【特集】ポーランドで生まれた『SUPERHOT』の“スーパーホットな開発流儀”とは | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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【特集】ポーランドで生まれた『SUPERHOT』の“スーパーホットな開発流儀”とは

ポーランドで産まれた斬新なシューター『SUPERHOT』を巡る様々なエピソードを、開発元「SUPERHOT Team」のクリエイティブディレクターであるピョートル・イワンスキ氏に語ってもらいました。

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本稿では「自分が動くときだけ、時間が進む」という、FPSでとしては異例過ぎるギミックを搭載した『SUPERHOT』の開発者インタビューをお届けします。ポーランドで産まれた斬新なシューターを巡る様々なエピソードを、SUPERHOT Teamのクリエイティブディレクターであるピョートル・イワンスキ氏に語ってもらいました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――本日はよろしくお願いします。まずは、『SUPERHOT』の開発を手掛けた“SUPERHOT Team”について教えてください。


ピョートル・イワンスキ氏(以下、イワンスキ氏): 本作は“7日間でゲームを作る”というルールのゲームジャム「7DFPS」に出すために、友達と企画したものでした。チームの創設は2013年の8月頃ですね。今はチームに15人ほど在籍してまして、規模も大きくなっています。『SUPERHOT』が日本のゲーマーにも知られているというのは本当に驚きです。『SUPERHOT』はポーランドの開発者達が作ったゲームなので、「ポーランド産ゲーム」として知れ渡って欲しいという気持ちもありました。

――イワンスキさんはSUPERHOT Teamでどのような役割を担当しているのでしょうか。過去のご経歴なども教えてください。

イワンスキ氏: クリエイティブディレクターを担当していて、チームのオーガナイザー的な役割を担っています。プログラマーをしている兄の影響で、子どもの頃からゲーム開発をしていました。とは言え自分はプログラミングよりデザインのほうが好きで、そのほかには映画を作っていたこともありました。映画のほうはあまり上手くはいきませんでしたが。

――SUPERHOT Teamのスタジオの雰囲気について教えてください。


イワンスキ氏: ゲーム開発には“ひらめき”が大事だと考えています。そのため、チームの間に特別なルールを設けることはありません。好きな時間に会社に来ても良いし、週末も好きなだけ遊んでいい、という自由な社風です。机に向かって5時間くらい作業して何もできないこともあるし、アイデアがひらめいて短時間で終わることもあるし、はたまた終わらないこともありますしね。これは私個人としてもチーム全体としても大事にしているポイントです。

――それでは、『SUPERHOT』はどんな“ひらめき”によって生まれた作品なのでしょうか。開発エピソードをお聞かせください。

イワンスキ氏: まずは名前の由来についてですが、友達が『Hotline Miami』に「Super」を足して呼んでくれたのがきっかけです。そんなわけでしばらくは『Super Hotline Miami』というタイトルだったのですが、やはり修正して『SUPERHOT』にしようと。1ステージが短いところや、武器を放り投げるギミックは『Hotline Miami』から影響を受けています。

――「自分が動くときだけ時間が進む」という斬新なゲームシステムを搭載していますが、この要素はどのようなアイデアから生まれたのでしょうか。?。

イワンスキ氏: 時間がちょっとずつ動くものや、ターンベースで戦闘するようなFPSを作りたい、という気持ちがありました。元々はFlashゲームを作っていたのですが、そういったシーンから「誰も真似できない新ジャンルのゲーム」を開発したいと思い、『SUPERHOT』のゲームシステムが生まれました。

――『SUPERHOT』の成功によって、開発チームに変化はありましたか。


イワンスキ氏: 先ほども話しましたが、『SUPERHOT』のチームは昔はFlashゲームを作っていました。そこで、Flashゲームよりも大規模なものを作れないかと考えて『SUPERHOT』が出来上がったのです。『SUPERHOT』をリリースしてからは、インターネットユーザーからのフィードバックがたくさん聞こえるようになりましたね。ユーザーから多くのフィードバックが聞こえるようになりましたけど、自分たちの根本的な意志は変わっていません。PCに向かって、一心にゲームを作っていくだけです。

