最新ゲームが毎日大量にリリースされる昨今。メーカーやストアのゲーム紹介だけでは「どんなゲームかわからない!」とお嘆きのGame*Spark読者も多いのではないでしょうか。そこで“なるべく早く”ゲームの生の内容をお届けするのが本企画「爆速プレイレポ」となります。
今回は2020年3月12日にBrilliant Game StudiosよりPC(Steam)向けにリリースされた『The Black Masses』について生の内容をお届けしたいと思います。
『The Black Masses』とは
本作は、「ニワトリ5千匹vsアメリカ軍」「ゴブリン千体vsチャック・ノリス」などの戦闘シミュレーションをすることが可能な『Ultimate Epic Battle Simulator』(以下『UEBS』)の開発元であるBrilliant Game Studiosが手がける、中世が舞台のオープンワールドゾンビサバイバルゲーム。前作の経験を生かした「町を埋め尽くすような超大量のゾンビ」が実際ゲーム内で追いかけてくるなど迫力は満点です。
主人公はかなり自由度の高いパルクールアクションが可能で、ホウキから銃までさまざまな武器を持ってゾンビと戦い、この島の謎を解くことになります。現在はアルファビルドの早期アクセスで、遊べる地域やクエストなどにかなり制限がある状態です。ゲームはストーリーを進行しながらマップを広げていくタイプで、1人から4人までのマルチプレイにも対応しています。
『The Black Masses』の実内容に迫る!
オープニングで海難事故が起こり、海岸に横たわっていた主人公。「起きろ、選ばれし者よ」と謎の声に起こされた主人公にはの右手には何やら謎の紋章が浮かんでいた……と言う導入のサバイバルゲームでよくある「海岸で起きる系主人公」ですね。
とにかく現在の状況を確認するために目の前にある集落に向かいますが、そこはもぬけの殻。チュートリアルクエストとして集落の探索が開始されます、回復ポーション、ランタン、家の鍵を見つけてもう一軒の家の中へ。内部を探索していると……人間だ!近づいてみると、すでに亡くなっている人でした。ああ、この死体絶対ゾンビになるんだろうな。
屋根裏部屋で船のオールを見つけて部屋に戻ると、なんと先ほどの死体がない!まあ予想通りなので冷静にオールを握りしめて襲ってきたゾンビを撃退し、この集落を抜け出して安全な場所を見つける冒険のスタートです。道中襲ってくるゾンビの群れを蹴散らしながら建物を探索して進んでいきます。
セーフルームを起点に生存者探索の物語が始まる!
町中にある教会はセーフルームになっており、そこで生存していた牧師様にこの島で何が起こっているのかを聞いたところ「突然湧いた黒い水を飲んだ人間がおかしくなった」とのこと。「なんでそんなの飲んだの」とか思うところもあるのですが、牧師様から他の生存者の多くが向かったという城砦の場所を聞き、この島を脱出するための人材を探しに行くことになります。
たどり着いた城砦の外には何やらうごめく集団があります。あれは……ゾンビです。それも300人はいるんじゃないかという圧倒的な数のゾンビです。彼らに気づかれ、逃げ惑う主人公。なんとか逃げのびて再び牧師様に会いに行くと「じゃあ鉱山を抜けて他の町へ行きなさい。鉱山の鍵は南西の館にあるよ」と言われました。基本的には今遊べるクエストは地図を広げるメインクエストと、いくつかのサイドクエストのみです。どれもわかりやすく「場所に行って敵を倒して目的を達成しろ」なので基本的に迷うことはないと思います。
大量のゾンビとのバトル!生き残るためには高所を取れ!
主人公は拾った武器を使い分けながら戦闘することになります。片手武器なら攻撃速度が早く、両手武器なら攻撃距離と範囲が広いといった具合に武器には特長があります。ほかにクロスボウや銃などの遠距離武器と、相手を転ばせるグレネードも存在。また、レベルが上がることで獲得するスキルポイントを使用してパッシブ強化や使用スキルが解放され、戦闘時に有利になります。
今回のプレイで思ったことは、とにかく正面から戦っては主人公に勝ち目はないということです。もちろん強い武器で薙ぎ払えば少量のゾンビならすぐ倒せるのですが、前後左右から襲ってくるゾンビ相手だといつしか攻撃の手が足りなくなってしまいます。そこで主人公はこう考えるのです、地の利を活かせばいいじゃないかと。
早期アクセスローンチ時のビルドではゾンビの頭がとても悪いため、主人公がジャンプで登れる岩場に上がった時点で追跡が不可能になります。基本的にこのゲームの必勝法は「相手の届かない場所から攻撃」です。最初のチュートリアルで拾ったオールは威力は低いものの攻撃距離が長いため、岩や小屋の上からゾンビの頭をペチペチ殴るのが非常に有効です。もちろん弾数に余裕があるならばクロスボウで撃つともっと楽になります。
山から山、家から家へと自由自在!楽しいパルクール!
