『Last Train Home』「ヴルタヴァ」の旋律と共に列車は征く―芸術から辿る祖国独立の悲願【ゲームで世界を観る 特別編】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『Last Train Home』「ヴルタヴァ」の旋律と共に列車は征く―芸術から辿る祖国独立の悲願【ゲームで世界を観る 特別編】

帝国主義に翻弄される人々、その武器は「芸術」でした。

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『Last Train Home』「ヴルタヴァ」の旋律と共に列車は征く―芸術から辿る祖国独立の悲願【ゲームで世界を観る 特別編】
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ザイツ:ウ・ボイ、ウ・ボイ ~歌劇『ニコラ・シュビッチ・ズリンスキ』より/関西学院グリークラブ

日本の男性合唱部には「ウ・ボイ」という不思議な曲がレパートリーにあります。東欧クロアチアの歌劇『ニコラ・シュビッチ・ズリンスキ』の中の曲なのですが、これが日本に伝わったのはなんと100年前の第一次世界大戦直後。歌詞の意味もどこの国のものかさえも長年不明のまま、関西学院で受け継がれてきたものが全国に広まりました。

東欧と縁遠い日本に何故持ち込まれたのか?その裏側には、世界を動かしたある歴史の出来事があるのです。

『Last Train Home』、それは新しい祖国へと向かう最終列車。極東へ向かうシベリア鉄道に乗って、チェコスロバキア軍団の知られざる旅路を紐解こう――

11月28日にTHQ Nordicより発売される『Last Train Home』は、第1次世界大戦のチェコスロバキア軍団をモチーフにしたRTSゲームです。プレイヤーはロシア脱出を目指す軍団を率い、内戦真っ只中のシベリアを突っ切る決死行に身を投じます。

限りある物資をかき集め、それぞれ個性を持った隊員達の命を賭けて戦いの指揮を執る。ストラテジーとサバイバルの要素を併せ持ちつつ、史実を背景にしたドラマチックな物語が展開する、戦略ゲーム初心者にもお勧めの作品です。

チェコスロバキア軍団とは、第1次世界大戦の際にオーストリアと戦ったチェコ人、スロバキア人の義勇軍、特にロシアについて戦った軍団を指します。当時は現在のチェコ、スロバキアをオーストリア帝国が支配下に置いていて、彼らは連合国側について国の独立を目指しました。

今作の主役となるロシアの軍団では義勇兵にオーストリア側の捕虜を加え、最大約60,000人以上に及ぶ大きな戦力になっていました。ところが革命で社会主義の急進派「ボリシェビキ」によるソビエト政権が誕生、ボリシェビキの「赤軍」と、旧帝政を中心とした反対勢力「白軍」の内戦状態に突入し、ロシアはドイツと講和して戦争から離脱します。

宙に浮いたチェコスロバキア軍団は連合国軍からドイツの西部戦線に向かうよう要請されるのですが、さすがに敵中突破するわけにもいきません。そこで、シベリア鉄道で極東のウラジオストクへ向かい、海路を使って欧州に戻ってくるという地球規模の長大な迂回をすることになりました。

しかしあるトラブルを契機にして赤軍はチェコスロバキア軍団を反乱軍と見なし、武装解除をしない場合は即射殺を命じます。軍団は投降を拒絶し、散らばっていた各々で赤軍と戦いながらウラジオストクを目指すことを選択しました。これを「チェコスロバキア軍団の反乱(蜂起)」と呼びます。

『Last Train Home』の物語は、そんなチェコスロバキア軍団で東を目指す最後の列車として、ロシア内戦を生き抜く姿を描きます。世界大戦は終結し、あとは独立したチェコスロバキア共和国への帰還のみ。プレイヤーは列車の指揮官として、可能な限り多くの同胞を東へ送り届ける任を負うのです。

ウラジオストクを目指す長い旅路では、常に不足している物資を集めながら進む必要があります。蒸気機関車を動かす燃料、兵士に配給する食料、戦うために必要な弾薬と医薬品など、決して無駄遣いできません。探索できる拠点があればその都度列車を停めて、部隊を派遣していくのが基本の進行です。

