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Game*Sparkレビュー:『System Shock 2: 25th Anniversary Remaster』オリジナルの魅力そのままに遊びやすく、ただし変わらない“不便さ”も

宇宙船内で発生した事故に立ち向かえ。その先にはシリーズおなじみの“あの存在”も。

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Nightdive Studiosは、Irrational GamesとLooking Glass Studiosが手がけるアクションRPG『System Shock 2: 25th Anniversary Remaster』をPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PSコンソール/Xbox Series X|S/Xbox One向けに2025年6月26日リリース予定です。

本作は、1999年に発売されホラーFPSとRPG要素が融合した作品として高い評価を得ている『System Shock 2』のリマスター作品です。プレイヤーは宇宙船「フォン・ブラウン号」で発生している異常事態に対処するため、戦闘や探索を行いながらやがて真実へと辿り着いていきます。

リマスター版ではキャラクターや武器モデル、アニメーションなどを含むグラフィック強化、最大144fpsでプレイ可能な環境の実現、クロスプレイ対応の協力マルチプレイヤーにも対応。また、現代的な環境で遊びやすくなるコントローラーへの最適化やQOLの改善なども行われています。

本稿では、ついにリリースされる『System Shock 2: 25th Anniversary Remaster』のレビューをお届け。ゲームプレイおよびスクリーンショット撮影は、メーカー提供のリリース前ビルドを使用しています。

2019年発表からついに登場!

『System Shock 2: 25th Anniversary Remaster』は、2019年にNightdive Studiosが『System Shock 2 Enhanced Edition』というタイトルで制作を発表。同社は過去の名作ゲームの再販やリマスターを中心とする会社で、過去には前作『System Shock』の復刻版もリリースしています。

しかし、待望の『System Shock 2』リマスターは発表からしばらく続報がない状態で、2021年2023年にわずかな情報が公開されているのみでした。この間に同社は初代『System Shock』のフルリメイク版をリリースしていますが、こちらも2015年に発表し、実際にリリースされたのが2023年と、さまざまな面で開発が難航していたようです。

その後『System Shock 2』リマスターの大きな続報があったのは2025年のこと。Nightdive Studiosが公式Xアカウントにて「coming - soon」と投稿し、同年3月に開催された「Future Game Show」にて公開されたトレイラー内(記事冒頭の映像)でリリース日が明らかになったのです。


Nightdive Studiosは2013年にPC向けに『System Shock 2』を復刻させたバージョンもリリースしています。また、シリーズ続編である『System Shock 3』も発表されているのですが、こちらは2020年に開発チームが事実上のレイオフを受けたとする報道と、テンセントが参加したという情報からほとんど続報がありません。

2019年に公開された『System Shock 3』トレイラー

異形蠢く宇宙船内で生き延びろ

ゲーム内ではまずAI「SHODAN」の暴走から始まった前作の簡単なあらすじと、本作の舞台である宇宙船「フォン・ブラウン号」の紹介ムービーが流れ、船が謎の存在によって攻撃を受けていることが明かされます。本編の物語は、その事件から4年前、主人公が兵士としての訓練を受ける、ゲームのチュートリアルを兼ねたシーンから始まります。

チュートリアルでは移動や戦闘、ハッキング、オブジェクトへのインタラクトなどを学びながら、最後に主人公の所属を選択します。この所属によって戦闘・技術・超能力の得意分野が変わり、さらに3つの選択で基礎ステータスを決定。キャラクター作成後は、主人公が船内で冷凍睡眠から目を覚ますことでゲーム本編の時間軸へと戻ります。

通信してきたDr.politoによると、主人公は手術の影響で短期間の記憶を失っている状態。ゲーム序盤はドクターの指示に従いながら、船内を探索しつつ目的地を目指すことが大きな目標になります。しかし、事故が発生した船内は多くの場所が封鎖されているため、アクセスカードの入手や電力の復旧を行わなければなりません。

