日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群! | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

ハードコアゲーマーのためのWebメディア

日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!

作中で印象的な「二口女」についても詳しく解説します。

連載・特集 プレイレポート
日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!
  • 日本の伝承も登場するホラーADV『Blood Crossroad』体験版をプレイ。音や光の恐怖演出による臨場感が抜群!

パブリッシャーTerrorForgeStudiosとデベロッパーSerafini Productionsは、新作ホラーアドベンチャーゲーム『Blood Crossroad』をPC(Steam)向けにリリース予定です。

本作は、アルコール依存症の主人公が次々と巻き起こる恐怖を体験する一人称視点のホラー作品。プレイヤーは主人公・ウィリアムを操作して、さまざまな怪異や超自然現象と立ち会いながら、探索や謎解きを行い、自分自身の感情や過去と向き合っていきます。

ゲーム内には日本の民話に登場する伝承が登場し、ウィリアムの抱える真実とも密接に関わり合っているようです。Steamストアページでは恐ろしくも美しく描かれた「二口女」のスクリーンショットも掲載されていて、とても印象的な雰囲気を醸し出しています。

本記事ではメーカーより提供された『Blood Crossroad』体験版の先行レポートをお届けしていきます。

回避できない“死”は悪夢?それとも……

本作の物語は、酒場で酔いつぶれていたウィリアムがカウンターで目を覚ますシーンから始まります。飲みすぎて気持ち悪くなってトイレへと向かうことになりますが、まだ深く酔っているのか視界がぼやけています。トイレは地下に向かう階段の先にあるので、ドアを開けながら目指していきましょう。

なんとかトイレにたどり着いて胃の中を空にしたウィリアムですが、なぜかトイレ個室のドアがあかない様子。どうやらドアの前に“何か”があるようです。誰かいるのか、何をしているんだ。呼びかけるウィリアムですが返事はなく、今度は突然トイレが停電し、ようやく開いた個室のドアの前には裸足の異様な足跡が残されています。

ポルターガイストや電源の点滅、異様な音、何者かに顔を掴まれるなどの怪異が続き、ついには“謎の存在”によって腹部を刺されてしまいます。何が怒っているのか、自分に何が起こっているのか信じられないウィリアムの意識はだんだん遠のき……気がつけば酒場のカウンターで目を覚ましていました。

その後も車に轢かれそうになったり、怪物に追いかけられたりと、酒場の外でもさまざまなトラブルが続発。迷い込んだ占い師の館で「よく生きているね」と告げられたウィリアムの裏には、複雑な事情や秘密がありそうです。体験版は、再び“謎の存在”に襲われ、酒場で目を覚ますところで終了しました。

繰り返される悪夢ですが、酒場のトイレには最初になかった「落書き」が増えるなどの変化も起きています。これは果たして悪夢だったのか、それとも現実だったのでしょうか。

次々と襲いかかる恐怖の果てに

ゲーム内では扉の開閉やオブジェクト干渉、道中拾った懐中電灯などの操作を行いながら探索を進めていきます。体験版の範囲では多少寄り道はできるものの、基本的には目的地へと向かっていくものが中心でした。

作中では、音や光などを駆使したさまざまな演出がプレイヤーへと襲いかかります。突然物が転がってくるようなものから、ふと見上げた窓から誰かが覗いているといったちょっとした変化まであり、恐ろしくも色々と観察したくなる要素も強めです。

演出の中でも“音”に関わる要素はこだわりを感じられます。何かの足音やポルターガイストによる効果音、ウィリアムの必死な声など、どれも緊迫感のある恐怖を得られる印象的なものなので、プレイ中はヘッドホンなどを使用することでより臨場感を得られそうです。

また、ゲーム中では怪異とのチェイスが発生することも。マップはある程度分岐があり、上手く障害物などを利用すれば捕まらないのですが、もしチェイス中に捕まってしまっても何度か逃げられる猶予があります。それでも完全に捕まってしまっても直前の場面から開始できるのでゲームオーバーなどはないようです。

体験版の範囲ではストーリーは不明瞭ですが、襲いかかる“謎の存在”や物語の起点となる酒場など、どれも気になるシーンばかりです。ウィリアムはアルコール依存症で、さまざまな悩みや過去もあるようなので、その真実がどのように解き明かされていくのかが楽しみです。恐怖演出は心理的なもの、直接的な怪異など多彩で、ジャンプスケア要素はかなり強めです。

「二口女」について知っておこう!