隊員達の命を預ける列車は物資を使って強化できます。ボロボロのままでは体力も気力も回復しないので、木材や布、金属を使って早急に改修してあげましょう。機関車の改造では燃費の向上やスピードアップもあり、どの項目も有用ではあるものの、物資が足りない中でどうやりくりするかが腕の見せ所。アップグレード中は当然停車が必要なので、その間にも敵軍の脅威は近づいてきます。

このゲームのセーブデータは1つのみ、しかも1チャプター内でだけ保持され、章始めのチェックポイントで一旦全てクリアされます。そのため、大きく遡ってやり直すことは不可能。目の前にある状況で最善を尽くすのみです。

交戦が避けられない状況になれば、最大10人を選抜した戦闘ミッションに入ります。兵科は探索と遠距離に向いた偵察兵(狙撃兵)、敵のカバーに突進できるライフル兵、制圧射撃が得意な機関銃兵、爆薬に特化した擲弾兵、救命を担当する衛生兵の5種類。個人単位で動かしていく小隊のスケールです。

装甲列車の援護射撃もありますが、基本的には地道に偵察しながら適切なカバーポジションを確保することが重要です。ユニットグループは10番まで登録できるので、状況に応じた組み分けを行い、挟み撃ちや陽動で背後を付く奇襲を積極的に行いましょう。というのも、弾薬の補給が厳しい中では正面からの撃ち合いで浪費しているとあっという間に備蓄を使い果たしてしまいます。特に機関銃の弾は買うだけでも相当な金額がかかるので、特に節約を意識する必要がある兵科です。

ロシアでチェコスロバキア軍団が戦うのは人間だけではありません。かつてナポレオンを退けた「冬将軍」です。真冬のシベリアを強行突破するためには暖を取る燃料と防寒の布が大切です。探索に派遣する隊員に持たせてやるため、戦闘ミッション用の大人数ではその分使う量も増えます。

厳冬に備えて備蓄を溜めたいところですが、チェコスロバキア軍団は赤軍に目を付けられているため、長時間留まり続けると中央の脅威ゲージが上昇、列車を直接攻撃される危険性が出てきます。

物資の枯渇と赤軍の攻撃に追われる中、探索を粘るか諦めるか、最悪兵士を置き去りにするか否か、指揮官は非情な決断を迫られます。あなたの指揮する列車はチェコスロバキアに向かう最後の列車です。取り残された人が帰還できる見込みはありません。言うまでもなく、命を落とした人も。全ての責任と後悔を背負って、引き返すことなく前に進み続ける。それがプレイヤーの紡ぐ『Last Train Home』の物語なのです。

「モルダウ」は望郷の調べ―芸術に秘められた独立の悲願

プレイヤーが率いるチェコスロバキア軍団は、まさに独立したばかりのチェコスロバキア共和国を目指して東進します。支配者のオーストリアとの戦いに参加してようやく掴んだ「祖国」の地に、彼らはまだ立ったことがないのです。旅の途中で命を落とすことがどれほど無念であるか、察するに余りあることでしょう。ですが、それに至る時代に残された芸術を紐解くことで、民族独立への希求を窺い知ることができます。

近代の欧州では帝国主義の大国が覇権を巡って戦争を繰り返しており、支配下に置いた地方で同化政策を行うのが常でした。1873年のフランス小説「最後の授業」では、普仏戦争で支配者が変わったアルザスで、ドイツ語に置き換えられることになったフランス語最後の授業の様子が描写されます。学校を去る教師は生徒達に向けてこう言います。

「ある民族が奴隸となっても、その国語を保っている限り、牢獄の鍵を握っているようなものなのです」

プロイセンの支配下であっても、教えたフランス語を忘れない限り君たちはフランス人だ、という趣旨なのですが、そもそもアルザスにとって地元の母語であるアルザス語はゲルマン系です。フランス語もプロイセンのドイツ語も支配者が強制する言葉であることに変わりありません。主人公の少年は「いまにあの鳩たちまで、ドイツ語で鳴けと言われやしないかな?」と想像しました。

ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲/ウィーン・ヨハン・シュトラウス管弦楽団

帝国主義が席巻するヨーロッパでは、文化も言語もオーストリア、ドイツ、イタリア、フランスなどの「列強」のものが一流と見做され、芸術家として大成するには自分のルーツを捨ててそこに所属するしかありませんでした。世界史に書かれているような帝国同士のパワーゲームの影で、自分たちの言葉と文化を表立って持てない人たちが大勢いた。この小説は短編ながらもそれを如実に表しています。アルザスの奪い合いは長きに渡って続き、現在はフランスに属しています。

冷静に読めば教師の言い分はフランスに都合が良いものではあるものの、国語が《牢獄の鍵》というのは的を射ていて、帝国の支配下に置かれた各地の民族は、繰り返される同化政策の抑圧の中で自分たちの言葉と文化を守り続けました。フランス革命で支配階級の絶対性が崩れると、それが嚆矢となって民衆が中心となる独立運動の気運が高まります。

クラシック音楽に於いてもその影響はあり、1848年のハンガリー革命から空前の「ハンガリー」ブームが巻き起こります。オーストリアからの独立を目指したハンガリー人は酒場で酒宴を開き、そこで義勇兵の募集を行っていました。酒宴ではロマの伴奏でアップテンポなダンスが披露されていて、それを発展させたのが「チャールダーシュ」です。

モンティ:チャールダーシュ/古澤巌

これが上流階級に紹介されるとあっという間に大流行、ハンガリーにルーツがあるリストを始めとして、猫も杓子も「ハンガリー風」の音楽に取り組みました。しかしトラディショナルとしてアレンジしたものが、実際はロマによる新曲である場合が多く、ブラームス「ハンガリー舞曲」は盗作だとして訴えられています。これはあくまで編曲としていたためセーフだったとか。オーストリア側としては、元々反乱軍のものがこのように受け入れられるのはさぞ困ったことでしょう。ウィーン宮廷へチャールダーシュを持ち込むことを禁止するほど、当時の盛り上がりは熱狂的だったことが窺えます。

22:30から ショパン:ポロネーズ第6番変イ長調 作品53「英雄ポロネーズ」/角野隼斗

1851年のロンドン万博によって、列強以外のエキゾチックな文化に関心が集まる背景もあり、帝国に抑圧されていた各々の民族が自分たちの文化に誇りを持って良いのだと、ハンガリー革命をきっかけに気付き始めました。「ポロネーズ」などポーランドを意識した曲を持つショパンはその先駆けに位置づけられます。

帝国に奪われた民族の歴史と伝承を今こそ自らの手に取り戻そう。19世紀後半に独立を目指す流れの中で、芸術家達は自分のルーツに根ざしたもの、民謡や民話、歴史の英雄を題材にした作品を発表し始めます。音楽の分野ではこの傾向にある作曲家達を「国民楽派」とカテゴライズしています。

シベリウス:フィンランディア/ラハティ交響楽団

「展覧会の絵」のムソルグスキーが数えられるロシア5人組、北欧のシベリウス、グリーグ、スペインのファリャなど、ウィーンやイタリアの音楽とは異なる雰囲気の曲が多いのは分かるでしょうか。

前述の通り帝国主義の列強以外、特に被支配民族の文化が下に見られている中で、その文化を取り込んだ交響楽やオペラで感動させれば、「お高くとまった人々」を見返せるのです。何より、自分たちの文化は素晴らしいと同胞を鼓舞し、独立のための結束を強める効果が期待されます。

さて、随分遠回りをしてきましたが、ここでようやく本題です。チェコもボヘミアをハプスブルク家の支配下に置かれて以降、プロテスタントが多いボヘミアはハプスブルク家のカトリック推進と対立し、1618年に勃発した三十年戦争の結果ボヘミアは壊滅、チェコの言葉と文化は同化政策によって衰退していきます。1871 年にドイツ帝国の支配下に入った際には公用のチェコ語は禁止、ドイツ語の使用を強制されます。

