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「平成で一番印象に残った事件は?」―ゲオのバイヤーとざっくり振り返る平成のゲーム市場

平成の30年間をゲオのバイヤーに振り返って頂きました。ユーザーでもなく、メーカーでもない。バイヤーならではの目線からみたお話をお楽しみください。

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「平成で一番印象に残った事件は?」―ゲオのバイヤーとざっくり振り返る平成のゲーム市場
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平成も終わりが近づき、新しく「令和」の世界が顔を覗かせる今日このごろ。ふと、振り返り的なことをやりたいなと思った編集部は、以前より何回かお話を伺っているゲオのバイヤー様へインタビューを打診。これをご快諾いただいたので、バイヤー目線で色々とお話いただいてきました。

ユーザーでもなく、メーカーでもない、バイヤーという目線からみたゲーム市場のお話は、普段あまり目にすることのないものです。流石に、30年全てのことを事細かに話しているわけではありませんが、ぜひ、最後までお楽しみください。



――今日はよろしくお願いいたします。まずは、お二人の立ち位置を、改めてお伺いできればと思います。

武藤崇史氏(以下、武藤):
新品を担当している武藤です。メーカーさんと交渉して商品を買っているバイヤーになります。

海津祐樹氏(以下、海津):
海津です。中古ゲームのバイヤーになります。買う相手はお客様が相手になってますね。

武藤崇史氏

――ゲオさんがゲームの事業を始めたのが、平成元年とのことですが。その当時の話とかって何かありますか?

海津:
平成元年前後くらいだと本当に聞ける人がいない感じです(笑)。

武藤:
基本的には中古買い取りメインでやっていたくらいしかわからずで…。

海津:
そうですね。新品を取り扱うには、メーカーさんから仕入れなければいけないのですが、いきなり商売を起こそうと思うとこれは大変なんです。お客さんから中古という商売でやっていこうと言う方がやりやすかったのもあって。そこからスタートしている、というくらいの話です。

――今日は、各ハードの発売日の話であったりとか、市場の変わり具合についても色々お聞きしたいなと思っています。

海津:
具体的な話ができるのは、PS1~あたりからになりますね。そのあたりの話は諸先輩方に聞いてくることができたので。

武藤:
新品を扱ってきたのがPSの頃からなんですよね。ちゃんと、と言ったら失礼ですけど売り場としても確立してきたっていうところなので。

海津:
それができなかった理由はわかりやすいですね。PS1の時代、スーファミの終盤から64にかけてのころっていうのは、ソニーさんとか任天堂の問屋さんとかと契約できてなかったわけではないんですけども、PS1やPS2初期の時代までは本当に一部の店舗しかできなかったという状況でした。発売した商品がまともな数買えない。全店にこの数入れたいのにその10分の1も入れられない、っていう時代です。発売日に結局届かないこともあったみたいですね。直のメーカーさんだけじゃなくて、問屋さんとか色々な所を駆使してなんとか…というような時代だったという形です。

契約できなかった状況に関しては、ゲオが中古を取り扱っていたっていうのが何よりも問題になっていました。世の中的にも当時はメーカーさんとしては、中古を扱うところに関しては契約はできない、ぐらいのお話があったそうで・・・。そこから、さらにゲオも含めてメーカーvs小売での裁判が始まり、最終的に中古ソフトの取り扱いに関しては、2002年に最高裁で小売店側が勝訴しました。こういう状況になるまでは、メーカーさんとしては中古を売るお店に対しての姿勢は崩せなかったということもあったかなと。

武藤:
スーパーファミコンとかは、問屋さんから経由で買えてる状況ではあったんですが、届くまでの期間が長すぎたり、注文したものが分納に次ぐ分納で1ヶ月後に値段がガクッと落ちた後に入ってきて困ったり、という話は聞きました。

海津:
そういう動きが具体的に変わってきたのは、DSあたりからですね。私が2006年入社で、武藤が2004年入社なのですが、2004年の末、PSPがその翌年の2005年ですけど、入社したときの感覚では少なくとも先ほど話したほどに厳しい状況とは感じなかったので。それまでは中古に対しての影響っていうのがずっと続いてて、やっとそれが融和ができてきたくらいの時代のようです。

武藤:
当時は私もまだ店舗勤務だったのですけれども、脳トレブームのときのDSは本当にすごかったです。発売日ももちろんお客様がかなり動きましたし、そのあとのDS Liteでさらに…。こちらに関しては本当に入荷のたびに朝お客さんが並んで整理券配るレベルの状況になってて、それでも全く足りないっていう状況がずっと続いてましたね。お客さんに聞かれてもいつ入ってくるのか全くわからない状況だったのを覚えています。

ちなみにDSに関しては、「全店舗に全タイトルを最低1本は入れる」っていうのを元に動いてたんですね。市場でほとんど出ていないようなタイトルも、一応一本は買うっていう形でやってたのが、今思えばシェアの拡大につながってる可能性はあるのかなと。

