Game*Sparkレビュー:『Shadow Labyrinth(シャドウラビリンス)』ナムコ(UGSF)系譜の集大成的作品でありストーリーは素晴らしいものの、異様な難しさのためバランス調整が求められる | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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Game*Sparkレビュー:『Shadow Labyrinth(シャドウラビリンス)』ナムコ(UGSF)系譜の集大成的作品でありストーリーは素晴らしいものの、異様な難しさのためバランス調整が求められる

ストーリーは良いものの、異様な難しさが面白さを削いでしまっている

連載・特集 Game*Sparkレビュー
Game*Sparkレビュー:『Shadow Labyrinth(シャドウラビリンス)』ナムコ(UGSF)系譜の集大成的作品でありストーリーは素晴らしいものの、異様な難しさのためバランス調整が求められる
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7月18日に発売されたバンダイナムコエンターテインメントの探索型2Dアクション『Shadow Labyrinth(シャドウラビリンス)』のGame*Sparkレビューをお届けします。

本作は、Amazonのアンソロジーアニメシリーズ「シークレット・レベル」の「パックマン~サークル~」を想像させるダークなビジュアルで、The Game Awards 2024にて初公開された時は大きな反響を呼びました。

今回のレビューでは、バンダイナムコエンターテインメントから提供されたPC(Steam)版を使用しています。クリア時間は数あるリトライと探索を含めて約48時間です。なお、記事中にはネタバレが含まれるため閲覧の際はご注意ください。

ダンジョンを探索し、ストーリーを進め、敵を喰らえ!しかし、難易度は高め…

ゲーム開始直後は説明も無く即ゲームプレイに入ります。UGSFの艦艇に未確認知的機械種UIMS(Unknown Intellectual Mechanaized Species、ウィムス)の敵機が侵入。G.A.I.A.が出撃し迎撃に当たるも敵コマンダーによるウェイブキャノンの直撃を食らい惑星へと墜落します。それから長い年月が経ち、プレイヤーはPUCK(パック)曰く8番目の適合者として目覚め、パックの要求に応じて進み、その目的が明らかとなるというものです。

本作は、いわゆるメトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルに属するタイトルで、洞窟などを探索してボスを倒し、新たな能力を手に入れて更なる未踏領域へ進む…、というサイクルを繰り返し、クリアを目指します。

基本的な操作は、通常攻撃の三連撃とスタン攻撃、ESPゲージを使ったESPプロテクション(防御)とパリィ、特殊攻撃のESP技で構成されています。ダブルジャンプやエアエスケープ(無敵空中ダッシュ)、フックアクションはゲームの進行と共に入手します。

本作の核となる敵の捕食や変身機能はゲームプレイ開始から早く使えるようになるために、序盤こそ難易度が低めでした。序盤はストーリー展開が中心で、道中のザコ戦やギミック自体もシンプルに出来ており、ボス戦もG.A.I.A.へ変身さえしてしまえば一方的にダメージを与えて倒せる場合が多く苦労することなく堅実に進む印象です。

特殊な移動方法として光る床のDラインに触れるとミニパック状態に変身し、『パックマン』のようにラインを移動できます。敵に対して剣士形態での攻撃と回復ができないため、様々なリスクを背負わせますが、ジャンプによる高速移動と通常のプラットフォーマーと異なる操作感により、探索に新鮮さをもたらす良い施策となっていました。このミニパック要素は、一部妙に難しい箇所があったものの最初から最後まで楽しい機能として活きていたように思えます。

一方で、ゲームが中盤に入るにつれて難易度が著しく上昇する印象を受けます。徐々にマップ構造の複雑さと広さが高くなり、目的地へ到達するための時間が長くなることにより、道中で出会うザコも増えるため必然的に倒されやすくなるのです。

特に序盤から中盤へと移る「黒い巨塔」での戦いを過ぎてから宇宙海賊ボスコニアンとの取引を終えると中盤に入ります。ゼビウス軍の前線基地を攻略し終えてから探索することになる「巨大樹の迷宮」マップは大変です。広大かつチェックポイント/セーブポイントが少なく、移動に手間もかかるため探索にかなり迷いが生まれ、エリアボスを見つけるまで数日かかってしまうほどでした。

