
Steamにて3月25日にリリースされると、たちまち同接40万人を突破したドラッグ製造販売シミュレーション『Schedule I』に著作権侵害の疑いで調査を開始したパブリッシャーMovie Gamesの『Drug Dealer Simulator』(DDS)に“レビュー爆撃”が行われ、同社がコメントを発表しました。
訴訟報道はそもそも誤解
Movie Gamesは、麻薬取引を通じて犯罪帝国を作りあげるという麻薬売人シム『Drug Dealer Simulator』のパブリッシャーです。無一文の売人として麻薬の製造から販売をこなし、裏社会の頂点を目指す同ジャンル作品『Schedule I』に対して、自社タイトルへの著作権侵害の可能性アリと調査を開始したことを報告しました。

ポーランドの経済系メディア「PAP Biznes」によって4月3日に報じられたこの件について、PC Gamerの取材にMovie Gamesのマーケティング部門責任者・Michal Puczynski氏が答えました。同氏によれば、『Schedule I』と『DDS』が酷似しているという意見が繰り返し同社に寄せられたため、知的財産権の専門家に法的分析を依頼せざるを得ず、その結果著作権侵害の可能性があるとされたそうです。
しかし、『Schedule I』の開発元であるTVGSに対し法的措置は取っておらず、訴訟との報道に対しては、元々ポーランド語で発表された記事を誤読した可能性が高いと述べています。
同社はあくまで「法的義務による調査の一環」であると主張し、また『Schedule I』のクリエイターであるTVGSのTyler氏も「法的措置は何も取られていないと認めた」とのことですが、先述の“誤解”はどうやら拡散されたまま、Movie GamesがTVGSに対し訴訟を起こしたと勘違いしたゲーマーによる、『DDS』『DDS2』への否定的なSteamレビュー爆撃が行われています。

訴訟なし・販売妨害の意図なし…でもレビューは「圧倒的不評」
直近のSteamレビューを閲覧するとMovie Gamesが訴訟を起こしたと思いこんでいる、あるいは著作権侵害の疑いで調査していること自体を不快とし、強い口調で否定する内容が多数投稿されています。
「優れたゲームを作っているインディー開発者を調査するなんて、笑止千万。ゲームを改善しようとする代わりに弁護士を呼び出すのは情けない、恥ずかしい。スーツを着た臆病者だ」
「クソゲーをありがとう。一人の開発者の方が実績あるゲームスタジオより優れているのに、彼の人生を台無しにしたいのか?恥を知れ」
「『Schedule I』に対する訴訟?マジで?」
「他のゲームの人気に嫉妬して訴えることを想像してみてほしい。『Schedule I』は『DDS』とは全く違う」
その結果、最近のレビュー評価は『DDS』『DDS2』ともに「圧倒的に不評」に。特に初代『DDS』は全体レビュー評価が「やや好評」のため、落差が目立ちます。
Movie Gamesは4月8日、ついに「Regarding Schedule I: No Lawsuit(訴訟の予定なし)」と題したコメントを掲載しました。

訴訟は行われていない
TVGSのゲーム販売や開発を妨げる意図はない
法的分析で侵害の可能性が指摘されたため、両ゲームの類似性について調査中
両ゲームが酷似しているという意見が繰り返されていることから、分析と調査が必要であった。調査しなかったことで、上場企業であるMovie Gamesが過失により厳しい結果を受ける可能性がある
完全な透明性のために、このような情報を公表する義務がある。公表しないことも過失となる。そこからメディアに取り上げられ訴訟と誤って報道された
上記の調査はあくまでパブリッシャーであるMovie Gamesが行っており、『DDS』開発元のByterunnersは一切関与していない
いきさつを誤解したレビュー投稿者の目にこのコメントが届くかはいささか疑問であるのと同時に、専門家による分析が「著作権侵害の可能性あり」と判断された以上、本当に訴訟に発展する可能性はいまのところ完全にゼロではありません。麻薬販売シムは他にも存在しますが、『Schedule I』は短期間で爆発的なヒットとなった注目作品だけに、今後が気になります。