海津祐樹氏

――それはすごいですね。当時はメジャーからニッチまで、かなりの本数がありましたが。

武藤:
聞いたこともないタイトルも含めて、全て入れていましたね。

海津:
今のコンシューマ本体から見ると倍以上の台数がDSは当時出てるので。その数字に見合うだけのタイトル数があったっていう状況ですね。

武藤:
その後、『おいでよ どうぶつの森(2005年)』があり、ピークを迎えます。

海津:
そこは最大のピークですね。その後、2006年にはWiiが出ました。

武藤:
新しい遊びの提案っていうのがすごく上手くできてて。DSの二画面&タッチペンという流れがあったからこそ、Wiiの成功があったのかなと。Wiiに関しては発売日のときも、その後も、すごい勢いで売れ続けましたね。ローンチの『はじめてのWii(2006年)』とかも全部あたっていました。

――当時は革新的で、興奮したのを覚えています。『Wii Fit(2007年)』とかも…

武藤:
『Wii Fit』も売れましたよ…!新しいもの全て当たっていたような感じがありますね。あのボードもあるので、いろんな周辺機器のメーカーさんから、今で言うヨガマットを売ったりもしてましたね。

――ありましたね、ヨガマット(笑)。

武藤:
もちろんヨガマットとして売るんじゃなくて、ちゃんとサードメーカーさんから『Wii Fit』用のマットですという形での販売ですが(笑)。

海津:
あとは、ボードを拭くクリーナーとかも売れましたね。

武藤:
ゲーム売ってるのか、健康器具売ってるのかよくわからなくなるような感じではありました(笑)。


――そこから、5,6年開いてWii Uで少し落ち着いたイメージがあります。

武藤:
Wii Uでは、任天堂さんのブランド、いわゆるファーストパーティのタイトルが売れ続けていた印象です。

海津:
それ以外は厳しかったっていう印象ですね。発売日の勢いでは、Wiiに負けず劣らずでしたが。最終的に出たタイトル数とかで見るとわかるんですけど、すごく少なかったっていうのと。やっぱりソフトメーカー側としては新しいソフトを作るには、ハードの仕様がWiiよりさらに難しすぎたんだろうなと。

任天堂さん自体はいろんなものを出せたっていうのはあるんでしょうけど、他のメーカーさんはなかなか難しかったんだろうなって想像はつきますね。

――Wii Uの前には、3DSもありましたね。

海津:
もちろん発売日にはかなりの数が売れたんですけど、DSのとき程の動きではなかったです。最初は、25,000円というWiiよりも高い値段設定だった、というのもあると思います。

――Wiiはその頃、値下げされて、約20,000円でした。

海津:
そうですね。そんな中に携帯機で25,000円だったんですよね。でも、その年の夏に、一気に値引きをして、その年の年末からDSと同じような流れで動き続けました。今なお売れています。もう8年目ですが。

――まだ売れているんですか?

海津:
流石に、当時みたいな勢いではないですけども、中古とかでもまだまだ出ています。

武藤:
本体はもうスイッチに移動しきったって感じですけど、ソフトに関しては今だに売れます。タイトルも多いですし、弊社としても3DSの売り場はまだかなりあります。『ドラゴンクエストXI(2017年)』とかも出ましたしね。

海津:
『ドラクエ』でいうと、直近でDSの『ドラゴンクエストV(2008年)』がいまなお売れていますね。DSのソフトも遊べるというのも、3DSが売れ続けている一つの要因だと思います。

――映画化!

海津:
そうです。上映はまだ後で8月予定ですが、そこでももう一回売れるかもしれません。そういうのがあったりするときも、3DSで遊べるんです、っていうのがあるので。ソフト発売から約10年、まだまだいけるんじゃないかと。中古だと特に、ハードを持っているユーザーが、何かのきっかけでまた遊び始める、とかはありますね。3DSは。

武藤:
3DSに関しては他機種に比べると本当に長い。New 3DSや2DSなど、バリエーション機も含めてですが、こんなに長く売れたハードはないくらい長い間続いています。

――そして、2017年にはスイッチが登場します。

海津:
2017年時点でのムーブメントは、まだまだ記憶に新しいですし、2018年も変わらず動き続けて、2年でPS4に近い販売台数の状況まできています。

武藤:
これに関しては初めに、29,980円っていう値段をつけたっていうのもありますし、やっぱりソフトのパワーで売れている感覚はあります。特に『スプラトゥーン2(2017年)』と『ゼルダの伝説 BoTW(2017年)』『大乱闘スマッシュブラザーズ SP(2018年)』」と、大作があまり間を空けずに出ているのもあります。

――マルチタイトルはもちろん、いわゆる洋ゲーとかインディーとか、今まではPS4やXbox Oneで出ていたようなタイトルも増えていますね。

海津:
Wii Uのときよりは売れるようになりましたね。さすがに、国内でPS4に敵うくらい売れているかと言われると、さすがにそこまではいかないですけど、昔よりは動くようになりました。

武藤:
開発の面でもWii Uよりは移植等がしやすくなっていますよね。

――ちなみに、『スマブラSP』すごかったですか?

