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ハンゾーが放つ波動拳!『オーバーウォッチ2』×『ストリートファイター』の異色のコラボについて開発者に訊いてみた

社内Slackに長年挙がり続けてきたコラボ企画だったのだとか。

連載・特集 インタビュー

5月9日から11日にかけて行われた対戦格闘ゲームの大型イベント「EVOJAPAN 2025」にて『オーバーウォッチ2』『ストリートファイター』のコラボレーションイベントが発表されました。

こちらは『オーバーウォッチ2』のヒーローが『ストリートファイター』シリーズに登場してきたキャラクターたちのスキンを着るという企画です。すでに公開されたトレーラーでは、ジュノがチュンリーに扮したり、ハンゾーがリュウの恰好で波動拳を撃ったりしている姿が見られます。

今回のコラボに際して、Activision Blizzardにインタビューする機会が得られました。答えてくれたのは『オーバーウォッチ2』のアソシエイト・ディレクターであるAlec Dawsonさんです。

Alec Dawson

――こちらのコラボはどういうきっかけで始まったのでしょうか?

Alecそもそも『オーバーウォッチ2』のすべてのコラボは、開発陣が「やりたい!」と思った作品から選んでいます。

開発陣の多くは普段から『ストリートファイター』で遊んだり、大会を観たりしていて、熱狂的なファンも多いんです。社内Slackに「次のコラボ先をどこにするか」というチャンネルがあるんですが、ずっと『ストリートファイター』は候補に挙がり続けていましたよ。

元々『オーバーウォッチ2』のアートスタイルは『ストリートファイター』に影響されていて、現実よりもオーバーなキャラクターが画面中を飛び回るようなところを意識して作っています。

このコラボも一年以上揉んでいたもので、やっと皆さんに遊んでもらえると思うとワクワクしますね!

――『オーバーウォッチ2』のクリエイターとして今回のコラボにかける想いを教えてください。

Alec内部でコンセプトアートが出回っていたときから、モデルが描き起こされてゲーム内で動いているのを観るまで、ずっと素晴らしいものだ……と感じ続けています。

最近の社内でのテストプレイ中はみんなベガのコスでシグマを使っていますし、僕もウィンストンを使うときはブランカのコスばかり選んでいます。

特に今回のコラボで良いなと思ったのは、このコスチュームがスタジアムでも使える点です。来シーズンにはスタジアムにゼニヤッタが追加されます。三人称視点でダルシムのゼニヤッタを見ると、非常にストリートファイターっぽさを感じますよ。

――『オーバーウォッチ2』には特殊なエフェクトやボイスがあると思いますが、どんなものがありますか?

Alec今回のコラボは今まで以上に開発陣が頑張って作成しました。ボイスエモートとして、スピニングバードキックや波動拳を出したりすることができます。他には、近接攻撃のときにストリートファイターらしいSEが聴けますので、よく注意して聴いてみてください。格ゲーらしい音にこだわりましたので。

あとは、キャラクターセレクト中も『オーバーウォッチ2』のヒーロー名ではなく『ストリートファイター』のキャラクター名を口走るようになります。

当然、車を殴るボーナスステージもあるので、ハンゾーが昇龍拳で車を壊すところもチェックしてほしいですね。

どちらのファンでも楽しいし、双方のファンならもっと楽しいコラボになっていると思います。

――Alecさんは普段から対戦格闘ゲームはプレイされますか? また、お好きなキャラクターをお聞かせください。

Alecええ、格ゲーは大好きです!このあいだ開かれたものも含め、EVOJAPANにも何度も出ています。ちなみに『ストリートファイター4』からずっとブランカを使っていますよ。

Activision Blizzardでは格ゲー部があってですね、みんなで集まって定期的に格ゲーをやっています。

――『オーバーウォッチ2』のアートデザインを本作に落とし込むにあたってこだわったポイントはなんでしょうか?

Alec全体的なバランスを考えました。いつもコラボの際は『オーバーウォッチ2』のヒーローがコスプレをしている……と説明させてもらっているのですが、今回のコラボで言うと、ハンゾーはリュウほど筋肉質ではないというところがコスプレっぽいのではないかなと思います。

他には、シグマはベガっぽくするために新しいショルダーパッドを作りましたし、ゼニヤッタもダルシムらしくいつもより足が伸びて見えるよう工夫しました。

ソルジャー76の髪型なんてかなりガイルっぽいですよ。

――ハンゾーがリュウに選ばれたのは、アルティメットでドラゴンが出てくるからですか?

