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【JRPGの行方】第7回 「TOP 10 WAYS TO FIX JRPGS」再考

数年前、いわゆるJRPGに逆風が吹き荒れていたころに話題となった「TOP 10 WAYS TO FIX JRPGS」という記事をご存知でしょうか。JRPGを改善するための10の方法をまとめたもので、今回はそれを振り返ってみたいと思います。

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【JRPGの行方】第7回 「TOP 10 WAYS TO FIX JRPGS」再考
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■JRPGを改善するための10の方法

数年前、いわゆるJRPGに逆風が吹き荒れていたころに話題となった「TOP 10 WAYS TO FIX JRPGS」という記事をご存知でしょうか。海外の大手ゲームメディアであるIGNによるものです。JRPGを改善するための10の方法をまとめたもので、“How to save the genre we love so much.”という副題からも分かるように、JRPGに対する愛があふれる記事となっています。

まずはその10項目を簡単に振り返っておきましょう。

    10.) 人々は生きているか ※1
    9.) 戦闘やダンジョンのリサイクル
    8.) キャラクターのダイアログボックス ※2
    7.) 制限された世界とリニアな物語進行
    6.) キャラクター設定の画一化
    5.) 異質なキャラクターボイス ※3
    4.) オフライン・シングルプレイに固執
    3.) ノー・モア・セーブポイント ※4
    2.) ステレオタイプな物語設定
    1.) 代わり映えしないコマンド戦闘

    ※1 同じ言葉を繰り返す、一歩も動かない、勝手に家に侵入しても気にしないJRPGの世界の住人たち。
    ※2 キャラクターのバストショット、画面の下部にウィンドウを配置して行う会話のやりとり。
    ※3 日本では当たり前のアニメボイス。そのスタイルをそのまま英語化すると不自然になるのだとか。
    ※4 いつでもセーブできて、さらに忘れたときのためにチェックポイント(オートセーブ)もほしい。

これが投稿されたのは2010年の初め。前回ご紹介した『JRPGの下降は進化の不足が原因』とほぼ同じ、日本のRPGが海外RPGに圧されていたころです。賛否両論あったようですが、当時わたしがこれを読んだときは、なるほど日本のRPGの特徴を明確に捉えているな、と感じていました。

RPGを笑いのネタとして扱う際にも、街の入り口で街の名前を教えてくれるだけの人、主人公とその仲間のためだけに存在するとしか思えない武器屋、飛行船を手に入れて完全に自由になったと思ったら謎の気流に阻まれる、といった例が挙げられます。

■「JRPG」を「FIX」するということ

ただ、今は少し違う感想を持っています。前回の『「JRPG」とは何か』で書いたように、JRPGとは「西洋によって後進性、不変性、奇矯性、官能性といった性質を付与され類型化された“異質な”日本のRPG」のことである、という考えをふまえると、いくつか気になるところが見えてきました。

まず一つ目。そもそもここでいう「JRPG」とは、どこからどこまでを指しているのか? これらの項目に該当するものがJRPGなのか、あるいはJRPGがこれらの項目に該当するのか? つまり、これらの後進性や不変性を帯びた項目に当てはまる作品を「JRPG」の枠に入れ、そうでない作品を枠から外すことで、結果としてJRPGの類型化が起きているのではないか、ということ。

二つ目。これらを“FIX”したとして、それは果たしてJRPGなのか? 高度なAIを備えた街の人々、オープンワールドで自由な物語、伝統から離れたキャラクターデザイン、マルチプレイで行う革新的なバトル……。それはJRPGといえるのか? 実は、典型的なキャラクターデザインやお定まりの物語こそが、JRPGらしさなのではないか? ということ。

三つ目。典型的なキャラクターデザインやお定まりの物語、代わり映えしない戦闘システムが、本当に指摘の通りであるのか? キャラクターデザインや世界観は、似ているようで違っており、その細かな差異こそが日本のRPGの“うま味”なのではないか、そして海外からは、その細かな差異が見えていないだけなのではないか、ということ。たとえば、我々がハイファンタジーのRPG作品群に既視感を抱き、FPSに対し「どれもドンパチしてるだけ」という先入観を抱くように。

《Kako》
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