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半導体不足の状況でEUが2万個のGPUを使用した「地球シミュレート計画」を打ち出すも先行きは不透明

地球をデジタル環境に複製し、惑星の環境状態を監視することが目的です。

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Morris MacMatzen/Getty Images News/ゲッティイメージズ
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  • 「Destination Earth」
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欧州連合(EU)は、地球のデジタルツイン(デジタル上で再現する現実のレプリカ)をシミュレートし実行できるマシンを構築するために、2万個のグラフィックボードを使用する「Destination Earth」を計画しています。ですが未だに世界的な半導体不足が続いており、実際に大量のグラフィックボードを調達できるかは不透明なままです。

この計画は「地球規模で環境保護への移行を加速させ、大規模な環境悪化や災害に備える」ために利用されるとのことです。2050年までにCO2の排出を削減するという目標を掲げ実行しようとしている「Destination Earth」は、環境技術への1.2兆ドルの投資として行われる計画の一部です。

本計画の最終目標は、グラフィックボードを駆使した地球のシミュレーションです。任意のパラメーターを操作し、地球上で起こりうる大規模災害や気象変動をあらかじめ予測するために使用されます。

「Destination Earth」を実行するためには、スイスにあるスーパーコンピューター「Cray Piz Daint」の少なくとも4倍の計算能力が必要と言われています。この「Cray Piz Daint」には、5千個以上のグラフィックチップを搭載した「NVIDIA Tesla P100 GPU」が搭載。これほど詳細な地球シミュレーションを行うためには、最終的に約2万個のグラフィックボードが必要です。

しかし、現在は世界的にグラフィックボードが不足しており、入手困難な状況が続いています。欧州圏のAmazonを調べたところ、執筆時点で価格が高騰したマーケットプレイス系の商品しか確認できませんでした。また、AMDのCEOであるリサ・スー氏は、業界全体で生産能力のレベルを上げる必要があり、2021年前半は若干逼迫すると話しているので、実際に2万個のグラフィックボードが手に入るのかは不明です。

このようなスーパーコンピューターが設備されている施設には、推定で約20MWの電力が必要とされており、いくら地球のために使用される「Destination Earth」であっても環境には良くありません。これらの設備を環境に配慮しながら稼働させるためには、再生可能エネルギーを潤沢に使用できる土地で稼働させる必要があります。

「Destination Earth」は今後長期的な計画として実行され、2021年から今後7~10年間で段階的に実装されていきます。「Destination Earth」計画のロードマップは以下の通りです。

  • 2023年:運用可能なクラウドベースのイネーブリングプラットフォームと最初の2つのデジタルツインの発売。
  • 2025年までに:プラットフォームは4~5の運用デジタルツインを統合し、環境と気候に関する提案されたポリシーと立法措置の影響を開発、監視、評価するためのサービスを公共部門のユーザーに提供します。
  • 2025-30年までに:プラットフォームを通じてすでに提供されているデジタルツインの収束による、地球の完全なデジタルツインに向けた開発。

新製品発売、買い替え需要、マイニングの流行など様々な要因が重なって半導体が供給不足に陥っている現在。幸いなことに「Destination Earth」計画はすぐに2万個のグラフィックボードが必要なものではないので、半導体不足を加速させる事態にはならなそうです。

《藤田 幸平》
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