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体験版がチームの“万能薬”に…鳥山氏らによる『ファイナルファンタジーXIII』事後検証

昨年の12月に日本で、今年の3月には海外で発売された ファイナルファンタジーXIII 。商業的には大きな成功を収めつつも、作品の出来については厳しい評価が相次いだ本作、Game Developerでは、ディレクターの鳥山求氏らによる“ポストモーテム(事後検証)”を掲載、苦

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昨年の12月に日本で、そして今年の3月には海外で発売されたファイナルファンタジーXIII。商業的には大きな成功を収めつつも、作品の出来については厳しい評価が相次いだ本作、開発陣からはそれを示唆するかのように、開発の苦労をにじませる発言も出てきています。

海外誌Game Developerでは、ディレクターの鳥山求氏らによる“ポストモーテム(事後検証)”を掲載。姉妹サイトのGameSetWatchではその一部が紹介されています。ゲームの内容についてはユーザーからも具体的な指摘がありますが、これは開発レベルでの事後検証となっており、様々な苦労がうかがえるものとなっています。

■ビジョンの“非”共有
FFXIIIは、2006年のE3で、“ファブラ ノヴァ クリスタリス”の発表に沿って、コンセプトトレイラーを通じ最初に公開されました。そのトレイラーは単にビジュアルコンセプトを示すだけで、その時点ではプレイアブルなものは何もつくられていませんでした。

私はこのトレイラーが、戦闘のスピードやカットシーンの表現に関し、我々が目指すべき品質を設定してくれたと感じていました。そしてこの感覚がチームのみんなにも共有されているものと信じていました。しかしながら実際には、FFXIIIで達成すべきものを表現したものとして、このトレイラーを見たメンバーはほとんどいないことが明らかになりました。ビジョンの共有が果たせなかったことは、開発後期に起こる多くの衝突の原因となったのです。

■ユニバーサルなエンジン、そしてスペックの決定
もうひとつの問題は、ユニバーサルなゲームエンジンでした。我々は、全てのプラットフォーム対応の次世代ハードウェア向けエンジンを構築することにこだわり、その時に進行中だったすべてのプロジェクトに適用させようというミスを犯すことになりました。振り返ってみれば、それらのニーズの全てを満たすことが不可能なことは明らかだったはずです。

結果として、我々は多岐にわたる要求の全てに応えることにかなりの時間を費やすこととなり、最終的なスペックを決定することがいつまでたってもできませんでした。ゲームエンジンのスペックが決まらなければゲームもつくれない。これでエンジン開発チームもゲーム開発チームも立ち止まらざるをえなくなりました。結論無しで進行する議論のように、タイムテーブルも影響を受けました。

■遅すぎた海外テストプレイ
現行のゲーム機が発売される前でさえ、西側のゲーム市場の勢いが増しているのは明らかで、我々はそれを無視することができませんでした。その時に最も目立っていたのは、JRPGに対する厳しい批判でした。「リニア」と「コマンドベースの戦闘」は否定的に捉えられていた二大要素です。この点についてはチームも意識していたことであり、JRPGが西側で未だに受け入れられるのかどうか、懸念すべきことでした。

FFXIIIの使命はワールドワイドでの成功であり、フランチャイズの将来に深く影響を及ぼすことも考慮したため、この問題を無視することができませんでした。同じ頃、我々は西側の開発メソッドによる実験を行っていました。そこでは、過去のプロジェクトではめったに行われなかった、グローバルなフォーカスグループによるディスカッションがありました。同時に、スクウェア・エニックスはFFXIIIを含む、特定のタイトル向けの国際的なフォーカスグループを立ち上げました。

