
3月25日、チェコ・プラハに開発スタジオを構えるWarhorse Studiosを訪問。現在は『キングダムカム・デリバランス II』の追加ダウンロードコンテンツを制作している本スタジオでは、作中の「リアルな中世」を再現するためゲームデザイナーやアートデザイナーのこだわりの数々や、主人公ヘンリーをはじめとした役者たちが演じる、白熱のモーションキャプチャー収録現場を体感できました。
『キングダムカム・デリバランス』開発に特化したチェコの名門スタジオ
そもそもWarhorse Studiosとは、2011年にダニエル・ヴァーヴラ氏と、Bohemia Interactive の元プロデューサーであるマルティン・クリーマ氏によって共同設立されたゲーム開発会社。2018年に『キングダムカム・デリバランス』を、2025年には『キングダムカム・デリバランス II』を開発。2019年にはPLAION(プレイオン)の傘下となっており、現在は200人以上の従業員が在籍しています。

役員室の前には、2017年に『キングダムカム・デリバランス』にて、2024年には『キングダムカム・デリバランス II』にて、gamescom awardの「Best PC Game」を受賞したトロフィーが展示されていました。



徹底した資料収集と、白熱のモーションキャプチャー
それではオフィスツアーへ。まずはプログラミングルーム。『キングダムカムデリバランス2』のPC、Xbox、プレイステーション、全てのバージョンがここでプログラミングされています。

続いてテスタールーム。テスターは25人在籍しており、外注の人数も含めると100人以上のメンバーでデバッグにあたり、プレイヤーから寄せられるバグ対応などをしています。特にデバッグでは、開発した各要素を繋げた際に生じがちなバグに特に注意を払っているといいます。

続いて、ゲームデザイナーたちが集まるルームへ。彼らが一つ一つのクエストやストーリー、グラフィックの基本的な部分、俳優のセリフなどすべての監修を行なっているとのことです。

壁面には俳優さんが本スタジオにやってくる時期のリストも。カットシーン制作時に問題が見つかった場合、プログラミング面の問題であれば社内で簡単に解決できるものの、俳優はアメリカやイギリスに住んでいることなどがあり、ボイス面の問題は再収録の対応などが非常に難しいそう。そこで、彼らのスケジュールをチームのメンバーがいつでも見れる環境にしておくことで、次の再収録のチャンスを逃さないように気を配っているといいます。

続いてアートデザイナーのルームへ。人間のアニメーションは全てモーションキャプチャーで行われており、腕の動きだけでなく顔の表面の筋肉まで、キャプション後に細かく調整をしています。

また、中世時代の村や森を制作する際、徹底的にリサーチをして、チームでイメージを共有した上で制作を行なっているとのこと。ゲームデザイナーが文章で出したアイデアを、コンセプトアーティストがビジュアル化し、それぞれのアーティストが具体的な制作を行なっているそう。とにかくリアルな中世時代を作ることを目的にした本作では、写真撮影や資料収集などをものすごい量こなしたといいます。


デスク脇の資料スペースを覗かせていただくと、トロスキー城、フス戦争といった中世時代のチェコにまつわる文献の数々や、『キンダムカム・デリバランス』はもちろん、『アンチャーテッド』をはじめとする他作品のアートブックなど、さまざまな資料にあたるリサーチへの徹底ぶりが手に取るようにわかります。


また、本スタジオでは川谷久海さんという、日本人のコンセプトアーティストの方も在籍。久海さんがなぜチェコの地でゲーム開発の道を歩んでいるのか、別記事にて個別のインタビューを行なっておりますので、ぜひご参照ください。


最後にモーションキャプチャーのスタジオへ。撮影は2人のゲームデザイナーが監修を務め、彼らの指示のもと俳優たちの演技が行われているとのこと。他にも英語表現のチェック担当者やエンジニアの確認を挟みながら、迫真の演技が繰り広げられていました。



収録後、『キングダムカム・デリバランス II』のヘンリー役、トム・マッケイ氏に話しかけに行ったところ、「今日の収録は非常にエキサイティングだと感じたな。君もそう思うだろ?」とのコメント。Warhorse studiosは熱気とこだわりに溢れる空間となっていました。
協力:チェコ政府観光局