武藤:
すごかったです。この冬のスイッチ本体は、僕らが当初思ってたより遥かに売れていて、その中で何よりも『スマブラSP』が売れているという状況です。それに伴って周辺機器もすごく売れて。正直、2018年度に関しては、『スマブラSP』に助けられたところはあります。

――12月から3月までの4ヶ月間で。そのレベルとは…。

武藤:
任天堂さんの今までのハードの傾向で言うと、1月までは売れて、2月に落ち着くっていうところはあったんですけど。落ち着かずにそのまま高いレベルで売れてるのが現状です。


――ソニーハードの方はいかがでしょうか。

海津:
PS1までは冒頭の話のとおりですが、PS2に関しては、中古がある程度ちゃんと販売できるようになったというところで、弊社的には売上も店舗もかなり伸びた時期でした。もう本当に、年間100店以上のペースで店舗を出して行った時期です。当時、PS2はものすごい動いてて、市場的にもDSが出るまではPS2がゲーム売り場を席巻するくらいの勢いでした。特に中古はかなり増えて、一時期はそのほとんどをPS2が占めていました。

武藤:
PS2の何が良かったかって言うと、弊社はレンタルもやってるじゃないですか。DVDが再生できたっていうのが大きかったんです。上手いこと波に乗れたと思いますね。当時、僕も店舗で働いていましたけど、そこはすごく感じました。ゲームハードっていうよりは、家電やDVD再生機としても売ってる状況なのかなとは思いましたね。

――レンタル事業もかなり好調だったと。

武藤:
多分、このくらいのタイミングで完全にビデオからDVDに移行していったんですよね。

海津:
弊社もこのタイミングくらいで、ビデオからDVDに入れ替えが終わる位の時期ですね。

武藤:
そこは本当に、弊社の強みがちょうど活きましたね。今のシェアも、そこに礎があったのかなという感じです。

――当時、DVDプレイヤーですら高くて全然買えなかったので、重宝しました。

武藤:
PS2もはじめ約40,000円となっていましたが、そのまま値下げしていくことによって再生機として買われてたっていうところはありますね。

――その後、ソニーとしては初めての携帯機「PSP」が登場しました。

武藤:
PSPは、はじめにソニーのコアユーザーが飛びついて、一回そこで落ち着いた時期もありました。ですが、その後に“アレ”が来ましたね。

海津:
『モンスターハンター』シリーズですね。特に『2nd(2007年)』以降。さらに『2ndG(2008年)』、『3rd(2010年)』のあたりは、すごかったです。それぞれのソフト発売の時は、ハードのローンチ週とあんまり変わらないくらいの動きを続けていました。とにかく、ものすごい勢いでしたね。

武藤:
『2ndG』からは本当にすごくて。4人で来て4台買っていくっていうようなこともありました。

海津:
弊社もこれを機に店頭陳列用に「ハンティングアクション」っていうジャンルを作りました。その後、他にもそういうタイトルが色々出てきましたね。そういう流れを作るくらいにエポックメイクというか。00年代は『モンハン』の世代ってくらいの感覚はありますね。

――そうですね、PSPはやっぱ『モンハン』ですね。

海津:
『モンハン』を中心に回ってたって感じですね。

――ちなみに、PSP goとかありましたよね。ダウンロードタイトル限定なので、小売にはインパクトはなさそうですが。

海津:
そうですね、メインで売った形ではないです。もちろん少しは売りましたが。少し時代が早すぎましたね。

――そして、PS3の時代へ入ります。

武藤:
59,800円。この値段がまず印象に残ってますね。

海津:
初期の60GBモデルですね。やはりかなり強気な値段設定なこともあったり、ローンチタイトルが少なめだったので、静かめだったなという印象です。売れなかったわけではないのですが。

その後、PS2で売れたタイトルの続編とかが出てくると伸びてきて、市場として見えてきたのは『ファイナルファンタジーXIII(2009年)』の頃ですね。さらに徐々に洋ゲーテイストのものが入るようになってきたかなと。

武藤:
『コールオブデューティー』シリーズもこのくらいの時期からですね。当時はまだ、字幕版とか吹替版があった頃なんですけど。

――PS3が売れ始めたのは、40GBモデルのあたりとかからなんですかね。PS2互換がなくなって、値段がガクッと安くなりました。

海津:
そうですね。39,800円とか29,800円とか、段階を踏んで安くなっているので、安くなるごとに動くっていう形でしたね。

――ちなみに、PS3って発売日凄かったじゃないですか。ネットミームも生まれるほどに。

武藤:
印象としては、PS3だから特別すごかったという印象はないですね。発売日っていう意味で考えれば、PSPも同じくらい動いていますし。ちょうどネットもさらに広がっていく時期で話題に乗ったのが大きい気がします。

――PS3からはブルーレイになりました。先程、「PS2は再生機としても~」という話がありましたが、PS3に関してはそういう感覚はありましたか?

武藤:
感覚はありましたけど、やっぱりPS2が強すぎましたね。ビデオからDVDと、DVDからBDだとちょっとやっぱり違うのかなって。

海津:
PS2当時は、他のプレイヤーがかなり高額な中、40,000円弱でDVDが見られる、という価格に対してのインパクトがありましたからね。

武藤:
例えば、パートナーを説得するには、ビデオからDVDだと比較的説得しやすいんですよね。でも、DVDからBDでは全く通じない。観られればいい、早送りできるからいいじゃんって。当時よくその話はしてました。

――確かに、劇的な変化、というわけではありませんでしたからね。では、Vitaの話もできればと思います。

海津:
こちらはPSPの後継機ということもあって、年末にかけて最初はすごいいい形で動いていましたね。みなさん、『モンハン』が出るだろうとかなり期待をされていて、先に持っておくという需要もありました。

実際、それに近い内容のゲームもいくつか出て、そういうタイトルは売れたんですけど、『モンハン』自体が3DSの方に出ることになってしまいまいた。そこから考えると、やっぱり(3DSでの発売が)発表された以降ぐらいからは、尻すぼみになっちゃったかなという印象はありますね。

