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中華ゲーム見聞録:オープンワールド武侠RPG『武林志』明建国後の動乱期を題材にした朝廷と武林の戦い

「中華ゲーム見聞録」第39回目は、明建国後の混乱期を舞台に、朝廷や武術門派の戦いを描くオープンワールド武侠RPG『武林志(Wushu Chronicles)』をお届けします。

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中華ゲーム見聞録:オープンワールド武侠RPG『武林志』明建国後の動乱期を題材にした朝廷と武林の戦い
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中華ゲーム見聞録」第39回目は、明建国後の混乱期を舞台に、朝廷や武術門派の戦いを描くオープンワールド武侠RPG『武林志(Wushu Chronicles)』をお届けします。

本作はJiangHu Studio(江湖工作室)が開発し、Snail Games(蝸牛遊戯)によって2018年9月14日に早期アクセス版が配信されました。度重なるアップデートの末、正式版が配信されたのは今年の4月10日です。Snail Gamesは『黒い砂漠』やモバイル版『リネージュ2』『ARK:Survival Evolved』などを中国で配信している老舗オンラインゲーム配信会社で、江湖工作室はその傘下のインディーデベロッパーです。Snail Gamesは日本でも『天子伝説』『九陰』(いずれもサービス終了)など自社ゲームを配信していたのでご存知の方もいるかと思います。


本作のテーマである「武侠」は中国の人気ジャンルですが(「武侠」については第1回「太吾絵巻」を参照)、ゲームにおいては架空世界を舞台にしている作品が多く見られる中、本作は「明代初期」という歴史的背景を持った作品になっています。明はモンゴルの支配していた「元」の次の時代で、「三国演義」「封神演義」「西遊記」など有名な中国古典作品が登場した時代でもあります。朱元璋(しゅげんしょう)という人物が元を北へ追いやって中国を統一し、南京を都として建国しました。しかし朱元璋は猜疑心が強く、統一後に功臣たちを次々と粛清していきます。

朱元璋の死後、孫の朱允ブン(しゅいんぶん)が帝位に就くと、北京を守っていた朱元璋の四男、燕王・朱棣(しゅてい)(のちの永楽帝)が反乱。南京を陥落させて自らが帝位に就きます。この内乱を「靖難の変」と言い、本作ではそれまでの政治的動乱がテーマになっています。

『武林志』戦闘勝利シーン

本作の内容はオープンワールドRPGで、プレイヤーは中国各地を自由に渡り歩き、武術やスキルを学んだり、道場破りをしたり、人助けをしたり、悪事を働いたり、恋愛をしたり、クエストを受けたりなど様々なことが可能です。またプレイヤーの行動や選択によってエンディングが変わるマルチエンディングシステムを採用。歴史的事件も発生し、歴史通りに進むも変えるもプレイヤーの選択次第です。加入できる武術の門派も20以上あり、どの勢力に味方するかもプレイヤーの自由。ちなみにタイトルの「武林」とは、武術家たちの世界のことです。さっそくプレイしていきましょう。

明建国後の動乱



ゲームを開始すると、まずは名前の入力です。いつものごとく「遊戯閃光」で。ちなみに日本語入力は受け付けないので、日本語入力のみの方は英語に切り替えて入力すればいいかと。あとなぜかオープニングでオプション選択ができないため、設定変更はゲーム中でオプションを選ばなければなりません。

オープニングムービー


物語は劉基(りゅうき)の死から始まります。劉基は明建国の功臣であり、字が伯温(はくおん)であることから、一般的には「劉伯温」と呼ばれています。日本ではあまり知られていないかもしれませんが、中国では歴史上の名軍師で、「三国演義」の諸葛孔明のモデル的人物ともされています。「三国演義」における赤壁の戦いの描写も、劉伯温のハ陽湖(はようこ。ハは「番」にオオザト)の戦いが元になっていると言われています。


その名軍師である劉伯温が亡くなり、彼の兵法書である「百戦奇謀」が江湖(アウトローの世界)に流れてしまいました。先ほども説明したように、明を建国した朱元璋は猜疑心が強く、反乱を恐れています。誰かが「百戦奇謀」を利用すれば、政権をひっくり返されることにもなるでしょう。これを機に朝廷の内外では互いが互いを疑うような状況となってしまい、「百戦奇謀」をめぐっての戦いが始まります。遊戯閃光もいずれこの戦いに巻き込まれていくことでしょう。


オープニングが終わって遊戯閃光登場。洞庭村に住んでいて、まだ修行中の身です。師匠・帰海無量と姉弟子・蘇青烟(そせいえん)が前にいます。遊戯閃光と蘇青烟は孤児で、師匠のもとで共に育ってきたとのこと。遊戯閃光はあまり真面目な弟子ではなく、一晩中どこかをほっつき歩いていたようで、そのことを師匠たちに咎められます。