巨大樹の迷宮は広大で広く、チェックポイントの位置やワープ出来るミク・ソルも、東西にアクセスしにくい位置にあるため再訪するのが大変なマップだった

筆者はメトロイドヴァニアジャンルのタイトルをあまりプレイしていないため、他作品との比較が難しいですが、本作では復帰点となるチェックポイントが全体を通して多くありません。そのため、道中のザコ戦やボス戦で敗北したら遠くに戻されるため、最終地点へ復帰するためには時間をかけて敵を複数やり過ごさないといけないのです。このロールバックがゲームプレイのテンポを削いでおり、手間がかかりストレスが溜まるという印象を最後まで拭う事が出来ませんでした。

中盤終わりから終盤マップに至る、「兵士の墓標」や「宇宙戦艦」などでは敵の攻撃力も高く道中は厳しいのですが、さらなるアイテム探索には二段ジャンプを入手出来るボスを倒す必要があるし、特殊壁を破壊するための技もボスを倒して入手しなければならないなど、探索に時間を必要以上に取られていると思いました。

復帰例、左下のパックマンアイコンが倒された地点。ここまで戻されてしまう。あまりにも遠くてこの後一旦休憩を入れた。
マップ数は思った以上に多い

捕食で手に入れた資源はアイテムショップで新たなPerkと交換する形で資金(オーラ)と共に使います。しかしながら、資源は本作に資源を使ったアイテムを生成などが無いために、Perk購入以外の使い道がありません。資金の換金(オーラへの変換)も出来ますが、ゲーム終盤に近づいてからなので序盤・中盤は余りがちになってしまうし、終盤になると強化も大概終えているため困ってしまいます。

Perkは、自キャラの前転回避における飛距離を伸ばしたりフックアクションの射程を伸ばすなど、プレイキャラを強化したというより、マイナスに設定されている能力値を通常に戻すようなものが多い印象です。

一方で資金は、自キャラ強化以外だとゲームメニューのマップ画面から各ミク・ソルへ飛ぶファストトラベルアイテムの緊急脱出装置を買うことや、ボスコニアンの情報屋から特殊部屋の情報を得るのにオーラが必要なぐらいです。提供してくれる情報も文章だけなので、「おおよその位置をアイコンで教えてくれれば良かったのに…」と思ってしまいます。

武器の強化はミク・ソル(セーブポイント)にて、敵を倒して入手したオーラを使います。単純に武器の攻撃力を増大させることと、ESPゲージの最大値を伸ばすことの2つを行えますが、攻撃力を増大してもあまり実感が得られないのが困りもの。

ESP新技と武器の判定強化は、中盤に出会うバグルスの組織から受ける事ができます。ESP新技は中ボスを倒すこと、武器はダンジョンのどこかにいる特殊敵を倒し資源を入手することで、攻撃範囲と攻撃速度を速く出来ます。しかし、特殊的のおおよその位置がわからず見つけ出すのが非常に困難です。

他にも、ゲームメニューのUIにおいて何が選択されているのかわかりにくいことや、ストーリーにおいて単語のTIPSが無いために劇中で語られる単語やアイコンの意味がわかりにくさ、G.A.I.A.形態解除時の無敵時間がなくボス戦だと使う事が不利となってしまうなど、ストレス源となる小さい問題が数多くあります。

カテゴリー選択中は画面上の文字が明るくなり太くもなるが、それだけではわかりにくいため、アニメーションとして移動する枠や、選択中の文字を大きくしそれ以外を小さくするなど欲しかった

問題の多いボス戦

前述の通り序盤におけるボス/中ボス戦は、行動パターンや攻撃などが熾烈ではないため、比較的簡単に突破できます。

しかし、ボス戦も中盤になるとその様相は随分と変わってきます。特にボス戦ではスタンさせることで動きを止めて、戦いを有利に運ぶ事が出来ますが、スタンさせた後にダメージのリターンが小さく、後半だと狙う意味がほぼなくなってしまいます。

加えて、攻撃において相手のスタン値を増大させるには↓+攻撃ボタンのスタン攻撃かESP攻撃の2種類あるものの、スタン攻撃は発生フレームが遅くスタン値も高くないため、硬直の短いボスの行動も合わせても実用できない技なため、実質的にESP攻撃「パックチャージ」と弱点攻撃がスタンを狙える唯一の行動になります。

