『GOW』クレイトス、そして三浦カズなどの生きるレジェンド達が見せた「老いと成長」【特集】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『GOW』クレイトス、そして三浦カズなどの生きるレジェンド達が見せた「老いと成長」【特集】

2018年に高い評価を得た傑作『ゴッド・オブ・ウォー』。その主人公クレイトスの年老い方を身近なものだと考えるために、中年を迎えた様々な芸能人やアスリートと比較します。

連載・特集 特集
『GOW』クレイトス、そして三浦カズなどの生きるレジェンド達が見せた「老いと成長」【特集】
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2018年のThe Game AwardにてGame of the Yearを見事受賞したゴッド・オブ・ウォー』。その後もPolygonが今年のベスト1に選出するなど、様々なメディアが高い評価を下しています。

この作品が評価された理由には、クレイトスがシリーズで初めて、ゲームキャラクターでありながら“老い”にまつわる人生の変化を見せてくれたことも大きいでしょう。

クレイトスは『ゴッド・オブ・ウォーIII』で、ゼウスへの復讐という大きな目的を果たしたあと、一度死ぬことを選択しました。その後、今回の『ゴッド・オブ・ウォー』にて妻であるフェイの死を経験し、残された息子アトレウスとの関係を再構築するという、ただ強く、暴れまわっていたナンバリングシリーズの頃とは違う姿を見せました。クレイトスは老いながら成長し、若かりし頃とは違う生き方を見せたのです。

そこで今回は、いろんなジャンルのスターやスポーツ選手が「老い」とどう向き合っているのかを特集します。読者の皆さんも、クレイトスと彼らを見ながら未来への準備をしていきましょう。

木村拓哉



ちょ待てよ!全然年をとってるように見えねえよ!そんな40代の芸能人が増えてきていますよね。福山雅治氏、HYDE氏、そして木村拓哉氏などは20代後半から30代前半くらいの見た目を保っています。

SMAP解散後、木村拓哉氏の動向を多くの人が注目したことだと思いますが、予想だにしなかったのは『JUDGE EYES:死神の遺言』に3DCGキャラクターとして登場したことです。ここでの木村拓哉氏は、老いというよりもむしろ、若いころに積み上げた“キムタク”のイメージを前面に出しています。

アイドルとは偶像です。ましてや国民的な規模のアイドルにもなれば、そんな偶像を自在に操れるのはひとつの夢でしょう。「あのキムタクがこんなことをしている」ゲームだからできたのかもしれません。

つまり木村拓哉氏の年老い方が教えてくれることは、私たちもゲームキャラになれば現実の老いた姿を忘れられ、若いイメージを見せられるということでしょう。ジョークではありません。今は3Dスキャンも安値で可能です。環境は揃っているのです。

桜庭和志



「IQレスラー」の異名を持つ、日本を代表する格闘家である桜庭和志氏もまた、全盛期からの老いを考えさせられるひとりです。

デビュー当初は目立たない存在でした。ですが学生時代から培ってきたレスリングをベースに、MMA(※総合格闘技の正式名称)を習得することで、日本のプロレス・格闘技界がライバルにしていたグレイシー一族を撃破し、人気を獲得しました。

日本を空前の格闘技ブームに導いた一方で、ハードな相手との試合が組まれるようになります。時には体重差が20キロ以上も上の相手と闘うなか、敗戦を重ねるようになり、ファンやメディアから復活を望む声が増えていきます。

しかしMMA全体の進歩や、長年の試合で蓄積されたダメージが、彼を全盛期のような活躍をさせませんでした。にもかかわらず格闘技イベントでは彼のネームバリューから集客を見込めたため、メインイベントに選ぶことが多く、そのたびに痛々しい姿を見せていました。

その後は新日本プロレスの参戦を経て、今は自分がプロデュースする格闘技イベント「QUINTET」を開催します。こちらは寝技のみの格闘技大会であり、現在49歳となる桜庭氏の実績や資質にあった内容となっています。

なによりも50代を目前にして、無理にイベントのメインを務める痛々しい姿から解き放たれているのです。桜庭氏の経歴からは、まわりからの名誉や栄光に捉われずに自らの資質に沿った老い方を学ぶことができるでしょう。

ボブ・サップ



ボブ・サップ氏も格闘技ブームで有名になった選手ですが、ブームが去ったあとの生き方はある意味で身近なものがあります。

全盛期では、そのありあまるパワーを武器にK-1の世界王者に3度も輝いたアーネスト・ホースト選手まで撃破する活躍を見せ、その後も日本のバラエティ番組にも多数出演しました。

全盛期が終わるきっかけはKO負けするようになってからです。以降、パワーまかせのファイトスタイルが通用しなくなっていきました。

サップ氏が全盛期を過ぎた後はどうなったのか? なんと格闘技の試合で、わざと負け役ばかりを演じ、ファイトマネーを稼ぐ生き方にスライドします。ネームバリューを生かし、世界各地の格闘技イベントに出場するも、試合開始からわずか1分で敗戦することを繰り返します。中には当たっていないキックを痛がり、マットに倒れこむような試合までありました。

ビーストと呼ばれ、かつてはその名に相応しい活躍をしていた男が、今では巨大なチワワのような弱い姿を見せつづける……その落差はあまりにもひどいものでした。ですが見方を変えれば、負け役を受け入れ、お金を稼ぐように割り切ることもひとつの生き方です。なにしろサップ氏は資産を10億円以上も所持しているのです。仕事の内容はともかく、堅実に稼ごうとする姿は私たちにとって身近だといえるでしょう。我々は皆、チワワなのです。


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《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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