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坂口博信氏が手掛けるRPG『ファンタジアン』前編インプレ―敵を次々と吸引するシステム…中毒性がすごい

Apple Arcadeにて配信中の坂口博信氏が手掛けるのRPG『ファンタジアン(FANTASIAN)』前編のインプレッションをお届けします。

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坂口博信氏が手掛けるRPG『ファンタジアン』前編インプレ―敵を次々と吸引するシステム…中毒性がすごい
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iOS/iPadOS/macOS/tvOS向けサブスクリプションサービスApple Arcadeにて、ミストウォーカーのRPG『ファンタジアン(FANTASIAN)』前編が配信されました。

『ファイナルファンタジー』シリーズの生みの親である坂口博信氏が手掛ける本作は、ストーリーがメインの前編と、自由度が高いクエスト方式によってストーリーがオープンに展開される後編に分かれています。今回は前編をクリアした筆者(iPad miniでプレイ)がインプレッションをお届けします。

なお、本記事にはネタバレが若干含まれています。閲覧の際はご注意ください。

異なる世界を行き来するJRPGらしいストーリー

本作は世界が複数存在する多次元世界を舞台に、主人公のレオアが冒険を繰り広げるストーリーが展開されます。レオアはある出来事のせいで記憶喪失に陥っており、何も知らないプレイヤーと同じ目線で登場人物と出会ったり、機械世界や人間世界などについて学んだりすることになります。

様々な世界を行き来する流れはまさに『クロノ・トリガー』を彷彿とさせるので、90年代のJRPGが好きな筆者としてはワクワクしたポイントでした。

特に評価したいのがシリアスなシーンで挟まれるギャグ。「そこでそれを言うか?」という絶妙なタイミングで出してくるのはセンスを感じました。また、某グルメ漫画原作ドラマのパロディネタを入れてきたのは意表を突かれましたね。

時折、美麗なビジュアルイラストで語られる演出も、本作の世界観や登場人物の人間像を理解する上で良い演出になっていたと思います。

ただ前編だけでは、本作のストーリーが面白いか面白くないかの判断はつきませんでした。また、後編があるとはいえ、前編のラストシーンが唐突過ぎて中途半端に感じたのが正直なところです。

シャルルも可愛いが……ある人物の人間像が面白い

主人公が出会う魅力的なヒロインは、ボーイミーツガールが定番のJRPGではお約束。本作でもシャルルという超絶に可愛い美少女が登場します。

勝ち気なお嬢様として登場する彼女は、レオアに淡い恋心を抱きながらも、過去にデートをすっぽかされた恨みも持っているせいか、時折レオアに意地悪をする可愛い一面もあります。しかも、ビブラ王国の王女という高い身分でありながら庶民に寄り添う優しさもあり、様々な面で魅力に感じました。

ただ、筆者が面白いと思ったのが、もうひとりのヒロイン・キーナの育ての親であるオーウェンです。

オーウェンはある日、邪神と呼ばれる存在から特殊な能力を授かり、金に目が眩むような性格に。そして邪神を崇拝するようになります。このような設定ならオーウェンは正気を失っているパターンが多いのですが、正気は失っておらず娘のキーナを心配する場面が見られました。欲に目が眩んでいる人間が正気を失わずに日々の営みを続けるところに、これまでにないリアリティを感じます。この人間像は筆者にとって斬新でした。

ただ前編ということもあって、主人公を取り巻く登場人物たちの人間関係がそこまで築かれていないと思いました。この部分は後編でのストーリーに期待したいところです。

ジオラマの背景によって鑑賞する楽しみが生まれた

本作の背景は、ほとんどが手作りのジオラマ(ジオラマは150近くあるんだとか!)。プレイヤーは3Dグラフィックで描写されたキャラクターを操作して、このジオラマ背景を探索することになります。