スロバキアとチェコの人形劇/UNESCO

ここで「最後の授業」の教師の言葉を思い出してください。チェコ人にとって《牢獄の鍵》となったのは、唯一チェコ語が許可されていた人形劇でした。チェコの人形劇はユネスコの無形文化遺産にも登録され、操演技術や舞台美術を学ぶ人が世界中から訪れます。今期のNHK朝ドラのOP映像を担当した牧野敦氏もその一人で、あのユニークな造形はチェコの影響を多分に受けています。

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」/ピルゼン・フィルハーモニー管弦楽団

そうした被支配の歴史から、チェコの国民楽派は独立を目指すナショナリズムと密接に関わっています。「交響曲第9番 新世界より」のドヴォルザークは前述のハンガリーブームを受け、スラヴで同様のことをできないかと依頼されて「スラヴ舞曲」「3つのスラヴ狂詩曲」などを作りました。「新世界より」もアメリカから故郷ボヘミアを思いながら書かれた曲です。第2楽章の有名な旋律には郷愁の想いが感じられます。 

55:00から スメタナ:モルダウ(ヴルタヴァ) ~「我が祖国」より/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

チェコの代表と言えば、やはりスメタナの「モルダウ(ヴルタヴァ)」です。この曲が入っている組曲のタイトルは「我が祖国」。廃墟になったボヘミアの城や民話の乙女戦争、フス戦争で戦った戦士を表現しました。

ヤナーチェク:利口な女狐の物語 第2幕より/フラデツ・クラーロヴェ・フィルハーモニー管弦楽団

ヤナーチェクは西のボヘミアとは異なる東のモラヴィアの作曲家で、農村の動物達を描いた「利口な雌狐の物語」など、田舎の素朴な情景を題材にオペラを作りました。言葉はチェコ語で書かれ、独立間もない1924年の初演です。一昔前はチェコ語の上演が許されていなかったことを考えれば、ヤナーチェクの取り組みの意味が分かるのではないでしょうか。

ミュシャ:チェコの音楽の殿堂

美しいポスターでお馴染みのミュシャも同じくモラヴィア出身。「チェコの音楽の殿堂」という作品で3人の姿を残しています。そして「我が祖国」に影響を受けて、巨大な連作「スラヴ叙事詩」に至るのです。

マルチン・クルチャル駐日チェコ大使インタビュー―日本に滞在したチェコスロバキア軍団

本作は9月にチェコセンター東京で開催されたイベント「チェコゲームの世界Ⅱ」にも出展されていました。このイベントはチェコ大使館が協力しており、この度駐日チェコ大使マルチン・クルチャル氏へメールインタビューを行いました。チェコスロバキア軍団と日本の関わりについても伺っています。

――ゲーム「The Last Train Home」のモチーフであるチェコスロバキア軍団について、チェコの人々はどのように考えていますか?チェコスロバキア軍団はチェコの人々にとってどのような存在なのでしょうか?

チェコスロバキア軍団は「国を持たない軍隊」であり、第一次世界大戦(1914-18)中にフランス、イタリア、ロシアで戦ったチェコ人とスロバキア人で構成されていました。当時、チェコとスロバキアの地域はオーストリア・ハンガリー帝国の一部でしたが、多くのチェコ人とスロバキア人は帝国の支配の下で生きることを望まず、彼らは変革を支援するため戦争中に帝国に対抗する側へ志願しました。

当時はまだチェコスロバキアが存在していなかったので、これらの志願兵は通常の軍隊での戦闘は許されず、外国の軍隊の一環として戦い、後にチェコスロバキア軍団と呼ばれるようになりました。これらの軍団は1917年から1920年までの間、国の誕生に非常に重要な役割を果たしました。彼らの力が列強に一目置かれたことで、国家の確立に大きく貢献しました。

チェコスロバキアが1918年10月28日に新しく設立された後、軍団は新しい国の常備軍の基盤となりました。その後、軍団員は新しい国家内での活動により、社会で重要な地位を占めるようになりました。

