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認定プロゲーマーは「賞金付きの非公認大会」に出ると処分?新団体に未公表の規約について聞いた

Twitterでにわかに話題となった“認定プロゲーマーは「非公認の賞金付き大会」に出ると処分される”という情報について、編集部では独自取材を重ね資料を入手しました。未公表のレギュレーションについて日本eスポーツ連合にメール取材し、その意図を聞きました。

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認定プロゲーマーは「賞金付きの非公認大会」に出ると処分?新団体に未公表の規約について聞いた
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2月1日、3団体が統合する形で設立された日本eスポーツ連合。「認定プロゲーマーの誕生」そして「賞金付き大会の実施」の2点は、マスメディアでも大きく取り上げられ、大きな反響を呼びました。

世間では盛り上がりの機運が高まる一方で、ライセンス制度、タイトルの選定、賞金付き大会の実施における法律的な問題点など、各所で様々な意見が飛び交っているのもまた事実です。

そんな折、記者会見の翌日に、国際カジノ研究所所長の木曽崇氏が以下のツイートを投稿しました。


氏のツイートから、既に公開されている資料のほかに、公開されていないレギュレーションもあることが示唆されました。編集部では各所に取材を行い、該当する記載のある「プロライセンスレギュレーション 選手説明用資料」という資料を入手。1月15日に配布されたとみられるこの資料に記載されている内容は、基本的には公式サイトでも公開されている情報がメインですが、木曽氏の指摘する非公認大会出場におけるライセンス保持者の罰則規定についても記載がありました。前段の、公認大会の規定から資料より引用します。


【2】大会公認の認定
・大会主催者は大会運営方法を団体に提出。レギュレーションに沿っていることが確認できた段階で、団体から「公認」をもらうこととする。
・IPホルダー以外が大会を主催する際は、事前に当該競技すべてのIPホルダーから推薦をもらった上で、大会運営の方法を団体に提出。レギュレーションに沿っていることが確認できた段階で、団体から「公認」をもらうこととする。

新団体では、より多くの大会が行われることを切に願います。IPホルダー主催の賞金付き大会はもちろん、従来おこなわれてきたコミュニティー主導の大会も、もちろん歓迎し、奨励していくつもりです。

一方で、プロライセンス制度が開始され、多くの賞金付き大会が行われていく未来には、著作権を無視した、悪意を持って運営される、営利目的の大会が出てくる可能性も否定できないと考えています。

刑法賭博罪、風営法などの法的リスクをはらんだ大会が開催されれば、賞金付きゲーム大会の是非さえ問われる状況が待ち受けていないとは言い切れないと考えています。プロゲームプレイヤー、IPホルダー、双方の幸せな未来のため、「大会公認の認定」の規定に、以下の項目を付け加えることをご理解ください。


「公認」のない賞金付き大会に、ライセンス保持者が出場した場合、相応の処分が課せられる場合がある。
・少額賞金のコミュニティー大会には、団体とIPホルダーで協議のうえ、柔軟に対応するものとする。

(以上、資料より引用)

入手した資料をもとに、日本eスポーツ連合に対して上記内容についてメールで取材を行いました。

質問内容は以下の3点。
・上記レギュレーションは実際に存在するものか?また未公開レギュレーションを公開する予定はあるか?
・“悪意を持って運営される営利目的の大会”とは何か?また、それは誰がどのタイミングで指定するのか?
・選手達にこうした通達を出すことで、自由な大会参加を妨げる萎縮の空気は生まれないのか?

資料についてはその存在を認めたうえで、「先日の記者発表はダイジェストで紹介しており、まずは選手への説明を優先した」との回答が得られました。選手への説明が終了し、誤解のないレベルで理解された段階で「ライセンスの概要は公開したい」とコメントしています。

そして、「悪意のある大会」の定義については、具体例を交えて回答がありました。

悪意のある大会とは、IPホルダーに連絡無く、著作権を無視した大会および、法規制を無視した大会のことです。たとえば、選手から参加費用を取るような刑法賭博罪を無視した大会や、ゲームセンターやネットカフェが店舗主催から賞金を出す、いわゆる風営法を無視した大会にあたります。
担当者によると、特に刑法における賭博罪に違反した大会に参加し検挙されると、「e-Sports選手が罪に問われ」てしまい、その報道により、e-Sports自体のイメージダウンのみならず選手のキャリアにも大きな影響が出るとのこと。「それを止めたいと言うことからこの項目をつくらせていただきました」と話しています。

なお、資料から確認できる公認大会となるための規定は、「連合のレギュレーションに則り」かつ「当該IPホルダーに“推薦”される」ことが前提条件とされており、決して簡単なものではないように思えます。もちろん、こうした手順を経ない大会で高額の賞金がついた大会が開催される可能性はあまり考えられませんが、もしなんらかの事情で公認されない大会が出てくることがあれば問題となりそうです。

一方で連合は、これまで公認のプロ選手達が活動してきたコミュニティやそこで開催される大会を規制するつもりはないとのこと。「選手がスターになることこそが、e-Sportsの活性化への一番の近道といえ、選手の活躍の場を減らすことは、むしろ我々の向かう方向とは真逆です」としています。また、コミュニティの活性化に協力する意向を示し、話し合いの中で“準公認”大会のような形でプロ選手も参加できる道を模索するとのことです。

そして、設立の発表後に様々な意見が出ていることに触れ「今回の設立において、様々な方々から貴重なご意見を頂いており、それらのご意見を元に関係各所と相談、ならびに調整を諮りながら適正な運営を心掛けて参りますのでご支援いただければ幸いです」と話しています。




今回は未公表の内容について取材を行いましたが、編集部ではかねてより連合に直接取材を申し込んでおり、現在議論が巻き起こっている点について、引き続き取材のうえ記事化していく予定です。

また、編集部としてはどうすれば日本にe-Sportsが定着するか、読者のみなさんとともに考えていきたいと思います。この問題についてひとこと言いたいという方はぜひコメントや下記お問い合わせフォームからご連絡ください。関係者の方からのご意見や、取材に来い!というご連絡もお待ちしております。

Game*Sparkお問い合わせ窓口
《宮崎 紘輔》

タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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