困難に直面したとき、あなたは何を選ぶのか―スイッチ向けサイコロジカルホラーADV『Tokyo Dark -Remembrance-』プレイレポ&インタビュー | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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困難に直面したとき、あなたは何を選ぶのか―スイッチ向けサイコロジカルホラーADV『Tokyo Dark -Remembrance-』プレイレポ&インタビュー

2019年11月7日よりニンテンドースイッチ向けに配信された『Tokyo Dark -Remembrance-』。PC版から進化したポイントや新要素を、プレイレポートとインタビューを交えて紹介します。

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困難に直面したとき、あなたは何を選ぶのか―スイッチ向けサイコロジカルホラーADV『Tokyo Dark -Remembrance-』プレイレポ&インタビュー
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2017年にインディースタジオ・Cherrymochiよりリリースされたホラーアドベンチャー『Tokyo Dark』が、『Tokyo Dark -Remembrance-』と題し、11月7日よりニンテンドースイッチ向けに配信されました。

もともとSteamで配信されていた『Tokyo Dark』は、都市伝説からヒントを得たストーリーと複数のエンディングが楽しめるサイコロジカルアドベンチャーゲームです。プレイヤーは伊藤絢美刑事となり、行方不明となった彼女の相棒・田中刑事を見つけるべく、東京の街を捜索します。

既にオリジナル版のリリースから2年が経過していますが、本稿ではコンシューマー版で新たにプレイする方に向けたレビューを行います。また、開発と移植に携わった方々のインタビューもあわせてお届けしていきます。

あなたの選択が絢美の人生を変える


実際にプレイしてみると、本作が非常に独特な雰囲気を醸し出すアドベンチャーゲームであることがわかります。ひどく重苦しい雰囲気の中で始まる物語は、程なくして狂気を孕んだシーンに行き着くのです。

冒頭シーン。不気味な表情をした少女の顔に、つい視線を送ってしまいます。

プレイヤー扮する絢美の目的は、パートナーである田中刑事の行方を探すこと。まずは薄汚れた夜の繁華街で聞き込みを開始しますが、ここでプレイヤーは、本作の特徴的なポイントを味わうことになります。

というのも、バーのママやサラリーマンに話しかけるといくつかの選択肢が表れるのですが、ここで何を選択するのかによって、その後に取れる行動がガラリと変わるのです。仕事中だけど、バーのママに勧められるままお酒を飲んでしまうのか。サラリーマンから情報を得るため、強い態度を取るのか、あるいは色仕掛けを使うのか。プレイヤーの決断が、絢美の行動につながるのです。

ちなみに本作オリジナル版はポイントアンドクリック形式のゲームでしたが、同様の作品に見受けられるパズル要素はありません。例えばゲーム冒頭に「鍵がかかったゴミ箱」を開けるシーンが出てきますが、開け方は複数パターンが用意されています。謎解きに横槍を入れられることなく、プレイヤーはダークなストーリーを存分に堪能することができます。


本作では、プレイヤーが取った選択肢によって、絢美のステータスに変化が生じます。ステータスにはSanity(正気、いわゆるSAN値)、Professionalism(職業倫理)、Investigation(探索能力)、Neurosis(ノイローゼ)の4つがあり、何かを選択するごとにいずれかの値が上下していきます。

4つの頭文字を取ってS.P.I.Nと呼ばれるこのシステムは、ストーリーの進行に大きな影響を及ぼします。この値によって、絢美の行動や各キャラクターとの関係性が変化していくのです。

このS.P.I.N値は、プレイヤーによってある程度コントロールすることも可能です。例えば、部屋にある精神安定剤を服用することでSanityが改善されますが、Investigationは減少します。そして、この薬はひたすら飲み続けることもできるのです。

こうなると要所要所でセーブしながら分岐を探してみたくなりますが、本作ではプレイ1周目はオートセーブされるため、絶対に後戻りができません。これが非常におもしろく、プレイヤーの人格、選択が、そのまま絢美の行動とS.P.I.N値に、そしてエンディングに影響することとなります。大げさかもしれませんが、プレイヤーの人生観が反映されると言っても良いのではないでしょうか。

「Remembrance」での追加要素と変更点


そのエンディングですが、オリジナル版で用意されていた11種類に加え、「Remembrance」では新たに2種類のエンディングが追加。新エンディングは、2周目以降にプレイできる「New Game+」で見ることができます。

また「Remembrance」ではエンディング以外にも、いくつかのエピソードが追加されています。オリジナル版では見られなかった絢美と田中の過去も描かれており、二人の関係性や絢美の動機が鮮明になって、より没入できるストーリーとなっているのです。

システム上では、フォントを含めテキストがさらに読みやすくブラッシュアップ。また作中で見られるグラフィックや背景も、移植に際し日本人アーティストのアドバイスを受けて、より日本人に馴染みやすくなっています。

ちなみに、本作にはゲーム内に配置されている「招き猫」を回収する隠し要素があり、ニンテンドースイッチ版では招き猫の近くに移動してXボタンを押すと回収できます。全部回収すると「ねこエンディング」なるものが見られるのだとか。その内容は、ぜひ皆さんの目で確かめてみてください。

音楽、演出、すべてが「東京の闇」へと誘う



これまでシステム上のポイントを挙げてきましたが、本作一番の魅力は、その空気感にあります。

キャラクターアートは“日本的”で、ともすれば可愛らしくも見えるのですが、物語は至って重厚。また日本に拠点を置く外国人デベロッパーが制作しただけあって、「外国人から見た日本」が描かれているアートは特徴をよく捉えており、同時に示唆的でもあります。取材を重ね、日本人アーティストの助言を受けてブラッシュアップされたイラストは、背景も含めてぜひじっくり見ていただきたいところ。

独特な空気感を醸し出す要因は、アートだけではありません。個人的に惹かれたのは、プロのミュージシャンが担当したというサウンドトラックです。ゲームに限らず、シーンを彩る上で音楽は欠かせないものですが、本作のサウンドトラックは各シーンに非常にマッチしており、彩るというよりは、音楽が一気にその世界を形作っているとさえ思えるのです。

アートや音楽、またアニメーションも駆使した演出も含め、すべての要素が同じベクトルを向いて制作されている本作。PVを見たり、この記事を読んでいただいたりして興味をもった方には、マッチする確率が高い作品なのではないでしょうか。

我々が生きる人生と同じように、伊藤絢美刑事も、「一度しか選べない選択」を行うことになります。謎を解明することができるのか、正気を失ってしまうのか……困難を前にして、自身が選ぶ選択と、その物語を楽しんでみてはいかがでしょう。


《ばかいぬ》
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