見た感じは結構若そうな師匠の帰海無量。遊戯閃光が言うには「なぜか官兵がやってきて人々を捕らえようとしたので、それを助けていた」とのこと。帰海無量は官兵が現れたのに思うことがあったようですが、遊戯閃光には黙っています。それから遊戯閃光に、武術の基本はだいたいできてきたので、刀・剣・拳・棍の中から学びたいものを選ぶよう言いました。「武侠もの」といえば剣で戦うことが多いので、剣を選んでおきます。

しかし江湖で生きていくには、武術だけでは不十分。それ以外のスキルも必要になります。ここで酒量・洞察力・学識・料理・医術・口の上手さ・兵器鋳造の7つのスキルからひとつを選択。中国の人間関係は酒量がかなり重要なので、ここは酒量を取っておきましょう。


今後の志を選択した後、姉弟子・蘇青烟によるチュートリアルが入ります。酒量など、スキルにはスキルツリーがあります。すべてのスキルを取ることはできないため、いくつかに絞って習得していく必要があります。また武器についてもそれぞれ熟練度があるので、ある程度絞った方がいいかと。

姉弟子とのバトル!


村での移動~戦闘


遊戯閃光を動かすことができるようになりました。WASDで移動、スペースキーでジャンプ、Shiftキー押しながらでダッシュ、Fキーを押すと空中を長距離移動できる「軽功」が使えます。武侠映画を見たことのある方ならお馴染みの、ワイヤーアクションで空を飛び回るアレですね。


スキルで酒量を取ったことにより、師匠からクエストを言い渡されました。酒売りの高小六から「老白干」という酒を手に入れ、それを飲めとのことです。村のそばにある波止場へ行くと、酒屋に高小六がいました。さっそく酒をいただきましょう。


店での取引画面です。左が店、右が遊戯閃光のインベントリ。アイテム上で右クリックすれば、購入や売却、使用ができます。また食材を使って料理を作ることも可能。とりあえず右クリックで酒を飲みましょう。


師匠の元へ戻ってクエスト達成を報告すると、戦い方を教えてくれます。武術には内功(体内の気を操る術)が必要なので、「胎息功」を学べる書物を授けてくれました。インベントリ画面で書物を右クリックすれば会得することができます。ちなみに武器や防具の装備もすべて右クリックで行います。


力試しのため、蘇青烟との模擬戦が始まりました。バトルはコマンド入力式です。行動ポイントがあり、その上限に達するまで技を使うことができます。遊戯閃光は「剣挑式」(必要行動ポイント1)と「星河剣舞」(必要行動ポイント2)を習得していて、1ターン中に最大3の行動ポイント消費が可能です。両方の技を使って攻撃を仕掛けます。


派手なアクションとともに蘇青烟への攻撃が始まります。最後には蘇青烟を打ち上げたあと跳び上がり、そのまま体重を乗せて地面に叩き付けるといったやり過ぎ感のある攻撃で勝利しました。

明兵の来襲!



修行の続きはまた明日ということで、家に戻ってベッドで休む遊戯閃光。しかしこのゲーム、墨絵のような独特な雰囲気のグラフィックが武侠の世界観に合ってて良いですね。Snail Gamesが独自開発した「Flexi」というエンジンを使っているとのことです。


遊戯閃光が休もうとしたとき、外が騒がしくなってきました。家から出てみれば、朝廷の兵士たちが村を襲っているではありませんか!ここで師匠の素性が明かされます。師匠の帰海無量は、実は明の涼国公(明建国に功績のあった大将軍・藍玉)の副将軍で、劉基が病で倒れる前に兵法書「百戦奇謀」を譲り受けたとの疑いが掛けられていました。


軍を率いるは、この変な仮面を付けた楚子陵という男。兵士たちに洞庭村を包囲し、誰も逃がさないよう命じます。剣の腕に自信があるようで、帰海無量との戦いを望んでいます。


帰海無量は遊戯閃光と蘇青烟に、包囲を突破して村から逃げるよう言いました。自身はここで兵士たちを食い止めるようです。しかし遊戯閃光たちは、師匠を放っておくわけにはいきません。結局、ともに戦うこととなりました。


楚子陵が遊戯閃光たちの前に登場。「おとなしく兵法書を出せば逃がしてやる。さもなくば遠慮はしない」と言い放ちます。帰海無量は「たとえ兵法書があったとしても、お前のような乱臣賊子には渡さぬ」と言ってバトル開始。最初は押していたものの、やがて楚子陵の必殺技「万剣帰宗」を喰らって負傷してしまいます。


