
皆さん、『不思議のダンジョン』シリーズは好きですか?入るたびに形を変えるダンジョン、正体の分からないアイテム、そして一歩ごとに進む緊張感。ターンベースのローグライクには、何度倒れても「もう一回」と潜りたくなる魔力があります。
そんな伝統的なローグライクに、Live2Dで動き回るフルボイスのヒロインと、ちょっぴり刺激的なスパイスを加えたのが、やぶから堂とSilver Sprout Studioが手がける『魔法少女ゆーしゃちゃんと淫獄の迷宮』です。
タイトルを見て「どんなゲームなんだ…?」と身構えた方もいるかもしれません。ですが本作は、R-15指定相当の一般向けタイトル。思わせぶりなセリフや際どいシチュエーションこそあるものの、直接的な成人向け表現はなく、中身は難易度高めの本格ローグライクに仕上がっています。
本記事では、10月9日の発売を目前に控えた本作をひと足先にプレイした模様をお届けします。なお、今回プレイしたのは発売前の直前ビルドのため、製品版とは異なる部分がある点はご了承ください。
アイドル魔法少女、悪の組織に敗れて迷宮へ

物語は、みんなのアイドル魔法少女「ゆーしゃちゃん」(CV:藤村莉央)が悪の組織にやられてしまい、不思議な迷宮へと送り込まれてしまうところから始まります。目指すのは、3つのダンジョンをクリアして元の世界に帰還することです。
収録されているダンジョンは、チュートリアルに加えて12階、20階、40階の3つ。さらにクリア後には99階のダンジョン「モンスタータワー」も解放されます。いずれも入るたびに構造が変わるランダム生成で、落ちているアイテムを拾い、モンスターや罠をさばきながら最深部を目指していく――という、ローグライク好きにはおなじみの流れです。

そして本作ならではなのが、画面のサイドに常にLive2Dのゆーしゃちゃんがいること。敵の攻撃を受ければ痛がり、レベルが上がれば決めポーズ。状況に合わせてエフェクトとフルボイスでリアクションしてくれるので、ひとりで黙々と潜るはずのダンジョン探索が、なんとも賑やかなものになります。
アイテムを「束ね」てピンチをくぐり抜けろ

『不思議のダンジョン』系に慣れた方ほど驚くのが、本作には「お店」や、持ち物をまとめて収納するアイテムがないということ。アイテムの持ち物枠をやりくりする定番の手段がないわけです。
その代わりに用意されているのが、本作独自の「束ね」システム。装備以外のアイテムを自由に合成でき、たとえば同じ効果の魔法の本を束ねれば使用回数が合算され、違う効果同士を束ねれば1つのアイテムで複数の効果を発揮させられます。つまり、束ねるほどに持ち物枠が空き、より多くの手札を抱えたまま奥へ進めるわけです。
とはいえ、何でも束ねればいいというものでもありません。どれとどれを組み合わせるか、どこまで1つにまとめるか。限られた持ち物をどう圧縮するかという判断が、そのまま生存戦略になっていきます。
宝石とリボンを“育てる”装備エンチャント
もう一つの柱が装備エンチャントです。本作の武器は「宝石」、防具は「リボン」。ダンジョンで拾える装備にはランダムな効果がエンチャントされており、ダンジョン内の「かまど」を使えば、装備同士のエンチャントを合成・強化できます。
エンチャントできる最大数は装備ごとにランダムで、一部を除き同じエンチャントを重ねるほど効果がアップ。強力なエンチャントが付いた“当たり”の装備を見つけたら、それをベースに育てていく楽しみがあります。また、エンチャントがたくさん付いた装備はダンジョンで失っても取り戻せるサポートシステムもあるので、手塩にかけた装備が一瞬で消える心配も少し和らぎます。
20階から始まる“正体当て”と、引き算の美学

