2024年10月2日、もっともポピュラーなアメリカ英語の英英辞書であるメリアム=ウェブスターのオンラインサイトに、「beach read(スリラーやロマンスなど、軽い現実逃避小説)」、「freestyle(歌やラップ、ダンスを即興で行う)」といった200の新しい単語が追加されたことが発表されました。追加された単語の中にはゲーム関連用語として、「dungeon crawler」も含まれています。
実は歴史あるゲームジャンル「dungeon crawler」
「え、dungeon crawlerって何!?」と思われた読者の方もおられるかもしれませんので、さっそくメリアム=ウェブスターのサイトで「dungeon crawler」を引いてみましょう。すると、以下のような定義が登場します。
通常はランダムに生成される迷路やダンジョンのような環境を探索しながら敵を倒すことに主眼を置いたゲームプレイのビデオゲーム。

上記の辞書の解説がそのまま当てはまるゲームとしては『Rogue』(1980年)がまさにその通りのゲームといえるでしょう。また、『Rogue』の派生となるローグライクゲームとして、『(Lynley's) Dungeon Crawl』なる名前のローグライクも存在します。
上記の辞書の定義には「ランダムに生成される」という文言がありますが、実際のところ「dungeon crawler」というフレーズは「ダンジョンを探索しながら敵を倒すことに主眼を置いたゲーム」を指すジャンル名として英語圏では広く使われており、Steamのゲームのタグとしても「ダンジョンクロウル」がほぼ同義として使われています。


日本でもなじみ深いタイトルであれば、『ウィザードリィ』(1981年)に代表される3DダンジョンRPGや、『ディアブロ』(1996年)に代表される見下ろし型トレジャーハンティングRPGが「dungeon crawler」に該当するでしょう。

さらに元を辿れば、テーブルトークRPGの元祖である『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(1974年)もまさに「ダンジョンを探索しながら敵を倒すことに主眼を置いたゲーム」であったわけで、『D&D』をビデオゲーム化した各種作品群も「dungeon crawler」に該当すると筆者は思います。
以上の流れを踏まえると、上記の辞書に掲載されている「単語の使用例が1989年」という点には疑義を唱えたいところなのですが、何はともあれ、こうしたゲームジャンルが英語辞書に登録されるというのはゲームが文化として一歩進んだ証とは言えるでしょう。
なお、海外にはこうした「dungeon crawler」のゲームをデータベース化したdungeoncrawlers.orgというウェブサイトが存在します。日本製のゲームも多数網羅しているので、暇つぶしに見てみるのも良いかもしれません。
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