未知の敵に立ち向かうのは…たった三人の中年!タクティカルRPGとFPSが融合した意欲的ローグライト『Every Day We Fight』プレイレポ | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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未知の敵に立ち向かうのは…たった三人の中年!タクティカルRPGとFPSが融合した意欲的ローグライト『Every Day We Fight』プレイレポ

流行りの要素てんこ盛り。

連載・特集 プレイレポート
未知の敵に立ち向かうのは…たった三人の中年!タクティカルRPGとFPSが融合した意欲的ローグライト『Every Day We Fight』プレイレポ
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見下ろし型のマップ探索、FPS、ローグライト、タクティカルRPG、そしてタイムループ……どれもインディーゲームでよく目にする要素ですが、それらを一挙に集めたゲームが発売されます。

その名も『Every Day We Fight』。率直なタイトル通り、シビアな世界で未知の生物と戦う一般人を描いたゲームです。

流行りの要素を掛け合わせたデザインながらも、バトルシステムは唯一無二な作りで面白かったです。しかし、安定性やゲームバランス、ローグライトを導入した点については疑問が残りました。執筆にあたり、Hooded Horseよりキーを提供いただきました。

生き残ったのはたった三人!中年たちが地獄のタイムループに巻き込まれる

地球上にある資源エリクシウムを求めて、リフターという宇宙人が攻めてきました。そんなリフターに抗うために結成されたのが、レジスタンス部隊ソーン。しかしながら、リフターたちは強大で、度重なる戦争の果てに生き残ったのはたった三人でした。

人類の存続を託されたのは、元研究員のおばさんのヴィヴィアン教師で陰謀論者のおっさんのレオポルト元軍人でこれまたおっさんのディラン

なんとも言えない人選ではありますが、彼らは地球を守るために必死に戦っています。ある日、ヴィヴィアンが元々働いていたフェイバー研究所に向かう途中で、カーグという人語を話すリフターと出会い、全員殺されてしまいます……しかし、次の瞬間、研究所への道中に戻されていることに気づきました。どうやら死の瞬間に世界線を飛び越えたようです。タイムループの力を手に入れた彼らは、この力を使って、リフターを根絶やしにしようと再び決意を固めました。

本作のゲームシステムは、見下ろし型探索・タクティカルRPG・FPSが合体したものです。有体に言えば『Mutant Year Zero: Road to Eden』にエイム要素が加わった感じと考えてください。

まずは拠点となる下水道で最低限のアイテムを手に入れたら、市街地へと出ます。ACT1では真ん中にルゴサ・ホテルというリフターに占拠されたホテルがありますが、初期状態ではまったく歯が立たないので、周囲のリフターたちを狩りながらアイテムを集めましょう。

三人に指示をしてリフターたちに忍び寄り、それぞれが良い感じに銃撃できるポイントにつけたのなら、戦闘開始です。

戦闘はいわゆる『XCOM』形式で、APを支払って移動や銃撃、グレネードの投擲などを行います。この手の海外製タクティカルRPGファンからしたら、もはや親の顔より見たバトルシステムでしょう。

しかし、本作には攻撃の際に命中率がなく、代わりに一人称画面に切り替わってエイムすることになります。

エイム時はバレットタイムになり、スローモーションがかかります。一発目を当てたあと、敵は遮蔽のほうにゆっくりと逃げていくので、ちゃんとエイムする必要があります。加えて、一発ごとにAPも支払います。グレネードを投げる時も同様に逃げていくので、敵が逃げていく方向にあらかじめ投げなければなりません。これはなかなか面白いシステムですね!

