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中華ゲーム見聞録:フランス革命を舞台にしたSRPG『聖女戦旗』主人公はナポレオンの妹ポーリーヌー開発者インタビューも

「中華ゲーム見聞録」第43回目は、ナポレオンの妹ポーリーヌが活躍するフランス革命がテーマのシミュレーションRPG『聖女戦旗(Banner of the Maid)』をお届けします。記事の最後には開発者インタビューもあります。

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中華ゲーム見聞録:フランス革命を舞台にしたSRPG『聖女戦旗』主人公はナポレオンの妹ポーリーヌー開発者インタビューも
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中華ゲーム見聞録」第43回目は、ナポレオンの妹ポーリーヌが活躍するフランス革命がテーマのシミュレーションRPG『聖女戦旗(Banner of the Maid)』をお届けします。

本作はAzure Flame Studioが開発し、CE-Asiaによって5月28日にSteamで配信されました。日本でフランス革命に関する創作物といえば、まず名前が挙がるのが池田理代子の漫画「ベルサイユのばら(以下「ベルばら」)」。本作は「ベルばら」の後半、バスティーユ陥落後に革命が本格化するフランスが舞台となります。

主人公のポーリーヌ・ボナパルトは実在の人物で、ナポレオンの妹の中でもっとも美人で、もっとも自由奔放な女性だったといいます。移り気で男性遍歴も多く、ナポレオンも手を焼いていました。ただ手のかかる子ほど可愛いのか、ナポレオンが妹の中で一番可愛がっていたのもポーリーヌです。今回は開発者にコメントをいただけましたので、記事の最後でインタビューもお届けします


本作の内容ですが、ドット絵調のグラフィックで描かれたターン制のSRPGです。本作でのポーリーヌは史実とは違い、士官学校の卒業生として軍を指揮する身となっています。その一方で、サロンでの淑女としての活躍もあるとのこと。さっそくプレイしていきましょう。

フランス革命とルイ16世の逃亡



開始直後に「軍官模式」「将軍模式」のどちらかを選びます。「軍官模式」だと負けたときのペナルティがないようですし、セーブを自由にできるようですので、最初は「軍官模式」にしておきましょう。


難度選択後、騎兵が敵を蹴散らしながら進んでいくシーンが流れます。ドット絵がいい味を出していますね。舞台は1791年のフランス・ヴェレンヌ。バスティーユ襲撃から2年後のことです。この年はフランス国王ルイ16世が国外逃亡し、ヴェレンヌで逮捕された事件がありました。本作の騎兵も国王を追いかけているようです。


国王を追う部隊の指揮官はラファイエット(画像左)。いきなり有名人の登場です。貴族でありながら民衆側に立っていた人物で、自腹でアメリカに渡って独立戦争に参加したり、フランス帰国後に人権宣言の起草を行ったりと、民主主義の起点ともなりました。ルイ16世に人権宣言を承認させて立憲君主制を目指そうとしましたが、当のルイ16世がパリから脱出して反革命に投じようとしたため、それを追いかけているところです。

ラファイエットの前に現れたのはミラボー(画像右)。フランス革命の中心的人物で、ラファイエットの政敵でもあります。王室とのつながりもあり、立憲君主制を目指していました。史実ではヴェレンヌ事件前に亡くなっているのですが、本作では病み上がりで国王追跡に参加している設定です。国王が海外へ亡命すれば、フランス侵攻の大義名分を他国に与えることになるので必死です。


王党派の兵士たちがラファイエットの前に立ちふさがりました。ここで戦闘開始です。ゲームシステムは典型的なターン制のSRPGなので、説明なしでもプレイできるかと思います。とりあえず敵のそばまで移動します。


敵ユニットに隣接して戦闘を仕掛けると、画面が切り替わってオートバトルが始まります。攻撃側が先に攻撃を仕掛けますので、先手を取った方が有利です。それとユニットには攻撃力、士気、命中率のパラメータがあります。このあたりも伝統的なSRPGのシステムですね。

ポーリーヌ・ボナパルト登場!