加えて、ボスの行動も行動後の硬直がほぼなく連続攻撃を繰り出して倒されてしまうことや、そもそも体力の意味がないほど被ダメージも著しく上昇するため、相手の予備動作をよくみて防御/パリィをする他がなく(行動パターンを読むのが困難)、非常に難しくなっていることも確かです。

またプレイヤーがボスへ与えるダメージもHPゲージを数ミリしか削れないほど小さく、集中力を持続しながらだと非常に疲れてしまいます。一部ボス戦では、体力の意味がないと判断し、最大体力と引き換えに攻撃力を著しく向上させるPerkを装備して、相手の攻撃を受けないよう回避/防御/パリィしながらひたすら削る…、という方法をとらざるを得ませんでした。

ディオネキドナは理不尽に発生が早く持続が長い攻撃を繰り出すボスなため面白みがなく戦っていて辛いボスだった。ボスの行動は硬直が少なく即次の攻撃に移るためチープさも感じてしまう。

本作に難易度設定が存在し、ハードモードという内容なら通常の探索パートを含めた難しさでも納得できますが、自キャラの強化状態を最大にしても、一部ボスの大技が硬直も無く連続して動けてしまうことや、攻撃判定持続時間が長い技も存在し、回避したと思っても降りた瞬間ダメージを受けて倒されることも多くありました。これらが一部ボスだとしても強すぎてバランスを欠いていると言わざるを得ません。

フックアクションを使って空中戦をさせたいのはわかるが、だからと言って地上に降りて回復できる地点がほぼないのは難しすぎる

特に、ラストでは中ボス戦が三連戦続いた後にラスボス戦へ突入しますが、途中セーブもなく倒されたら最初の一組からやり直しであるのに加えて、ラスボスではG.A.I.A.形態のみ破壊できる回避とガード不能の強力な攻撃もあり、かなり厳しいです。当然ラスボス戦なので受けるダメージ量も多く、プレイヤーが与えられるダメージは多くないため、心折れそうになりました。

ラスボス前の中ボス三連戦は初めこそ良いが、何度も挑戦していると最終的に作業的になってしまった

ボス戦の困難さをある程度解決する為には、未踏領域に踏み込んで新たな強化アイテムを入手して…というサイクルを回す必要があります。しかし、前述の通りマップにはチェックポイントの少なさから目的地への移動に費やす時間も多く、終盤になればなるほど終わりを迎える時間と探索にかける時間を天秤にかけてしまうことと、ボスの行動パターンを覚える方が攻略を早く進められるため、億劫となってしまうことも多くあります。

ラストダンジョンでもボス戦が続く。技の形と動作的に腕を振り上げて降ろす動作なためレイジングストーム的な技を放つが、攻撃予告の青光から発生が早すぎる。

とは言え、アニメーションやアートワークを含め全体的な品質が悪いと言えばそうでなく、ジャンルに詳しくない筆者でさえ、ダンジョンの探索自体は面白く、ストーリーは練られているため、遊べる品質は十分に確保されていると感じます。自キャラを強化しても攻撃力の低さや硬直の厳しさ、無敵時間の短さなど、弱さがそのままゲームプレイのストレスに繋がっていることが不満の大半であると思えたのです。

難しいがエキサイティングな面白さを持つMAZEモード

本作のメトロイドヴァニアの要素は、少ないチェックポイントやなかなか入手できない強化要素から耐え忍ぶ難易度となってしまっています。一方で、本編に組み込まれるチャレンジ要素としてMAZEがあり、本家『パックマン』を経てより進化させた内容となっています。このMAZEモードを体験するか否かで本作の印象も大きく変わることになります。

MAZEに近づくとゲームセンターのような軽快で楽しげな音楽も聞えてくる

このMAZEは、制限時間内に規定のゴースト(いつもながらのデザイン)を追い回し食べることでステージが進行。ジャンプアクションを使ってドットやゴーストを効率的に食べることや、ギミックを使ってゴーストを倒すことなどが、迷路や状況を変えて連続して襲いかかってきます。

