旅……とりわけ、ひとりでの旅は自由があります。自分で行き先を決め、気分で場所を変え、気を使わず好きなものを食べ……。みんなでワイワイ楽しむ「旅行」もいいものですが、「旅」には別物としての良さがあります。
2025年7月31日に発売された『風雨来記5』は、そんな「旅」の体験が詰まったゲームです。本記事では、プレイレポートをお届けします。記事の制作にあたっては、日本一ソフトウェアよりPS5版コードの提供を受けています。
三重を旅しよう。
本作は、2001年より続く「旅」アドベンチャーゲーム、『風雨来記』シリーズの最新作です。今回の舞台は三重県。旅雑誌のルポライターである主人公は、メディア対抗コンペ「みえコン」に参加するべく、バイクで三重県各地を1ヶ月の間旅します。
基本的な流れは、バイクに乗って三重の道を走り、各所にあるスポットを訪れるというもの。そこで写真を撮ったり、なにかを見たり体験したりして、その体験を1日の終わりに記事として公開します。
“景色ながら見”し放題運転!
バイクに乗って移動するシーンがひとつのゲームプレイとなっているのが本作の特徴ですが、『4』以降は360度回転可能なカメラ映像に進化したため、ツーリング体験がより没入感のあるものになりました。

現実で“ながら見”運転をしていたら危険極まりありませんが、本作では運転はオートなので、周りの景色を見渡し放題です。実在の標識や看板、建物などにぼかしが入っていることはないので、飲食チェーンが並ぶ国道沿いの風景から、生い茂る木々に囲まれた道まで、リアルな日本の風景を楽しめます。

筆者は中部地方出身なので、ドラッグストアチェーンの「V・ドラッグ」は馴染み深いです。観光客がよく訪れるスポットだけでなく、こうした「地元住民の生活と地続き」な風景を楽しめるのが本作の醍醐味です。
筆者はバイクも車も持っていませんが、風景を見るのは大好き。とりわけ、都会ではなく地方から田舎あたりの風景は特に好みなので、ついキョロキョロ見回してしまいます。ここまで「今の日本の風景」をゲームの中に収めた作品、他にないのではないでしょうか。


なお、本作ならではの特徴として、フェリーでの移動も追加。船内は流石にモザイクがかかっているものの、菅島などに向かうフェリーの旅を短いながらも楽しめます。前作は海のない岐阜県でしたから、ひとつ大きな特徴と言えますね。

あなたの知らないディープスポット
読者の皆様は、三重県についてどのくらい知っていますか?伊勢神宮、鳥羽水族館、志摩スペイン村、鈴鹿サーキット……有名な観光地はいくつも思いつくと思います。本作でも、もちろんそれらのスポットは楽しめるのですが、それだけじゃないディープなスポットも巡ることができます。その中から、筆者がグッときた2つをご紹介しましょう。
ひとつは桑名市にある「平群池」です。ここは、古代日本の皇族・日本武尊(ヤマトタケル)が戦に明け暮れ、帰路につく際、足を洗って疲れを癒やしたという池です。旅先でわざわざ池を見に行く、といったらなんとなく綺麗な池を思い浮かべますが……。

実際はかなり濁っています。「映え」とは程遠い状態と言えるでしょう。こうしたある種“リアル”な描写を大切にしているのも大きな魅力です。共感できる人、いますよね?

そんな中で、浮いた葉っぱや桜の花びらから顔を覗かせる鯉の姿を発見。こうした“自分だけが見つけた良いところ”感や、「魚にとっては住みやすい環境なんだろうなぁ」と思いを巡らせる、そんなマイペースな時間が流れます。

池の外では、「藤ノ森平太郎」という人物の碑石も見つけます。テキストの通り、調べてもインターネット上には情報が乗っていない人物で、 碑石にまでなっているのに、地元住民ですら限られた人しか知らない、もしかしたらもう知っている人はいないのかもしれない……そんな少し切ないスポットの風情も筆者の胸に残りました。
次は、三重県いなべ市の「下笠田八幡神社」へ。三岐鉄道北勢線の楚原駅は駅舎がとても小さく、「ローカル線」らしい味を感じます。


後ろを振り返ってみても、そこにあるのは昔ながらの雑貨屋と民家のみ。地元住民のための駅なのだなぁ、と感じさせます。左上にあるツタだらけの電線は味があるし、たばこの自販機というのも、ちょっと懐かしい感じがしますね。

探索してみると、ねじれた橋を見つけます。写真が歪んでいるのではなく、本当にねじれた構造をしているんです。どうでもいいといえばどうでもいいけど、妙に気になってしまうスポットは好奇心をくすぐられますね。

この八幡神社は、なんと入口がローカル線の線路の目の前。踏切と神社の組み合わせは……こう、なんとも非日常感がある不思議な光景です。

そばには、鳥居の前にとても背の高い電信柱2本が立っています。これは一体何なのだろうか、電車と関係があるんだろうか、周りが平らだからすごく目立っているな、なんかちょっと神秘的にも見えるな……。ひと目見るだけで、いろいろな考えが浮かび上がってきます。
創作のために作られたものではない、ひとつの本当にある風景から、いろいろなものを感じるこの体験。皆にわかってもらえるとは思いませんが、強く共感してくれる人もいるはず。そんな、筆者と感性が近い方、本作は絶対におすすめですよ。
本記事では「風景」や「ディープスポット」をご紹介しましたが、本作には他にも、可愛い「女の子との交流」や、超お腹が空くグルメ」などといった要素も存在します。今回は筆者が特に好きな部分にしぼりましたが、この2つも見逃せないメインフィーチャーです。景色も、食べ物も、出会いも、知らなかった場所も、いろいろなモノを内包した他にない「旅」体験が、本作にはあります。



『風雨来記5』は、PS4/PS5/ニンテンドースイッチ向けに発売中です。













