『トゥームレイダー』は伝統と革新の融合−Crystal Dynamicsダニエル・ビッソン氏インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『トゥームレイダー』は伝統と革新の融合−Crystal Dynamicsダニエル・ビッソン氏インタビュー

先ほどのプレイレポートに続いて、『 トゥームレイダー (Tomb Raider)』の開発元Crystal Dynamicsのダニエル・ビッソン氏にインタビューを行いました。ダニエル氏はユービーアイソフトで『レインボーシックス』や『アサシンクリード』などの開発に携わり、『トゥーム

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先ほどのプレイレポートに続いて、『トゥームレイダー(Tomb Raider)』の開発元Crystal Dynamicsのダニエル・ビッソン氏にインタビューを行いました。ダニエル氏はユービーアイソフトで『レインボーシックス』や『アサシンクリード』などの開発に携わり、『トゥームレイダー』では、ステージ構成やバトルシステムの構築、敵AIの開発などを手掛けています。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――まず最初に、ダニエルさんが本作で関わった部分を教えてください。

ビッソン氏:私は、主にゲームの基本要素を担当しています。コントローラーによる操作や、ステージ構成、戦闘システムなどですね。

――本作『トゥームレイダー』は、どんなゲームなのでしょうか。

ビッソン氏:主人公のララは大学を卒業したばかりの考古学者で、ドラゴントライアングルという海域にある島の調査に向かいます。ララは、その海域には邪馬台国があったのではないかと考えています。これが彼女の最初のチャレンジとなるはずでしたが、残念ながら船は嵐で難破してしまい、想定していなかった冒険が始まるわけですね。

――今回のララは21歳と言うことですが、なぜ若いララを主人公としたのでしょうか。

ビッソン氏:今回のテーマは「リブート」です。これは、トゥームレイダーという作品の原点に立ち返り、ララ・クロフトというキャラクターを再構築したいという考えから生まれました。筋肉ムキムキで偉大な冒険家のララではなく、女の子としての弱さを持ち合わせた若い女性を主人公にすることで、プレイヤーにも親近感を持ってもらえると思います。ちゃんとララのスタイルも「若さ」にふさわしいものになってますよ(笑)。


――生まれ変わったララ・クロフトの、注目すべき点はどこでしょうか。
ダニエル:今回私たちは、ララの感情をいかにプレイヤーに伝えるか、というところに苦心しました。ララがどのように成長するのか、何を感じているのかをゲームを通じて読み取ってほしいですし、それによってララとシンクロしてほしいですね。

――『トゥームレイダー』シリーズは、前作までに大きな人気を得ています。若いララではなく、これまでのようにララ・クロフトの次なる物語を描くという選択肢もあったと思うのですが。

ビッソン氏:ひとつは、『トゥームレイダー』という作品をこれまで以上のIPに成長させたい、アピールしたいという思いがあったからです。もうひとつは、ゲーム性を今のユーザーにあったものに変えるという意図です。前作の続きとなると、それまで積み重ねてきたものが時に邪魔をすることがあります。そういったものを排除して、新たな作品にするためにも、リブートという選択肢を選びました。

――では、『トゥームレイダー』はこれまでとは全く違った作品になっているのでしょうか。

ビッソン氏:いいえ、そうではありません。確かに新しい要素はたくさん入っていますが、『トゥームレイダー』らしさは失わないよう心がけています。いわば、古き良き伝統と、新たな改革の融合であると思ってください。ただ、言葉で言うのは簡単ですが、作品ができるまでにはいろいろとありました(笑)。私は、どちらかというと新たな要素を提案する側だったのですが、ノアというシリーズを通じて開発に携わっているディレクターとは何を入れて何を残すのか、ケンカになったこともありますよ。

――非常に大変な道のりだったのですね。その道のりを経て、残った「伝統」部分はどのようなところでしょうか。

ビッソン氏:例えば、見知らぬ建物やフィールドを探索するというポイントは、これまでの『トゥームレイダー』のエッセンスを引き継いでいます。それと、ララ・クロフトですね。彼女を再構築すると言いましたが、彼女の勇気や知性、好奇心などが失われたわけではありません。以前から『トゥームレイダー』シリーズをプレイしている人も、本作にふれてもらえれば「あ、これは『トゥームレイダー』だな」と感じて、楽しんでもらえると思います。

――今回は、グラフィックも素晴らしいものになっています。

ビッソン氏:そうですね。ただ、『トゥームレイダー』は映画ではないので、例えグラフィックがキレイであってもゲームプレイに支障があっては何にもなりません。ゲームとしての視認性と、グラフィックのクオリティー。このバランスが崩れないよう注意して制作しました。

――ダニエルさんが携わった操作面やバトルシステムについてお聞きします。本作から、操作面で大きく変わったことはありますか?

ビッソン氏:私が力を入れた点が3つあります。ひとつは、スムーズなアクションです。ひとつの行動を行った後、そのモーションが終わらなくても次の行動に移れるようなシステムにしました。次に、フィールドのあたり判定です。今回の探索範囲は非常に広いので、その広いマップを動き回ってもストレスを感じないよう、構築しました。そして最後にジャンプのアクションです。『トゥームレイダー』ではキーとなる動作なので、そのジャンプ中にもいろいろな行動ができるよう、自由度を大きく設定しています。

――『トゥームレイダー』の魅力の一つにパズル要素がありますが、そこは変化しているのでしょうか。

ビッソン氏:はい。意味のないアクションやフラグ管理で解けるものではなく、フィールドの構成やその場の状況から考えて自然なギミックになるよう苦心しました。


――戦闘システムは、前作から大きく変更していると伺っていますが、具体的にはどのような点が変わったのでしょうか。

ビッソン氏:まず、すでに体験されたように敵のAIがかなり賢くなっています。今回のテーマは「サバイバル」なので、彼らも自らを護り、生き延びるための最適解を常に探しています。AIの構築というのは、私のキャリアでは経験がなく今回が初めてでした。なので、自分自身にとっても非常にチャレンジングな仕事だったんです。しかし、苦労した分出来はとてもよくなっています。


――探索範囲が非常に広い、というお話がありましたが、広大なマップのゲームでは時に移動が苦痛になることがあります。『トゥームレイダー』ではその点を解消するような工夫をしているのでしょうか。

ビッソン氏:はい。まずひとつの方法として「ファストトラベル」システムを採用しています。これによって、プレイヤーは一度行ったキャンプに自由に移動することができます。さらに、すでに探索しているエリアでも、時間を変えて行ってみると違う敵が出ることもあります。ですので、一度行ったところでも緊張感を持って遊んでもらえるのではないでしょうか。

――『トゥームレイダー』は日本をモチーフとした作品となっていますが、現実の日本にあるエピソードや史実を参考にしていますか?

ビッソン氏:今回は邪馬台国と卑弥呼がテーマとなっていますし、第二次大戦を思わせるようなオブジェクトが出ることもあります。ですが、あくまでファンタジーだと思ってください。


――最後に、日本で発売を心待ちにしているファンに向けて、メッセージをお願いします。

ビッソン氏:スタッフ一同、自分たちがやってきた仕事を誇りに思っています。なので、日本のファンにとっても楽しめる、アピールできる作品であればいいな、と思っています。

――本日はありがとうございました。


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