
10月27日、東京都立産業貿易センターにて、インディーゲーム展示会「東京ゲームダンジョン 6」が開催されました。本稿では、同イベントで出展されたアドベンチャーノベルゲーム『イツカノヨル』について、開発者Indigo Ingot氏のインタビューを交えたプレイレポートをお届けします。
インディーゲーム展示イベント「東京ゲームダンジョン」現地レポート記事はこちらから!いつでも死刑執行ボタンを押せるノベルゲーム『イツカノヨル』
『イツカノヨル』は、Indigo Ingot氏らが制作したアドベンチャーノベルゲーム。この作品は1週間で決められたテーマに沿ったゲームを完成させるイベント「Unity1週間ゲームジャム」にて制作されました。与えられたテーマは「1つのボタン」。本作ではこのボタンを「死刑執行ボタン」として使用していきます。
プレイヤーは死刑囚である竜族の少女「マリー」と「五日間の夜」を共に過ごします。死刑執行人であるプレイヤーはテキストを読み進めながら、マリーが怪しい動きをしたり、危害を加えるような行動を見せた場合に即座にボタンを押さなければなりません。
会話の途中では分岐する選択肢が用意されており、エンディングは全部で10種類。うち5種類が「ボタンを押すこと」で辿りつく結末、残り5種類が「ボタンを押さないこと」で辿りつく結末となっています。

ダークな雰囲気と微かな希望が交錯する独特の世界
試遊では、「死刑執行ボタンを押す結末」と「押さない結末」の両方を体験。マウスクリックで物語は進行するものの、死刑執行には専用のボタンを使用しました。
「ボタンを押さない結末」では、プレイヤーがマリーの冤罪を証明するために行動するシナリオが展開。全体的に暗い雰囲気ですが、どこか希望に満ちたやり取りを楽しむことができます。開発者によると「ハッピーエンドの過程のなかにある、鬱々とした演出を突き詰めた」とのこと。




一方、「ボタンを押す結末」では、いつでもボタンを押して マリーを殺すことができます。ストーリー開始時にボタンを押すことも、ハッピーエンドの直前で押すことも自由。
一見悪趣味に見えてしまうこの仕様ですが、どのタイミングで押しても「どこか女の子を可哀想に思ってしまう、罪悪感が残る表現」を追求し、開発を行ってきたとのことです。


また本作は随所に、繊細で儚い表現が散りばめられていました。女の子のみせる可哀想な姿が「可愛くみえてしまう」ような、セリフ回しにも細かな工夫が凝らされています。

開発者Indigo Ingot氏からのメッセージ。
「『イツカノヨル』は人間のもつ好奇心、罪悪感、葛藤をうまく手のひらの上でゆさぶる仕掛けをたくさん用意しています。ここで押したらどうなるのだろうかという感覚をぜひプレイして味わって欲しいです!」
『イツカノヨル』の完全版は2024年内でのSteam公開が予定。エンディングの数も10種類から13種類に増えるとのことです。