残念なことに、すでに開発はかなり進行していました。テストプレイから多くのフィードバックを得るには遅すぎたというのは分かっていましたが、それでも我々はその機会を得ることにしました。これはゲームの発売前に、西側のプレイヤーがどういった反応を示すのかを知る唯一のチャンスだったのです。いくつかの不都合もあり、フォーカスグループのセッションへ向けた準備に多くの時間を裂くことができませんでした。しかし、なんとかグローバルな形でのテストプレイやインタビューを行うことができました。たとえ多くのフィードバックを適用するには遅すぎたとしても、多くのチームメンバーはそのテストに価値を見いだせたはず。様々な国のプレイヤーが何を望むのか、という点についての洞察をチームに与えたのです。

検討されていた変更については、コミュニケーションラインの不足により、開発チームは明確な指示を受けていませんでした。これにより、すでに厳しいスケジュールの中で、それらの変更を強いるだけの価値があるのかどうか、チームの中で衝突を引き起こすこととなりました。

■デモを通じてビジョンの共有へ
開発の後期に至ってさえ、我々はゲームのキー・エレメントについて共有できていませんでした。これはまとまりのあるビジョンの欠如、最終スペックの欠如から生じたものでありましたが、同時に部門ごとのコミュニケーションにも問題を残していました。

この終わりの見えない衝突を克服するきっかけとなったのは、(FFVII: ACCに同梱の)FFXIII体験版の開発プロセスでした。デモの開発は当初のプランには無かったので、それに対応するために全てのスケジュールを調整する必要がありました。ただ、デモの制作がスケジュールにどんな影響を及ぼそうと、その完成は我々が必要としていた万能薬であったという考えに至りました。

実際にプレイされるゲームの具体的なバージョンの制作により、内部の議論は抽象的なものから、より具体的なものへと移行。デモは、ゲームの方向性におけるビジョンと理解を開発チーム全体で統一しただけでなく、初めてこれまでの仕事がゲームの中でどう機能するのか、正確に見ることができるものでした。内部のポストモーテムの間に、そのデモにより多くのチームメンバーがFFXIIIのビジョンを認識し受け入れるに至ったのです。

Vertical slice(※)は西側の開発においては一般的ではあるけれども、会社の要求がなければ我々のチームで実際に試みることは決してなかったでしょう。振り替えてみれば、デモは我々のVertical sliceの役割を果たし、その効果をチームのどのメンバーも互いに十分に思い知ったはずです。これはどのようにゲームの開発を前進させていくか、という点に影響を与えた非常に重要なラーニングポイントでした。
※Vertical slice―プロジェクトの(ほぼ)全ての構成要素を合わせて進行度を表出させたもの

■デモ開発による要素や進行度の明確化
学習体験としてデモを使い、チームは開発の残りの部分に関してマネージメントとプランニングをより良く行うことができました。デモの開発は、過去にはまとまりを欠いた全ての要素を明確にし、残りのスペックを決定するプロセスのスピードをあげました。

あらゆる角度から良く見える十分に精緻なものを作る代わりに、実際にゲームでそれがどのように使われるのか正確に把握することで、チームはプロジェクトの各エリアでそれがどのように機能するのかを正しく知ることができました。これはプライオリティーを見極めるチームの能力を高め、結果として生産性は高まったのです。全体的な作業負担の十分な理解により、非常に効果的なスケジュールの構築を行う能力もそうです。新たなスケジュールはとても効果的でした。実際に我々は作業工程をみだすことはありませんでした。


コンセプトトレイラーによってFFXIIIの目指すべき目標を設定するも、ビジュアルだけではビジョンを共有することができず。そこにマルチなゲームエンジンの制作も加わり開発は混乱。西側市場を意識したテストプレイでは一定の収穫を得るが、それをフィードバックする余裕は無かった。ビジョンの共有ができなかったことが開発後半にまで影響を及ぼす中、当初は計画の無かったデモの開発により、チームはまとまりを見せ始める――。西側のプレイヤーによるテストプレイ、デモの制作。このふたつがもっと早い段階で行われていれば、FFXIIIはもっと違った作品として世に出ていたのかもしれません。(ソース: GameSetWatch)


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《Kako》

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