それだけ『モンハン』がすごいタイトルで、みなさんの期待度も高かったんだなっていう感じですよね。

――現在、Vitaの出荷は終了してしまいましたが、近年はADVタイトルの受け皿としても機能している印象です。

海津:
絵が特に重要なADVの受け皿としては、Vitaはタイミングが良かったんだと思います。だから、後期になっても多くのタイトルが出続けています。

武藤:
ただ、出荷終了となったことで、メーカーさんは、Vitaからスイッチへの移行を色々と試行錯誤してるようですね。

――そして、Vita発売後はPS4の時代に入ります

海津:
そうですね、PS4は値段的にも発売日の感触はPS3より良かったです。市場的にもかなり動きがあり、特に洋ゲーが主力になってきたんですよね。弊社の中でも、ちゃんと見ていかなければならない、となったのが、PS2、PS3、PS4で進化していったこの洋ゲーの部分ですね。

武藤:
PS2の続編が売れていたのがPS3でしたが、PS4では国内における洋ゲーの台頭で今までの計算が通じなくなったんですよね。『コールオブデューティー』とかでいえば、PS3当時の5,6倍売れてる状況です。

海津:
『レインボーシックス シージ(2015年)』とかわかりやすいですね。あのシリーズって、過去そんなに動くイメージはありませんでした。あと、まったく聞いたこともなかったようなタイトルとかもですね。『ウィッチャー』とか、そういうタイトルがそれなりの数動く、下手なタイトルよりも売れるっていう状況に変わったっていうのは、ユーザー側の変化というのもあると思います。

武藤:
逆に日本で当たり前にミリオン売れていたっていうタイトルにしても、僕らがここまで売れてほしいっていう数になかなか届かなかったりするようになりました。日本国内ではパワーバランスが変わってきてるっていう状況です。

――逆にそんな中でも変わらない『モンハン』シリーズはすごいですね。

武藤:
『モンスターハンター:ワールド(2018年)』はものすごかったです。PSPや3DSのときもそうでしたが、PS4も世の中からなくなるどころか、数ヶ月なかった状況でした。ソニーさんも、ここまでとは思ってなかったのかなという感じですね。

――PS VRとかはいかがでしょう。

武藤:
弊社の場合、早めに全店で取り扱うことができたので、弊社全体の売上としては、小さな部分ですが、周辺機器としてはかなり貢献してる状況です。

海津:
他の周辺機器も過去色々出ましたけど、その中では非常に実は良いですね。なので、タイトルはまだまだ出してほしいです。実際、『エースコンバット7(2019年)』のときが結構伸びたんですよ。あのように、VRならではの部分が合致するものが出ればまだまだ動くと思います。

武藤:
特に弊社の場合、店舗で売りたい周辺機器ではあるんですよね。なかなかネットじゃ感覚が伝わらないので…。体験会とかも頻繁にじゃないですけど続けています。もう少し値段を下げていただいて、手に取りやすくしていただけると助かりますけどね。

――昨年、『ASTRO BOT:RESCUE MISSION(2018年)』というタイトルがでましたが、VR初期に培ったノウハウをきちんと昇華した作品だった印象です。このようなタイトルが今後たくさん出ると、また盛り上がるのではないかなと。

武藤:
サードメーカーさんでどこまでできるか、という部分もあると思います。先日配信された『Beat Saber』もすごくて。ソフト自体はダウンロードなので、売上についてはわかりませんが、PS Moveはものすごく売れていますね。

海津:
まだまだ可能性は秘めてると。まだまだいけるかなと僕らは判断してますね。


――では、Xboxについてはいかがでしょうか。

海津:
Xboxも、Xbox 360も、最初の印象は悪くないんですよね。実際、PS3とほぼ同時期に出たXbox 360は、2年目くらいまではそれなりに販売できていましたし、『HALO』シリーズや『ブルードラゴン(2008年)』といったタイトルもしっかり揃っていました。ですが、徐々にメーカーさんが本来2機種マルチで出してたのが、PS3だけになっちゃうようなこともでてきて。尻すぼみになってしまったなと。

Xbox Oneは、世界だとまだPS4と戦えるくらいの状況にあると思いますが、日本市場では新品・中古市場ともにずっと厳しい、と言う形でしかないかなと。安い値段で出してるのも私たちはもちろん知っているんですけど、あまりにもその情報が回ってないと感じています。

武藤:
MSさん自身が、日本に対して厳しい目で見ていて、販促とかにお金をかけるつもりもないのかなと。Xbox Oneに関しては、かなりニッチな市場になってますね。

――もちろん、コーナーはあるんですよね?

武藤:
Xbox 360も、Xbox Oneもまとめてになりますが、そこはもちろんあります。

――ゲオでは、SEGAのハードも扱ってはいたんですか?

海津:
扱ってはいました。ただ、中古問題のころで扱いとしてはやはり厳しくて。中古問題が終わったのがドリームキャストの頃なんですけど、そこからハード自体が厳しくなって、最高裁の判決より前にセガさんがハード事業から撤退してしまったんですよね(2001年)。正直、弊社とちょっとタイミングが合わなかったんです。当社的にはめぐり合わせが悪かったという印象が強いハードですね。

武藤:
ただ、中古の販売はし続けてはいましたね。売り側からするとどっちも良いタイトルが出ていて、PSとの差別化はできていたように感じます。今思えばいい時代だったのかもしれないですね。

――昔だと、たまにソフトの発売ハードが変わる、みたいなことがありましたが、小売的には厳しかったりするんですか?

