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キーボード+マウスでDJのテクを学べる!? DJシミュレーター『Beat.School』早期アクセス版プレイレポート

フォトリアリスティックな機材でDJ気分を味わいながらスキルを上げられるという『Beat.School』……作曲家として活動し、ゲストDJとしての出演経験もある筆者によるプレイレポートをお届けします。

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NonLinear Educating Inc.開発のDJシミュレーター『Beat.School: DJ Simulator』が、12月13日よりSteamで早期アクセス配信されました。ストアページの説明によると、フォトリアリスティックな機材でDJ気分を味わいながらDJスキルを上げられるインタラクティブなシミュレーターとのことです。

本稿では、作曲業に携わり、様々なイベントでゲストDJとして参加した経験もある筆者のプレイレポートをお届け。Game*Spark編集部から「DJ機材、詳しいよね?」と持ちかけられたところを二つ返事で快諾し、実際にプレイしてみたインプレッションを、筆者なりの目線から紹介していきたいと思います。

DJってなんなんだ


早速ですが「DJ」とは何なのかについて解説します。DJはお客さん(と他のイベント出演者)を楽しませるために存在しています。その上で自分も楽しくプレイできれば最高といったところです。


そんなDJが主に行っているのは、「音楽を流すこと」。こうして書いてみると超シンプルですが、会場や空気感にあわせて流す曲を選び、再生し、時にはエフェクトをかけて彩りながら、次に流す曲を選び、再生中の曲と次に再生する曲を繋ぎ、必要に応じてフロアを煽る……なんてやっていると、意外と忙しかったりします。EQ(イコライザー、音のバランスを変える機能)やフェーダー(音量などを調節するもの)を操作したりと手を動かすことも多いので、単に「再生ボタンを押す」だけではありません。

また、先述したように、筆者は作曲家としても活動しています。そのため、自分が商業リリースした曲を好んでいただいている方々のイベントに出演したり、はたまた関連のあるジャンルのイベントに出演したりと、様々な形でDJ活動を行ってきました。もちろん自分自身が楽しくなければDJとして良いプレイはできないのですが、他人を楽しませるためにもある程度のテクニックは必要です。

実際のDJは何を「練習」する?



昨今ではアナログレコードやCDだけでなく、PCで音楽データを使ってDJをする「PCDJ」も一般的です。Pioneerがリリースしている「rekordbox」というソフトでは、音楽データの管理ついでにDJの練習をできたりします。それ以外のPCDJソフトウェアでは、キーボードとマウスだけでもプレイ可能です。また、「DJ練習会」といったイベントも多数開かれており、スマホ/タブレット用のDJアプリもあるため、最初の一歩さえ踏み出せれば「DJ」として活動する機会はそこら中に転がっていると言えます。

ちなみに筆者の場合は、現場によっては所有のPCDJ用のセットを持ち込んでプレイしたり練習をしていますが、基本的には会場の常設のセットを使用しています。イベントでは、予めある程度選曲したセットを現場で回しながら考えたり、出演時間にあわせてセットリストを組んだりしています。事前の解説はここまでとして、次からは『Beat.School』がどのようにDJのプレイをシミュレートしていくのか、探っていきましょう!

ID登録でDJデビュー!


本作のプレイにはID登録が必要なので、さくっと済ませましょう。メールアドレスとパスワードを決めて登録した後は、ゲームからログインするだけで完了です。


すると、プレイヤーはどこかの店のような場所に出現します。タイトル画面から無音なので、違和感を覚えました……。左側にはプレイする場所、レコード棚(工事中)、右側にはチュートリアルとレコード棚(工事中)がありました。右側のチュートリアルを選択すると、操作方法の解説映像が流れます。このチュートリアルビデオはシーク不可な上、5FPSぐらいしか出ていないカクカクのデスクトップキャプチャ映像。さらには解説とCDJから流れる全ての音声が左側chからしか出力されず、筆者としては音楽やゲームを理解している人が作ったようにはとても思えませんでした。