また、船内には恐るべき生命体に寄生された乗組員や、主人公を排除しようとするロボットなど、さまざまな脅威が待ち受けています。『System Shock 2』の主人公は初期状態では弱く、最初の戦闘でもあっさり倒されかねません。生き残るためには武器やアイテムを見つけたり、船内のデバイスを用いて己の能力を強化していかなければならないのです。

FPS&RPGという面白さ

『System Shock』シリーズは“FPSジャンルにRPG要素を導入した作品”として高い評価を得ています。ゲーム内では多くの敵が登場する中で物資が乏しい状態が続き、いかにしてリソースを節約しながら窮地を切り抜けるか、というのが重要な攻略要素です。

主人公は大きく分けて4つの基礎能力があり、ゲーム内で「サイバーモジュール」と呼ばれるアイテムを獲得することでスキルアップが可能です。基礎ステータスを上げたり、ハッキングや武器の修理能力を身に着けたり、専門的な武器の知識を持ったり、新たな超能力を覚えたりと、上げる能力によってプレイスタイルは大きく変化します。

例えばハッキング能力を上げれば、セキュリティ機能を一時ダウンさせたり、ロックされている箱を開けてアイテムを入手できます。本作は監視カメラがかなり脅威で、もし見つかるとしばらくの間は警戒状態となって敵が押し寄せます。回復アイテムや弾薬1発まで貴重な本作ではなるべく避けたい状態なので、ハッキングはそれだけでも有用な選択肢です。

本作は銃を使用していくと消耗して壊れてしまう仕様のため、消耗を抑えることも大切です。近接攻撃武器なら壊れないので、ひたすら近接特化にしたビルドにするのも一つの方法。武器の装備にもステータス・スキル条件があるので、使いたい武器に合わせて強化していくのも選択肢ですね!

超能力は本作の最大の特徴とも言える要素で、非常に種類が豊富です。筆者はエネルギー武器をメインに使い、電力を生み出す超能力でエネルギーを補充しながら戦っていました。ただしメンテナンスや精神力回復の消費も大きくなるので、基礎能力や各種スキル、アイテムでフォローしなければならず、決して万能ではありません。

買い物もできます。ハッキングでお得に買えますよ。

SFストーリーとしての面白さや没入感

宇宙船内での探索と調査、戦闘が目的の本作はサバイバルホラー要素とSF要素がしっかりと融合しています。ゲーム内では通信に従って船内の調査やルートの開拓を行っていくのですが、その中で発見できるログの中で、船内で発生したさまざまな出来事が語られていきます。

ログには閉ざされた扉のパスワードが記されていることも多く、プレイヤーが読むことが前提とも言える仕様です。その内容もかなり多彩で、船内の変化の様子や混乱といった様子も描かれます。また、道中では主人公が謎の視点で物語を見たり、ゴーストが“そこで起こった出来事”を再現するといった演出もあります。

また、倒して敵から入手した「パーツの一部」などをリサーチすることもできます。リサーチを完了することで、対象の敵に対してのダメージをアップさせたり、回復アイテムとしてパーツが使用可能になったりと、ゲームの進行を楽にする結果に繋がります。さらに細かな調査結果を見ることで世界観も知ることができるという、素晴らしいシステムです。

登場する武器も実弾からエネルギー兵器まで多彩で、ピストルなどの実弾武器なら弾の種類も選べます。ロボット相手なら対アーマー弾を使えば簡単に倒せるので節約にも繋がりますし、戦闘時に“咄嗟の判断で最適な行動を選ぶ”というアクション自体が、ゲームに緊張感と没入感を与えてくれます。

アイテム説明も充実。

リマスターで遊びやすくなった部分も

およそ25年の時を経てリリースしたリマスター版ではゲームとしての遊びやすさもアップしています。例えばオリジナル版では、必要アイテムを装置にはめるギミックで“インベントリからドラッグ&ドロップ”しなければならなかったのですが、リマスター版ではインタラクトするだけでOKです。