本編と打って変わった『パックマンチャンピオンシップエディション2』譲りの軽快な音楽もさることながら、ゴーストを食べた時のヒットストップとサウンドエフェクトが気持ち良く、完成度の高さに驚かされてしまいました。

そういう意味では、『パックマン』そのものにジャンプアクションを導入したことで、ドットやゴーストを次々と食べる新しい楽しさが生まれており、まさに令和の『パックマン』進化形と言えると思いました。ある意味、『パックランド』とは別方向での進歩を強く感じます。過去作で言えば2016年にリリースされた『パックマンチャンピオンシップエディション2』をより進歩させた内容に近い印象を持ちました。

『パックマンCE2 Plus』には今回のMAZE的なジャンプアクションもある

しかも、MAZEは全ての要素をクリアするとラスボスに至る中ボスの三戦目で登場する中ボスにダメージを半分与えて時間を短くする事ができるなど、遊び得な要素が満載でした。

『パックマン』お馴染みの迷路から始まるところもある

一方でコースによってはエキサイティングな面白さを提供してくれるものがある一方で、耐え忍ぶような地味で妙に難しく快感を覚えにくいコースも複数あり、品質は散らばっている印象です。

MAZEは西に多く東にほとんど無い。昭和63年4月の首都圏におけるナムコ直営ゲームセンター「プレイシティキャロット」の店舗配置を彷彿とさせる配置だ。

『ゼビウス』や『ボスコニアン』などなど…、わかるとたぶん、もっと楽しい!ナムコ過去作(UGSF)を総動員したストーリー

『シャドウラビリンス』の特筆すべきところは、ナムコ時代からアーケードとコンソールで長年積み重ねられてきたUGSFの歴史と設定を基にストーリーを描いたところにあるでしょう。

序盤こそ、主人公の相棒となるパックは不穏な雰囲気をだしていますが、パックがUGSFに所属する隊員の1人であることや、戦っている場所と組織が『ゼビウス』の本拠地である惑星ゼビウスとその敵軍であることが解ると物語のスケールが一気に大きくなります。

星系そのものをワープさせる力を持つガンプに対していかにして戦うのか?というのが中心となり、戦う為のアイテムを過去作の登場人物から引っ張ってくることで無理なく収めているのは流石です。

パックと8番だけではガンプを倒す事ができないため、同じく惑星ゼビウスにいる宇宙海賊ボスコニアンに協力を要請したり、『ギャラガ』の昆虫型エイリアンの帝王からワープカプセルを奪うなどの展開もあり、遙か昔に戦った相手が『シャドウラビリンス』で語られるという後日談的な面白さを体現しています。

パックそれ自身も、敵対する女性型アンドロイドとの関係もUGSF的に絡みがあり、両者がどういった関係なのが最後まで興味は尽きませんでした。しかしながら、この部分に対するUGSFの知識が足りなかったため最後までわからなかったのが心残りです。

他にも、ガンプに対抗する地下組織の「バグルス」も登場。『ゼビウス3D/G+(プラス)』の説明書によると「バグルス」は、人類を管理しようとするバイオコンピューターのガンプを破壊することに成功したそう。しかし、ガンプ自身はESP(超能力)を使って6つの星に散ったレプリカを起動させたと語られています。

ポール・ジョーンズはゲームブック版『ゼビウス』の主人公の名前。ニッチなところから名前を引っ張ってくるのは執念を感じる。

果たしてUGSFの人類側とガンプとの戦いはどういった結末を迎えるのか…、次から次へと物語が展開されるため最後まで興味が尽きませんでした。最後にガンプを倒した時には、全体的なボス戦への不満が爆発しそうになりつつも、壮大な物語を終えられた心地良さも同時に迎えていました。ストーリー自体は結末も含めて素晴らしい出来栄えです。最終決戦の後、ボスコニアン達がどうしたのかさえ気になってしまいます。

本作には、『パックマン』を初めナムコ作品のエッセンスが非常に多く込められています。『ゼビウス』は、ゲームにおいてリアリティを感じる背景設定やストーリー性を持ち込んだタイトルであるだけでなく、STG黎明期において空中と地上の概念を設けたりと、ゲーム史的にも重要な作品です(作品解説はGame Watch誌の記事が詳しい)。