海津:
やっぱり、ハードの趨勢や状況の変更を握るタイトルっていうのは大きい物が多く、それらのタイトルの発売ハードが変わるということは、ハードの潮目が変わる瞬間でもあるんです。もちろん、変更前のハードも売り続けますが、変更後のハードをいかに安定供給をさせるかなどを考えるだけですね。急に変更が発表されると困ってしまうのは確かですが。

武藤:
うハードに移行することで、違うハードが売れるわけです。それに伴って弊社は今までのソフトや周辺機器も頑張って売ってこうと、前向きな形で準備することもできますよね。期間さえあれば、構えることはできます。

――お二人が実際に関わった業務で、いままで一番印象に残っているタイトルはありますか?

武藤:
大作はやはり印象に残りますね。毎回、土曜日とかに発売することが多いんですけど、『ドラクエ』シリーズとか『ポケモン』シリーズのような、AAAタイトルとかになると、パソコンの前で発売日の販売推移を逐一メーカーさんと話しながら、翌週のシミュレーションを立てたりするので。

特別どのタイトルっていうとちょっと難しいんですけど、直近で言うと『モンハン:ワールド』でしょうね。発売までにいろんな苦労もしていたので、リリースするのと同時に今までのプロモーションから開放されるような感じです。ちょうど私は発売日は、「台北ゲームショウ」に視察に行っていたのですが、その内容より売上が気になってた状況ですね(笑)。

――そういえば、ゲオではメーカーと一緒に限定の特典をつけたりしていましたね。

武藤:
『モンハン:ワールド』もそうですが、最近はゲオだけのグッズを付けた限定版とかもやっていますね。

――ただただ売って終わり感じじゃないんですね。

武藤:
売上とプロモーション、2重で見る楽しさはありましたね。ただ、売ったらすぐ翌週のこと考えちゃいますけどね(笑)。

――海津さんはいかがでしょう。

海津:
タイトルで言うと『ドラゴンクエスト IX(2009年)』ですよね。もちろん当日の並びや、世の中のムーブメントも含めてですが。当時、携帯機で『ドラクエ』って初めてで、いろんな不安感を抱えていたユーザーもいたと思います。そんな中で、それを全部払拭して、世の中にあんなムーブメントを起こしたんです。地図探しとか、一つのゲームであれだけのことができるのは、すごいとつくづく思いましたね。

――中古の面で印象的だったタイトルはありますか?

海津:
10年位中古を見ていますが、DSが2004年以降ずーっと動いてる状況だったんです。その状況が2008年の夏くらいにちょっとだけ落ち着いたんですよ。そこがなんか思ってた感覚とずれていて。ずっと上り調子で行くみたいな感覚だったんですよね。もちろん他の機種でも必ず頂点があって、そのあとどこかで落ちていくんですけど、まだこの時期には3DSの発表もされていないんです。そのときにいきなり静かになって、いろんな感覚が狂ったという瞬間がありましたね。

そこからずっと静かなままかと思ったら、秋冬でまたタイトルが出て、さらにその翌年に『ドラクエIX』がでて市場がバッと戻ったんです。結局、その後3DSに綺麗につなげたんですけど、不安を感じていたのがすごく印象深くて。「こんな急に静かになんの?」って。他の機種では見えていた潮目が初めてわからなかったんです。

未だに売上が落ち着いた理由はわかり切っていないんですよね…。

――理由が気になりますね…。平成の間で、客層は変化していますか?

海津:
大きく2回ありましたね。まずはDSのタイミング。特に『どうぶつの森』がでてから明らかに女性ユーザーが増え、女性ユーザー向けのゲームを取り扱っていくかってことを意識しながらやることが増えましたね。

もう一つが、海外ゲームをなんの抵抗もなく遊べるユーザー層が出てきたことです。これがPS3~PS4にかけてですね。販売の流れも変わりましたし、国産ゲーよりも洋ゲーのほうが売れるっていう事象も度々出るようになったっていうのもここぐらいかなと思うので。大きくはこの2回かなと思いますね。

武藤:
量で見ると、グラフ上では変わってないかもしれませんけど、当時ファミコンで育った世代が親になってきてる世代でもあるので、そういう意味では広くなってるのかなって感覚はあります。なので、売り場でもそういった形で、親から子に買い与える、もしくは勧められるっていうところは発注時に意識しています。

――ゲオと他の小売店で、売れるタイトルに差ってあったりしますか?

武藤:
細かく言えばたくさんありますね。

海津:
わかりやすいのはやはりアクションとスポーツが他社と比較するとかなり強いという印象です。

武藤:
アクションというのはFPSとか含めてですね。

海津:
そうですね。さらにいうと、お店によってCERO:Zが扱えないっていうところと、場合によっては一部機種を扱わないところもあります。その分、弊社なら全部買えるよって状況もありますね。

アクション系であったりCERO:Zとかは、僕らも力入れて売ろうっていう意識もあって、結果としてそれもお客さんに伝わっているのかなと思っています。PS2くらいからそのあたりには力を入れていて、その流れとして印象がずっとついてるのかなってところはありますね。

――たしかに、洋ゲーにしろCERO:Zにしろ、ゲオはちょっと強いイメージありますね。

海津:
逆に、恋愛ADV系が若干弊社は苦手としてるかなって印象がありますね。

武藤:
苦手というか、恋愛ADVとかはアニメ系の店舗で色々グッズを付けたりとかされてるところもあってそっちに寄ってるんですよね。逆に、僕らはCERO:Zタイトルの方でなにか特典つけて売ってるっていうところもあるので、そこはそれぞれで強いものを差別化してるっていう状況ですかね。

――洋ゲーの台頭を感じてきたのはいつ頃からですか?

