ネクソンは、2025年6月24日から26日にかけて「Nexon Developers Conference 2025(NDC)」を韓国にて開催しました。NDCは『メイプルストーリー』『ブルーアーカイブ』『デイヴ・ザ・ダイバー』などを手掛けるネクソングループをはじめとして、第一線の開発者らが集まり知識の共有を図るカンファレンスです。
本稿ではパク・ソリ氏によるセッション「『The First Descendant』におけるフォロースルーとオーバーラップアクション」をお届け。同氏による新しいUnreal Engine プラグイン「AnimPhys」が紹介されました。

NDCにて「KawaiiPhysics」を改良した「AnimPhys」が共有される
本講演では『The First Descendant』開発チームのパク・ソリ氏による、Unreal Engineのプラグイン「AnimPhys」がメインに紹介されていきました。「AnimPhys」は「おかず@pafuhana1213」氏が製作したプラグイン「KawaiiPhysics」を改良したもので、髪の毛などのアニメーションを“物理エンジンを模した挙動”にしていくプラグインです。
『The First Descendant』などの開発現場において調整した実際のプラグインも(URL経由で)配布されました。

Unreal Engineの基本機能よりクオリティが高いから使用していたという「KawaiiPhysics」ひいては「AnimPhys」。「AnimPhys」の主な機能は2点で、ひとつはアニメーションの動作にあわせた自然な揺れを付与すること。もうひとつは床とメッシュとの衝突処理を行うことです。
これ自体は「KawaiiPhysics」と大きな違いはありませんが、あくまで『The First Descendant』開発の現場では、一部の古いプラットフォームにおける「KawaiiPhysics」の処理の遅さなどが問題になったといいます。また、ボーンツリーが増加すると、速度の低下や、キャラの移動時にぎこちない動きを招くことがあったのだそうです。

そこで「AnimPhys」を新たに開発し、ボーン処理などに改良を施しました。これによってキャラクターのヘッドメッシュの動きが61マイクロ秒から11マイクロ秒に改善できる結果などを得られたとのこと。
両者の違いは、「KawaiiPhysics」は「ComponentPoseを使用したSkeletal ControlAnimNode」であることに対して「AnimPhys」は「LocalPoseを利用したAnimNode」であることです。Damping反応なども改善が図られています。

詳細に関してはNDC公式YouTubeにて7月下旬から8月にかけて、順次動画が公開されていく予定なのでそちらをご参照ください。
当日の講演は韓国語で行われましたが、会場では日本語音声での視聴も可能でしたので、あくまで推測ではありますが日本語でも見られるような形になるかもしれません(※ただし一部セッションは非公開とのこと)。

なお、本稿で挙げられた「KawaiiPhysics」に対しての評価は本講演に基づくものです。各々の製作現場において「KawaiiPhysics」「AnimPhys」どちらが適しているかはケースバイケースだと思いますが、こうやって『The First Descendant』で用いられた「AnimPhys」の技術共有がなされたことは「NDC(Nexon Developers Conference)」の意義に沿った講演だったと言えるでしょう。
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