王党派の兵士たちを蹴散らし、馬車に追いついたラファイエットとミラボー。国王は中にいないようです。ミラボーはラファイエットに「国王の捜索はお前に任せる。私はここで馬車を見張る」と言いました。ラファイエットはその場を去っていきます。


ラファイエットがいなくなったのち、馬車から貴族の女性が出てきました。王室がこれからどうなるのかについて心配そうにたずねましたが、ミラボーは「パリに戻れば監禁されることになる」と言います。


兵士たちが貴族の女性を捕らえようとしたところ、謎の力によって弾き飛ばされました。ミラボーはそれを見て「あなたこそが私の探し求めていたお方だ」と言い出します。もともとミラボーは国王を追跡しに来たわけではなく、この女性を追っていたようです。彼女の力が国家の未来に関わることだとも言いました。


そして時が経ち、舞台は5年後に。ここで主人公のポーリーヌ・ボナパルトが登場します。士官学校の卒業生で、馬車に乗ってナポレオンのいるトゥーロンへ向かっている途中です。


馬車のシーンが終わると、第一章「トゥローンの砲声」が始まります。トゥーロン攻囲戦(史実では1793年)がステージになりそうですね。ナポレオンの名が世に知れ渡った戦場でもあります。


到着したはいいものの、誰も迎えに来ていません。待ち合わせ場所を間違えたのかと思ったときに、砲声が鳴り響きました。敵が攻めてきたようです。ポーリーヌは身を隠す場所を急いで探しに行きます。

ナポレオンと合流!



戦場ではイケメンの指揮官が登場。ナポレオンの部下で、ポーリーヌを迎えに来てくれたルクレールです。史実ではポーリーヌの最初の夫になる人ですね(ちなみに史実でも金髪イケメン)。ポーリーヌが逃げるのを見かけて大声で名を呼び、敵に気づかれてしまいます。おバカキャラでしょうか。


戦闘開始。ルクレールを移動させ、ポーリーヌと合流しましょう。攻撃が命中したり敵を倒したりすると士気メーターが貯まっていき、満タンになると攻撃力や命中率が上昇するカットイン入り攻撃「英勇攻撃」ができます。また道具でパンを使うと生命が回復(2回まで)。ルクレールは生命が低いので、途中で回復させながら戦いましょう。


敵を蹴散らしてポーリーヌと合流したルクレール。ポーリーヌのルクレールに対する印象は「声がでかい」でした。しかしこのあとルクレールは、敵の砲撃からポーリーヌをかばって負傷してしまいます。


陣営で兄・ナポレオンと合流。ルクレールは手当てを受けなければならないので、ポーリーヌが代わりに参戦することになります。王党派支援を大義名分にして攻めてきたのはイギリス軍。しかも軍船で港を陣取っています。ナポレオンは高台の敵要塞を攻略し、そこから港にいるイギリス艦隊に砲撃する作戦を立てました。トゥーロン攻囲戦の始まりです。


戦場に参加するのはポーリーヌ、ナポレオン、そして遠距離攻撃ユニットの女性砲兵指揮官ローズ。貴族の出身ですが、革命派として戦っています。敵の守りは堅固ですが、後方から味方NPCの支援砲撃もあるので、恐れず高台の上を目指して進みましょう。


高台を占領し、港にいるイギリス艦隊に砲撃を加えるナポレオン軍。イギリスの指揮官は女性のようですね。全軍に退却命令を出します。この活躍によりナポレオンとポーリーヌの名はフランス中に知れ渡ることに。第一章はここまでで、第二章からは本格的な戦いが始まります。ポーリーヌのこの後の活躍は、自身の目で確かめてみてください。

開発者へのインタビュー



本作はテキストのボリュームも多く、第一章を終えるまで結構時間がかかりました。ゲームが本格的に始動するのは二章以降、のちのナポレオンの妻であるジョゼフィーヌが登場してからです。ポーリーヌはジョゼフィーヌの元で居候になり、そこを拠点にしてサロンで社交界デビューしたり、任務を受けたりすることも。また戦場ではユニット編成などができるようになります。以下は開発者へのインタビューです。日本語でお答えいただけたので、原文に近い形で掲載します。



――まずは自己紹介をお願いします。

曽氏:初めまして。インディーゲーム『聖女戦旗』の開発チーム「Azure Flame Studio」の開発・運営担当の曽(そ) と申します。私たちは中国・上海に開発拠点を置いています。メンバー十数人のチーム体制でゲーム開発をやっています。

――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょう?