実は2013年に復刻したバージョンも解像度アップにより、かなり画面は見やすくなっていました。しかし、今回のリマスターではさらに画面が見やすくなったことで、マップ内に隠されているアイテムなども見つけやすくなっている印象です。文字はオリジナル版よりも鮮明なので、ログや説明を読むことが多い本作では大きな利点です。

『System Shock 2 (Classic)』
リマスター版。空の描写などが異なります。

ゲームとしての謎解き部分やリソース管理が重要な戦闘などはオリジナルの要素が色濃く、ハードで自由なビルドを楽しめる『System Shock 2』の魅力はそのままです。コントローラー対応や豊富なオプション設定もあるので、いろいろな環境で名作ゲームを思う存分味わえるでしょう。

ただし、現代では不親切だと思う仕様も変わっていません。インベントリが狭い本作の最大の懸念点として「アイテムの保管」があります。アイテムを入れる箱などの施設がないので、不要なアイテムは部屋の床に捨てておくのが最適な保管方法です。せめて箱や机を再利用できるくらいの変更があれば……というのは贅沢ながら改善してほしい部分です。

インベントリが辛い(余計なものを持ちすぎ)
比較的安全な場所に保管しとこう。
隅々まで探索することがサバイバルの秘訣

『System Shock 2: 25th Anniversary Remaster』は、FPS&RPGというジャンルを確立した名作のひとつを存分に体験できます。サバイバルホラーとしての緊張感、プレイヤーごとのスタイルを作れる成長要素、明かされていくストーリーのどれも魅力的です。

インタラクトの改善やグラフィック面の強化、豊富なオプション設定などもあり、ゲームとしての遊びやすさは向上しています。一方でやや不便に感じていた点がそのままだったりと、現在向けの改善を目指している作品としてはややもったいない部分も感じますが、ゲームの魅力を損ねているわけではありません。

名作シリーズの復活は非常に喜ばしいのですが、現時点で続編『System Shock 3』の続報はほぼ途絶えています。ただし、2025年3月のGDCにてNightdive Studiosのビジネス開発ディレクターLarry Kuperman氏が「おそらく1年以内に明確な説明がある」とコメントしたので、こちらの展開も期待したいところです。


Game*Spark レビュー『System Shock 2: 25th Anniversary Remaster』PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/PSコンソール/Xbox Series X|S/Xbox One 2025年6月26日

1999年発売の名作SFゲームがリマスター!FPS&RPGジャンルの金字塔

GOOD

  • 緊迫感のあるサバイバルホラーとSF要素が融合したストーリーとゲーム性
  • 銃や近接、超能力など多彩なビルドで戦闘や探索を楽しめる
  • リマスター版の改善要素でより遊びやすくなった部分も

BAD

  • アイテム保管やゲームの導線など昔のゲームとしての“不便”がそのままな部分も
  • 自由なビルドの一方で利便性がはっきりしていわゆる「死にスキル」も多い

ライター:Mr.Katoh,編集:Akira Horie》

ライター/酒と雑学をこよなく愛するゲーマー Mr.Katoh

サイドクエストに手を染めて本編がなかなか進まない系。ゲーマー幼少時から親の蔵書の影響でオカルト・都市伝説系に強い興味を持つほか、大学で民俗学を学ぶ。ライター活動以前にはリカーショップ店長経験があり、酒にも詳しい。好きなゲームジャンルはサバイバル、経営シミュレーション、育成シミュレーション、野球ゲームなど。日々のニュース記事だけでなく、ゲームのレビューや趣味や経歴を活かした特集記事なども掲載中。

Akira Horie

編集/n/a Akira Horie

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  • スパくんのお友達 2025-06-26 12:15:55
    また日本語対応してないの?
    1 Good
    返信
    2件の返信を表示 返信を非表示
  • スパくんのお友達 2025-06-26 12:13:07
    「壮絶スタ誕生。」の看板の漢字が変わってしまってるやんけ
    5 Good
    返信
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