン。やや西部劇っぽい雰囲気があり「アシュタ」という外敵に常に晒されているアキラ・シティと、都市の歴史や前提がよく描かれており、興味深いので調べたくなります。また、かなりの量のクエストを受注することもできます。

宇宙海賊である「紅の艦隊」の拠点であるキーは、主要三都市よりは規模は劣りますが、クエストの進行させ方によっては自室を持つことができ、専門店やバーも備えています。余談ですが、良心を鑑みずに単に状況だけを比べるなら紅の艦隊クエストは紅の艦隊の味方をしたほうが圧倒的に得だと感じます。あまりに得すぎるので、ロールプレイを無視してでも紅の艦隊の味方をしたほうがよいとすら感じ、このあたり本作の「基本的には善人として遊んでほしい」というような作りと乖離してる気がしました。

他にもリゾート地である「パラディーゾ」や無骨な鉱山拠点である「シドニア」など中規模の拠点があり、外敵のあふれるダンジョンも“メインクエスト最後半で訪れるあの場所”や極寒の刑務所である「ロック」を始めとして、クエスト上訪れるべく設計されたものはおおむね魅力的であると思いました。本編で散々匂わされる上にロマンス対象の一人が関係者である「ヴァルーン家」の拠点などが描かれなかったのはダウンロードコンテンツ用なのでしょうか?

“作られた”拠点の量はいままでのベセスダのRPGや他社作品と比べて「あまりに少ない」とまでは感じていませんが、筆者の主観としては、プレイ序盤~中盤に抱いていたイメージよりはやや少なめに思えました。「まだ都市があるのかもしれない」と思っていたら、すぐに「ああ、やっぱないのか!」となってしまう、といいますか……。

本作にはとにかく無数の星たちが存在するわけで、普通に遊んでいればメインクエスト終盤に至ってもおそらくそのうちの10%も訪れていないわけですから、拠点数を多く見積もってしまいやすいのだと、筆者は感じています。

宇宙の規模を考えると当然ではあるのですが、偶然訪れた惑星に偶然ちゃんと作られた都市があるというようなことは、ゲーム序盤からしらみつぶしに着陸しまくるような特殊なプレイスタイルでもない限りはほぼ起こらないでしょう。ベセスダというデベロッパー、そして『Starfield』というゲームの見た目上、本作は規模を過大に見積もりやすいということは言えると思います。

自動生成的な拠点/ダンジョンはそれこそ大量に存在します。同型の拠点/ダンジョンの場合は内部構造などかなり共通しているので、何回も探索して面白いものではありません。

しかし種類は沢山あるため、筆者は見かけたら一応足を運ぶようにしています。地表を移動する手段が「走る」ことしかないため、探索はかなり大変なのですが……。自動生成的なものを含めると本作のボリュームはすさまじいものですが、徒歩の大変さもあり、やればやるほどボリュームの多くが空白に感じられます(事前プレイしていた時点では「流石に発見できていないだけで、なんらかのビークルはあるだろう」と思ってました)。

ストーリー/クエスト

クエスト/ストーリーのバリエーションの多さも本作の大きな魅力でしょう。メインクエストであるコンステレーションのストーリーも面白いかどうかはイマイチよくわからないですが興味深くはありました。

先程も言及しましたが、後半で訪れることになる場所にはかなり驚かされましたし、興奮もしました。もちろん褒められたことではないですが「物語の内容自体はなんだかよくわからない」というのは極めてベセスダのゲームらしい作りではあります。

長期的に連鎖していくような大規模なクエストには勢力クエストがあり、UCバンガード、自由恒星レンジャー、リュウジン・インダストリーズ、紅の艦隊/UC防衛システム(UCバンガードから枝分かれする場合もある)の四種類となっています。この四種類はどれも起伏に富み、さまざまな体験ができるので面白いです。リュウジン・インダストリーズの一部のクエストは低レベルで挑むとステルス重視でやや難しいため注意が必要です。

大規模クエストに加え、各都市をうろついているとそこら中にサイドクエストが生えてきます。サイドクエストには「どこかに何かを届けただけ」で完了してしまうような簡素なものから、興味深い内容を含むものまで多様なバリエーションがあり、そのうちいくつかはメインストーリーよりも遥かに心に残りました。また、こちらも名前のつかない自動生成というかコピペ的なクエストもあり、宇宙を放浪していると時々遭遇するので、冒険のいいスパイスとなっています。

筆者が特に面白く感じたサイドクエストは、偉人のクローンを使って謎の社会実験を行っているクルーシブルという場所にまつわる「スターシード作戦」というクエストです。どの勢力に加担するのかで結末が変わるため、周回ごとに結果を変えて楽しんでいます。プレイヤーごとの価値観や歴史観などが反映されやすいクエストになっており、興味深いです。たとえば「フランクリン・ルーズベルトが理性ある善人として描かれるのは違和感がある」と感じる場合、その違和感をゲームプレイにやや反映させることができます。

先程の都市のところでも述べましたが、勢力クエスト/サイドクエストの総量も途中で予期していたものよりは少なめだと感じました。もちろん他者の作品と比べて少ないわけではなく、それでも充分な量があります。体感では『Fallout 4』とだいたい同じぐらいのボリューム感でしょうか。このあたりも『Starfield』という入れ物が予期させるボリューム感が如何に過大であるか、という話だとおもいます。



《文章書く彦》
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