本作の更なる特徴は広いマップを自由自在に移動できる、非常に自由度の高いパルクール性能。町中の小屋などにはほとんど屋根の上まで移動可能で、パルクールを利用しなくてはいけない場所に専用の部屋や生活痕があり宝箱が隠されているなど、立体的な探索が楽しめる作りになっています。ちなみに主人公の握力には限界はないため、じっくりと考えながらの移動も可能です。
もちろんこの主人公の機動力は戦闘にも有効で、有利な高所を取る移動だけでなく、ゾンビの頭に着地して転ばせる攻撃なども可能です(攻撃力はありませんが)。主人公は移動速度も早いため逃げも有効で、ゾンビの群れでスタックでもしない限り絶対に追いつかれることもありません。
一部のクエストでもパルクールを使用して敵を回避する道を発見できたり、操作に「スニーク」があるなどの要素も今後パワーアップされていきそうなので、ゾンビと極力戦わないルートを探し出すのも面白いかもしれません。
アルファ版なだけに粗さは目立つがそれを上回る魅力あり!
戦闘もパルクールも楽しんで遊べる本作ですが、色々と粗い早期アクセスらしさも。「角があればちょっとした岩でもつかめるよじ登り」や「斜面ならずり落ちない主人公のバランス感覚」が、開発者の想定してないバグを引き起こしてるのは感じられます。
また、クエストで訪れる鉱山で道がわからず、色々ともがいてたら明らかに「正規じゃないルートの外側の柵をすり抜け」てしまったりもしました。もちろんクエストは進行しましたが、後に使う場所だったので少し作りが甘かった様子です。そのほか、すり抜けてスタックする岩場や、水の判定にならない湖などまだまだ問題だらけです。
マルチプレイで他のプレイヤー次第でクエスト進捗がずれることがある、インベントリ画面がテキストだけでアイテムが見分けづらい、使用アイテムが一個ずつしかショートカットに登録できない、そもそも食べ物アイテムの数が多いが効果に差がほとんど無いなど、ゲームの進行やUI周りに関してはまだまだ発展途上。マルチプレイにプライベートシステムがないのも、前述のバグと合わせての不満点でもあります。他には、アイテム欄のスクロールバーの表示がずれるゲームは始めて見ました。
しかし『UEBS』のノウハウを生かした、大量のゾンビに対する「多数との戦い」の演出や、パルクールを生かして見ることができる人々との生活痕などの世界観の構築、そして単純に「迫りくるゾンビをなんとか蹴散らす楽しさ」というゲームが持つ根本的なな魅力は現段階でも十分に楽しむことができます。
早期アクセスのゲームなので、もし本作を購入し、気になった部分などは積極的にフォーラムへと投稿してください。投稿へのレスポンスは早い開発のようなので、決して無駄にならないと思います。
ここまで紹介してきた『The Black Masses』ですが、プレイした感想として『デッドアイランド』や『ダイイングライト』などのゾンビゲームの雰囲気を目指していると思わせる部分が多いです。また、オープンワールドゲームとしての自由度は非常に高く「ここにもしかして行けるんじゃないかな?」と思う部分には、実際にほとんどが到達可能なことに魅力を感じる方は多いと思います。
『UEBS』の開発チームらしく、尋常ではない物量のゾンビがマップ内に配置されてるのはまさしく圧倒的。トレイラームービーでも存在する「大量の騎士とゾンビが衝突する」シーンもゲーム中でムービーではなく、実際に動くところを見ることが可能です。
前述の通り、本作は現在は早期アクセス版で、アルファ版(2020年3月時点)では、遊べる範囲もクエストも少ない状況で「ストーリーを含むゲーム」としての完成度はほぼ無い状況ですが「自由なパルクール&大量ゾンビ相手のサバイバル」としてならば現在でも十分に楽しむことは可能です。また、今後のアップデートに合わせてマップやレベルキャップ解放などが行われる予定です。今の段階で購入する方は早期アクセス版であることを理解し、楽しく遊んで開発へフィードバックしましょう。
タイトル:The Black Masses
対応機種:PC(Steam)
記事におけるプレイ機種:PC
発売日:2020年3月12日
記事執筆時の著者プレイ時間:8時間
価格:2,050円