20階のダンジョンからは、いよいよ未識別アイテムが登場します。本当の名前が分からないアイテムを、実際に使って確かめるか、識別アイテムを探すか。中には負の効果を持つ罠のようなアイテムも紛れているので、うかつに使うと痛い目を見ることも。深層へ進むほど未識別アイテムは増えていき、さらにゆーしゃちゃんのステータス次第では、一度覚えたはずの名前を忘れてしまうアクシデントまで起こります。
一方で、本作には“引き算”の設計も光ります。それが空腹度の扱い。ローグライクではおなじみの「お腹が減る」という概念が、本作では最終ダンジョン以外には存在しません。
つまり、空腹に追われて階段へ急ぐ必要がないわけです。階段を見つけてもすぐには降りず、フロアをじっくり探索してリソースを蓄える。そんな伝統的な駆け引きの面白さはそのままに、初心者が管理に追われすぎないよう整理されています。そのぶん意識を向けられるのが、先ほどの「束ね」によるアイテム管理というわけですね。もちろん最終ダンジョンでは空腹度が復活するので、ベテランの方は餓死との戦いも楽しめます。
我慢して「DSKB」パワーでぶっ飛ばせ

本作の戦闘で切り札となるのが、「DSKB(ドスケベ)ゲージ」です。……いきなり名前のインパクトが強いですが、中身はいたって真面目な戦略要素です。
このゲージは探索中やバトルを通じて上昇し、攻撃力が上がる一方で、集中力が散漫になったりスタン攻撃をより受けてしまうデメリットも抱えています。スタンゲージが最大になると、1ターンの間一切の行動が出来なくなります。一方溜まったゲージを消費すれば、部屋全体への(通路の場合は周囲8マス)必殺技を放つことが可能。囲まれて絶体絶命、というピンチを一発でひっくり返す逆転の一手です。
面白いのは、このゲージと必殺技が物語の進行とともに増えていくこと。最初はゲージ1本、必殺技も1つだけですが、12階のダンジョンをクリアするとゲージの上限が1本増え、必殺技も1つ追加。さらに20階のダンジョンをクリアすると、ゲージは最大の3本、必殺技も3つになります。
拠点を育てて強くなるタイプの成長要素はない本作ですが、ダンジョンを1つ越えるたびにゆーしゃちゃん自身の手札が増えていく。その手応えが、次のダンジョンへ挑むモチベーションになってくれます。
負ければ全ロスト。でも負けても“おいしい”

ローグライクである以上、避けて通れないのが“失敗”です。本作でも、ダンジョン攻略に失敗するとそれまで集めたアイテムはすべて消失してしまいます。アイテムを抱えたまま無事に帰るには、ダンジョンを最後まで踏破するか、「脱出の巻物」を使うかの二つに一つ。
……と聞くと厳しく思えますが、本作には救いも用意されています。それが、リザルト後に引けるガチャです。このガチャは、ダンジョン攻略の成功・失敗に関わらず引くことができ、アイテムがもらえます。もらえるアイテムはスコアが高いほど良いものが出やすくなる仕組みです。
そして驚いたのが、ダンジョン踏破に成功したときよりも失敗したときのほうが、良いアイテムが出やすいこと。つまり、倒れて持ち物をすべて失ったとしても、次の挑戦への足がかりはしっかり手に入るわけです。失敗が“ただの損”で終わらない。だからこそ、また潜りたくなります。
倉庫を使った“持ち込み”の立ち回りも
さらに拠点には倉庫があり、アイテムを預けておくことができます。そのため、「このダンジョンは難しい」と感じたら、ある程度アイテムを集めたところで脱出の巻物で帰還し、倉庫に預ける。これを繰り返して蓄えた装備やアイテムを持ち込み、改めて本格的な攻略に挑む――という立ち回りもアリです。一発勝負で踏破を狙うか、地道に準備を整えてから挑むか。プレイヤーの性格が出るところですね。
負けた先に待っているのは……?

なお、ダンジョン攻略に失敗すると、ゆーしゃちゃんはその後モンスターたちに襲われて、あんなことやそんなことに……。詳細はここでは伏せますが、一般向けの範囲で、ちょっと際どい展開が待っているとだけお伝えしておきます。
そういう展開が好きな方は、あえて負けてみるのも……? ほら、ガチャでも良いアイテムが出やすくなりますし。
ピンチのときも、つい触りたくなる