逆に、敵からの攻撃も緊急回避ができます。自分たちも敵からの射線を切ったり、爆発範囲まで速やかに逃げたりしなければならないため、油断は禁物です(グレネードは当たったら即死なのもヒヤヒヤします)。もちろん、ヘッドショット判定もあります

そんな感じで、FPSの醍醐味を良い感じに『XCOM』的なタクティカルRPGに落とし込んでおり、バトルに関しては新鮮な感覚を味わえました

ローグライト制であることや、ゲームバランス、安定性に難あり……

そういった具合で、非常に手堅いジャンル融合作品ではあるのですが、多くの問題点があるのも事実です。まず、本作がローグライトを採用している点が気になりました。

ソーンたちは死ぬたびにタイムループによって元いた下水道に戻されますが、レベルや覚えたスキルは据え置きです。「え、レベル1からじゃないの?」と思うかもしれませんが、ローグライトの定義については一旦置いておきましょう。

巻き戻るのは持っていたアイテムとゲームの進行度のようです(アイテムも一部は戻ってきますが)。なので、何度もやり直して動きや敵のことを覚えていくという体験にはならず、むしろせっかく倒したルゴサ・ホテルの中ボスたちとまた戦わなきゃいけない面倒臭さのほうが勝ってしまいました。

加えて、マップはやけに広大な割に、各地に通貨やアイテムが落ちており、一部は周回ごとにリポップする仕様なのも頭を抱えました。この通貨を拾って回ったほうが得なんだけど、これを全滅するたびにやるべきだと……?

そもそも、その辺のザコ敵は角を曲がればまたリポップするので、いっそRPG的な恒久的レベルアップに沿ってすべてのゲームシステムを合わせたほうが良かったように感じられます。

そして戦闘についても、細かいところで納得感を削いできます。

中ボス戦では敵のウェーブを倒しきるか、一定ターン数経過で増援が来るのですが、これが場所がランダムなうえに、通知された次のターンに全員分投入され、敵の攻撃から始まります。

たとえば、チームメンバーを戦略的に分散させていたつもりが、そのうちのひとりの目の前に増援がごっそりやってきて、APも残っていないので集中放火されて死ぬなんてことがありました。せめてちょっと前から通知してくれるか、こちらから攻撃させてくれないだろうか……。

他にも、FPS的なカバーシューターを楽しめるのは良いのですが、壁や手すりの判定が厳密すぎて、足元にいる敵を狙えなかったり、向こうにいる敵を撃とうにも壁しか見えないみたいなことがしょっちゅう起こります。そのせいで無駄に数センチだけ動く羽目になり、APを余計に支払うのがかなりストレスでした。ここについてはキャラクターが任意でリーン(覗き込み)してくれるか、もしくはゲーム的なウソを吐いてもいいところではないでしょうか。

全体的に今一歩ユーザーエクスペリエンスへの配慮に欠ける出来で、もっと気持ち良く戦えるようにしてくれたらいいのにな……というのが率直な感想です。

そして、もっとも気になったのは安定性です。何も起きていないマップ探索中もしょっちゅうカクつきますし、街の描画も遅いです。戦闘中も安定せず、射撃の瞬間にクラッシュすることもありました。

ただ歩いているだけでもいつ落ちるかわからなくて、おっかなびっくり遊ぶことになりますが、さらに追い打ちをかけるのが本作がオートセーブ方式であることです。イベントや戦闘の後にしかセーブされないため、クラッシュしたらそこそこ戻されることになります。この辺は製品版までに直してほしいポイントです。

ローグライトとRPG部分のちぐはぐなマッチングや、ゲームバランスや安定性について大きな問題点はあるものの、タクティカルRPGに新しい視点を導入する実験作として見応えはあります。ジャンルファンはチェックしてみてもいいかもしれません。

タイトル:『Every Day We Fight』

対応機種:Steam / GOG / Epic Games Store

記事におけるプレイ機種:Steam

発売日:2025年7月10日

著者プレイ時間:7時間

※製品情報は記事執筆時点のもの

システムてんこ盛りは良いんだけど、もう少しブラッシュアップが必要スパね……


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ライター:各務都心,編集:みお

ライター/ 各務都心

マーダーミステリー『探偵シド・アップダイク』シリーズを制作しているシナリオライター。思い出の一本は『風のクロノア door to phantomile』。

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編集/取材も執筆もたくさんやる、半ライター半編集 みお

ゲーム文化と70年代の日本語の音楽大好き。2021年3月からフリーライターを始め、2025年4月にGame*Spark編集部入り。

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