――東京ゲームショウ2013の初日に『MGS V』のステージでのデモプレイで1ショットの演出をされていましたが、本編ではどうなっているのでしょうか。
小島監督:プレイヤーが操るカメラも、カットシーンのカメラも同じカメラです。ですので、1カメで繋がっていきます。それにより、カメラがロードなく進んで行くので、オープンワールドらしい没入間を醸し出しています。
――ご自身のツイッターで「敵の挙動が毎回違うので、予測できない」とツイートしていましたが。
小島監督:リニアのゲームって、FPSはどれも共通していますが、レールじゃないですか。でも『MGS』はそうではないので、一度見つかってしまうと見せたいゲームができなくなるんですよ。ただ、これって言うのは前作からもあって、リニアの状況だけど自由だったんです。本作では、そこにオープンワールド性を加えて、より自由度の高いものにしています。
――『MGS V』では、何か時代考証はありますか。
小島監督:『グラウンドゼロズ』は75年ですが、武器に関しては自分で色々と出来る予定なので、架空の銃ですね。銃以外にもヘリとかもそうなんで、なぜかと言うと…まぁなんとなく分かりますよね(笑)ただ、その時代にあったものを調べてから作っているので、時代らしさは出ていると思います。
――オープンワールドとのことですが、任天堂の宮本氏にインタビューした時に「ゲーム好きはいろいろと勝手に工夫をしてくれる。でもそうじゃない人は、それをしないのでゲームを難しく感じてしまう。そのさじ加減が難しい」と仰っていました。
小島監督:そうだとは思いますが、『MGS』をプレイする人はコアな人ですよね。本作は、ある意味ゲームデザインを排除しているんですよ。でもよく「○○の要素を取り入れて『MGS』らしさがなくなっている」と言われているんです。というのも、今までは出来ないことをデザインしてゲームのルールとしてきましたが、今回はオープンワールドなので、どうやったらていいかという直感的な行動ができるゲーム作りにしています。
これって言うのは非常にシンプルなんで、誰か助けるというミッションがあった場合、「こうしなさい・ああしなさい」というのはなく、好きにやっちゃって良いんですよ。ただオープンワールドになった分、厄介になった点もあるので、新しいシステムは入れています。とはいえ、リアルにないものをゲームに入れたくは無いですし、取り扱い説明書を読ませて、ゲームシステムを理解しろとも言いたくない。まぁ操作は最低限覚える必要はありますが、そこから先は自由です。
――よく自由の高いゲームを作っていると頭がおかしくなると言いますが。
小島監督:どんなゲーム作っていても、頭おかしくなりますよ(笑)まぁ元からおかしいんですけどね……。
――潜入シミュレーションとしていますが、敵の生活や寝食の部分はどうでしょうか。
小島監督:いつも入れようとするんですけど、入れても仕方ないかなと。他に優先することは沢山あって、設定的に何かがあっても、プログラム的には重要視してないです。ただそれっぽく見えるようにしています。
――そういえば、ステージでのデモプレイでスネークがジャンプしていましたよね。
小島監督:あれはアクションボタンです。単純にジャンプをさせるとゲームが崩壊していたんですが、あんな強いヒーローが低い柵に阻まれて迂回しないと先に進めないというのは……。とずっと思ってて、今回はオープンワールドで何処でもいけないといけないので、ゲームを崩壊させない程度にアクションボタンに集約しようと。
自分の基本は『スーパーマリオ』なんです。実は、「ジャンプとダッシュだけであれだけのゲームを作れる宮本さんの前では、スネークをジャンプさせることは出来ない」というポリシーを持っていました(笑)でも誰もわかってくれないんで……なら実装しようと。
まぁぱっと見は、他のゲームと同じかと思われるかもしれませんが、自分で考えて潜入してみると違いがわかりますよ。
――自由度が増したことはよく分かりましたが、リプレイの面ではどうでしょうか。
小島監督:本ミッションの中にもノーキルノーアラウトといったチャレンジ要素があったります。そして、そういったチャレンジはソーシャルでつながるので何回でも遊べますよね。さらに、同じミッションでも天候や攻め方などシチュエーションの異なる場合もあります。
結局そこでやったことは基地で反映されるので、例えば人質救出の対象を間違えて連れて帰るともう一回しないといけないですし、そういった(リニアにはない)自由度によるリプレイ性を高めるためにオープンワールドにしました。
――広大なフィールドということで、様々の建物がありそうですが、面白い場所などはありますか。
小島監督:本作は敵陣潜入なので、自分以外全て敵なんですよ。ですので、村もあれば川もありますが、自分以外は捕虜か敵しかないのでそこの緊張感は消えません。つまり、その辺のおっさんが川で釣りをしていて、一緒に釣りをして「俺何やってるんやろ」とはならないです。
――ボリュームはいかがでしょうか。
小島監督:マップに関して言えば、作りきれないぐらい膨大です。作ったところを壁に貼っていくんですけど、貼っても張っても減らないんですよ。
――作りきれないとのことですが、DLC展開は。
小島監督:DLCは別で用意していますが、作りきれなかった部分をDLCで出すことは無いです。
――昨日のプレイデモの中で「アイドロイド」は、どういったことができるのですか。
小島監督:出来るだけUIを出したくないので、あれを押すとUIが出てきて、その辺の操作は全て「アイドロイド」に集約されています。でね、「!マーク」も最初はなかったんですよ。でもスタッフが「なかったら…」と何度も言って来るのと、実際に無しでプレイしてみて、たしかに無いと見つかったかどうか分からないんですよね。あれだけ高性能なハードだと顔の表情もかなり再現できるんですが、曖昧さが大切じゃないですか。見つかっているかどうか分からない曖昧さ。それが面白いんですけど、「難しすぎる」とあんまりにも言われるんで辞めました。そういったモードを設けてもいいですけどね。
――『MGS』といえば遊び要素が良い味を出していますが。
小島監督:テーマが重たいので、なるべくなくしています。ダンボールも始めはなかったんですが出すことにしました。これだけは誰も真似しないんですよね……。過去にゴミ箱被ったりしましたけど、やっぱりダンボールですかね。そこらの線引きとしては、自分がサバゲーをやっていて、罠に引っかかるかどうかが1つですね。
――本作は、現行機と次世代機のマルチですが。
小島監督:元々現行機で企画していたんです。ただうちのエンジンの出来が悪かったのでFOXエンジンを作りました。ただ、他の次世代機向けのゲームと比べると、その分絵としてのクオリティーは低いと思います。ハードの違いとしては、現行機では30FPSで次世代機は60fps。もちろんテクスチャーの解像度なんかもぜんぜん違います。ライトの数も違います。なので、印象自体は同じで、次世代機の方が敵1000人出ますとかはないです。とはいえ、次世代機では特にサービスの面で差が出ると思います。
――オセロット役に三上さんを起用した理由は。
小島監督:そりゃもう、かっこいいからでよ。様々なテイクを取ったんですけど、これで女性ファンをくっとね!。オセロットは毎回声優変えていますけど、今回はニュートラルなんです。詳しくは秘密なんですけどね。
――ステージでのデモプレイでは、『MGS1』の台詞が多く出ていましたが。
小島監督:詳しくはそのうちということで…。
――ありがとうございました。
【東京ゲームショウ2013】『MGS V』Q&Aセッションレポート ― 小島監督が語る「ジャンプ」への思いとは
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