チェコスロバキア軍団のロシアでの活動は最も冒険的なものでした。彼らはロシア帝国とともに戦っていましたが、1917年の「十月革命」によりボリシェビキが権力を握り、軍団の状況が変化しました。さらに、1918年11月11日の講和とチェコスロバキア国家の創設は、一刻も早く帰国する強力な動機となりました。ロシアの政治的および安全保障の状況のため、彼らはシベリア鉄道を経由する長い東方の道を選ばなければなりませんでした。

チェコスロバキア軍団は帰国の途中で多くの戦闘に巻き込まれ、多くの危険な状況を乗り越えなければなりませんでしたが、成功し、1919年1月にウラジオストクで最初の軍団が船に乗り込んでから1920年11月まで続き、6万人以上の兵士が脱出しました。

私たちはチェコスロバキア軍団に非常に誇りを持っています。彼らは将来のチェコスロバキアの理念のために戦い、国家の設立に決定的な役割を果たしました。シベリア脱出行は多くの世代にチェコスロバキア軍団の名声を広め、今でもチェコの人々に覚えられています。チェコは世界中で軍団のメンバーが埋葬されている記念碑を保存しています。

――日本とチェコスロバキア軍団の関係について教えていただけますか?

ロシアでの成功した戦闘の後、祖国に戻るチェコスロバキア軍団は日本で温かく迎えられ、負傷した軍団員は日本の病院で治療を受けました。私たちの軍団員は、日本人の礼儀正しさと歓待に深い尊敬の念を抱いていました。多くの話が、軍団のメンバーと彼らの帰国の途中で出会った日本の市民との強い絆を示しています。

その中でも注目すべき例の一つは、東京の聖路加国際病院における負傷した軍団員と日本の看護婦との友情です。彼らは看護婦たちから丁重な治療を受けました。

著しいチェコの足跡は、船が嵐で損傷したときに軍団員にとって安全な避難所となった神戸でも見つかります。滞在中、彼らは関西学院大学の最も古く、評判の高い男声合唱団のメンバーと交流し、クロアチアの愛国歌「ウ・ボイ、ウ・ボイ」を教えました。この歌は軍団員が任務中に好んで歌った曲で、今日でも日本の合唱団のレパートリーの最後に演奏されています。また、日本がチェコスロバキア軍団に軍服、武器、医薬品を提供し、その他の重要な後方支援を行ってきたことも忘れてはいけません。

関西学院とチェコスロバキア軍団の交流

――府中霊園に埋葬された5人の兵士の墓があります。それに関連して、チェコ大使館がどのような活動を行っているか教えていただけますか?

毎年11月11日、退役軍人の日(第一次世界大戦休戦記念日)には、府中霊園の記念碑に花を手向け、日本の土地に埋葬されているチェコスロバキア軍団のメンバーを追悼します。また、公式訪問団も兵士たちを偲ぶために記念碑を訪れます。

――他国の支配、独立、そして祖国を持つことは、チェコの人々にとってどのような意味を持つのでしょうか?

チェコ共和国の人々は独立と自由に非常に敏感であり、祖国を守る覚悟を持っています。歴史の中で何度も他国に支配されてきましたが、自由、平和、民主主義が授けられるものではなく、常に大切に守られなければならないと理解しています。


兵士達を奮い立たせる「我が祖国」への想い。

チェコの文化が支配者に干渉されない場所を取り戻したい。民族の文化を表現することは独立を願う意思表示でした。『Last Train Home』を始める前に是非「モルダウ」を一度聴いてください。プレイ中の音楽に耳を澄ませば、この曲の断片が聞こえてくるはずです。チェコ受難の長い歴史を踏まえれば、メロディに込められた望郷をきっと感じられるでしょう。

『Last Train Home』は、PC向けにSteamで2023年11月28日23時頃より発売されます。

『Last Train Home(ラスト トレイン ホーム)』日本語公式サイト

UPDATE(2023/11/29 15:00): 発売情報について修正しました。コメント欄でのご指摘、ありがとうございました。

《Skollfang》

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