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Game*Sparkレビュー:『FINAL FANTASY VII REBIRTH』―すべてに全力投球する「ファンサの塊」のようなRPG

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Game*Sparkでは、全7本の『FINAL FANTASY VII REBIRTH』レビューを掲載します。
いずれの記事もネタバレを含むため、閲覧の際には留意してください。



前作『FINAL FANTASY VII REMAKE(以下REMAKE)』から4年が経ち、3部作予定である『FINAL FANTASY VII 』のリメイク企画の第2弾『FINAL FANTASY VII REBIRTH』(以下、『FF7 リバース』)がついに発売されました。筆者は前作のレビューも担当し、本作の発売を中々楽しみに待っていたプレイヤーの一人だろうと思います。


しかし、前作のレビュー本文を見ればわかるように、筆者としては前作を「完璧で大好き」な作品だとはまったく考えておらず、フィーラーの存在やストーリー展開の蛇足感など、やや不満も述べていました。また、前作から今作の間にPS5にて移植版の『ファイナルファンタジーVII インターナショナル』を再プレイする機会があり、いちおうストーリーのおさらいは済ませました。

結論からいえば、今作でも前作にあった不満点はほぼ残っているように感じます。っていうか、なんだったら問題が加速しているようにも思えます。しかし、不思議なことに、筆者は今作を前作よりも遥かに気に入りました。もちろんミニゲーム類の充実などゲームとしてのボリューム向上は、本作の大きな魅力のひとつです。ただ、筆者が本作を前作よりも遥かに気に入った最も大きな理由は、たぶん「楽しみ方、向き合い方のようなものが理解できたから」ということなのだろう思います。

筆者は、本作には「オープンワールド的に自由にフィールドを探索できる」“探索パート”と「戦闘と仕掛けを突破し(広義の)ダンジョンを攻略していく」“攻略パート”、そして攻略パートと区別が難しいときもあるが「ミニゲームと会話が中心になっている」“アドベンチャーパート”という、3つの体験があると考えています。

そして、そのパートを順番に繰り返していくことでゲームが進んでいくような仕組みになっています。たとえば、「新しい都市につき、その都市でアドベンチャーパートを行う」→「アドベンチャーパートが終わり、自由に移動できるようになって探索パートに移行する」→「探索パートの最後、ダンジョンに到達し、次のエリアに移動するための攻略パートになる」→「攻略パートが終わり、あたらしい都市につく」以降繰り返し……といった感じに、です。これは厳密な分類ではなく、プレイする人間によって捉え方はまちまちだと思いますが、ここからはひとまず、筆者なりに分類した3つのパートについてそれぞれ語っていくこととします。

コンテンツがぎっしりと詰まった広大な世界を楽しめる「探索パート」

本作には大きいエリアがいくつか登場し、それぞれがいわゆる「オープンワールド」的な体験として機能しています。つまり、本筋には関係のない小目標が散りばめられており、自由に移動してよい、ということになっています。

マップは想像より遥かに広大で、ストーリーだけを攻略するのであれば訪れることのないようなロケーションも数多く用意されており、やりこみ要素もかなり充実しています。筆者はレビューのためにストーリーを優先的に攻略したため、探索要素は半分も終えられていません。すべてを虱潰しにプレイしていったら、すさまじいプレイ時間になってしまうことでしょう。本作のボリュームはかなり膨大です。

マップの移動もファストトラベルでスムーズに行うことができ、中盤はやや行ける場所が制限されるくだりもありましたが、最終的にはかなりのエリアを自由に行き来できるようになります。エリアもそれぞれ美しく、特色が分かれていて退屈しません。

特にコスタ・デル・ソルやゴールドソーサーを含む「コレルエリア」は広大さに加えかなり多様な風景が含まれていて、素晴らしい出来栄えだと感じました。「このエリアだけで丸々ゲーム一本作れるんじゃないの?」とすら思います。「エリアの分析」など寄り道することで達成できる小目標の数々も、一つ一つがすごく面白いというわけではないですが、とにかく物量があるため飽きさせません。

マップ上にさまざまな「やらなくてもよい」探索要素が含まれる点は既存のオープンワールドゲームにもよく見られる形質で、他のゲームにあるような“良い点”を積極的に取り込もう、という意識が感じられました。

都市もそれぞれ細部まで作り込まれており、かなり広いので歩き回っているだけで楽しいです(厳密には「都市」ではないかもしれませんが)。特にゴールドソーサーは「力が入っている」ということがありありと伝わる出来。ミニゲーム類よりもなによりも、その「遊園地っぽい雰囲気」がすばらしく、いつまでも探索していたくなります。オープンワールド的なゲームプレイを取り入れ、世界に広さと多様さが感じられるようになったのは「ミッドガル」が舞台だった前作から比べるとかなり大きな進化で、非常に楽しめた部分でした。

原作を知っているプレイヤーからすると「昔小説で読んだ都市に、実際に訪れている」というような感覚を味わうこともできました。思い出のゲームが、ここまでゴージャスに蘇るのは卒倒ものの体験で、原作ファンであればこの「拡大され、細部まで描かれるようになったロケーション」を見るだけでも本作を購入する価値があると思います。

探索に彩りを加えるサイドクエストも、どれも一工夫あり、コピペ的な単調なものを避けて作られているなあという印象を受けました。ミニゲームが付属しているものも多く、もちろんうれしいことではあるのですが、中には少々面倒に感じられるような場面もありました。筆者が遊んだ範囲だと特にニワトリをカンカンでおびき寄せるサイドクエストは異様に分かりづらく、かなりフラストレーションがたまりました。

