気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、The Laba氏開発、PC向けに10月21日にリリースされた食堂デザインシミュレーション『Midori no Kaori』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、和の要素を備えたレストランを構造から細部の装飾まで自由にデザインするカジュアルなシミュレーションゲーム。勝敗やルールなどは特になく、ユニークな空間の演出を通して自分の考えを形にし、来店客たちをもてなすことができます。日本語にも対応済み。
『Midori no Kaori』は、1,200円(10月29日までは10%オフの1,080円)で配信中。


――まずは自己紹介をお願いします。一番好きなゲームは何ですか?
The Laba私の名前はThe Labaと言います。イタリア・ミラノ出身の個人開発者です。中学生の頃、小規模なゲームやコードの断片をいじり始めたことがきっかけで、プログラミングに情熱を持つようになりました。
成長するにつれて、『Half-Life』『Portal』『BioShock』と言った名作に強く影響を受けました。これらのゲームは、私の中で「雰囲気」「物語の作り方」「感情の没入感」と言うものを形づくった作品です。
――本作の特徴を教えてください。また、そのアイデアはどのように思いついたのでしょうか?
The Laba本作のアイデアは、日本へ旅行している時に思いつきました。私はもともと日本の文化や美意識に強く惹かれていて、その頃は日本の神話や精神的な世界についてたくさんの本を読んでいました。そして、その「静かでどこかもの悲しい美しさ」を表現したいと思ったのです。魂や記憶が、小さな優しさの積み重ねによって安らぎを見つけられるような、そんな場所を作りたいと考えました。
――本作の開発にあたって影響を受けた作品はありますか?
The Laba本作は、他の作品や映画、ゲームなどから影響を受けたものではありません。このコンセプトは、主に私自身の実体験から生まれたものです。特に日本を旅していた時、お寺や神話にまつわる場所を歩いて巡った経験、そして日本の精神文化や民俗学を個人的に学んだ時間が、この作品の原点となっています。

――本作の開発中に一番印象深かったエピソードを一つ教えてください。
The Laba開発の中で最も心に残っている、そして最も悲しかった瞬間は、私にとってとても大切な人を失ったときでした。その人は、本プロジェクトを当初から本気で信じてくれていた存在だったのです。残念ながら、その人は完成したゲームを見ることはありませんでした。その出来事をきっかけに、本作は私にとって、より深く個人的な意味を持つものになったのです。
――リリース後のユーザーのフィードバックはどのようなものがありましたか?特に印象深いものを教えてください。
The Labaリリース以来、本当にたくさんのメッセージや心温まるエピソードをプレイヤーの方々からいただきました。その中でも決して忘れられないのは、最近お母様を亡くされたと言う方からのメッセージです。その方は、「食事や優しいつながりを通して魂を癒す」と言うテーマを持つ本作をプレイすることで心が慰められた、と話してくれました。そして、自分の母親もあのような穏やかな場所にいるのだと想像するのが好きだとも言ってくれたのです。
そのような言葉をいただくたびに、私は「なぜ自分がゲームを作るのか」と言う理由を改めて思い出すのです。
――ユーザーからのフィードバックも踏まえて、今後のアップデートの方針について教えてください。
The Laba今後の予定としては、まずプレイヤーの皆さんからいただいたフィードバックをもとに本作を磨き上げ、残っているバグを修正することから始めます。大きな新機能を追加する予定はありませんが、いくつか新しいショップアイテムを入れるかもしれません。
その後の目標は、本作をスイッチやプレイステーション、Mac、Xboxと言った、より多くのプラットフォームへ展開することです。
そして、本作が完全に出来上がったら、すぐに本作の続編またはスピンオフにあたる、より大きく、より野心的なプロジェクトの制作に取りかかる予定です。その作品では、日本の民俗や伝承の世界を、さらに深く掘り下げていくつもりです。
――本作の配信や収益化はしても大丈夫ですか?
The Labaプレイヤーの皆さんがYouTubeやTwitchで本作のゲームプレイを配信したり、収益化したりしてくださるのは大歓迎です。人々がそれぞれの体験を共有してくれるのを見るのは、本当に嬉しいことなのです。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
The Laba読者の皆さんへ…もし何か情熱を注げるものがあるなら、どんなに時間がかかっても、どんなに難しく思えても、その道を信じて進んでください。小さな一歩一歩が、必ずあなたの夢へとつながっていきますよ。
――ありがとうございました。


◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に700を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。








