デジタル技術の特許管理を行う企業、IngenioShare LLCは、Epic Gamesに対しチャット機能に関する特許権の侵害訴訟を提起しました。
特許管理の専門家がEpicに訴訟提起…!310億ドル規模の収益から3倍の報酬を要求
IngenioShare LLCは、米国において100件を超える特許の共同発明者であるPeter Tong氏と知的財産分野を専門とする弁護士のDoug Thomas氏により設立、運営される、特許関連事項の管理、コンサルティングを主なサービスとした企業です。今回同社がEpic Gamesに対し提起した訴訟は、「個人情報への紐づけの無いチャット機能」に関し同社が保有する技術の特許侵害を訴えるもので、同社が310億ドル程と予測する収益から計算される正当な報酬の3倍に値する損害賠償を求めています。

問題となったチャット機能技術とは、ユーザーの連絡先情報とは別のデジタルIDをユーザーに割り当て、プライバシーに対する機密性を維持して通信するためのものだといい、IngenioShareは3つの特許が侵害されていると主張。この特許はそれぞれ2018年、2019年、2020年に登録が行われていました。
「チャット機能」は誰のもの…?特許の有効性は既に確認済み
IngenioShareは2018年から本特許に関するビジネス契約を求め2021年までEpicへと接触を続けていたとのことですが、Epic側がこれに応じなかったと主張。その後一度テキサス州にて訴訟を提起しましたがEpic側の管轄地に対する異議申し立てに基づき2022年に却下されていました。

またEpic側も『フォートナイト』が配信されたのは2017年9月であることから、2023年に特許の有効性に異議を唱え特許庁へ確認を行っていましたが、特許庁は3件の特許全てが有効であると判断しています。また特許を含む特定の分野を管轄する連邦巡回控訴裁判所も、2025年4月にこの判断を支持したとのことです。
Epicは過去にも同様の特許侵害訴訟をUtherverse Gaming社より提起されており、その際は特許の有効性を根拠に主張を退けていましたが、その手法を先に潰された形で迎える今回の裁判。匿名でのチャット機能というオンラインゲームでは珍しくない機能が槍玉にあげられるだけに、本訴訟の結果による影響はEpicのタイトルのみに留まらないのは想像に難くありません。「チャット機能」が誰のものであるのか、裁判の行方に注目が集まります。
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