『Dungeon Drafters』は、ブラジルのインディーゲームデベロッパーManalith Studiosによる「カードが魔法として使われる世界」を舞台としたデッキ構築型ローグライクアドベンチャーです。本記事では、3月14日に発売されるスイッチ版の先行プレイレポートをお届けします。なお、ゲームプレイにおいてはDANGEN Entertainmentから提供された先行プレイ用のキーを利用しています。
魔法のカードの収集が魅力のローグライクADV!
本作のゲームプレイは、魔法と結びつきの強いファンタジー要素あふれるダンジョン攻略と、その合間に訪れることになる冒険者の町を交互に行き来することで進んでいきます。
ダンジョン攻略では、基本的に魔法のカードを用いながら敵を倒して進行することになります。カードの使用にはAPというポイントを使用し、一度使用したカードは墓地に送られ再度使用することは基本的にできません。そして、ライフが0になるとゲームオーバーになります。
魔法のカードは主に4種に大別されていて、これらを駆使してダンジョンを攻略していくことになります。
レイダー(赤):強力な攻撃系カード
範囲攻撃や、特定の対象に大ダメージを与えるカードなど
トラベラー(緑):機動力強化カード
移動カードや手札にカードをドローするカードなど
オラクル(水):変化系カード
フィールド上に味方スライムを召喚したり、自分のデッキを操作するトリッキーなカードなど
ワーデン(橙):回復系カード
回復カードや罠を設置するカードなど
本作ではダンジョン攻略に失敗しても、ダンジョンに入る前に用意していたカードなどをロストすることはなく、ダンジョン攻略中に手に入れたアイテムやコインなどを全て失うのみの構造になっています。
加えて、登場するカードは300種類以上におよび「とにかくカード収集をすることに励む」「一芸に特化した強力なデッキを構築する」「カードの相性を駆使して、自分なりのコンボを追求していく」など、様々なプレイスタイルを楽しめます。また、ルーンやキュリオといった、使用できる魔法の制限解除や強化ができるアイテムの収集も攻略の上で重要となります。
筆者が特に魅力を感じたのは「冒険者の町でクエストを受注し、ダンジョン内に落ちているパックを拾い集め、大切に町に持って帰り、開封する」という一連のゲームプレイ。様々なところでカードを集め、強い弱いにかかわらず思い出と深く結びついたカードでデッキを組むと、カードゲームにのめり込んでいた小学生の頃の思い出が呼び起こされます。
身を包みたくなるような幻想的なファンタジーと魔法の世界
ビジュアルにおいては、ダンジョンの攻略中に現れる2Dドット絵のキャラクター造形や不思議な魔法の演出が魅力的でした。本作のファンタジーベースの生活感あふれるデザインによって、ローグライクダンジョンに感じてしまいがちなダンジョンの無機質さは、ほとんど感じさせない作りとなっています。
ダンジョン攻略の合間に行く冒険者の町については、全体のデザインやNPCはもちろん、風に舞う葉や、鳥がマップ内をはためく描写なども魅力的であり、ずっとここに佇んでいたいと感じる場面もありました。一部の背景は立体感がうまく成立していないモノもあり、プレイヤーの想像力で街の情景描写を補っていく必要があるとも感じます。
翻訳については、3月8日の時点では「魔法がカードでカードが魔法の冒険の地」というテキストが現れるなど、日本語版としての品質は低いと言わざるを得ません。加えて、用意されたテキストボックス内にセリフが納まっていない場面も見られるので、繊細な筆致を楽しみたいプレイヤーとは相性が悪いと言えるでしょう。
サウンドについては幻想的な雰囲気を感じられ、ダンジョン戦闘中に流れるBGMもカードバトルを彩る力強さを持っています。『聖剣伝説2』などのサウンドを手掛けた菊田裕樹氏がゲストコンポーザーとして楽曲を提供しているので、JRPGミュージックが好きな方は一聴の価値があるでしょう。
幻想的なサウンドに包まれた、ファンタジーあふれる魔法の世界で、思い出深いカードを駆使し、目的のために先へと道を切り開いていく。そんな『Dungeon Drafters』のニンテンドースイッチ版は、本日3月14日より定価2,750円で発売されます。