会話やミニゲームやデートも楽しめる「アドベンチャーパート」

本作には会話やミニゲームを中心として進行する、アドベンチャーゲーム的なパートがあります。アドベンチャーパートはストーリーの一貫として行われるのですが、これがまあ本当に面白いものが非常に多く、感心させられました。サイドクエストにも通じるものがあるのですが、場所によって様々な体験があり、デートに隊員集め、カードバトル大会など様々なコンテンツで手を変え品を変え楽しませてくれます。そのため「次はどうやって遊ばせてくれるのだろう」という興味が持続し、ストーリーを進行している間はずっと暇をしないで済みました。

特にジュノンでの「第七歩兵連隊」を巡る部分はかなりの面白さで、何回も爆笑させられました。ミニゲームの多さやサイドコンテンツのふざけ方は『龍が如く』シリーズを彷彿とさせるものがあり、というか、おそらくかなり影響を受けているものだろうと感じます。

特に近作である『龍が如く8』との類似点は細部にわたってかなり多く(制作期間が被っているであろうことから、どちらがどちらを参考にしたわけではないでしょうが)驚かされることも多かったです。特にビーチのある「コスタ・デル・ソル」のくだりでは、『龍が如く8』の舞台がハワイなのもあって「そのものじゃん!」と思わされました。このあたりも「なんだって面白いものは取り入れよう」という意識の表れかと思いました。

おそらく皆が楽しみにしていたであろうデートイベントも、ちゃんと用意されています。好感度で分岐というのがやや古臭いシステムだと感じましたが、それも「味」ですし、ちゃんとクリア後にいろいろなイベントを回収しやすくなる仕組みもあって好印象でした。アドベンチャーパートはちょっと馬鹿らしく笑ってしまうものが多く、個人的に本作で最も気に入った部分です。

そしてアドベンチャーパートでの楽しそうなクラウドたちの描かれ方を見て「あ、そんなに真面目に考えず、ぼんやり愉しめばいいのだ」というモードで最後までゲームを遊ぶことができました。前述したように「本作の楽しみ方、向き合い方のようなものが理解できた」のは、愉快なアドベンチャーパートのおかげです。

ダンジョン、戦闘などの「攻略パート」、そしてストーリーについて

本作ではダンジョン攻略パートにもかなりの長さ、ボリュームがあります。前作からそういう傾向はありましたが、本作ではそれにも増してひとつひとつのダンジョンが広く、ギミックも多様で「プレイヤーを飽きさせまい」という工夫が詰まっていて非常に好ましいです。

ダンジョンごとにプレイヤーキャラクターが変更されたり、パーティーが普段のパーティーではないものに固定されたりするなど、バリエーションを増やそうという意気込みも感じさせられます。

とはいえ攻略パートにおける本作のサービス精神は、筆者にとってはやや過剰と思える部分も多かったです。同じ時間軸をパーティーを変えて再度遊ばせるくだりなどは、ストーリー自体は完全に停滞しているので「ここまでやらせてくれなくても……」と何度も感じました。

特にストーリー最終盤では引き伸ばしともとれるような視点の変更、ボスラッシュなどがかなりのボリュームで詰め込まれており、その間、本作でもっとも重要なサスペンスである「エアリスが死ぬのか、リメイクだから死なないのか」という問題が保留され続ける点がかなりストレスフルでした。結論についてはまだ発売直後のためぼやかしますが、「引き伸ばしておいてその結論!?」と、かなり不満を抱いたのも事実です。

エアリスの死亡シーンは原作の最も印象的な瞬間だったように思いますが、今作ではその前後がごちゃごちゃしすぎて、何がなんだかよくわからないシーンへと改変されてしまっています。

筆者が思うに「ザックス生存世界線(?)」的な、リメイク版のオリジナル要素は既プレイヤーに「これからどうなるのかわからない」というサスペンスを与える役割を果たしています。

しかし、そのせいでいたずらに話が難解になっているきらいがあり、頑張って理解しようとすれば何を言わんとしているのかわからんこともないが、究極的には(明かされていない点が多いため)意味不明という印象になりました。このあたり3作目でどういう説明がされてもどうせ納得できないので、ストーリーに関してはやや諦めに近い感情があります。ただ、前述のように「ストーリーに関してはあんまり期待せずに肩の力を抜いて楽しむ」という心構えがあったので、不満点としてそう大きい部分かというと、まったくそんなことはありません。若干の不満、という感じです。

総評

今回の『FF7 リバース』は、いわば「ファンサの塊」です。「探索パート」「アドベンチャーパート」「攻略パート」、すべてのパートでどこまでも全力でプレイヤーを楽しませるために、気取らずに全力投球しているゲームになっていると感じました。ただ、筆者にとってはその全力投球がやや空回り気味に感じられる部分も、事実としてありました。ただ、筆者よりもっと原作のファン向けに作られているようにも思うので、このあたりは個人の感じ方の差の範囲でしょう。

本作はとにかく凄まじいボリュームがあり、遊びが多く含まれ、ぐったりするほど大量の情報を浴びせかけてくる変なゲームです。シリーズファンだけではなく「何やらすごい変なゲーム」をやってみたいというプレイヤーの方にも、本作はとてもおすすめの作品です。

筆者はかなり楽しめましたし、フルプライスであることにふさわしい内容だと感じました。個人的には『FF16』が全く好みでなかったこともあり、『FF』シリーズには、もう古びてしまったシリーズという印象がありました。しかし本作は見違えたように生き生きしており、良いものは外側からどんどんと取り入れようという意識があります。「いつだって追うものは追われるものに勝る」という言葉がありますが、本作からはそういったハングリーな精神が感じられました。

総合評価:9/10

良い点
・サービス精神が行き届いていて、最後まで退屈しない
・ボリュームたっぷりの内容
・愉快なアドベンチャーパート

悪い点
・追加されたストーリーが難解
・ややサービス過剰に思えるときもある




《文章書く彦》
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