【E3 2016】『仁王』開発者が語るそのディティール―あの"死にゲー"との差別化についても | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【E3 2016】『仁王』開発者が語るそのディティール―あの"死にゲー"との差別化についても

米ロサンゼルスで開催されたE3会場にて、コーエーテクモのTeam NINJAブランドシニアリーダー安田文彦氏に現在開発中の『仁王』についてお話をうかがってきました。

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米ロサンゼルスで開催されたE3会場にて、コーエーテクモのTeam NINJAブランドシニアリーダー安田文彦氏に現在開発中の『仁王』についてお話をうかがってきました。

3社合同の囲み取材となった今回、安田氏は前回の体験版に寄せられたフィードバックを反映させた新バージョンのデモを披露。新たな豊前中津ステージで体験版からどのように変わったかを解説し、UIやロックオンが改善された様子や、攻撃の手数が多い二刀流や火縄銃なども公開。また、安田氏へのインタビューも行われました。


――主人公・ウィリアムが日本中を旅するというストーリーになるのでしょうか。

安田文彦氏(以後安田): 戦国時代に詳しい方はお気づきになるかもしれませんが、舞台となる1600年は関ケ原の合戦の時代でして、数多くの武将や大名に出会いながらいろいろな街に行くという内容となっています。主人公のウィリアム・アダムスは三浦按針という名前で知られている史実の人物を基にしており、イギリスから徳川家康に仕え侍になったという、かなり稀有な人生の持ち主です。彼の歴史で残っている隙間をゲームで埋める形になっています。

――つまり、さまざまな場所に行ったときに歴史上の人物にも出会うと?

安田: そうですね。それを期待されている方も多いのではないでしょうか。戦国時代は人気のある武将も多くいますし、トレーラーで見てもらえるように服部半蔵なども登場しており、ウィリアムとどのように絡んでいくかが見どころとなっています。

――大分県が重要な舞台となるゲームは世界初だと思いますが、なぜそのロケーションが選ばれたのでしょうか。

安田: 史実ではウィリアムが臼杵や中津を訪れているので、それに沿った形となっています。私自身、ゲームのために臼杵の黒島まで足を運んでいます。

――プレイアブルキャラクターはウィリアムだけになるのでしょうか。

安田: 彼が主人公としていろいろな人物に会っていくゲームですので、基本的にはそうなのですが、オンライン要素の兼ね合いもありますので見た目のカスタマイズは検討しています。

――今回、アンケートでは欧米での評価が非常に高かったのですが、どういった部分がユーザーに刺さったのでしょうか。

安田: E3に来て欧米のメディアさんと話す機会が多かったのですが、日本やアジアの反応では突き放された感じで難しいという意見が目立っています。欧米でも不親切さや理不尽さは日本と同じくらい嫌がられるのですが、自分で見つけて攻略していく部分が楽しいとという意見も聞きます。

――『仁王』のゲームシステムは『ダークソウル』と比較されることも多いのでは。

安田: ほぼ毎回聞かれますね(笑)。開発チームが『ダークソウル』の大ファンだというのがまずあります。また、Team NINJAでは『NINJA GAIDEN』という難しいゲームをずっと作ってきていますが、アクションRPGを作るのは初めてだったので、『ダークソウル』や『ブラッドボーン』、けっこう前のゲームですが『鬼武者』、海外のゲームで言うと『ディアブロ』といったハクスラの要素も取り入れています。開発チームのいいとこどりという面もありながら、死にながら強くなっていくことをテーマにしていますし、侍は死を恐れないという親和性と刀のアクションは、Team NINJAが得意としていますので、そこは差別化できているかなと思います。

――『ディアブロ』の影響も受けているとのことですが、トレハン要素もあるということですか。

安田: そうですね。好きな人と嫌いな人の意見がはっきり分かれる要素です。難しいだけというのは結構簡単に作れると思うのですが、難しいけどまだやってみようと思わせるのは難しいのです。やはり達成感が大事だと思っているので、倒した時にアイテムがバンと出るというのはわかりやすい報酬として気持ち良さにつながってるのと思うので、そういった部分と親和性が非常にいいかなというので狙ってやっています。


