
多くの日本人から「ロボゲー・ロボアニメ詳しすぎな外国人」として知られるようになった、サブカル記者のオリー・バーダー氏。海外フォーブス誌などだけでなく近年では機動戦士ガンダム公式でも記者として名前を見る氏は、『フォートナイト』や『Gears of War: Judgment』など様々なタイトルにかかわってきたゲームクリエイターでもあります。
そこで、本稿では、氏の文章を通じて、氏のもつ「ロボゲー・ロボアニメ」への視点や美学の一端をお伝えしていきたいと思います。
『機動戦士ガンダム 一年戦争』がいかに時代を先取りしていたのか
今から約20年前、ナムコは初代『機動戦士ガンダム』の一年戦争を題材にしたゲームを制作しました。楽しいレールシューティング形式のパートもありましたが、メカ戦闘における基本操作とカメラシステムは、当時としては何年も先を行くものでした。
当時、メカゲームはどれも、なぜか操作方法を一から作り直そうとしていました。その背景には、プレイヤーに「実際にメカを操縦している」と感じてもらうためには、その感覚を表現するための専用かつかなり複雑な操作系が必要だ、という考え方がありました。
そのため、それ以前のほぼすべてのガンダムゲームやメカゲームには、それぞれ独自に作られた専用の操作系が採用されていました。本来は同じような機能を実現するためのものであるにもかかわらず、実際のプレイ感覚はゲームごとに大きく異なっていたのです。
日本のメカゲームに欧米式の操作方法を採用

『機動戦士ガンダム 一年戦争』の基本操作は海外のゲームにルーツがあり、当時の欧米のFPSやTPSでは一般的だった操作方法が採用されていました。
具体的には、左アナログスティックで前後への移動と左右への平行移動を行い、右アナログスティックで上下を見回し、左右に旋回するというものでした。
こうした操作方法は海外のゲームでは非常に広く普及しており、そのルーツの多くは2001年の『Halo』のようなゲームにまで遡ります。
そのため、日本のメカゲームに馴染みのないゲーマーでも、ほとんど戸惑うことなく、すぐに操作して遊ぶことができました。
重要な「重量感」をしっかりと維持
このゲームの素晴らしい点の一つは、海外のゲームで使われていた操作方法を採用しながらも、メカをきちんとメカとして扱い、その圧倒的な重量感をしっかりと維持していたことです。
つまり、移動や視点操作自体は分かりやすく扱いやすい一方で、ブーストを使って移動する際には、モビルスーツの重量を意識して操作する必要がありました。
これがゲームに非常に魅力的な要素を加えており、一般的な海外のFPSやTPSよりも奥深いプレイ感覚を生み出していました。
ここで重要なのは、メカならではの独自性を感じさせるために、特殊な専用操作を採用したのではなく、機体そのものの挙動や操作感によってそれを表現していたという点です。
海外では未発売
海外のゲーマーに非常に受け入れられやすい操作方法を採用していたにもかかわらず、『機動戦士ガンダム 一年戦争』は日本国外では一度も発売されませんでした。
さらに、日本ではこのゲームの扱いも非常に悪く、まるでワゴンセール行きのゲームであるかのように見なされていました。
これは特に不当だったと感じています。実際のゲームプレイは非常によくできており、同じ操作体系のまま地上戦と宇宙戦の両方を見事に実現していたからです。
それ以前のPlayStation 2向けのさまざまなガンダムゲームでは、地上戦と宇宙戦が別々の作品として発売される傾向がありました。とはいえ、カプコンの作品は一つのゲームで地上戦と宇宙戦の両方を実現していましたが、操作体系ははるかにシンプルなものでした。
つまり、このゲームの悲劇は、素晴らしい操作性を備え、ゲームとして非常によくできていたにもかかわらず、まさにこうした要素を求め、評価してくれる層に向けて発売されることがなかったという点にあります。
最初ではないが、おそらく最高の出来
もちろん、『機動戦士ガンダム 一年戦争』が、欧米のFPSやTPSで使われていた操作方法を取り入れようとした最初の日本製メカゲームだったわけではありません。その1年ほど前には『アーマード・コア ネクサス』が同様の試みを行っており、その結果、日本の多くのプレイヤーを戸惑わせることにもなりました。
しかし『アーマード・コア』の場合、それまでのシリーズにおける独自の操作方法がかなり残されていたため、新しい操作体系が十分にうまく取り入れられていたとは言えませんでした。
だからこそ、『機動戦士ガンダム 一年戦争』が登場した際には、海外で採用されていた操作方法に合わせて操作体系全体を作り直しました。その結果、はるかに一貫性があり、全体としてまとまりのある操作を実現していたのです。
今ではほぼすべてのメカゲームがこの操作方式を採用
皮肉なことに、『機動戦士ガンダム 一年戦争』は日本ではあまり成功せず、海外でも発売されませんでしたが、本作が採用したこの操作方式は、現在では日本で作られるほぼすべてのメカゲームに取り入れられています。
『アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン』や『SDガンダム バトルアライアンス』といったゲームも非常によく似た操作体系を採用しており、さらに今後発売予定の『GUNDAM ROGUE ORBIT』でも同様の操作方法が使われています。
そう考えると、最後に笑うのはまさに『機動戦士ガンダム 一年戦争』の開発者たちなのかもしれません。当時はその仕事が十分に理解されず、評価もされませんでしたが、今ではその考え方が現代のメカゲームの大半で広く使われているのです。
なお、オリー氏はロボゲーを作るためのスタジオないし協力者を探しているそう。オリー氏とともに「ロボゲー」を作ることに興味のあるスタジオや団体は、この記事の末尾にある氏のプロフィールから個別に問い合わせていただけますと幸いです。