Alecやはりリュウとチュンリーは入れなきゃ……と最初に思ったときに、リュウにはハンゾーがしっくりきました。「このなかで誰が波動拳を打てる?」と考えたら、ハンゾーですよね。彼も躍動感あるヒーローですし、日本人というルーツもあります。リュウのコスプレとしては自然です。とても良い仕上がりになりました。

――ドゥームフィストは『ストリートファイター』らしいと思いますが、彼はスキン候補にありました?

Alec候補に挙がっていました。もちろんバイソンのつもりでした。

しかし、巨大なグローブと小さいグローブという組み合わせが見た目として微妙だったので、一旦見送りました。次のコラボがあれば考えてみたいです。

Alec Dawson

――「ワンパンマン」や「カウボーイビバップ」など日本のIPとコラボすることが多いですが、これはどんな理由があるのでしょうか?

Alec日本はメディアやコンテンツが多く、かっこいいものばかりであるという印象があります。我々開発陣が愛しているIPとはコラボしやすく『ストリートファイター』もそのひとつでした。

『ストリートファイター6』が出るときに「この人も格ゲーをやっていたの?」とびっくりするくらい皆遊んでいましたね。

――CAPCOMからのフィードバックはどんなものがありましたか?

Alecコラボ先としては素晴らしい会社だと思っています。CAPCOMさんはサポートが手厚く、美術の資料や音声など、色々と送ってくださいました。

このコラボにおいて、できるだけ『ストリートファイター』らしさを出してほしいという熱意を感じました。

Activision Blizzardという会社の枠を出て、他のゲームスタジオのIPとコラボするのは初めてだったのですが、ゲーム会社同士ということもあって、制作のタイムラインへの理解があり、スムーズに作業を行うことができました。

――対戦格闘ゲームとFPSという異色の組み合わせはどんな効果を生むとお考えでしょうか?

Alec『オーバーウォッチ2』を遊んだことがない『ストリートファイター』のファンに、我々のゲームを試してみてほしいなと思っています。

格ゲーとFPSは似たようなところが多いでしょう。特定のヒーローを練習して、数か月前にはできなかったような技ができるようになった達成感とか、どちらにも通ずるところがあるかと思います。

両方のファンがお互いのゲームを好きになってほしいですね。

――『オーバーウォッチ2』では普段使わないキャラクターが『ストリートファイター』の好きなキャラクターのコスプレをしていたので、使わざるを得ない感じになり、良い機会になりました。

Alecええ、色々なヒーローを学んでほしいですね。複数のヒーローを選択できるようになると楽しみが増えるゲームですので「じゃあもう新しいキャラ使ってみようかな~」と思ってもらえるのはとても良いことだと思います。

――どういった人にリーチしたいのか、細かく教えていただけますか?

Alec特定の層を狙い撃ちするよりは、ストリートファイターのファンの皆さん全員に楽しんでもらいたいです。『オーバーウォッチ2』の世界のなかで『ストリートファイター』の素晴らしさを称えたいという気持ちが一番にあります。

――トレーラーではコミック調のアートスタイルでした、これはどういう意図や経緯がありますか?

Alec今回のEVOJAPANで見せたトレーラーは、これぞ『ストリートファイター』というのを前面に出したかったのです。波動拳やスピニングバードキックが出たりとかね。

実はトレーラーはもうひとつあるので、そちらのほうはゲームプレイを中心にしています。実際のスキンがどんな感じなのかわかるようになっていますよ。

――日本の『オーバーウォッチ2』コミュニティにコメントをいただけたらと思います。

Alec我々は日本コミュニティのポテンシャルの高さをとても理解しています。コンテンツクリエイターには感謝していますし、コミュニティ発祥のイベントが多く開催されるのもとてもうれしいです。会社としても長くコミュニティサポートを続けたいです。皆さんのサポートが日々の糧になっています。いつもありがとうございます。

EVOJAPANにも参加するほど熱意のあるクリエイターが、コラボ企画を指揮しているとは……これは期待が上がりますね!

『オーバーウォッチ2』×『ストリートファイター』のコラボは5月21日にスタートします。


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ライター:各務都心,編集:Akira Horie》

ライター/ 各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

Game*Spark副編集長。平日日中のニュースデスクおよび料理連載や有志翻訳者連載の基本担当。 2021年版以降の『ウィザードリィ外伝 五つの試練』イード側のディレクターも兼務中。

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