――開発の進捗具合はいかがでしょうか。

安田: 現在、6、7割といったところでしょうか。

――2005年に最初の発表がされた仁王ですが、現在まで開発はどのように行われていたのでしょうか。

安田: もともと、テクモとコーエーが合併する前から発表されていたタイトルで、私はテクモのTeam NINJAだったのですべてを知っているわけではありません。ただ、「金髪の外国人の主人公が戦国時代に侍になって大活躍する」というのはプロデューサーでもあるシブサワ・コウが絶対にやりたいと10年以上言っていて、彼の中ではずっと生きていたと思います。3、4年前にTeam NINJAにその話が来て、じゃあやりましょうという話になってからは、現在の死にゲーとしてやることになりました。

――死にゲーというのはTeam NINJAの方から提案したと。

安田: Team NINJAが難しいゲームを作っていたというのと、フロムさんのゲームだったりとかそういった市場があるという判断がありましたので、こちらからシブサワさんに提案ました。シブサワさんも『ブラッドボーン』とか大好きだということで、そこで勝負をしようかと。

――現在のシブサワさんの反応はいかがですか。

安田: 1番プレイしているかもしれませんね(笑)。「死んだよー」とニコニコしながらプレイしてくれていますね。

――史実では三浦按針ことウィリアム・アダムスと武将のかかわりはあまりなかったと思うのですが。

安田: そこはロマンがあるということで(笑)。米国では1980年に放送されたテレビ番組『将軍 SHOGUN』が三浦按針をモデルにしています。トム・クルーズの『ラストサムライ』も海外の人物が侍になりますので普遍的な魅力があるのかなあと。今作はゲームなので、もっと掘り下げていろんな登場人物と仲良くなっていい刀をもらったりと本田忠勝のトンボ切りとか手に入ることがあるかもしれません。

――この時代はさまざまな流派や剣技があったと思うのですが、それらは再現されているのでしょうか。

安田: そこは丁寧にやっていこうと考えていて、最初はわからないけどウィリアムが侍として成長していくとう、アクションの面でもストーリーの面でも描きたいと思っています。当時、九州ではタイ捨流など有名だったと思うのですが、そういうものも出てきます。

――流派を身に着けていくということですね。

安田: ただ、流派そのままの技ではなくアレンジしている部分もあります。実際の上段、中段、下段では変な形の兜を被っているとめりこんでしまうこともありますので、八双の構えに近いものになっていたりします。流派の技もそのままでは地味なものは外連味を加えています。詳しい方には「おっ」と思う人物もゲームには登場するので、そこは楽しみにしていてください。


――ゲームのプレイ時間というのはどれくらいの長さになりますか。

安田: 30~40時間を想定しています。死んでうまくなっていく部分も含めてですが。

――リージョンによって難易度は変更するのでしょうか。

安田: 欧米とアジアで意見がかなり違ったので検討はしたのですが、こういったゲームはクリアした達成感という体験を共有されるべきだと思っています。アルファ体験版も難しいゲームという側面があったと思いますが、多くの人がニコ生で配信してくれていいたりPS4でたくさんシェアされていた部分もあります。

どうやってクリアするんだろうという部分や、人が負けるのをみるのも面白いというところもありますので、そういった感情がシェアされるときに難易度が違ってしまうと共有しづらいので、そこは一つのモードで共有しようかと。

ただ、アクションゲームが得意な方と苦手な方がいらっしゃると思うので、そこをケアするために協力プレイであったり、RPG要素で一気に進むことはできないけど、「サブミッションで稼ぎなどでプレイヤーがレベルアップや良い装備をそろえてまた挑戦する」という形でセーフティネットを何重にもかけてあります。アクションゲームやRPGが得意じゃない方、難しいゲームが苦手という方でも楽しめるようにはしようと思っています。ストーリーがしっかりあるので、ぜひ最後までやっていただきたいですね。

――E3にも出展しているわけですが、日本と欧米は同時期にリリースを考えていたりするのでしょうか。

安田: グローバルで同時期発売を目指しています。2016年中に...!『FF15』も『トリコ』も発売するので、私たちも頑張って年内に発売したいと思っています(笑)。まずは8月に新しいアルファ体験版を公開しますので、それをプレイしていただいてフィードバックももらえれば、そういったものも踏まえて発売に向けていけると思います。

――本日はありがとうございました。


『仁王』は2016年発売予定です。

(C)コーエーテクモゲームス All rights reserved.

※UPDATE:本文中の誤字を修正しました。コメント欄でのご指摘ありがとうございます。
《Daisuke Sato》
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