ここからは、本作で印象的な「二口女」の伝承を通して『Blood Crossroad』の内容に目を向けていきます。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」などにも登場する、この有名な「二口女」ですが、その存在には大きく2つのパターンがあります。

◆因果による業病の「二口女」

Wikimedia Commonsより

「二口女」は、江戸時代(1841年)に書かれた「絵本百物語(桃山人夜話)」に登場するものです。この物語では、先妻の子に食事を与えず殺してしまった継母が、四十九日後におきた事故によって頭に怪我を負い、やがてその怪我が口のように変化していくのです。

口のような傷跡は耐え難い苦痛を伴い、その中に食べ物をいれることによって痛みが和らぐという声質を持ち、また、その傷跡からは先妻の子を殺したことへの後悔の念が漏れ出ていたと伝えられています。

図説では継母の嫉みが恐るべきものであるとしており、解説文では「頭脳唇(ふたくち)」「人面疔(じんめんちょう。人の顔のように変化する腫れ物。人面瘡とも)」は、悪行の末の因果による“業病”であるとされています。この解説では、膝に口ができた人面瘡の話も書かれており、意にそぐわない振舞によって悪病を引き起こすかも知れないという旨の内容も書かれています。

◆妖怪変化などの「食わず女房」

こちらは創作物などで紹介されることが多い「二口女」のパターンで「食わず女房」などの呼び名でも知られています。食事をしない嫁がほしいと考えるケチな男の元へ、望み通りに“食事を摂らない働き者の女”が嫁ぐが、その正体は頭の後ろにある口で飯を食っていたというのが一般的な物語です。

その正体は山姥や動物などの妖怪変化で、正体を知った男が拉致され、魔除けの菖蒲によって難を逃れる……という内容(もしくは正体を現すまでの内容も)、柳田國男氏の「日本の昔話」内の「飯食わぬ女房」をはじめ、日本の各地で似たような話が伝わっています。

また、一部の書籍などでは髪を蛇のように自在に操って食事を取ることなどが強調されていたり、後ろの口に食事を与えないとあらぬことを喚いて苦しめるなど、さまざまな特徴やバリエーションも紹介されています。

そのほか、作家・怪異妖怪愛好家の朝里樹氏は「日本怪異妖怪辞典 中国」の中で、佐藤有文氏による「島根県に伝わる、大喰らいの娘が盗み食いの果てに仙人に出会い、もう一つ口を増やされた」という珍しいパターンの物語を紹介。これは「絵本百物語」と同じ挿絵を使い、因果の物語とは違った妖怪像を作り上げたものだと指摘しています。

「二口女」は“因果による業病”と“妖怪変化”という、まったく質の異なる2つの大きなパターンがあり、特に後者は多彩なバリエーションを持っています。本作『Blood Crossroad』でがどちらの内容になるかは体験版では判断できませんが、こういった物語の下地を知っておくことで、ウィリアムの悩みや真実にも近づけるかも知れません。

また、作中では「二口女」だけでなく、木に吊るされた人物などを描いているものなど、多くの絵を見かけることもできます。


『Blood Crossroad』は美麗なグラフィックや音を駆使した恐怖演出と、アルコール依存症の主人公による不安になる視点や雰囲気による臨場感がとても印象的です。体験版範囲ではストーリーが分かりにくいのですが、占い師が示唆する危険な運命や、何度も戻される酔い潰れた酒場など多くの謎が提示され、先が気になります。

探索に関して、マップの導線自体はそれなりに優秀なのですが、一部のオブジェクト探索が分かりづらいと思うことも。時間制限などはないのでじっくり探すことはできるのですが、少しもったいない部分ではあります。もちろん、この探索が緊迫感を生む要因にもつながっていると思うのですが……。

Steamストアページで「ウィリアムと日本の民話に登場する古代の伝説とのつながりを明らかにするのだ」と書かれている本作。作中でも「二口女」をはじめ、さまざまな絵画が登場するので、謎や関連性、因果を解き明かしていくのが楽しみです。なお、体験版でも非常にわかりやすい日本語テキストでした。

参考文献

「桃山人夜話 ~絵本百物語~」角川ソフィア文庫/竹原春泉/2014年7月15日発行

「日本の昔話 柳田国男コレクション」角川ソフィア文庫/柳田國男/2013年2月14日発行

「日本の妖怪 完全ビジュアルガイド」株式会社カンゼン/小松和彦・板倉義之/2015年2月18日発行

「日本怪異妖怪辞典 中国」笠間書院/麻里樹・寺西政洋/2023年3月5日発行

「にっぽん妖怪地図」阿部正路・千葉幹夫/1996年12月1日

「愛蔵版 妖怪画談」岩波書店/水木しげる/2002年3月8日発行

「日本妖怪学大全」小学館/小松和彦/2003年4月20日発行




《Mr.Katoh》

酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

+ 続きを読む
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

連載・特集 アクセスランキング

アクセスランキングをもっと見る

page top