――『SUPERHOT』の印象的なビジュアルについては、どのようなコンセプトがあったのでしょうか。

イワンスキ氏: グラフィックス周りは『Quake』が元ネタになっています。ゲームジャム用の作品だったので、「簡単なアセットで作れるゲーム」である必要がありました。その後『SUPERHOT』のビジュアルをより良くしていくところで、背景をグレーにしたり、いろいろ調整してみたんですよね。そこで知り合いの2Dイラストレーターに話を伺ったら、無機質でコンクリート的なグラフィックスはどうかと勧められました。赤やオレンジのイメージカラーも、同じイラストレーターの方のアイデアです。ちなみに、ポーランド国旗と『SUPERHOT』のカラーリングは偶然の一致です。

――SUPERHOT Teamというデベロッパー名を掲げていますが、『SUPERHOT』ではない新作ゲームを開発するときには名称を変えるのでしょうか。


イワンスキ氏: 名前にはこだわっていません。企業としての名称やロゴよりも、チームの中身、メンバーが大事だと思っています。今後新作を作るときもSUPERHOT Teamという名前のままかもしれませんし、何か他のタイトルに“Team”をつけるだけ、という形になるかもしれないですね。

――『SUPERHOT』の開発に当り、日本の文化からは影響を受けましたか。

イワンスキ氏: ゲームというより自分自身の話なのですが、1989年ごろに母が仕事の都合で、日本に来ていたんですよ。その頃の私は7歳だったのですが、ポーランドと日本の違いにとても驚きました。その時代のポーランドは共産主義体制が終わったところで、「コーラ」だって名前しか知らなかったのに、日本には「自動販売機」というものがあって、そこから「コーラ」が出てくる。未来にタイムスリップしたような気分でした。

――なるほど。他にゲーム開発に響くようなエピソードはありましたか。

イワンスキ氏: ポーランドではSNES(海外版スーパーファミコン)もそれほど有名でなく、私自身も家庭用ゲームはあまり遊んでいませんでした。ただ、私個人としては「NEKO GAMES」「EYEZMAZE」という日本のFlashゲームサイトに強い影響を受けています。西洋のゲームとは違いますし、そのオリジナリティーにも感動しました。

――以前、『SUPERHOT』のカードゲーム化『SUPERHOT』のカードゲーム化が話題になっていましたが、更なるスピンオフ的なプロジェクトには興味がありますか。例えば、『SUPERHOT RPG』や『SUPERHOT MMO』、『SUPERHOT SURVIVAL HORROR』といったような。


イワンスキ氏: マルチプレイヤーというアイデアは面白いですけど、「自分が動くときに時間が流れる」というギミックを活かすのは大変そうですね(笑)。でも、それを作ってみるのも面白そうです。RPGやMMOというのはやはり大規模なものなので、『SUPERHOT』らしいコンセプトが薄れてしまうような気もします。オリジナリティーは大切にしたいですが、いろんなアイデアは尊重したいですね。

――SUPERHOT Teamの次なる目標はどこですか。

イワンスキ氏: 『SUPERHOT』はまだ完成していないと考えています。今は新しいシークエンスやステージが登場するダウンロードコンテンツを開発中で、これからもユーザーに『SUPERHOT』を楽しんでもらおうと思っています。他のゲーム開発についても現状考えていなくて、手堅く『SUPERHOT』を発展させていこうと。チームの一部では、新アイデアを出していく実験を試みています。1人ずつ「フェンス」「ジャンプ」「乗り越えていく」とキーワードを並べていくような形で、言葉遊びでコンセプトを考えていくような。

――最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。

イワンスキ氏: 『SUPERHOT』はもともと小規模なゲームでしたが、我々にとっては本当に作ってみたいゲームでした。『DOOM』や『ウルフェンシュタイン3D』『Quake』といったFPSを初めて遊んだときの感動を、『SUPERHOT』に詰め込んでみたいと思って開発してきました。それが日本のユーザーに受け入れられたのはとてもうれしいことですし、今回のPS4/PS VR版の日本向けリリースで、もっと『SUPERHOT』を好きになってもらえたらと思います。

――本日はありがとうございました。

《Game*Spark》
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