海津:
具体的に見えてきてたのはPS3の中期くらいからかなと。『コールオブデューティー』『アサシンクリード』『バトルフィールド』…こういうタイトル群が徐々に国内で売れていき、そこに日本国内のゲームで言うと『バイオハザード』『メタルギアソリッド』『ドラゴンズドグマ』とか『ダークソウル』と言った一見すると海外の人が作ったのかな、みたいなゲームが同じように売れてきたんですよね。ユーザーとしては垣根がなくなったと言うか。十分面白いゲームじゃんって話になったのがPS3のころにあって、PS4の頃はもうユーザーがみんな普通に買っていくようになったのかなっていう印象ですね。

武藤:
『グランド・セフト・オート4』発注の時、朝の10時に開店して11時には週末になくなるのが分かるくらいに勢いが凄くて、11時の時点でメーカーさんにある在庫を全部買ったっていうことをしましたね。そこまでできるかってくらい全部買ったんですよ。この初動の良さが印象としてすごく残ってますね。前作の『グランド・セフト・オート3』も含め、海外のタイトルも面白いんだぞって証明したタイトルだと思います。あとは、スケールの大きさを感じたってところでは、『グランド・セフト・オート5』もPS3であれだけ売って、PS4に移植されてからでも売れ続けているような状況ですので。ものすごいゲームだなと思いますね。

――平成後期からは、ダウンロード版の販売が本格的に始まりました。それに対する危機感みたいなものはありますか?

海津:
そうですね。ダウンロード版市場はやっぱり伸び続けている状況で、中々データに出てこないので難しいんですけど、感覚的には今だとゲーム市場の15%くらいは取っているんじゃないかと想定しています。

国内はまだまだすべてのユーザーがダウンロードを受け入れられる状況になっているわけではありませんが、利便性という意味では確実にダウンロード版のほうが上です。そうすると、パッケージ版にどのような価値があるのかっていうところを推していくべきっていう判断になりますね。そこは、ゲオ限定特典がつくものだったりとか、最近ですと専売品って形で弊社だけで売るようなってのもメーカーさんと交渉して展開を増やしています。

そして何よりも、パッケージ版の弊社的な強みは買い取りの部分です。それでお客様がまたお金を手にして、新しくゲームを買っていただけるっていう流れこそ最大の強みなので、そこはずっと続けていきますし、そこを更に推して行くっていう形でできるだけ対抗していきたいなと思っています。

武藤:
正直言うと、ダウンロード版はライバルではあるんですけども、共存していかなければいけないところもあります。もしこれが台頭してゲーム売り場が徐々に消えていくにしろ、ゼロになるわけではないのではないんですよね。本体を売るには絶対にネットだけじゃ厳しいですし、周辺機器もしかりです。必要とされる売り場として残していきたい、戦っていきたいというところはありますね。そのためには、中古がないとパッケージの優位性も魅せれませんし、さっきの専売品っていうところも必要だと思っています。これからも引き続きやっていきたいと思っていますね。

――2000年代に入ると、ネットではSNSが台頭してきますが、そういうところで方針や市場は結構変わったりするものなのでしょうか。

海津:
そうですね。SNSとかゲーム系情報サイトなどの影響っていうのは、PS3や3DS位の時期から相当あがってきたという印象があります。ユーザーも、例えば発売日の時点でゲームの情報を仕入れられます。どういうゲームなのかとか、実際遊んでみた感覚どうなのとか。さらに動画ですね。実況動画を見て、ユーザーがそのゲームを買うという流れがここ数年で完全にできてきました。

私達も、もちろんそれらで情報を得ています。この評判の状況だったら、こう市場が動くんじゃないか、っていう想定のための、ひとつのエッセンスになるくらいまでは、チェックすべきものになってるかなって感覚ですね。

武藤:
それこそ、洋ゲーとか評判によって売りの状況が変わってきてしまうものもあります。見方としては違うかもしれませんけど、僕らとしては販売直後もしくは直前のレビューっていうのは重きを置いていますね。それを見て、どうやって売ってくか追加で仕入れるべきなのか、などを含めて捉えるときはありますね。

海津:
実は、最近はその部分はちょっと難しくなってきていて…。数年前までの洋ゲーって、まず海外で発売され、その後1ヶ月たって国内販売という流れが多かったんですよね。つまり、レビュー等が揃ったのを見てから動き方を調整できたんです。しかし、最近ほぼ同発になってきています。海外と同じタイミングで判断するみたいな感じですし、レビュー速報を見つつ急ぎで調整するようになってきていますね。

武藤:
ただ、僕ら以上にネットでの販売価格も変わっていくのも事実なんで追随せざるを得ないところはありますね。

海津:
私達も追ってますし他の会社も追ってますし、さらにお互いも見合ってるみたいな形なので。例えばあっちが下げたっていうのを見て私達も下げた、逆にこっちが下げたからあっちもみたいな。本当にもう、情報戦ですよね。

武藤:
実際、ネット通販を比較して買うか買わないか決めるお客様もいます。そこはダウンロード版と相反するところもあるかもしれないけど、その場で買えるかどうかってところも含めてできるだけ、市場相場に合わせる形にはしてます。その中で弊社の優位性は、追加で特典をつけたりと言った部分にあると思います。


――逆に昔はどう判断してたんですか?