曽氏:メンバーたちは自分が納得するゲームを制作したいという気持ちで集まり、2年ほどの開発期間で『聖女戦旗』を完成させました。

――本作の特徴を教えてください。

曽氏:本作は18世紀と19世紀にまたがるフランス革命を背景としたSRPGです。 ストーリーは歴史上に実際に巻き起こった事件をベースとして、聖女の伝説を中心としたファンタジー要素を加えたオリジナルものです。主人公の少女将校ポーリーヌは、歴史に名を刻んだ数々の英雄たちと共に戦乱のヨーロッパで戦います。 オリジナルとはいえ、歴史に興味のあるプレイヤー層にも、やはりそういう歴史劇特有の重みを感じさせたいという気持ちもあって、舞台である革命時期のフランスの風景を最大限に再現しようとしました。フランス革命をゲームで体験してみたいという人には、ぜひ遊んで頂きたいと思います。

――本作が影響を受けた作品はありますか?

曽氏:チームメンバーの大半はSRPGのファンで、皆やっていたゲームは多少のズレもありますが、チーム全体でいうと、市販のSRPGのほとんどをカバーしています。『ファイアーエムブレム』『スーパーロボット大戦』『ゲームボーイウォーズアドバンス』『ファイナルファンタジータクティクス』等。そういった作品たちをリスペクトしつつ、自分たちならではの味もちゃんと出すように意識して制作しました。

――本作の日本語対応予定はありますか?

曽氏:日本語の対応は現在進行中です。開発時期に本作に関心を持っている日本を含む海外の方々を結構見受けて、Twitterの公式アカウントを立ち上げて海外の方に情報を伝えようとしました。不定期にキャラクター紹介や進捗報告などを公開しますので、良かったらこちらのアカウント「聖女戦旗@bannerofthemaid」を見てください。

――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。

曽氏:Twitterで日本の方々からたくさん応援のメッセージをいただいております。それを日本語のできる方の通訳によってチーム全員が共有できています。私たちはマルチ言語化の効果を重視しており、今は日本のゲームユーザーたちが満足できるようなコンテンツに向けて、日本語ローカライズを進めています。

――ありがとうございました。



日本語化も進行中という本作。Twitter開設など、日本への配信に向けて力を入れている様子が伝わります。フランス革命とナポレオンの戦いをベースにして作られた物語なので、それらが好きな人はもちろん、まったく知らないという人でも楽しめる作品に仕上がっています。このゲームでフランス革命に興味を持ち、他の創作物に手を広げていくのもいいかもしれません。本作の今後の展開に期待したいと思います。

製品情報



※本記事で用いているゲームタイトルや固有名詞の一部は、技術的な制限により、簡体字を日本の漢字に置き換えています。

■筆者紹介:渡辺仙州 主に中国の歴史ものを書いている作家。母は台湾人。人生の大半を中国と台湾で過ごす。中国の国立大学で9年間講師を勤め、現在台湾在住。シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、ブログ「マイナーな戦略ゲーム研究所」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。Twitterはこちら
《渡辺仙州》

歴史・シミュ・ボドゲ好き 渡辺仙州

主に中国ものを書いている作家。人生の理念は「知られていない面白いもの」を発掘・提供すること。歴史・シミュレーションゲーム・ボードゲーム好きで、「マイナーゲーム.com」「マイナーゲームTV」を運営中。著書に「三国志」「封神演義」「西遊記」「封魔鬼譚」(偕成社)、「文学少年と運命の書」「天邪鬼な皇子と唐の黒猫」(ポプラ社)、「三国志博奕伝」(文春文庫)など。

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