これまで『ゼビウス』は、UGSFの系譜に組み込まれていませんでしたが、FCの『スーパーゼビウス ガンプの謎』の説明書では、多元宇宙(マルチバース)においてゼビウス軍との戦いが繰り広げられていたと記載されているため、今回のUGSFとの戦いもその一環なのかも知れません。

また、小ネタ的に『ディグダグ』や『ギャラガ』の敵が配置や攻撃パターンそのままに登場するなど、過去作をプレイした人には独特のアレンジの仕方に困惑したり嬉しくなったりする場面もありました。

『ディグダグ』アレンジはちょっとホラー寄り。原作サウンドがなければ厳しかった。
STGとして遊べないのが残念だが、こういった施策を盛り込んで来るのは楽しかった

さてここからは筆者がプレイ中に気付いた背景設定を少し紹介しましょう。本作のストーリーの面白さを増大させるコツは、この設定を事前にどれだけ知っているかが重要であるからです。

ゲーム開始直後、プレイキャラが操作可能となる時の背景に描かれている「ジオブレード」という単語は、開発中止となってしまったタイトル『ニュースペースオーダー』の公式サイトに記載された機体です(開発中止タイトルであるため情報が無い)。

続いて登場したのが、『スターブレード』などに登場するUIMS敵ボスのコマンダー。『スターイクシオン』の説明書によればUIMSは機械生命体で様々な兵器に進化することが特徴であるそう。

スクショはPS2版『鉄拳5』に収録されている『スターブレード』。最終決戦はジオソード隊のFX-01とコマンダーの一騎討ちだ。
『シャドウラビリンス』の新種コマンダーにはエナジーラインが走っている
新種とはいえ基本攻撃は連射ビームとミサイルだ

ゼネラルリソースは『エースコンバット3』にて初めて登場した超巨大企業。『エースコンバット3』の2040年においては、開発する範囲は日常的な文房具から都市開発までも広がっており、工業や農業、水産、軍事などあらゆる産業について独占的なシェアをもった組織です。

なおゼネラルは『エースコンバット3』だけでなく、2006年にPSPで発売された『バウンティ ハウンズ』にも登場しています。一方でゼネラルのライバル企業であるニューコムも筆者が確認できた限り日記において単語が登場しています。

上に見えるGマークがゼネラルだ

G.A.I.A.の解説にもあるナノバイト・マテリアルというのは、『エースコンバット3』に初めて登場した設定。ニューコムが開発したナノテクノロジーで、2040年のナノバイト君は建設作業に使われています。

サントラ『エースコンバット3 ダイレクトオーディオ』に収録されたニューコム建設のナノバイトCMより。このロゴは『シャドウラビリンス』にも登場する。

なお、『エースコンバット』のストレンジリアル時空において『ZERO』から『3』までの50年近くの歴史は繋がっていると言及されたものの、2018年に行ったインタビューで『エースコンバット7』プロデューサーの下元氏は「そこから先は何も言っていない」と語っていました。

それでも『3』において現実に起こったことはまだ描かれていないですし(現状設定だけ繋がっている)、描かれていない=UGSFと繋がらないというわけではありません。これ自体は『エースコンバット』シリーズ自体の積み重ねが沢山必要です。

なおニューコムは現実世界を舞台にした『マッハストーム』にも登場していますし、ゼネラルリソースも『鉄拳7』のスタジアムの背景において看板が登場しています(シリーズで度々言及されるG社がゼネラルと推測できるが、グランダー社かもしれないため確定でない)。

PS2版『鉄拳5』のDEVIL WITHINモードより

しかしながら、UGSF公式サイトには『鉄拳』シリーズも『マッハストーム』も言及されていないことから、バンナムのゲームにおいてゼネラルリソースやニューコムが出てくることが、必ずしもストレンジリアルやUGSFに絡むわけでないということ。簡単に全ての設定が同一の時間軸/世界上に存在していると言えないのがこの設定の難しいところなのです。

スペースコロニーが宙に浮かび、三島一族で世界がとんでもないことになっている『鉄拳』シリーズにも、ゼネラルリソースが登場するなどUGSFに絡む要素があるが、直接繋がっているわけでない。ガンプが『鉄拳』世界に来たら殴り合いで解決するんだろうか。画像は『鉄拳7』。