海津:
もう本当に純粋に、自社の実績っていうのが中心になりますね。あとはもちろん競合の調査とかはしているので、ユーザーの実際の購入の動きをみてからでも判断できたんです。

他社さんと比べると弊社はマスタの管理や整備も比較的早く始めたと思います。タイトルごとのマスタ管理をしている分、在庫の動きは見やすかった感じはありますね。

武藤:
そうですね、実績も追えるようなシステムも早くから作っていました。

――ネットの評判が全然当てにならなかったやつとかってあるんですか?

武藤:
直近で言うと『ジャンプフォース(2019年)』とかは、ネガティブな話が多かったんですけども、消化率は高く、今でもまだ売れていますね。評判を見てダメなのかな?って思ったら売れてるっていうのはよくあります。

――若干時を経て再評価されたタイトルとか。

海津:
一回値段が落ちたあとで、直近であがったものだと『イナズマイレブン1・2・3!! 円堂守伝説(2012年)』ですね。ある程度、最初に売れて価格とかも落ち着き、イナズマを取り巻く環境ってのが一回全体的に落ち着いたじゃないですか。でも、その後に実況者さんが、動画をアップされて、売れたんですよ。更にその後、新作の話もあって今もずっと売れ続けてる状況ですね。

――ゲーム実況って、やはり強いんですね…!

海津:
先週と比較して急に売上が伸びた理由を探したときに、ゲーム実況だった、というのはたまにあります。

武藤:
『マインクラフト』とかはそれでずっと売れ続けてますね。たくさんのハードで出ていますが、なにかしら、どこかの機種で売れています。今だとスイッチ版がずっと売れていますね。

――平成30年間のゲオゲーム事業の歴史の中で、一番売れたタイトル、ハードはどれでしょうか。

武藤:
ハードだったら3DSですね。そこは市場と変わらないかもしれません。

海津:
市場で言うと3DSじゃなくてDSだと思うんですけど、弊社的には3DSシリーズのほうが売れていますね。ソフトに関して言うと難しくて、単品だけの話なら、PSPの『モンスターハンターポータブル 3rd』ですね。

武藤:
それと、『ポケットモンスター サン&ムーン(2016年)』がほぼ同じくらいですかね。こちらはダブルパックとかの合算ですが。この2タイトルを、今は『スマブラSP』が猛追しています。

――『モンハン』シリーズのどれかかな、とは思っていました。

武藤:
トップ10ランキングを付けるとするなら、『モンハン』シリーズが5本くらい入ってきそうです。『4』とか、3DSのタイトルも本当に近しい数字が出てます。

海津:
先ほど話にあった、アクションに対する親和性が高いっていう弊社の傾向も影響しているかなとは思います。

――あと、これも聞きたかったんです。「平成で印象に残っている事件」はなにかありますか?

海津:
一番大きかったのは、3DSの値下げ発表ですね。何も知らされてない状況で急に来たんです。本当に、なんの前触れもなく10,000円下げますって言われて、もう大慌てです。新品の方はその後に下がりますよって言えますが、発売から約半年って中古は売り始めなんですよ。当然、高めの買取価格になっていて、10,000円下がった状況よりも高い買取価格だったんです。なので、その日のうちに、本来ミスとかでないとめったにやらないような緊急配信みたいなことをやって、3時間位で買取価格を変えました。

武藤:
いきなり10,000円下げるっていうのは、過去なかなか、それこそ30年みてもないんですよね。インパクトも強いですし、会社の中で激震が走ったと言うか。値下げの発表はやっぱり驚きます。突然発表されるときが多かったので。

海津:
店頭のPOPも全部変えるように指示出しましたよね。あれはすごかった。

武藤:
Wiiの値下げのときは5,000円だったのですが、ちょうど私が東京ゲームショウにいたときだったんですよね。あれもものすごく困りました。会場で回線を借りて「値下げします」と配信してましたね。任天堂さんがゲームショウに参加されてないのでってのもあるんでしょうけど、ここでやるかーてタイミングだったのでびっくりしましたね。

あとは、『妖怪ウォッチ』シリーズのブームですね。『妖怪ウォッチ』って『1』の最初だけで見るとスマッシュヒットくらいのタイトルだったんですけど、そこからアニメでブームがはじまり、妖怪メダルのブームがありっていうところで、『1』と『2』で全然見え方が違うんです。『1』もアニメ放映からさらに売れて100万本超えてるんですけど、『2』でいきなり300万本を超えるっていう状況もありつつ…。

クロスメディア戦略っていう所に対して、僕らもDVDとか扱ってる状況でこれは乗っからないとまずい、っていうとこともあったんですよね。妖怪メダルとかそういった関連グッズを、無理やり周辺機器のところに置いたりしていましたね。『妖怪ウォッチ』シリーズのブームによって、その後の売り場の見せ方も変わりました。本当に当時は、『妖怪ウォッチ』様様でしたよ。報告会のときに、最後「妖怪のせいなのね」って言ったこともあって(笑)。一応苦笑で終わったんですけど。

海津:
半年弱くらいで新規IP1つが市場を一気に変わるっていうのは見たことないですね。

武藤:
何が凄かったかっていうと、ゲームだけじゃなくてメディアとか玩具っていうところの業界の常識も書き換えちゃったんですよね。直近だけで言うと、ここ一番の勢いを感じましたよね。

海津:
もちろん、『ポケモン』のブームとかも見てきましたけど、そのときはまだいちユーザーだったので。リアルに販売する側として体験したのが大きかったですね。

――市場の変化でいうと、スマートフォン向けタイトルの台頭って、影響はあるんですか?