冒頭でも触れたLive2Dのゆーしゃちゃんですが、ただ画面の横で反応してくれるだけではありません。ゲーム中はいつでもマウスドラッグで触れることができるのです。
触れられるのは、頭・両ほっぺ・胴体の4か所。頭をなでなでしたり、両ほっぺを引っ張ったり、胴体をつかんで全身を揺すったり。触る場所によってさまざまなリアクションが返ってきます。特にほっぺを引っ張ったときには専用のセリフも用意されているので、ぜひ試してみてください。
しかもこのふれあい、ダンジョン探索中はもちろん、ストーリーのドラマシーン中でも可能。図鑑からドラマを再生している最中でも触れられるので、ゆーしゃちゃんがしゃべっている途中でほっぺを引っ張ると、引っ張られながらしゃべる……なんて場面も楽しめます。
モンスターに囲まれてどうしようか考えているとき、手持ち無沙汰でなんとなくゆーしゃちゃんを触ってしまう。開発元によれば、そんな遊び方もできるとのこと。張り詰めたダンジョン探索の、ちょうどいい息抜きになってくれます。
安心して遊べる配慮の数々

本作は配信や実況、動画投稿を歓迎しており、そのための機能もしっかり用意されています。
まずはシルエットモード。ゆーしゃちゃんのLive2Dの見え方を「通常」「シルエット」「半透明シルエット」の3種類から選ぶことができ、揺れの強度も10段階で調整できます。先ほど触れた敗北後の展開など、配信で映すのが気になる場面があっても、キーボードのPキーを押せば即座にシルエットモードのオン・オフを切り替えられるので安心です。
さらに伏字モードをオンにすれば、ドラマ中のセンシティブなワードが伏字になり、該当箇所のボイスもミュートされます。

そして、ぜひ活用してほしいのが詳細情報画面モード。持ち物や装備の一覧、ステータス、プレイ時間、経過ターン数を画面に常時表示しておけるモードです。自身の手持ちや状況をひと目で把握できるので、自身の状況をひと目で把握しやすくなるほか、配信であれば「その巻物、今使ったほうがいいのでは?」といったコメントでのアドバイスも飛び交いやすくなります。ローグライクは、見ている側もあれこれ口を出したくなるジャンル。視聴者と一緒に盛り上がれる工夫と言えるでしょう。
クリア後も終わらない。やりこみとFM音源の調べ

ボリュームも十分です。想定プレイ時間は、『不思議のダンジョン』系を初めて遊ぶ方でクリアまで約20時間、ローグライク経験者でも約5~10時間とのこと。さらにクリア後に解放される99階のダンジョンだけで、約10~20時間が上乗せされます。
やりこみ要素として、99階の「モンスタータワー」に、全100問の「パズルポータル」も収録。パズルポータルはギミックや罠をかいくぐるパズルで、解いていくうちに本編のダンジョン攻略にも役立つ“先読みの力”が自然と身についていきます。後半には、開発者自身も一度解いたきり解き方が分からなくなった難問もあるとか。加えて、無料DLCの「かにかま先生ボスバトル」も用意されています。

そして、冒険を彩るBGMにも注目です。PC-88ゲームの黄金期を思わせる、80~90年代風のFM音源によるオリジナル楽曲を多数収録。どこか懐かしい音色が、ダンジョン探索の緊張感をぐっと引き立ててくれます。

以上、『魔法少女ゆーしゃちゃんと淫獄の迷宮』のプレイレポートをお送りしました。
タイトルや題材のインパクトに目が行きがちな本作ですが、実際に遊んでみると、その中身は驚くほど真っ直ぐなローグライクでした。お店もない代わりに持ち物を圧縮する「束ね」、宝石とリボンを育てる装備エンチャント、そしてダンジョンを進むたびに増えていくDSKBゲージ。伝統の骨格に、本作ならではの手触りがしっかりと乗っています。
そして何より印象的だったのは、失敗を“損”で終わらせない設計です。負ければ持ち物はすべて消える。けれど、リザルト後のガチャは失敗したときのほうが良いアイテムが出やすく、倉庫を使えば準備を重ねて再挑戦することもできる。倒れるたびに、次はどう潜るかを考えたくなる――ローグライクの一番おいしいところを、きちんと押さえた作りだと感じました。
自分の知識とLive2Dのゆーしゃちゃんを相棒に、淫獄の迷宮へ。勝って帰るもよし、あえて負けてみるもよし。どちらに転んでも“おいしい”迷宮が、皆さんを待っています。
『魔法少女ゆーしゃちゃんと淫獄の迷宮』は、PC(Steam)向けに2026年10月9日発売予定です。
※画面は開発中のものです。











