気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Clarus Victoria開発、PC/Mac/Linux向けに5月24日にリリースされたストラテジーゲーム『Egypt: Old Kingdom』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は古代エジプトを舞台にした歴史的ストラテジーゲーム。プレイヤーはホルス神の化身のひとりとなってピラミッド建設事業で秩序と平和を維持したり、周辺を探索して国境を広げたりしつつ、エジプトに災害を巻き起こすセト神に立ち向かいます。日本語はサポートされていません。
『Egypt: Old Kingdom』は1,520円で配信中。前作に当る『Predynastic Egypt』は980円で配信され、日本語でのインターフェイス表記に対応しています。
――まずは自己紹介をお願いします。
Mikhail Vasilyev氏(以下、Vasilyev氏):Mikhail Vasilyevと申します。ロシアのインディースタジオClarus Victoriaの代表であり、ゲームデザイナーです。私たちが専門としているのは、歴史的に正確なストラテジーゲームの開発です。そういった作品を作り出すため、ゲーム開発に取り組む前に歴史を研究してから、各時代ごとのゲームプレイを制作するようにしています。ゲームプレイはとても重要と考えていますが、世界と歴史を学ぶためにゲームが役立つのなら、それはより素晴らしいことです。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Vasilyev氏:2016年10月10日、『Egypt: Old Kingdom』の前作である『Predynastic Egypt』をリリースしました。このプロジェクトが完了したあと、私たちはゲームのサポートに時間を費やし、モバイル向けの調整も行いました。しかし、それと並行して次のタイトルについても考えていたのです。アーティストがマップとピラミッドのスケッチを描き始めていた間に、私はゲームデザイナーとして新作を計画しました。私たちは多くの新しいアイデアを抱えていて、自分自身で考えたものや、ファンからのアイデアもありました。古代エジプトは人間の歴史の中でも最も重要な1ページと言えますので、大きな責任も感じていましたね。『Predynastic Egypt』がファンに暖かく歓迎されていたことが分かったので、この作品に大規模な変更を加えることをせず、既存の仕組みを改善していくことにしました。個人的には、新作はうまく仕上がっていると思いますが、ゲーマーは厳しい審判のような存在でもありますね。
――本作の特徴を教えてください。
Vasilyev氏:『Egypt: Old Kingdom』プレイヤーは、古代エジプトという舞台で自分自身の役割を見つけていくことでしょう。今作では古代エジプト(紀元前2686年~2181年ごろ)を生きる人の生活を体験していきます。ピラミッドを作り、神を崇拝し、敵を征服しなければならないのです。ゲームプレイを楽しめるだけでなく、何か新しい知識を学べるように、できるだけ正確な作品になるよう最善を尽くしました。今作はエジプト学者と協力しながら開発していて、メンフィス(ゲーム内での主要都市)とピラミッドにまつわるディープな情報も得られました。歴史的側面の精度を保つためにも、古代エジプト文化と精神にゲーマーが没頭できるようにしました。そうでなければ、エジプト人がなぜピラミッドを作ったのかも理解できませんからね。前作においては新メカニックの実装に多大な注意を払っていましたが、多くの経験を重ねた末、今作では新要素も試していました。例えば、『Egypt: Old Kingdom』では墓やピラミッドを作ることがなぜ重要であったのかを語る要素があります。エジプト人によれば、「世界が混乱に陥っていたから」ということでした。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Vasilyev氏:私たちは歴史が大好きですし、科学技術の進歩にも興味がありますが、ゲーム開発をはじめたときは特に古代エジプトの虜だったのです。エジプトの歴史は他の文明と同じくらい魅力的で、歴史を学ぶことはより良い世界を築き上げるのにも役立つと信じています。私たちがいろいろな国に住んでいて、いろいろな言語を話していても、この地球で毎日をともに過ごして歴史を創り出している……というところに、私たちが「歴史」を尊ぶ理由があるのです。人類史で起こった劇的な瞬間、いつどこでどう過ごしたのかも分からない、何十億の見知らぬ人々の生活がインスピレーションの源、と言えますね。
――本作の日本語対応予定はありますか?
Vasilyev氏:もちろんです!ローカライズ版を提供したい言語のひとつですよ。『Predynastic Egypt』は有志と日本のファンの方々によって日本語版が生み出されました。発売までに日本語を用意できなくて申し訳ありませんが、すぐにでも完成させようと思っています。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Vasilyev氏:日本のゲーマーのみなさんこんにちは!日本のみなさまに今作を紹介することができるとは夢にも思っていませんでした。Game*Sparkの皆さんに紹介する機会がもらえてとても光栄ですし、興味を持っていただけていることも嬉しく思っています。日本語ローカライズには全力を尽くしていきますので、応援してください!ありがとうございました!
――ありがとうございました。
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