気になる新作インディーゲームの開発者にインタビューする本企画。今回は、Julian Laufer氏開発、PC向けに10月11日リリースされたメトロイド風アクション『OUTBUDDIES』開発者へのミニインタビューをお届けします。
本作は、海底遺跡が舞台のメトロイド風アクション。5つのエリアを舞台に謎解きや強力なボスとの戦闘を楽しめ、ゲームを進めることで武器やスーツのアップグレードも可能です。オフラインでのローカル協力プレイも搭載。記事執筆時点では日本語未対応です。
『OUTBUDDIES』は1,840円で配信中。
――まずは自己紹介をお願いします。
Julianドイツでインディーゲームを作っているJulianです。12歳の頃から趣味でゲームのプロトタイプを作ってきました。勉強に集中するため、数年間ゲームとは距離を置いていましたが、この仕事の魅力を忘れたことはありません。しかし、ゲーム開発は私のメインの仕事ではなく、昼間は病院の勤務医として、精神の病や中毒患者の治療を行なっています。
――本作の開発はいつどのようにして始まったのでしょうか?
Julian本作の開発は2013年の初旬に始まり、主に夕方と夜の時間帯を使いました。当時から病院でフルタイムで働いていたので、開発はとてもゆっくりとしたものでした。他の多くの開発者たちと同様、当時私はインディーゲームの台頭と、Steamや他のプラットフォームで自分の作ったものを配信できるということにとても興奮していたのです。あれから様々なものが変化しましたが、本作は多くの人に評価してもらい、コミュニティも成長を続けています。しかし今、どんなに素晴らしいゲームでも、人の目に触れることが難しくなっています。
本作の開発とは別にたくさん仕事をしていましたし、私は夫であり父親でもあるので、本作にはおよそ7年というとてつもなく長い開発期間がかかってしまいました。当時、私はとてもナイーブだったので、これほど大きなものを作るのにどれだけの犠牲が必要かわかっていなかったのです。
それでも私は頑なに開発を進め、今年の10月23日、Rock Paper Shotgun(注:イギリスのPCゲームメディア)には、本作が「名作『メトロイド』と比べる価値のあるゲーム」とまで言っていただけました。
――本作の特徴を教えてください。
Julianコアとなるゲームプレイ要素に目を向けると、本作はメトロイドヴァニアではありません。そのまんま『メトロイド』です。探索と新たな装備を見つけることで先に進んでいくということに注力しています。レベル制や稼ぎのような行為は一切排除していますので、プレイヤーは自分のスキルの熟練度によって進めていくことになります。
また、本作のボスはどれも難度が高く、反射神経や戦略も必要です。プレイしていただいた方の中からは「今まで遊んだボス戦で一番のお気に入り」とも言ってもらえました。他の多くのメトロイドヴァニアと違い、本作は死ぬことに厳しくありません。自分自身が父親であり昼間働いているということもあり、ゲームにおいて何度も何度も同じ作業を繰り返すのが好きではないので、本作ではそれがステージ構造や寛容なリスポーンシステムに反映されています。ほとんどのプレイヤーは15~25時間で本作をコンプリートすることができているようです。
メインキャラクターの装備ツリーは『メトロイド』そっくりですが、本作のユニークな要素はバディユニットでしょう。バディは小さなヘルパードローンで、プレイヤーの旅に様々な道具を持ってついてきます。いくつかのパズルを解くためにも活躍しますよ。バディは周りの環境をスキャンでき、壊れる壁や罠、秘密の道を見つけることができます。また、スキャンすることで古代の施設のヒントを得ることができ、どの装備が必要かもわかります。
バディの二つ目の能力は超能力です。ブロックを持ち上げたり積み上げたりし、メインキャラクターNicolayが上に登る手助けをしたり床スイッチを押したり、敵を潰したりもできます。
そして三つ目はハッキングです。バディドローンはCorridium Protocolsというものを集めることでレベルアップし、敵の動きを変えたり、足場となるブロックに変化させたりできるのです。
本作はまた、ユニークな協力モードも搭載しており、もう一人のプレイヤーによりバディを操作することが可能です。協力モードではバディがより多くの能力を使えるため、二人目のプレイヤーも楽しめるでしょう。スリングショットのようなエネルギービームで戦闘にも参加できますし、バディはメインキャラクターのために新たな道を作ることができ、一人プレイでは難しい攻略ルートを進めることも可能になるのです。
――本作が影響を受けた作品はありますか?
Julian本作はお分かりのように、昔の『メトロイド』タイトルへのオマージュです。昔、兄弟と一緒に遊びましたし、マップを描いたりし、その世界に浸っていました。『メトロイド』タイトルは当時の他のゲームとはまったく異なり、私は夢中になったんです。『スーパーメトロイド』のように巨大で複雑なゲームを作るなど、不可能なように思えたのですが、そんな時、トーマス・ハップは『Axiom Verge』を作り、これが可能であることを証明しました。この作品とそのコミュニティが成し遂げた功績により、私の開発に対するモチベーションが高まったのです。
本作は世界観の物語とバックストーリーに力を入れており、これらはラヴクラフト作品から影響を受けています。誰もが気付いたり楽しめるものではないでしょうが、大丈夫です。とはいえ、もし理解できれば、本作の世界の見方がまるっきり変わるでしょう。
――本作の日本語対応予定はありますか?
Julian本作はコンソール向けに2020年の第1四半期に移植され、日本のパブリッシャーによってフルローカライズされる予定です。セリフは少ないですし、チュートリアルもアニメーションになっています。このアニメーションについてはすでに非英語話者から良い評価をいただいていますし、アイコンによる表示もわかりやすいでしょう。
――最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Julian本作は私が子供の頃に遊んだゲームが主なインスピレーションの源です。『メトロイド』シリーズ、『スーパーマリオブラザーズ』、『ロックマン』、『ガンスターヒーローズ』はどれも私の一番のお気に入りです。つまり、本作はある意味、日本のゲーム文化へのオマージュなのです。私は、昔の日本のゲームにあった、スキルと移動アビリティの組み合わせによるキャラクターの成長要素が大好きです。それに、日本のプレイヤーの皆さんのゲームの上手さにも関心させられます。本作が皆さんにとって良い挑戦となり、まるでビデオゲームのルーツに立ち戻ったかのように、世界の探索を楽しんでいただけると嬉しいです。
――ありがとうございました。
◆「注目インディーミニ問答」について
本連載は、リリース直後のインディーデベロッパーにメールで作品についてインタビューする連載企画です。定期的な連載にするため質問はフォーマット化し、なるべく多くのデベロッパーの声を届けることを目標としています。既に200を超える他のインタビュー記事もあわせてお楽しみください。
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