海津:
スマホゲーム市場って、コンシューマの3倍以上の売上があるんです。なのでもちろん、チェックはしています。いくつかのタイトルは、コンシューマでも発売されますしね。僕らとしても追うべきっていう判断していて、コンシューマになったときにどういう動きをするのかって考えることが多いです。いろいろ想像しながら、どういう市場になるかというのを読むような感じになってますね。実際、『パズドラZ』とかは100万本以上売れているので。

武藤:
それも共存できるような形になるといいなと思っています。コンシューマメインのタイトルがスマホで出て、そこでユーザーが広がってコンシューマが売れるっていう状況もあると思います。

海津:
コンテンツクロスというと、『Fate/EXTELLA LINK』が印象深くて。『Fate/Grand Order』が盛り上がったこともあって、想像以上に売れたんですよね。あと、Vita移植版の『Fate/stay night』も特に廉価版が長く売れたりしましたね。「Fate」っていうコンテンツそのものが盛り上がった結果、これだけコンシューマのほうでもユーザーが買うっていう状況になったのは結構大きな変化かなって感じはしますね。


――無視できない影響がありますね。

海津:
市場が3倍あるっていうのは相当大きいですよね。コンテンツがより広がるっていう状況があって、それに対して返ってくるってことがあるっていうのが大きいかなと思います。さっきの『FGO』もそうですし「ドラゴンボール」とかも本当にわかりやすい例ですね。

―では、最後に総括をいただければと。

海津:
30年という歴史の中で、ゲーム市場自体が日本メインだけではなく、海外にも大きく影響を受けるようになっています。さらに買う手段が当時だと当然、実店舗で、しかもゲームショップじゃないようなところも含めて様々な所で販売してたのが、オンラインショップができ、更にダウンロード版と言う形で多岐にわたるような形になってきました。さらに、ゲームジャンルも多岐にわたるような状況になってきたなと。直近ですとバトルロイヤル系ですね。そういうのも含めて多種多様なものが出てくる中、ゲームショップって世の中的にも淘汰が進んでいて、なかなか厳しいという状況もあります。そんなときでも、弊社としては独自性を出したりとか、パッケージ版ならではってところをどんどん出していって、さらに中古っていうところも優位性を出していき、パッケージ版が出る限りはできるだけ続けていきたいなと思っています。

パッケージ版がなくなってしまうと、いよいよどうしようかなとなるんですけど(笑)。それがある限りは続けていきたいなという考えで私達も今はやってますし、更に言うとやっぱり寡占化した中で、下手したらこの街でゲーム買えるのが弊社しかないってなってる所までは、頑張りたいと思っています。

武藤:
実際、北米もダウンロード版が主流になってる中、GameStopさんは利益を出し続けています。目指すはGameStopさんというくらい、日本市場に浸透していきたいと考えてますね。そうなってくると、ゲームに携わるすべてのコンテンツに関しては扱えるように、e-Sports等も含めて、今後も何かしらゲオとしても取り組んでいけるようにしていきたいですね。

海津:
e-Sportsは、弊社でも「ゲオカップ」という大会を開いたり、店内で対戦イベントをやったりとかもしているので、どう進むかを見ながら私達もそこに協力していければなと思いますね。30年前に今のような状況を予測できたわけではないので、10年後にはe-Sportsは全然当たり前になって毎日大会が開かれていますみたいな状況になるかもしれません。

武藤:
フットワークを軽くビジネスチャンスがあり、ゲームに携わるものであれば展開できるようにはしていきたいと思っています。

――ちなみに、「令和」を目前にした今だからこそ言えることはなにかありますか?

海津:
弊社、福袋っていうのやったことがないんですよ。でもたまにネットで、ゲオで買った福袋と言ってPS2の安いソフトがめっちゃ入ったやつが正月時期に定期的に上がるんですよ。ただバーコードみると他社のものだってわかるんですけど(笑)。なのでそこは宣言しておきたいなって。結構昔からある都市伝説みたいな感じになっていて…。たまに広報宛にも連絡くるんですよ、取材させてくださいって。「いやいや、やってないです」っていうくらい。

――店舗単位でやっているとかもないんですか?

武藤:
やってないですね。弊社は直営店主体ですので店舗の販売施策とかは基本全国一斉に本社から指示しているので。

海津:
本当にもし、私たちが入社する前の90年代とかにやってたら申し訳ないのですが、見る限りPS2のソフトが入っている写真なので、90年代ってことはないと思うんですけどね。

――件の福袋は私も見たことがありますが、ゲオのではなかったんですね…。覚えておきます。本日は長時間、ありがとうございました!

《すえなが》
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