ただ、『黒洞々』たる夜があるばかりである―生きているだけで尊厳が削られていく暗鬱なこの街で、果たしてどんな選択をするのか【プレイレポ】 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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ただ、『黒洞々』たる夜があるばかりである―生きているだけで尊厳が削られていく暗鬱なこの街で、果たしてどんな選択をするのか【プレイレポ】

オレ(主人公)の行方は……

連載・特集 プレイレポート
ただ、『黒洞々』たる夜があるばかりである―生きているだけで尊厳が削られていく暗鬱なこの街で、果たしてどんな選択をするのか【プレイレポ】
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ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。

こちらは芥川龍之介の名作短編「羅生門」の冒頭一段落です。「羅生門」といえば高校の授業でほぼ必ずと言って良いほど扱われる作品で、「生きるための悪」がテーマになっています。
天災で衰微した平安時代。勤め先を解雇されて「生きるためには盗人になるしかない」とは思いつつも勇気が出なかった下人が、老婆と出会う。その老婆との問答を経た下人には盗人になる勇気が生まれ、老婆から着物をはぎ取って蹴り倒し、「黒洞々たる夜」に消えていく……というお話。
そう、本作のタイトルである「黒洞々」はここからきている……と、筆者は思っているのです。

黒洞々|KOKUTOTO』はテンダゲームスが手掛ける、マルチエンディングのアドベンチャーゲームです。黒洞々たる夜に閉じ込められた主人公である「オレ」は、ただ生きているだけで尊厳が削られていくこの街で、「善悪の彼岸」を問いかけられながら、どうにかして生き延びる方法を探していきます。

本記事ではそんな本作の魅力を、プレイレポートでお届けします。なお、本稿の執筆に当たり、テンダゲームスからキーの提供を受けています。

■「積極的に肯定するだけの、勇気が出ずにいたのである。」

主人公である「オレ」が目を覚ましました、なんだか少し懐かしのインターネッツな見た目をしております。オレには記憶がなく、どうしてここにいるか、何をしようとしていたのか、覚えていません。確かなのは、この町から出られないということ。

オレにぽっかり空いている穴はどうやら見間違いではないらしく、そこから何か赤いものが漏れ出ています。これこそが「尊厳」です。

画面上にあるのが「尊厳ゲージ」。立つだけで歩くだけでどんどん減っていきます。
そしてこの「尊厳ゲージ」が0になると……

グエー死んだンゴ

オレは尊厳をすり減らしながら、何とかしてこの街から出る方法を探っていきます。とはいえ、死んでしまっても直前からリトライが可能なため、プレイヤーの心に影を落とすこと以外は大きなデスペナルティはありません。むしろ初回プレイは死ぬ前提でいた方が良いかも。マップが多少分かり辛いこともあり、探索していたらあっという間に尊厳がなくなって死にます。入り組んだ道に迷い込んでしまい、彷徨って死ぬ。それが人生というものなのかもしれないですね。

この「尊厳ゲージ」を回復させるには自己肯定するしかありません。それがこの街で生き残る、唯一の道です。しかしこの街における「自己肯定」がどういうものを指しているのか……。

この街の住人達との会話では、選択肢でオレの行動を決定できます。時には「善悪の彼岸」を超える決断が迫られることも。「善悪の彼岸」というのは、ドイツの哲学者・ニーチェの著書で、従来の道徳そのもの(特にキリスト教)を疑い、善悪の向こう側(=彼岸)へと進む、というものです。「深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ」で有名なやつですね。
「善悪の彼岸」を超える……そんなすごい決断を下せたとなれば、それはもう自己肯定の極みでもあるのですが、当然のごとくそのような決断には勇気がいります。今のオレにはそのような勇気など、あろうはずがありません……。

■「どうせただの者ではない。」ひと癖もふた癖もある、個性豊かな住民たち

ではどうやって決断する勇気を得るのかというと、これは「彼岸の心得」を集めて行います。集める方法は、作中で登場する住民たちと会話すること。オレだけでは決められない問題も、他の人の話を聞いて決めてしまいましょう。

オレは物語の序盤で、倒れている女に遭遇します。そして「金を盗む」か「鞄を盗む」かが頭をよぎり、決断を迫られます。
生きていくには金が欲しい、オレには金がない……。盗むということは悪いことである。が、しかし、このままではオレはじきに死んでしまうのである。どうしたものか……。

悩んだオレは街を彷徨い、出会った人に話を聞いてみます。どいつもこいつも、ひと癖もふた癖もある人ばかりです。

例えばモノクロームのゴスロリ少女「ユノ」。一見可愛らしい少女ですが、搾取することを是としており、盗みで悩んでいるオレに対して「あんたも誰かから搾取すりゃいいじゃん」と推奨してきます。

赤いおリボンが可愛いね

例えば笑顔が素敵な警官「ケンザキ」。しかし中身はなかなか不良警官、オレに何が起ころうとあれやこれやと言い訳をして面倒くさいことは見て見ぬふりをします。

ちなみにこの時届けたのは、ケンザキが忘れた拳銃。お前……

この街にいるのは、そんな奴らばかりなのです。

■「しかし、これを聞いている中に、下人の心には、ある勇気が生まれて来た。それは、さっき門の下で、この男には欠けていた勇気である。」

さて。住民たちから話を聞き終えて「彼岸の心得」を集めました。いざ決断の時。

選択肢を選ぶと、心象風景か、門の前に立っています。そこで自問自答を繰り返して門を開けていくのです。
開門には集めた「彼岸の心得」から最適なものを選びます。

何度も自問自答を繰り返し、「善悪の彼岸」を超える決断を下して、実際に行動した。そんな自分にオレは自己肯定を高めて「尊厳」を回復したのでした。

しかし、これは目先の問題を解決しただけに過ぎません。
いくつもの選択を重ねたのちに、オレを待ち受けている結末とは……?


本作には多くのエンディングが用意されています。全てを見たい人に向けて「尊厳が削られようとも街を彷徨う方が良い場面もある」とだけ言い残して、筆者は黒洞々たるインターネットへと去りましょう……。

黒洞々|KOKUTOTO』はPC(Steam)向けに配信中。価格は920円(税込)で、リリース記念セールが2月13日まで実施されています。

ライター:羊めり,編集:みお


ライター/ゲームと読書と紅茶と強い女が好き 羊めり

ゲームをする羊、羊が苗字でめりが名前です。雑多にコンシューマーゲームやインディーズゲームを遊んでいますが、特にナラティブ重視なゲームが大好きです。人外娘もめちゃくちゃ好きです。探偵小説もはちゃめちゃ好きです。辛い食べ物は得意ではないです。

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編集/Game*Spark共同編集長 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。人生ベストは『街 ~運命の交差点~』。2025年ベストは『Earthion』。 2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。2026年1月に共同編集長になりました。

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