気分を落ち着けつつ、まずはお試しがてらプレイします。設置されているのは、2台のCDJ(CDJ-2000NXS2)、そして1台のDJミキサー(DJM-900NXS2)。基本的にはどの会場にも置いてある定番機材で、筆者も数え切れないほど実機を触っています。再生・停止ボタンや曲を変更するTRACK SEARCH、早送りなどをするSEARCHボタンは有効。テンポスライダーも使用でき、ジョグダイヤルは、大きく動かせる内側、ミックス中の微調整に使用する外側の両方ともに動作します。


一方で、BPM(曲の速さ)表示は現時点で非対応。自分で登録した曲もBPMの指定をできず、さらにBEAT SYNCやHOT CUEなども使用不可能。再生ボタンやCUEボタンも本来の仕様とは異なり、かなり不便になってしまっています。それぞれの機材のボタンの半分以上が使えないという状態で、ちょっとがっかりです。

なお、PCに保存してある曲もプレイに使用できますが、ネットワーク経由では扱えません。ローカルに保存してあるmp3が読み込めなくなったり、プレイリストごと使用できなくなるケースもありました。かなり致命的な不具合なので修正が望まれます。

DJミキサーも同様に、フェーダー下のA/THRU/Bスイッチが無段階で操作可能になっていたり、エフェクトのON/OFFボタンがミキサーの表示を消すボタンになっていたりと、よく分からない仕様……。曲にフィルター効果などをかけられるSOUND COLOR FX、リバーブなどをかけられるFXは、どれも動作しませんでした。DJプレイの醍醐味でもあるエフェクトを一切体験できないのは非常に残念です。実際、DJを始めたばかりの人が「再生中の曲にエフェクトをかける」ところで感動を覚えることは多いと思います。

一方で、EQやTrimは動作します。早期アクセス中ということもあり、今後のアップデートが待たれます。「フェーダーとEQだけで曲をミックスする」という基礎を覚えるには良いかもしれませんが、その先はまったく見えません。良かった点としては、プレイ中に画面上部に再生中の波形がきっちりと表示されることが挙げられます。これがあるだけで、ビートの合わせやすさが格段に変わってきます。

現時点では4ステージでプレイ可能



ステージはひとつずつプレイしていくと順番に開放されていきます。その順番は「自宅」「地下のホームパーティー」「高級そうなラウンジ」、そして「普通のクラブ」。こんなところでもちょっとした疑問が残ります(ラウンジとクラブが逆では……?)。その上お客さんは少ないですし、全員がシートに座って談笑していて、DJのことはほぼほぼスルー。かなりのアウェー感です。


ブースの前にお客さんを寄せて楽しませることがDJの役目と言えど、さすがに辛い気持ちになります。会場そのものの雰囲気はかなり良いほうなので、自分の思い込み次第では気持ちを盛り上げられるかもしれません。

DJスキルアップに役立つ? 役立たない?


ここまで辛口な評価をしてきましたが、「DJってすげー!」的な雰囲気だけ味わいたいのであれば、購入はアリと感じました。本作を使って「DJスキルを上げたい」「耳を鍛えたい」と思っている方には(現状では)まったくオススメできませんし、そういった目的があればPCDJソフトウェアを購入し、様々な機能に触れていったほうが良いでしょう。

機材類の描写はフォトリアリスティックと謳われていますが、実際のプレイ画面は全体的にボカされた質感で、「光っている部分だけは現実より豪華かも?」といった印象です。動作しないボタンや文字を読みにくいボタンが多いことからも、ある程度はDJ機材に理解がないと難しく、「完全な初心者向け」ではありません。


ストアページ内の映像にあるような「動くお客さん」や、実装されているらしいものの変更ができない「アナログターンテーブル」など、誇大広告ぎみなのも気になるところ。簡単なPCDJ環境を作る前に雰囲気だけ味わいたい方、もしくはDJとしての経験がある上でオモチャとして遊びたい方は、しばらく様子を見てから購入を検討してみてはいかがでしょうか。

『Beat.School』は、通常価格2,050円(税込)でSteamで販売中。12月20日までは33%オフの1,373円で販売中です。
《kuma》

kuma

作詞家/作編曲家/元Esports競技勢。FPS、アクションRPG、シミュレーター系が主食。ハードウェア・ソフトウェアレビュー、インタビューなどをやっています。

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