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『HOTLINE MIAMI』インタビュー―ゲーム開発は自宅で、自分が遊びたいゲーム作る

今週、スパイク・チュンソフトより、そのシリーズ2作を収録した日本版パッケージ『ホットライン マイアミ Collected Edition』がPS4/PS Vita向けに発売。来日していた開発元Dennotion Gamesの2人にインタビューを行いました。

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――『ホットライン マイアミ Collected Edition』ではじめてシリーズに触れる日本のユーザーも多いと思います。お二人の言葉であらためてゲームの魅力を簡潔に教えてください。

デニス: そうですね、容赦なく難しいけれど、クリアした時に得られる達成感も大きい作品です。また物語の伝え方も他のゲームとは一線を画しています。

ジョナタン: とても暴力的で、めちゃくちゃ難しくて、プレイヤーは何度も死ぬでしょう。しかし何度も何度も死にながらゲームを進めていくうちに、トリップやトランス状態にも似たゲームプレイ体験を生み出します

――ストーリーの表現は具体的に他のゲームとどう違うのでしょうか?

デニス: 大半のゲームは、クリアすればすべての物語が明らかになりますが、『HOTLINE MIAMI』では物語が何もかも語られるわけではなく、クリアした後もプレイヤーに考えさせるような作りになっています。これは映画でもよくある手法のひとつですね。プレイヤー自身がゲームプレイを通して物語を体験し、どのような結果を生むかに焦点が当てられています。

――極彩色のピクセルで描かれる『HOTLINE MIAMI』のグラフィックビジュアルについてもコンセプトを教えてください。ポスターのアートワークも別のアーティストに依頼されたそうですが。

デニス: 私たちの青春時代でもある80~90年代を象徴するようなカラービジュアルで、『HOTLINE MIAMI』の舞台であるマイアミのカラフルなネオンサインやバイブとマッチするのもあって採用しています。今回カバーアートに関しては、アニメ調の日本版独自のものを用意しました。bonefaceというアーティストの手によるものです。たまたまネット上で見つけた人物なのですが、『HOTLINE MIAMI』の大ファンだったので喜んで引き受けてくれたんです。

――音楽についても教えてください。1作目の『HOTLINE MIAMI』では、Bandcampのような音楽配信サイトで発掘したアーティストの曲を採用したそうですが、どういう基準で曲をチョイスしたのでしょうか。

ジョナタン: まずゲームのペースを合わせるため、BPMが110以下の曲を選んでいます。またプレイヤーが何度も死ぬゲーム性をふまえ、繰り返し聞けるような、バリエーションがあってループする曲も対象にしました。

――『HOTLINE MIAMI 2:Wrong Number』ではいかがでしょうか。サウンドトラックもありますね。

ジョナタン: 『HOTLINE MIAMI 2:Wrong Number』では少し事情が異なり、ステージごとに異なる曲を用意するかたちに変えたため、より幅広く選定を行っています。自分たちでただ選ぶだけでなく、ファンからも曲を提供してもらったり、むしろ選びやすかったです。

デニス: キャラクターも多数登場するので、各キャラにあわせて異なるスタイル・テンポの曲を選んでいます。

――『HOTLINE MIAMI』1作目は、海外メディアで数々の賞に輝き、セールス的にも大成功しました。そうした成功によってお二人の生活に何か変化はありましたか? また開発スタジオにとっての転機になったでしょうか。エピソードがあれば教えてください。

デニス: 今まではお金がなくて、生活するために、ゲーム開発以外にも別の仕事をする必要があったのですが、『Hotline Miami』のヒットによってゲーム開発に専念できるようになりました。といっても、我々Denntion Gamesのオフィスは自宅のアパートですけどね(笑)。ソファとリビングのテーブルでゲームを作ってます。ベッドまで5秒でいけます。

ジョナタン: 私も開発中に資金が底をついてしまい、両親から借金をして、『HOTLINE MIAMI』を完成させました。今はゲームデベロッパーとして安定した活動ができています。

デニス: とにかく自分たちがやりたいゲームを作って、結果それを支持してくれるファンがたくさんいたのは、本当に励みになりました。

――たった二人だけのゲームスタジオ。意見が衝突することはないのでしょうか?

ジョナタン: ないですね。基本的に開発で担当する部分が違うので、意見がぶつかるということはありません。

――『HOTLINE MIAMI 2:Wrong Number』について、1作目にくらべて非常に難易度が高くなっているという声が多いようですが、続編のゲームデザイン、位置付けをあらためて教えてください。

デニス: 続編は文字通り「続き」であって、プレイ体験のリスタートではありません。つまり、『HOTLINE MIAMI』最終ステージの難易度からスタートして、そこからさらに難しくなっていくのです。もともと1作目に入りきらなかったアイデアやキャラクターが多くあったので、それを使いたかったというのもひとつです。1作目と2作目とあわせてひとつのゲームと考えてもらうのがいいかもしれません。

――注目している日本のインディーゲームや開発者はいますか?

ジョナタン: 『洞窟物語』をはじめPixelの作品は大好きです。あとは『TUMIKI Fighters』長健太氏、Ikiki Gamesも注目しています。いちばん最初にプレイしたフリーゲームが日本の作品だったので、今でも印象に残っています。

――次回作をふくめ、Dennotion Gamesの今後を教えてください。

デニス: とにかく自分が遊びたいゲームを作り続けます。

ジョナタン: お金儲けには興味はありません。自分たちが本当に楽しめる良いゲームを作っていきたいですね。

――最後に日本のゲームファンにメッセージをお願いします。

ジョナタン: ゲームが難しすぎないことを祈っています(笑)。

デニス: 私は今まで日本のゲームを楽しんできたので、皆さんも私のゲームを楽しんでください。

――本日はありがとうございました。

Hotline Miami: Copyright 2012 Dennaton Games. All Rights Reserved
Hotline Miami 2: Copyright 2014 Dennaton Games. All Rights Reserved
《Rio Tani》
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