帰海無量が殺されそうになったとき、突然白衣の男が乱入。男は裴雲(はいうん)と言い、「白衣剣聖」の二つ名を持っています。帰海無量の知人であり、江湖では有名な人物です。楚子陵は相手が裴雲だと知り、おとなしく引き下がりました。帰海無量は負傷したため、裴雲の提案で、「玄天剣宗」という門派のところで治療することに。しかし回復まで2、3年はかかるそうです。


帰海無量は遊戯閃光に言います。「涼国公と共に元軍と戦っていたときに、赤子であったおまえを見つけて育てた」とのこと。また遊戯閃光の両親の手がかりは、コウドウ山(コウドウは「空同」に山へん)にいるコウドウ派の長老が知っているかもしれないことなどを伝えました。

帰海無量は自分の武術を弟子に伝授できなかったことを悔み、他の門派への紹介状を遊戯閃光に渡します。これからは遊戯閃光自らが門派を探し、そこで武術を学んでいかなくてはなりません。遊戯閃光の旅がここから始まります。

江湖への旅立ち



中国全土のフィールドマップが表示され、移動することができるようになりました。正面には蘇州と南京が見えますね。各地域に入ると地域マップに移行します。それとフィールドマップでは地面を掘って、武器作製の材料になる鉱物を採取することも可能です。

城内~フィールド~少林寺


そばの蘇州に入ると、「城内を探索するか、イベントを見るか」を選択できます。イベントを見ると、涼国公・藍玉が武林の代表たちを集めて宴会を開いていました。藍玉の目的は、「百戦奇謀」をめぐって朝廷と武林が対立する現状を変えるため、武林自らが「百戦奇謀」を見つけて朝廷に差し出すことです。武林の者たちも「兵法書に興味はない。見つけたらすぐに返す」と約束します。


そばの南京城内に入ってみました。城内は結構広くてグラフィックもきれいなので探索が楽しいです。困っている人を助けたり、酒屋の店員相手に金をせびったりといった行動をとることもできます。プレイヤーの行動は江湖での評判にもつながりますので、自分がどういうキャラを演じたいかを考えてプレイするのがいいでしょう。それとそこら辺を適当に歩いている人物にもちゃんと名前が付いているあたり、ゲームの作り込みを感じられます。


両親の手がかりを得るためにコウドウ山へ向かう遊戯閃光。フィールドマップではランダムエンカウントで盗賊や武術家、商人などが出てくることがあります。必ずしも戦う必要はなく、お金を払ってやり過ごしたりすることも可能です。また武術家相手のときは、武術の腕を比べるだけでなく、相手を殺すために戦うこともできます。


コウドウ派の本拠地に到着。それぞれの門派には得意とする武術があり、コウドウ派の場合は拳術です。拳術を極めたければここに入門した方が良さそうですね。道場破りもできるようですが、今のレベルで戦っても勝てないでしょう。まずは両親に関する情報集めです。


メインクエスト以外にも、サブクエストが数多く用意されています。画像は酔拳を会得するためのクエスト。「秋露白」という銘酒を探してくるよう言われます。ちなみに本作には日月の概念もあり、ゲームスタート時は1392年1月からです。何か作業をすると日数が経過していきます。


コウドウ派の長老に出会いました。彼の妹が、遊戯閃光の両親を知っているとのことですが、すでに他界してしまったようです。しかし長老は遊戯閃光を見て、コウドウ山で暮らしていた武林の盟主の子だと気付きます。その男は朝廷と武林の戦いに巻き込まれ、崖から落ちて消息不明になったようです。百草村、武当派、峨眉派などの長老とも親交があったので、手がかりを得るために彼らを訪ねるのが良いとのこと。このままメインクエストを追い続けるか、それとも江湖で自由に生きていくか、この先の物語はすべてプレイヤー自身が作っていくことになります。

作り込まれた武林の世界


本作はテキスト量が多く、城内を行き来する人たちにも名前があり、よく作り込まれているRPGです。立ち絵付きの主要人物たちとは友好パラメータがあり、師匠・帰海無量を襲った仮面の男・楚子陵とも仲良くなることができます(攻略できるヒロインも20人いるとか)。エンディングも60種類近くあり、遊びつくすにはかなりの時間を必要とすることでしょう。『太吾絵巻』に近いプレイ感覚でした。

百草村では薬草を集めるミニゲームがプレイ可能

本作は自由度の高いオープンワールドということもあり、早期アクセス版が配信されたときはバグが多く、アップデートが繰り返されていました。現在は正式版となりましたが、筆者のプレイ中にもBGMが鳴らなくなるといったバグが発生しています。ただゲーム進行不能になるような大きなバグには今のところ遭遇しておらず、アップデート自体は今後も頻繁に行うようです。3Dで描かれた美しいグラフィックの中、武侠の世界にどっぷり浸かることのできる大作を求める方にはおススメの作品と言えそうです。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

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