もちろんこれらのUGSF要素は『シャドウラビリンス』の本筋を理解するうえで、必ずしも知っておかなければいけないものではありません。どちらかと言えば、「1分でざっくり分かる!鉄拳シリーズ」で言われた通り、知っているとその背景や物語を想像できてしまう「わかるとたぶん、もっと楽しい!」要素であることは確かでしょう。

筆者は『エースコンバット』シリーズを筆頭にナムコ/バンナム作品群へ馴染みがあったので、背景で描かれているロゴの意味や会話を理解しやすく、結果的にストーリーを深く楽しむことができました。また、敵解説があるのはありがたいのですが、本編ではUGSF関連の固有名詞も多かったため、TIPという形で単語解説あればとも思ってしまいます。本作のDLCであるデジタルアートブックはある意味答え合わせ要素なので、より理解を深めたいユーザーは読んでおくと良いでしょう。

『シャドウラビリンス』はUGSFに絡んだナムコ過去作のなんやかんやあって…に絡む事が多いので、「1分でざっくりわかるUGSF!」が必要なのかもしれない

ストーリーは水準以上でも、難しすぎることが全体の印象を悪くしてしまっている

『シャドウラビリンス』はメトロイドヴァニアに『パックマン』要素をダークな味付けで合体させて、バンナムならではの独特なゲームプレイと素晴らしいストーリーを表現できたタイトルです。しかし、セーブポイントとチェックポイントが少なくリトライ性が低いこと、ボス戦の異様なまでの難しさが本作の面白さに直結しているわけでなく、面倒で不用意にストレスが溜まるものとなってしまっているのが残念でした。

ゲームそのものの感触が良いのは確かなため、自キャラの攻撃力を向上させたり、敵の攻撃力低下や行動の硬直などを調整した難易度カジュアルの追加などバランス調整が今後求められます。

ちゃんと熱い展開もあるため、もう少しマイルドだったらもっと好きになっていたかもしれない

とは言え、『シャドウラビリンス』はナムコ過去作に繋がるため自然と昔の作品を遊びたくなるだけでなく、UGSF系譜の最新話が如何なるものかを知れるのは純粋に嬉しいものでした。また、これまでアケアカやナムコミュージアムなどで展開されてきた過去作移植も、本作がリリースされたことで新たな価値が生まれたことは確かです。価格も3,600円(税別)で手に取りやすいですし、UGSFに馴染みがあるファンであるなら、ストーリーを楽しむことが出来るでしょう。

Game*Spark レビュー 『シャドウラビリンス』 PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S/ニンテンドースイッチ/ニンテンドースイッチ2 2025年7月17日

ストーリーは素晴らしくナムコSF集大成として良いが、異様な難しさでストレスが溜まるのが残念

GOOD

  • 『パックマン』要素と探索が上手く組み合わされたゲームプレイ
  • UGSF系譜に『ゼビウス』を組み込みナムコオールスターが登場する壮大なストーリー
  • ナムコ過去作を上手く取り入れて、かつて見たデザインだが新しい価値を生み出している
  • MAZEがエキサイティングで面白い。『パックマン』そのものはちゃんと進歩している

BAD

  • 全体的のチェックポイント/回復要素の少なさ
  • 最大強化しても自キャラが弱くてストレスが溜まる
  • 道中のザコ戦とボス戦の異様な難しさ。マイルドにするバランス調整が求められる。
  • UGSF絡みの用語解説が無い

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※UPDATE(2025/07/27 17:25):記事冒頭にネタバレに関する注意文を追記しました。SNSでのご指摘ありがとうございました。


ライター:G.Suzuki,編集:みお

ライター/ミリタリーゲームファンです G.Suzuki

ミリタリー系ゲームが好きなフリーランスのライター。『エースコンバット』を中心にFPS/シムなどミリタリーを主軸に据えた作品が好みだが、『R-TYPE』シリーズや『トリガーハート エグゼリカ』などのSTGも好き。近年ではこれまで遊べてなかった話題作(クラシックタイトルを含む)に取り組んでいる。ゲーム以外では模型作り(ガンプラやスケモ等を問わない)を趣味の一つとしている。

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編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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