背景がジオラマになって何が変わるかというと、プレイ中にタッチパネルから指を放して「これ全部手作りなんだよな……すげー」と背景を無心に眺めるようになります。背景をジオラマしたことによって、手作り感がある街並みや建物、ダンジョンを鑑賞する独自の楽しみが生まれたのです。ただ、欲をいえば色んな角度から背景を眺めてみたかったです。

ただその一方で、背景がジオラマでなくてもゲームとしての面白さは変わらないのではないかとも考えました。背景がジオラマに対し、UIやキャラクターグラフィックが従来のゲーム作品と変わらないことにも若干の違和感があります。「眺める」以外の遊び方やジオラマならではの演出があっても良かったのではないでしょうか。

ディメンジョン・システムがバトルをノンストレスに

本作の戦闘要素はオーソドックスなターン制ですが、攻撃の軌道を細かく調整できる「エイミングシステム」が搭載されています。攻撃する軌道を調整し、範囲攻撃のスキルや貫通能力がある攻撃スキルを使えば連鎖的に敵を倒せるように。軌道にも直線だけではなく曲線もあるため、プレイヤーは最適な軌道をエイミングする必要があるのです。

また、エンカウントする敵を異空間に入れてまとめて掃討できる「ディメンジョン・システム」は、画期的なものだと思いました。これによって効率的にレベル上げが出来るようになっただけではなく、ダンジョン探索中に邪魔が入らなくなりました。なお、敵をまとめて掃討する際は、前述のエイミングシステムが大いに活躍し多数の敵を連鎖的に倒す爽快感が味わえるので、レベル上げを延々と続けてしまう中毒性があります。

そんな戦闘要素に欠かせないキャラクター強化要素は、シンプルにしすぎた印象が否めません。ゲーム後半になってからスキルツリーのような成長要素が追加されるのですが、序盤から用意して欲しかったです。

コントローラーの方が快適かもしれないが……

画面右側のメニューをフリップで開く際、Safariのブラウザ画面を呼び出してしまう。

筆者はiPad miniで本作をプレイしたのですが、タッチパネルの操作は快適とはいえませんでした。移動したい場所に指定する際はそこにタッチするので操作自体は楽ではあるものの、細かく指定はできません。またメニューを開く際は、画面右端の小さなアイコンを左側にフリップする必要があるのですが、Safariのブラウザ画面を呼び出してしまうことが多々ありました。

そこでゲームコントローラーに切り替えると、タッチパネル操作での問題は解消されます。ただ、キャラクターの移動中にカメラワークが切り替わる際、進みたい方向とは別の方角に行ってしまうことがあるという問題が起きました。

どの操作方法にしてもメリット・デメリットがあるようです。


色々と惜しい部分を書いてしまいましたが、それは本作に対する高い評価の裏返しでもあります。本作は、JRPGとして高いクオリティを誇りながらも挑戦的なシステムを搭載しているうえ、『FF』シリーズの作曲家で知られる植松伸夫氏によるBGMも素晴らしいものでした。まさにApple Arcadeを代表するタイトルといっても過言ではないでしょう。

筆者が発展途上と感じた部分は後編で化ける可能性がありますし、物足りなさも後編をプレイすることで解消されるかもしれません。

自由度が高いクエスト方式によってストーリーがオープンに展開される『ファンタジアン』後編は、2021年後半に配信予定。前編からどのような変貌を遂げるのか今から期待です。

《真ゲマ》

『ドラゴンフォース』が一番好き 真ゲマ

吉田輝和の絵日記やトイレオブザイヤー、ギャグ漫画「ヴァンパイアハンター・トド丸」、洋ゲー漫画「メガロポリス・ノックダウン・リローデッド」など、これまでゲームメディア業界に影響を与える様々な企画を立ち上げてきました。他社メディアでも活動中なので、気軽にお仕事の依頼をお願いします。 ちなみに、ユウキレイ先生が手掛ける4コマ漫画「まほろば小町ハルヒノさん」(まんがタイムで連載中)で教師役として出演中です。

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