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GDC 13: 開発しやすい環境、新しい入力デバイス、ソーシャル機能−様々な「種と仕掛け」が提案されたPS4の概要

2月20日(現地時間)に発表されたばかりのプレイステーション4。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は開催中のGDCでさっそく、「Playstation4 Overview for Developers」と題して講演を行い、より詳細な情報をあきらかにしました。講演を担当したのはSCEア

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2月20日(現地時間)に発表されたばかりのプレイステーション4。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は開催中のGDCでさっそく、「Playstation4 Overview for Developers」と題して講演を行い、より詳細な情報をあきらかにしました。講演を担当したのはSCEアメリカのクリス・ノードン氏です。

ノードン氏はスペックの掘り下げだけに留まらず、PS4を用いたさまざまなプレイスタイルについても、会場に集まった開発者に対してヒントを投げかけました。なお、残念ながら会場では写真撮影が禁止されていたので、文字だけのレポートとなりますが、ご了承ください。

PS4のめざすもの。それはすべての「人」や「コト」が統合され、新しい価値を提供することです。ノードン氏は「PS4時代では、たとえシングルプレイでも統合され、ソーシャルな体験ができるようになると確信している」と語ります。講演はまず、そのために必要なスペックの掘り下げからスタートしました。

既報の通り、CELLアーキテクチャのCPUを筆頭に、独自仕様の固まりだったPS3に比べて、PS4は x86アーキテクチャのCPUを搭載するなど、非常にPCに近くなっています。8コアのCPUと、テッセレーション(ポリゴンの自動分割機能)をはじめ、DirectX11.1世代の機能を独自に拡張した命令群を実行できるGPUを搭載。8BGのメインメモリも、高性能なPCで用いられる256ビット GDDR5を搭載し、メモリ帯域幅が176GB/秒を確保。「高速なCPUとGPUとメモリの組み合わせで、PS3のボトルネックを一気に解消する」というわけです。

ゲームの開発も64bit Windows7 OSを搭載したPCで行うことができ、マイクロソフトのVisual Studio 2010と2012の機能を統合した開発環境をはじめ、さまざまなツール群が当初から提供されます。コンパイラやデバッガー、CPUとGPUのパフォーマンスアナライザーをはじめ、便利なツールがてんこもり。各種ゲームエンジン(Blitz Games, Crytek, Unreal Engine)、物理ミドルウェア(Habok, PhysX)、オーディオミドルウェア(Audiokinetic, CRI, Firelight Technologies, CRI, RAD)、アート(Autodesk, Genomerics, Umbra)もしっかり対応。歴代PSの中で最も開発環境が手厚く整ったプラットフォームだといえるでしょう。

続いて解説はコントローラと専用カメラのPS4 Eye、そして両者の連携によってもたらされる、新しいユーザー体験の紹介に移りました。コントローラもまた既報の通り「デュアルショック4」という名称となり、デュアルショック3のスティックやボタン、センサー類に加えて、新たにタッチパッドとラインバー、そして共有ボタンなどが加わります。タッチパッドは1920×900ピクセル、2点認識が可能で、開発にはPS Vitaのゼスチャー認識ライブラリが提供予定となっています。

このほかコントローラには2基のステレオヘッドフォン端子と、1基のマイク機能を内蔵。ボイスチャットや音声認識に加えて、パーティゲームなどで特定のプレイヤーにだけ音声を出力するなどが可能だとしています。振動機能と組み合わせてコントローラがまるで生きているかのように感じさせたり、マルチプレイで特定のプレイヤー間の秘密通話が可能になったり、といったアイディアも提示されました。

コントローラ前面下部のラインバーについても補足が必要でしょう。これは色(青・赤・緑・ピンク)でコントローラの本体認識番号を示したり、バッテリー状態を示すだけでなく、ダメージを負うと点滅するなど、プレイヤーに対して新しいフィードバック情報を提供します。さらにPS4 Eyeと組みあわせると、ラインバーの色をトラッキング可能。PS4 Eyeでは別途、プレイヤーの表情もモニタリングでき、両者をあわせて個々のプレイヤーの認証が可能になるとしています。

これ以外にも講演では、デュアルショックとPS4 Eyeを組み合わせることで、これまでにないユーザー体験が可能になるというアイディアが、多数示されました。ボイスチャットやビデオチャット、顔認識によるログイン、音声認識をはじめ、レースゲームでは体を傾けることでハンドルを切ったり、FPSでは体を傾けて物陰から身を乗り出したり、といった操作も可能になるとしています。カメラによるモニタリングと音声の方向を組み合わせることで、画面分割のゲームでプレイヤーの位置が入れ替わっても、自動的に画面表示が修正されるといったことも可能になるようです。

このほかPS4 Eyeだけで、PS2で発売されたEyeToy系ゲームを提供可能。Playstation Moveにも対応し、頭部・手・マーカートラッキング、プレイヤー認識、シーンモデリングといった、新しい機能が使用可能になります。

PS4で搭載されるソーシャル機能の詳細も明らかになりました。最大の特徴はFacebookとの連携が進んでいることです。PS4のSNSは基本的に実名ベースに移行し、Open IDとPlaystationネットワークアバターで識別されます(もちろんソーシャルグラフの共有指定も可能です)。これによりゲーム中に自分の顔写真を登場させたり、フレンドの選択を確認するなどができます。既報の通り、コントローラの共有ボタンを押せばスクリーンショットや最新のプレイ動画を数秒間投稿することも可能です。マイクなどを使って、ゲームのライブ実況機能もサポートされます。

リモートプレイも強化され、特別なモードに設定しておかなくても、インターネットなどを経由して、PS Vita上でゲームがプレイできるようになります。特別なCPUパワーやメモリを必要とすることもないため、文字通り「家での続きを戸外に持ち出して」継続プレイできるようになるというわけです。ゲーム画面はストリーミングで配信され、クラウドコンピューティングのGAIKAIのノウハウが用いられる予定です。

既報の通り、スマートフォンやタブレットとの融合も強化されます。AndroidやiOS向けのアプリを用いて、PSNやPS4とインタラクションさせることが可能になります。アプリが対応していれば、スマホやタブレットでPSNやPS4の操作もできるというわけです。PS3と異なり、PS4ではダウンロードの完了とインストールを待つことなく、ダウンロードしながらゲームをプレイすることも可能になるため、遊ぶ前に長時間待たされることもありません。外出先からスマホなどでダウンロード購入しておき、家に戻ったらすぐにプレイする、なども可能です。

このように本セッションでは、▽さらに強力になったハードスペック▽これまでにない作りやすいゲーム開発環境▽高度にコネクトされたソーシャル体験や、ユーザーコミュニティとの連携▽コントローラとカメラの統合による新しいゲーム体験▽スマホやタブレットとの連携ーーといった具合に、PS4の可能性が余すことなく示されました。過去のPSフォーマットの立ち上げには見られなかった、非常にゲーム開発者視点に立ったプレゼンテーションだったと言えるでしょう。

もっとも、これらのビジョンも実際にゲームが登場しなければ絵に描いた餅にすぎません。これら「種と仕掛け」に対して、ゲーム開発者がどのように反応するのか、期待したいところです。
《インサイド》
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